2019年中には結局投稿出来ませんでしたが、なんとか元旦には投稿できました。
相変わらずの低クオリティ。矛盾豊富の今作品ですが生暖かい目で見守ってくださると幸いです。
あ、軽く今回人によってはアレかもなのでお気をつけください。
「っっっっ!!!!!」
急に目が覚め、思わず身体を起こしてしまう。口の周りに着いてた何かが無くなった感覚がした。
心臓が痛む。傷口全てが痛む。肺が痛む。錯覚だと分かってはいるが痛みを感じてしまう。
荒くなり始めた呼吸を深呼吸によって沈ませ、なんとか自身を落ち着かせようと努めた。状況が読めない。とりあえず周りのことだけでも把握しなくては──
──ひとまず落ち着きました。
肺を抑えて呼吸を正常に整えつつ、辺りの景色を見渡してみます。
私が今いる場所はベッドで、先程まで寝ていたというのははっきり分かります。しかし、ここは家ではなさそうです。明らかにこのベッドのほうが高級品でしょうし。
ベッドの観察は止め、部屋を見渡してみることにします。先程まで着けてたであろう酸素マスクのようなもの。清潔感溢れる白が基本色の小部屋。以上からして、おそらくどこかの病院の個室でしょう。はて、私は何故こんな所に...いや、それよりも何故私は震えているのでしょう? これはまるで──
「...っ!」
──さっき『否』を名乗る何かと共に見ていた映像が頭を駆け巡っていく。
そうだ。私はさっきまで変な人と一緒にアレらを...
思考が変な方向へと飛びそうになった時──コンコンコン、と三回この部屋の戸がノックされた。現実に戻してくれたノックした人に少し感謝しつつ、私はどうぞ、と一言言いました。
「否...起きたんだ」
「杏...」
...今、出来ればあまり会いたくない人が来てしまいました。理由はアレに杏が関わってるからです。ぶっちゃけますと杏は何も悪くないんですが、こちらの精神的に...です。
勿論杏にはそんなことを察して欲しくなどなく、鍛えたポーカーフェイスで隠します。
外が暗いことが気になり確認してみると午後7時...ここの病院の面会時間はいつまでかは知りませんが、おそらく終了間近。こんな時間に...しかも深刻そうな顔をして...どうしたんでしょうか?
「どうしました? 杏」
「...少し、話さない?」
「構いませんが...」
あ、そうです、聞いておきましょう。
「私って何でここにいるんでしょう?」
「...え、覚えてないの?」
「ええ...」
なんか顔つきが軟化して呆れ顔になりやがりましたね...
「...倒れたんだよ。過労で」
「...は?」
「だから、過労で倒れたの」
「私がですか!?」
「何で驚いてるのさ!?」
そりゃ驚きますよ!────あ、段々と思い出してきました。
もうすぐある『シンデレラの舞踏会』でまさかの杏との限定ユニットを組むことに。それにより焦りが生じて...あれ、そこから記憶がないですね。そこらで倒れたんでしょうか...体力には自信あったんですけど。
「限定ユニットは?」
「解散、だってさ」
「...申し訳ありません、杏」
元々この限定ユニットを提案したのは杏。それが私のせいで潰れてしまったのですから謝らなくては筋が通りません。
...正直、どこかで安心している自分がいます。杏と比較されずに済むからですかね...
「ううん、もういいんだ。残念だけどね」
「...?」
おや、これはどういうことでしょうか。責められると思っていたのに...
それに見ると、杏はそこまでこの話題に関して悲観してないと感じます。ふむ、元々は杏もこの限定ユニットには積極的ではなく、周りから煽られてから取り組んでいた、みたいなことだったとかなのでしょうかね。無いでしょうが。
「...ねぇ、否」
意を決したような表情で私を見る杏。それを見て私は何故か嫌な予感と妙な寒気を感じました。
震え出す手を反対の手で無理やり抑え、深呼吸をし落ち着こうと試みます。
「否はさ、何のために働いてるの?」
「...何のために?」
かなり唐突な問いに対し私は少し怯んでしまいました。
「一体何を...」
「......」
マジな目付きをしてますよ杏。以前同じ問いをされ、それに私は答えた気がしますが...
...とりあえず答えましょうか。
「...私が仕事を楽しんでいるからです。どんな労働であれ私はそれに対して──」
「あぁうん。もう大丈夫だよ...」
呆れ...いえ、悲しさや悔しさ? みたいなのが入り乱れた、そしてなにかを決意した表情で杏は話を止めました。そして一つ、間を置いて──
「それで、本当は?」
「...は?」
「本当の理由は何って聞いてるの」
「いえだから先程言ったのが──」
「本当に?」
────まさかまさか。いやあり得ない。そんなことがあっていいはずがない。
「ねぇ否。教えてよ」
────止めて。入ってこないで。
「私はさ、否から頼られたいんだ。力になりたいの」
────まだ、まだ引き返せるから。
「ねぇ否──」
────まだ...
