インフィニット・ストラトス〜つきのおとしもの〜 作:リバルリー
すみません、先の展開の妄想という名のサボりをしてました。
今回も短めです。では、どうぞ!
「…………」
「…………」
一夏と忍が口を開けっぱなしで呆然とした表情をする。
(ふふっ、いきなりあたしが現れてビックリしてるわ)
そう思い、上機嫌な表情になっている鈴に、二人が口を開いた。
「ねえ、鈴、あの……なんというかさ」
「何格好つけてんだ?お前らしくないぞ」
そう言うと、一夏はクスッと笑った。
「んなっ……⁉︎なんてこと言うのよアンタは!」
鈴の声が、先ほどの気取ったものから、崩したものに変わった。
そんな時、
「おい」
という低い声が聞こえた。
背筋が凍りそうな声だったが、鈴は一夏たちとの会話を邪魔されたのが気に食わなかったのか、
「何よ⁉︎」
と大声で言い、振り向いた。
その瞬間、
バシィンッ‼︎
という乾いた音が響き、鈴が頭を抑える。
鈴が顔を上げると、そこには出席簿を持った千冬先生がいた。
「ち、千冬さ……」
「織斑先生と呼べ。もうSHRの時間だ。さっさと自分の教室に戻れ。それとドアの前に立って入口を塞ぐな。教室に入れん」
「す、すみません…….」
そう言って、鈴はドアからどいた後、
「また後で来るからね!逃げないでよ、一夏!」
一夏を指差し、鈴はそう言った。
(俺がお前から逃げる要素あるのかよ)
一夏は心の中でそう呟いた。
「早く戻れ。遅刻だ」
「は、はいっ!」
千冬先生に促され、鈴は大急ぎで二組に走っていった。
「アイツ、IS操縦者だったのか。初めて知ったな……」
一夏がふと口に漏らしたその言葉。
だが、それが箒の耳に入り、箒の表情が不機嫌になった。
そして、箒は一夏の隣に立った。
「……一夏、今のは誰だ?知り合いか?えらく親しそうだったが……」
「ああ、それは——」
「それ私も気になってた、教えて教えて!」
「あ、私もその話聞きたい!」
「私も私も!」
そして一夏の席には、女子の集まりができていた。
「うわぁ一夏大変そう……」
「そういえばしのぶー、しのぶーもあの子知ってたみたいだけど……」
「うん、彼女は——」
そう忍が答えようとした瞬間、バシバシバシバシバシン‼︎という連続して響く乾いた音に止められた。
「席につけ、遅刻だとさっきアイツにも言ってただろ」
そして、みんな一夏の席から退散していく。
(うーん、しかしなんでこうも知り合いとばかり再会するんだろうな。人生ってのは不思議なもんだな)
一夏はそう思いつつ、教科書のページを開く。
今日も、ISの勉強と訓練の一日が始まった。
(…………)
箒は朝の一件で、授業が手につかないでいた。
(あの一夏の反応、あれはまるで、さっきの女子が幼馴染だというような反応だった……)
そう思うと、箒の不満が強まった。
(幼馴染は私の知る限り、私と忍くらいのはずなのに……)
そう思いつつ、箒は一夏の様子をうかがう。
一夏は、昨日の失敗を引きずっているのか、真面目にノートを取っている。
(私が授業に集中出来ない原因が真面目に授業を受けているというのはなんとも皮肉なものだな……まぁ、それでも、私にはセシリアが同伴しているとはいえ、一夏のISの特訓をしているというさっきの女子に比べて有利な条件がある。同じクラスでもあるしな。ふふ、放課後もまた特訓だな)
そう考えると、箒の口角が上がった。
だが、一瞬よぎった思考に、箒は不安感に苛まれた。
(だが、もしも一夏が特訓もいらないくらい強くなったら……?)
そんな思考を、箒は首を大きく振って、振り払った。
(ダメだ。こんな弱気では一夏のISの特訓を出来るわけがない。強気でいなければ)
そんな時、
「にやけたり落ち込んだり首を振ったり忙しいな、篠ノ之。そんな様子なら、今の問題は解き終わったんだろう?篠ノ之、答えは?」
「ひゃい⁉︎」
急に名前を呼ばれて、箒は素っ頓狂な声を出した。
「答えは?」
「き、聞いてませんでした……」
箒がそう答えると、
「ふむ、正直なのはいいことだ」
そう千冬先生が言った。
直後、
バシーンッ!
という音と同時に、箒の頭に衝撃が走った。
「……だが、きちんと授業は聞け、分からないなら教師にその内容を質問しろ。私達教師はそのためにいるのだからな」
「はい……」
そして、千冬先生は奥に歩いていった。
「…………」
奥の方では、セシリアがノートにシャーペンを走らせていたが、その筆跡は、意味のない線。
セシリアが集中できていないのを明確にするだけだった。
(あの中国の代表候補生の方、既に一夏さんたちと仲がよろしかったご様子……)
その原因は箒と同じ、さっきの鈴、と呼ばれた少女と一夏、忍の関係だ。
(もうこれでは、わたくしにはほとんど混ざる隙が……)
そんな思考を、セシリアは振り払った。
(ダメですわ。わたくしは、一夏さんたちと、IS訓練するのですから。弱気でいたら、一夏さんたちに笑われてしまいますわね)
だが、セシリアはまた悩んだ。
(でも、これでは親密な関係になれた、とは言いがたいですわね……、もっとこう、何か、親交を深めるキッカケを——)
「……オルコット、聞いているのか?」
奥の席に行った千冬先生が、セシリアに問う。
だが、セシリアは上の空で、聞いていない。
「……例えば、一夏さんたちとわたくしで、休日にピクニックとか……?」
「はぁ……」
千冬先生が溜め息をつくと、
バシィンッ‼︎
という音が教室に響き渡った。
セシリアの頭に、出席簿が炸裂した。
いかがでしたか?今回アルヴィトさん出なかったなぁ……。次回も頑張ります!