繋ぎの回なので短めです(いつもの)
時が止まるのを感じた。目の前の景色全てが静止していく。それを合わせて呼吸、鼓動、思考──あらゆるものも静止していった。
────今、なんと言われた? 杏と...ユニットを組めと?
何故、どうして、等の言葉が頭をループする。いつもならある程度汲み取れる美城さんの意図が今回に限っては全く読めない。答えのない問題を解いている気分だ。
「......何故」
なんとか、その一言を言えることが出来た。かなり小さめな声であったが、美城さんの耳にその音は届いてくれたよう。
「それはどういうことに対しての『何故』かな?」
──そういえば...と、呼吸をしていなかったことを思い出し、一度深呼吸を挟んでから先程よりは大きい声でそう告げ......ます。
「......何故、私なのか、です」
...深呼吸のお陰で少し、冷静さを取り戻せました。それと同時に身体の震えが復活しますが、抑えれない程度ではないです。ええ、まだ、この程度なら大丈夫です。
「そうか...」
ふむ、と一言呟かれた後、美城さんはスッと座り直し、改めてこちらを向きました。
「まず、この案を出したのは私ではない。シンデレラプロジェクトの双葉杏だということは先程も言ったな」
「...はい」
そもそもそこです。杏が何を考えてこの案を出したのか、それが不明なのですから。
私と杏は外見は似ていますからね。それを売りに出す...というのにしても、時期が早いと思います。こちらはまだデビューしたての新人なのですから。
「...本人の強い希望といるのが一番の理由だ。それ以外は本人に聞きたまえ。同棲しているのだろう?」
...痛いところを。
というか美城さん何気に心読んでませんでしたか? 表情に出ているのでしょうか...ポーカーフェイスのつもりなのですけれど...
「...ん?」
ふと、美城さんの言われた最初のほうの言葉が頭を過りました。
『君には舞踏会で、双葉杏とユニットを組んで貰いたい』
──待ってください。『貰いたい』...? この言い方ではまるで...
「...あの美城さん」
「どうした」
「美城さんは、もしかしてこの案には賛成なのですか?」
まだこの案は提案段階なのです...が、私が受けるか受けないか次第で事が決まるところまで来ているみたいです。
しかし断る、断らないの前に美城さんの意見を聞かなくてはなりません。新人が自身をプロデュースしてくださる人の意見を無視することなどあってはならないものですから。
内心私は祈りながらその問いの答えを待ちました。
「──そうだな、私としては君には出てほしいと考えている」
───嗚呼、これでもう私の中に『断る』という選択肢が消滅してしまいました。震えがますます強くなっていきますが、無理矢理抑え続けます。
...本心を言えば、断りたかった。杏と同じステージに立つこと...『比較される』ことが嫌ですから。正直、今すぐ吐きたい程気分は悪いですが耐えます。耐えなくては、ならないのです。
「...分かり、ました」
...覚悟を決めましょう。
「やります。是非、やらせてください」
もっと文章上手くなりたいですねぇ...