「──もう、怖がらなくていいんだよ。『否のお父さん』からさ」
─────────────────────────
「な、なんで...あ、あん、杏が、それ...を...」
否の少しずつ乱れていた呼吸がここにきて一気に乱れ始めた。その表情は驚きが殆どを占めていたが...そこには恐怖の感情も見える。
思わず、私は抱き締めた。ああ、こうなることは分かってはいた。否にはこの話はタブーであるから。でもやらずにはいられなかった。このタイミングしか無かったから。否を本当に知ることが出来るのは。
「......」
「あんず...わたし...!」
「...大丈夫。否はもう何も怖がらなくていいの。頑張らなくていいんだよ。否が怖がってるお父さんは、もういないんだから」
震えて泣き始めた否を私は強く抱き締める。
──ようやく、否の弱いところを知れた。初めて否の中に入れた。やっと...家族になれた。
「私は否の味方だよ。ずっと、ずぅっとね...仮に血は繋がってなかったとしても、家族なんだから」
「...ほんとう? いたいことはしない?」
「しないよ。出来るわけがない」
ヤバい...場違いだけどこの否すごく可愛い...なんか護ってあげたくなる感じ。
あぁ...そっか、否はずっと一人だったんだね。あの篭の中で。お父さんが死んで、その環境から脱出したとしても何も分からないからずっと仮面を被ってたんだ。だから誰も否を知らないし理解出来ない。そうだったって皆は知らないんだから。
多分今この事を知ってるのは346プロには他にいない...なら、私が護ってあげなきゃ...
「...こわい」
「ん?」
「おとうさんがまたやってくるかもしれないのもそうだけど...あんずに嫌われるのが...こわい」
「え、なんで?」
「わたしの...いなむのはじめてのともだちだから...いなむのむかしはこわいものなの。それをしられたらいなむをみんなこわいっておもうはずだから...」
「...あのねぇ」
「わっ!」
私は更に否を抱き締める力を強めた。絶対に離さないというように。
「否にはいっつも感謝してるんだよ? 飴作って貰ったり何かと気にかけてくれたりさ...嫌いになる? あり得ないから。寧ろ...うん、好き、かな」
「え...」
否の表情がハッとしたものになる。あれ、なんか変なこと言ったかな。
「...いなむのこと、すきなの?」
「え、あ、うん」
「!! いなむもあんずだいすき!」
「あの、ちょ、否さん?!」
暫く抱きつかれ、否はそのまま眠ってしまった。結構きつく抱き締められていて、結局起きるまではこのままの姿勢を無理やり維持した私だった。
─────────────────────────
「お騒がせしました」
起きたら杏とハグしていまして、何があったのかを思い出してたら杏も起きまして、その瞬間に私が幼児退行しちゃってたあの時のことをはっきりと思い出しまして、現在そのことについてベッドから降りて土下座をしている真っ最中でございます。
いやー...いくらあの時の私とはいえ、唐突に好きとかなんなんでしょうかね。
「いや、まぁ、あの時は...ね?」
「...忘れてくださると嬉しいのですが」
「あ、あははは...」
...気まずい。
「...ねぇ否、もう大丈夫?」
「...どうでしょう」
杏から話を反らされ、私もそれに乗っかることにした。
「まだ正直、信じられてない部分もあります。お父さんがもう死んでしまったとか...またひょっこりと出てきてくるかもしれない。そんな不安もあるんです」
「否...」
「でも、少しだけ楽になれたかと思います...杏のおかげです」
「...そっか。私もようやく否のことを知れて良かったよ!」
ふと時計を見れば面会時間終了五分前です。ここの面会時間は比較的長いのですから、結構話していたことになりますね。
杏もそれに気がつき、病室を立ち去ろうしています。またね、と一言言った後に...私はとても変なこと思い付きました。待ってくれと私は杏を引き留めました。
「どうしたの?」
「...変なことをふと思い付きました」
「え、何」
「あのですね───」
なんかあっさりしてるとか、否さんチョロい気がするとか色々言いたいことはあるでしょうが申し訳ありません...精一杯なんです...! もっと上手くなりたいなぁ...
ちなみに、身体検査とかの時に否へのアレが明らかになるのではないかとかは美城さんが(きっと)なんとか対応してくれました。