インフィニット・ストラトス〜つきのおとしもの〜   作:リバルリー

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お待たせしました〜…最近暑いですね…やる気が起きません…でも頑張ります。では、どうぞ!


第2話.不和(ディファレンス)(4)

放課後 剣道場

 

「うーむ……」

「いてて……」

 

一夏と箒は、満載のギャラリーの目線が刺さる中、先程まで剣を打ち合っていたのだが、やはりというか、この三年間、まともに剣を握る機会が無かったからか、一夏は一方的に箒に負け続けていた。

 

「まさかここまで弱くなっていたとはな……。部活は帰宅部だったのか?」

「ああ。三年連続皆勤賞だ」

「一夏はずっとバイトしてたんだ。僕が行ければ良かったんだけど、ISの勉強しなきゃいけなかったから……」

「そ、そうなのか……?二人とも大変だったな」

「気遣ってくれてありがとう。ところで、一夏のことはいいの?」

「そうだな。一夏」

 

忍に促され、箒は一夏を呼ぶ。

 

「はい?」

「お前を鍛え直す。キツイことを言うが、IS以前の問題だ。バイトが大変で剣道が手につかなかったことは理解したが、このままでは代表候補生を倒せるとは思えない。これから毎日、放課後三時間、お前がカンを取り戻すまで、私が稽古を付ける。いいな」

「え……それはちょっと長いような……っていうかそれよりISのことをだな」

「ダメだ。正直に言って、ISは後から感覚でどうとでもなる。なんというか、こう…シュバッという感じで」

 

そう言うと、箒は「また明日な」とだけ言い残し、更衣室に行ってしまった。

 

「シュバッってなんだよ……忍、教えてくれ」

「僕も感覚で戦うタイプだから教えるのは無理。それより、トレーニング続けよう。こんなんじゃ、自分を許せないでしょ。一夏」

「ああ、そうだな。ところで、俺は今の箒のシュバッという言葉の意味を知りたいんだが……」

「多分移動とか、回避のことを指してるんだろうけど……僕にも分からない」

「だよな……」

 

忍にそう言われると、一夏はがっくりと肩を落とした。

 

 


 

 

(少しキツく当たってしまっただろうか……)

 

更衣室で剣道着から制服に着替えながら、箒は先程の自分の発言を少し悔やむ。

 

(……い、いや!これもあいつのためだ!昔の一夏は……もっと強かった……)

 

昔の一夏を思い出し、不安を振り払うと同時に箒の口元がほころぶ。

 

(あいつがISで戦えるようにする為に、明日からも頑張ろう……)

 

箒はそう意気込んだ。

 

(……そういえば、結局あいつの専用機ってどっち寄りなんだろう……?まぁ、よく前に出るあいつのことだ、格闘特化だろうな。あいつがそれを扱いこなせるように、私も頑張って稽古を付けなければな)

 

そして、小さく拳を握る。

 

(……それにしても、よく私と分かったものだな)

 

意気込んだ箒はふと思った事を心の中で呟きながら、頭に巻いた手拭いをほどいて、髪に触れる。

 

(あいつら、六年も経っていたのに……顔も、見た目も、あの頃とはまるで別物になっているのに)

 

それでも、一夏は箒を覚えていた。

忍も、しっかり覚えてくれていた。

 

「ふふっ」

 

そう思うと、嬉しくて、つい笑みが溢れてしまう。

 

箒が二人を一夏と忍だと分かったのは、単に二人の名前がTVで出ていて、その時に写真が出たからだ。

名前が出ていなければ分からないくらい、幼馴染みの二人は男らしい顔つきになっていた。

いや、忍はそうでもなかったが、あの時と比べ、目付きが鋭くなっていた。

 

──正直に言えば、格好いいと思った。

 

特に一夏が。

 

名前を見て、飲み終わり、流しに持って行こうとした湯呑みを落としてしまったほどである。

 

(……一夏は、新聞で昨年の全国大会優勝を知ったと言っていた。だが、それは私の知る限り、端っこの記事であるはずだ。なのに、一夏は『すぐにわかった』と言ってくれた。……髪型を変えなかった甲斐があったな)

 

そう心の中で呟くと、箒は髪を弄る。

 

箒も十五歳の乙女。

 

恋をするのはなんら不思議ではない。

 

ふと、箒は鏡を見る。

 

「………はっ⁉︎」

 

鏡に映った自分の顔を見て、我に返る。

 

「………」

 

箒は、平静さを取り戻す為に、鏡の中の自分を睨む。

すると、恋する乙女の目付きから、元の鋭い目付きに戻る。

 

(と、とにかく、明日の放課後から特訓だ。せめて人並みには扱ってもらわなくては……それに……)

 

そこまで心の中で呟くと、箒は一つため息をつく。

 

(放課後、一夏と二人きりに、いや、忍も来るだろうから三人か。とにかく、一夏と一緒になれる口実が出来……)

 

そこまで心の中で呟き、箒ははっとした表情を浮かべる。

 

「い、いや!そのようなことは一切考えてはいない!何も下心などない……私は純粋に、同門の衰えを嘆いているだけだ。そして同門故に面倒を見てやる。それだけなんだ……」

 

そう一人で口に出して言うと、箒は再びため息をついた。

 

「故に、正当だ!」

 

誰もいない広い更衣室に、箒の声が響き渡った。

 

 


 

 

「忍ー、痒いところはないか?」

「もー、僕も十六歳だし、子供じゃないよ!」

 

夕飯を食べ終わり、部屋に戻った一夏と忍は今、二人でシャワーを浴びていた。

 

「ほーう……そんなおませさんな子はこうだ!それっ!」

「わっ、ちょっ、やめっ、あははは‼︎」

「はぁ…はぁ…参ったか!」

「あははは、あはっ……いやー、参った参った……降参だよ」

 

まるで幼い子供のようなやり取りをしながら、体を洗う二人。そんな中、一夏がふと呟く。

 

「……忍、その痣、やっぱり、まだ消えないんだな」

 

忍の背中と腕には、痛々しい痣があった。

 

「あぁ……うん。まだ消えないね。これを隠すためには長袖着ないといけないんだよね……。5月になったらもう暑くなるから、早く消えて欲しいけどね。あの時腕で防がなきゃ良かったかなぁ……」

 

そう言って、忍は俯き、少し悲しそうな笑顔を見せた。

 

「ごめんな……忍。あの時、俺がもう少し早く助けに行けてたら、お前にこんな痣作らせることなかったのに……」

「謝らないで。一夏は何も悪くないじゃない。むしろ、助けに来てくれて感謝してる。あの時、一夏が来てくれなかったら、きっと僕、今頃死んでると思うよ」

 

女子の集団から暴行を受けたあの日、一方的に嬲られていた忍を、一夏が助けに来たのだ。

 

 

「そ、そうか……?」

「うん。だから一夏、あの時助けてくれて、ありがとう」

「お、おう……どういたしまして」

「さあ、僕を洗うんでしょ?」

 

忍はそう言って、話を切り替えた。

 

「ああ、そうだった。よし、気合い入れて行くぜ!」

「あっ、ちょっと、背中で洗うときに力入れるのはやめ……痛ぁぁぁぁぁぁ!」

「わ、悪い!」

 

忍の悲鳴が部屋中に響き渡った。

 




いかがでしたか?次回は戦闘描写だから、かなり時間かかるかも……
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