インフィニット・ストラトス〜つきのおとしもの〜   作:リバルリー

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難産だったので初投稿です。
クロスグリッドターンの資料どこ…?
相変わらずのレベルですが、どうぞ!


第3話.鈴の音一つ(6)

第三アリーナ。

授業が終わり、誰もいないこの場所で、一夏がセシリアに特訓を受けていた。

 

「——という風に三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)は行います。ご理解いただけましたか?」

「うーん……細かくて分からないな……」

「そうですか……」

「悪いな、こうして付き合ってもらってるのに」

「まぁ、一夏さんはほとんど勉強できないままここに来させられたと忍さんに聞いてますし、気にすることではありませんわ。わたくしも砕けた説明が出来ませんし」

「そ、そうか……忍がいれば多少は楽になったかもだけどなぁ」

「今は箒さんと剣道してらっしゃるんでしたよね」

「ああ。公式試合はしなかったけど、まあまあ強かったな」

「?なぜ出られなかったのですか?」

「それはな——」

 


 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

箒が叫び、竹刀を忍の脳天に向けて振り下ろす。

 

「ッ‼︎」

 

忍は、竹刀で箒の攻撃を防いだ。

 

「イヤァァァッ‼︎」

 

そして忍は、逆手に持ったもう片方の小さい竹刀(・・・・・)で突きを繰り出した。

 

「ッ!」

 

箒は、忍が繰り出したその突きを、竹刀の角度を変え、防いだ。

 

そして、忍が鍔迫り合いをやめ、距離を取ろうとした時を狙い、

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

箒がお返しとばかりに突きを繰り出し、忍の喉元に当たった。

 

「一本!突きあり!」

 

先輩の一声で、その試合の終わりが告げられた。

 


 

「……たぁー!負けたー!」

 

忍が、防具を片付けた後、そう叫んだ。

 

「お前と打ち合うのは久しぶりだったから勝てるかどうか不安だったけどな」

 

箒が少し笑いながらそう返した。

 

「全国大会優勝者の余裕か、このー!」

 

そう言いながら、忍がポカポカと、箒の頭を叩いた。

 

「はは、すまんすまん、そういうつもりじゃないんだ」

 

箒が笑いながら、忍の攻撃を手で受け止める。

 

「じゃあ、どういう意味?」

 

忍が尋ねる。

 

「長く離れ離れだったから、私がお前たちの太刀筋を忘れてないか不安だったんだ」

 

箒はそう返した。

 

「結局負けちゃったけどね」

「そうだな。そして、それが私がお前たちの太刀筋を忘れてないことの証明にもなった」

「僕たちが忘れているだけかもよ?」

「なら、何度もお前たちと戦って、それを思い出してもらい、その上で勝つまでだ」

「ふーん。ところで、一夏に勝ったら何かご褒美でももらうの?」

「ご、ご褒美っ⁉︎」

 

忍にそう聞かれた箒は顔を真っ赤にした。

 

「ははっ、冗談だよ。じゃあ、また明日ね」

 

そう言って、忍は手を振って、剣道場を去っていった。

 

(全く……あいつはいつも私をからかってくるな。だが、不思議と不快ではない。むしろ楽しいと思える。こんな日々が続いて欲しいものだ)

 

箒は、心の中でそう思い、口角を上げた。

 

(ご褒美、か……)

 

そう心の中で呟くと、箒は更衣室に向かっていった。

 


 

「なるほど……、剣道では二刀流は試合に出られませんのね」

 

セシリアがそう呟く。

 

「ああ、大学生になれば二刀流の公式試合も出来るようになるんだが、忍は多分、俺たちと一緒でいられるための手段として剣道してるみたいなんだよな。それでもそこそこ強いんだからすげぇよな」

 

一夏はセシリアの言葉にそう返した。

 

「ですが、二刀流なんて使えば誰でも勝てるのではなくて?」

 

セシリアが疑問を呈する。

 

「まあ、皆そう思うよな」

 

一夏はうんうんと首を縦に振り、こう続ける。

 

「でも、二刀流はそんな簡単にできるもんじゃないみたいなんだ。箒も強くなるためだって言ってやったことあったんだけど、無理って言って、その翌日に筋肉痛起こしたみたいなんだ」

 

その言葉を聞いて、セシリアが驚愕の表情を浮かべる。

 

「えっ、あの箒さんが、ですの?」

「ああ」

「箒さんは力強い雰囲気が漂うお方ですから、出来るとばかり……」

「そもそも竹刀が重いからな。箒も小学生だったし……。両方小太刀だったけど無理だったってさ」

「忍さん、一体何者……?」

「さあな……。あいつが誰なのかなんて関係ない。俺たちは同じクラスの仲間だろ?」

「確かに……その通りですわ!」

 

