一人の少女を守るヒーロー   作:疾風の警備員

1 / 14
どうも、疾風の警備員です。

最近投稿のモチベが急降下してまして…これはそのひっくいモチベを維持、もしくは回復させる為の作品です。

なので面白くないかもしれませんが、良ければ暇潰しにでも見てってください。


プロローグ
始まりは悲劇から


「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ…!!」

 

「もう…限界…だよ…!!」

 

「頑張れッ!!もう少しで逃げられるぞ!!」

 

暗い暗い森の中、一人の少年が少女の手を引き駆け抜けていく。僅かな月明かりとオレンジ色の光を頼りに木々を避け、必死に走るその姿はまるで何かに追われ、逃げ惑っているかのようだ。

 

「いたぞッ!!彼処だ!!」

 

「絶対に逃がすな!!」

 

そんな二人の背後から男達の声と、空気が炸裂するかの様な音と共に近くの木に穴が開く。それもその筈、男達は黒光りする武器……銃を所持していて、その銃口を二人に向けていたのだ。

 

発砲されたことに危機感を更に募らせた少年は、更にスピードを上げる。だが…

 

「キャッ!!」

 

「ッ!?しま…!!」

 

その速さに少女が追いつけず、転んでしまったのだ。

 

「大丈夫かッ!?」

 

「う、うん…」

 

少女を助け起こし、また走ろうとするが…

 

「おっと…鬼ごっこはここまでだぜ?」

 

その間に男達は二人に追いつき、銃口を少年の額に突き付けた。

 

「く…!!」

 

「悪ぃが、お前達は殺処分となったからな……ここで消えろ」

 

擊鉄を起こし、引き金に掛けられる指……それが徐々に押し込まれていくのを、少年は見ていた。いや、正確にはその間に思い出される自身の記憶……走馬灯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事件の数年前、少年は姉と二人で暮らしていた。両親は蒸発し貧しいながらも力を合わせ、時には近隣の大人の人達の助けもあり、人並みに暮らせていた。ところがある日、彼等の元に不思議な出来事が起きた。

 

「お早う、■■姉に■■兄」

 

彼等の家に全く知らない男の子がいたのだ。しかもそいつは、二人に親しげに話しかけてきた。まるで、最初からこの家にいたかの様に……

 

当然二人は怪しんだ。だから最初は追い出そうとした。だが…

 

「コラッ!!■■ちゃん!!弟に何て事をしてるのッ!!」

 

近所に住む人からそう言われて怒られてしまったのだ。だが、その人とは長い付き合いであり、姉は事情を説明したのだが受け入れられる事はなく、いつの間にか知り合いの全てが彼を自分達の家族と信じ込んでいた。

 

だから姉はそいつを追い出す事をやめた。下手をすれば少年に危害があるかもしれないと思ったからだ。

 

しかし、その男のせいで二人の生活は一変してしまう。

 

その男の子は少年と違い、とても優秀だった。勉強は少年が何度か復習して覚えるものを、聞いただけで応用までこなしてしまい、運動においても他を寄せ付けない身体能力を示し、短期間でクラスの人気者になっていた。

 

やがて、周りは少年と男の子を比べる様になっていった。

 

「どうして■■は出来るのに、■■は出来ないんだ?」

 

「■■君なら、すぐ出来るのにね」

 

「■■はダメな奴だな」

 

そういう事を陰口で言われ始め、時が経つとそれは物理的なものへと変化していく。物を隠されたりするのは当たり前、いきなり理由もなく殴られる事や教科書等に存在を否定される様な事まで書かれる事もあった。

 

更に通っていた剣道の道場でもそれは起き、年上すら倒せる男の子を周りは持て囃し、少年は段々と虐げられる様になり、中には指導の名目で休憩なしに連続で戦わされるなんて事もあった。

 

それでも少年は耐える。やり返せば自分もこんな事をする奴等と同じような存在になってしまうと思ったから…

 

そんなある日、道場の娘に呼ばれた少年に待っていたのは、防具なしでの試合……いや、暴力だった。娘は防具をしていて、弟も防具を着けようとしたところを竹刀で襲われたのだ。

 

「これくらい、■■なら楽に避けられたぞ!!」

 

