ヌヌ葉否   作:エンゼ

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かなり伸びててびっくりです。
なんか時間が取れたので完結させるため投稿します。
前が妙に忙しかっただけ...なのかなぁ。
ともあれ、本編どうぞ。


20

 

 

 

 

 

何故か周りから割と厳しめの視線を受けつつリハーサルをこなし、さて後は本番までは待機という状態になりました。私達プロジェクトクローネは全員一つの控え室で待つことになっていますので、今は全員──いえ、シンデレラプロジェクトに属しているアナスタシアさん、渋谷さんはそちらの方に向かわれてますので全員ではありませんが、そこに待機しています。

 

現在は午前11時。ライブ開始まで残り1時間ほどとなり、私達は少し早めの昼御飯となったわけですが...

 

 

「.........」

「.........」

 

 

誰も会話をしていません。凄く静かなんです。

 

緊張...しているんでしょうか? いつも何かと場を騒がせたり和ませたりしている宮本さんあたりも今日に限ってかなり静かです。というか無表情ですね。ごめんなさい少し怖いです。

 

...ふむ、ここは交流を深めるべきなのかと思いましたが、そのような雰囲気ではなさそうです。だからといって私は場を和ませるようなことは出来ませんし...

 

仕方ありません。とりあえずご飯を食べましょう。昼御飯には各自それぞれ弁当が支給されるのですが、今回私は手作りにしました。勿論杏のも一緒に作ったので渡しました。喜ばれるといいのですがね。

 

自分の荷物から昼御飯を出すと同時にペンと大学ノートを出します。ご飯を食べながらの作業は行儀が悪いかもしれませんがそんなこといってる暇なんてありません。左手で昼御飯を袋から取り出し口に入れつつ、右手でノートを開きペンを持ち書き出していきます。

 

「...あの」

 

内容は勿論、本番のことについてです。一度ステージに立ったことにより本番へのイメージが持ちやすくなり、魅せる研究がしやすくなりました。

想定よりもステージが大きかったですが、緊張はしてません。というかしてる暇が惜しいです。

 

「否さん...?」

 

ステージに一度上がれてよかったですよ。具体的なイメージというのは大事ですから本当に...おっと、食事が疎かになってましたね。いけないいけない。つい夢中になってしましましたよ。

 

さて、見に来てくれる方々全てに満足して頂くためにはどういう角度がいいんですかね...やはり身体の軸を左に30°ほどずらすべきでしょうか。いえそれだと中盤の場面が少し変になりそうですね...ふむ、間を取って15°にしますか。

 

「...」

 

おお、なんか良さげなイメージが沸きました。15°にしておきましょう。

 

残る不安要素は...やはりダンスの完成度ですね。躍り方を理解したとはいえ、その肝心のダンスが追い付いていないとなると意味がありませんから。

 

どこか隙を見て逃げ出して見ましょうかね...? イメージだけでは物足りませんしトイレに行くと言って少し抜け出しましょうそうしましょう───

 

「否さんっ!!!」

「はいぃ!?」

 

み、耳が痛い...キーンってなってますよこれ...

 

「否さん! 今何を考えてました?!」

「え、ちょ...橘さん?」

「また本番について考えてましたよね?! もう、休憩時間なんですから少しは脳も休ませてください!!」

「で、ですが本番まではあと1時間もないですし...少しくらいいいじゃないですか!」

「......でもっ!」

 

と、私と橘さんが言い争い...のような何かをしていると───突然、私と橘さん以外のクローネの皆が次々に笑い始めました。それも苦笑や微笑などではなく、爆笑に近いレベルでです。

 

い、いきなりどうしたんでしょう皆さん...? もしや変なキノコでも弁当に入ってたりしたり...?

 

「フフフ......ごめんなさいね、否がいつもと変わらなさすぎて」

「こっちが緊張してるのが馬鹿らしくなってさー!」

 

...なるほど、そういうことでしたか。

 

自分でも確かにさほど緊張はしていないのは分かっています。まぁ理由は先ほど言ったようにしている暇が惜しいというのも当然あります。

 

「なんかさ、否ってこういうの慣れてそうだよね。昔にそういうのやってたりして!」

 

 

 

 

っ....................................

 

 

 

 

「...否?」

「否さん?」

「否ちゃん?」

 

.........いえ、皆さんは純粋な疑問でそう言ったに違いありません。ここで昔を振り替えるわけには......

 

「...えぇ、まぁ昔...色々ありましてね」

 

濁しておきましょう。あまり触れられたくはない話題ですし...

 

「...少しトイレに行ってきますね。失礼します」

「あっ...」

 

話を終わらせるため控え室を出てトイレではなく、先ほど自主レッスンをしていた場所へと向かいます。こんなことをしている場合ではありませんが切り替えるためです。少し身体を動かしましょう。

 

とにかく今は...忘れなくては。大事なのは目の前に迫った本番のみなのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん...」

「あれ、杏ちゃん? どうしたの?」

「いやさ、今日ってプロジェクトクローネも出るじゃん?」

「そうだね」

「そこに否もいるわけだよ」

「そうなんだ.........って、えぇ!?」

「否ちゃんアイドルになってたんだ...」

「あれ、言ってなかったっけ? まぁとにかくいつの間にかアイドルになってたんだよ」

「色々突っ込みたいけど...それで?」

「......無茶してないかなぁって」

「え?」

「前も言ったかもしれないけど、否って何かから逃げるみたいに頑張るんだよね。怯えてるみたいにさ...杏にはそのことを教えてくれないけど」

「...杏ちゃんってホントに否さんのことが好きなんだね」

「......まぁ家族だし。気になるのは当然じゃん?」

「あ、なんか杏ちゃん照れてない?」

「う、うるさいよ!...まぁ、無茶してないといいなぁ」


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