セシリアが立ち上がる。

 

「さあ、特訓を続けましょう!」

「おう!」

 


 

「結局ダメだった……」

 

ピットから帰ってきた一夏が、廊下で項垂れる。

 

「一夏、お疲れ!」

 

スライドドアが開いてそこから鈴が現れた。

 

「はい、これタオルとスポーツドリンク。少しぬるくなっちゃったけど」

 

「おお、サンキュ!運動後に冷たいものを流し込むと体にダメージを受けるからな」

 

一夏はそう言うと、スポーツドリンクを一気に飲み干した。

 

「あら、鈴さん?」

それと同時に、セシリアが別のピットから歩いてきた。

 

「セシリアもお疲れ様。あ、セシリアも飲む?」

「お心遣い、感謝しますわ、鈴さん」

「どういたしまして」

 

そして、セシリアもスポーツドリンクを啜るように飲み始めた。

 

「それにしても、変わってないね、一夏。若いくせに体のこと気にしてるの」

「箒さんに聞きましたが、全くその通りですわね……」

「あのなあ、若いうちから不摂生してたら駄目なんだぞ。クセになるからな。最終的に泣くのは自分と家族たちだ」

「ジジくさいよ」

「う、うっせーな……」

 

にやにやしている鈴は、一夏には記憶にある彼女とはどこか違っているように見えた。

一夏は鈴を、女としてではなく、ただの友達と認識していた。

だが、今の目の前にいる少女からは、あの頃にはなかった女性らしさ、といったものを感じた。

 

(いやいや、高校生にもなれば多少なりとも変化はあるはずだ。鈴もそんな感じだろ)

 

そう思い、一夏は首を横に振り、頬を叩き、どこかに行きそうだった我を取り戻した。

 

「どうしたのよ、一夏」

「いや、少し頭がぼーっとしてた」

「一番健康に気をつけろって言ったあんたがそんなんでどうすんのよ」

「あははは……悪い」

 

そう言って、一夏は頭を掻いた。

 

「ところで、一夏さぁ」

 

鈴が一夏に何かを尋ねようとした。

 

「ん?なんだ?」

 

一夏はそれに気づき、続く言葉を求めた。

 

「やっぱあたしがいなくて寂しかった?」

 

鈴はそう問いかける。

 

「ああ、遊び相手がいなかったからな。五反田は家の手伝いが忙しくなって遊べなくなって、忍も遊べる状況ではなかったからな、寂しかった」

「そっか、今度はあたしたち四人で遊びたいわね」

 

鈴はそう言ったが、

 

(そういうことじゃないわよ……)

 

内心ではそう思っていた。

 

少し頬が染まり、曇った鈴の顔を見て、一夏が大丈夫か、と声をかける。

だが、鈴はなんでもない、と言って笑顔を見せた。

 

(恥ずかしくて言えるわけないじゃない……)

 

一夏は、そうか、と言って、再び口を開いた。

 

「そういえば、忍は五反田とは遊んでなかったな。俺たちは基本あいつの家に行くか外に行ってたけど、忍は……」

 

それを聞いて、鈴の顔がまた曇る。

だが、それは先程頬が染まった曇り方とは違うものであった。

一夏も同様に顔を曇らせる。

それを見て、セシリアは忍に何か事情があるのかもしれないと思ったが、それが何かまでは分からないので、聞こうとしたが、何か聞いてはいけないものなのかもしれないと思い、躊躇った。

 

「……そういえば、セシリアは忍のこと知らなかったよな」

「そ、そうですけど……。でも、知らなくても、わたくしはお友達になりたいです」

「ありがとな。それ聞いたら、忍もきっと救われるよ」

 

そう言うと、一夏は一回咳払いをして、こう言った。

 

「じゃあ忍が最初この学校に嫌悪感を顕にしてた理由も言うよ。でもここだと話しづらいな……」

「なら、一夏の部屋にしたら?」

 

鈴が一夏にそう聞くと、

 

「いやぁ、今散らかっててさ。土日に持ってきた荷物が多くてな。まだ仕分け中なんだ」

 

一夏がそう言うと、

 

「一夏が片付けられないなんて相当ね……。ならあたしも手伝うわよ」

「わたくしも手伝いますわ!」

「い、いや、俺の荷物だから俺がやるよ、じゃあ後になったら呼ぶから待っててくれよ」

 

そう言って、一夏は自室まで走っていった。

二人はそんな一夏を見て、呆然とその場に立ち尽くしていた。




いかがでしたか?
二刀流は一応公式試合じゃないのでセーフ(震え声)
文才ゼロでダメだこりゃ。助けてエロい人!
とにかく次回も頑張りますので、よろしくお願いします!
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