そんな無茶苦茶な理由で襲い掛かってくる竹刀を必死に避ける。だが、壁の四角に追い詰められてしまう。

 

「てやァッ!!」

 

勢いよく振り下ろされる竹刀。弟は何とか防ごうと腕をバツ字にした時…

 

「何をやっているッ!!」

 

「がッ!?」

 

道場の前を通りかかった姉が追い詰められた少年を見て、一気に駆け寄り娘に回し蹴りを喰らわせて吹き飛ばしたのだ。

 

「な、何をするんですかッ!?私はそいつに喝をいれようと…」

 

「貴様のようなのがいる道場など、もはや通う価値も無いな。大丈夫か、■■?」

 

「■■姉…」

 

「喋るな、今病院に連れてってやる」

 

それから姉に支えられて病院に着き、検査を受ける時に服を脱がされる事に少年はしまったと思うが時すでに遅く、身体中の痣を姉に見られてしまう。

 

それを姉に問いただされ、全てを話してしまうと姉は怒りの形相で走りだして診察室を出ていってしまった。が、しばらくして、力なく病院に戻ってきた姿に少年は心配する事しかできなかった。

 

そしてそれから一年後、世界を揺るがす事件が起きる。後に【白騎士事件】と呼ばれるそれは、世界中のミサイル発射システムがハッキングされ、計2000発以上のミサイルが日本へと向けて発射された。それを防いだのが白騎士……正式名称【インフィニット・ストラトス】と呼ばれるパワードスーツである。それはミサイルを全て落とした後、捕縛しようとしてやって来た戦闘機や戦艦を無力化して離脱した。それによる死亡者も0と言われている事がより噂に拍車をかけていた。

 

その後、インフィニット・ストラトスを軍事利用しない事を定めた条約等も締結される程、世界が注目することになった。

 

後に開発者がそれを世界に広め、開発者にしか作れない【ISコア】を467個ばら蒔いてから姿を消し、その開発者の親族であった暴力を振るってきた道場の娘の家族は一家離散となった。

 

それからというもの、姉はインフィニット・ストラトス…通称ISの事に掛かりきりになり、家に帰ってこない日が増え、男と二人きりになると少年はそいつに暴力を奮われる日々を送る事になった。

 

その上、ISが広まってから世界にある風潮ができた。それは【女尊男卑】という。何故そんな風潮になったかというと、ISには致命的な欠点があり【女性にしか動かせない】のだ。しかもそれが、現行兵器を上回る代物である事がそれを更に助長した。

 

そして姉がISの最初の大会【モンドグロッソ】で優勝した事によって、日本の女尊男卑は加速度的に広がった。

 

その結果、少年へのいじめはより酷くなる。毎日生傷が絶えず、既に彼は他人を信頼する事すら出来なくなり始めていた。周りにいる姉以外の存在が敵にしか思えず、精神的にも追い詰められていく少年に姉は必死で寄り添った。大会優勝後【ブリュンヒルデ】等と呼ばれ、周りが喜ぶ中で姉は少年を抱き締めながら「ごめん」と言って泣く事が多かった。そんな姉を見て少年は…

 

「泣かないで、■■姉…俺は大丈夫だから…」

 

姉に向かって出来る限りの笑顔を作ってそう言った。そんな弟の姿に涙を流しながらも…

 

「なら、私も大丈夫にならないとな?」

 

そう言って少年に無理矢理作った笑顔を向けていた。そんな二人を面白く無さそうに見ている人物がいるとも知らずに…

 

そして更に数年後、2回目のモンドグロッソが開かれる事になり姉は少年を連れていく事にした。本当なら少年だけにしたがったが、周囲がうるさく言うのでもう一人も連れていく事になったが、ホテルだけはこっそりと別々に予約をいれていた。

 

それについては、現地で特に文句を言ってこなかったので姉も安心していた。だが、順調に勝ち進み次の決勝に勝てば優勝というときに、少年は何者かに誘拐されてしまった。

 

自力で逃げ出す事も出来ないように手足を縛られ、何処かの施設に売られた少年に待っていたのは……今まで以上に地獄の日々だった。

 

薬物投与によって激痛を伴う身体。繰り返される実験という名の戦闘によってすり減る精神。もうどれだけここに居るのかすら分からなくなっていた少年だったが、ここで幸運が訪れた。

 

施設が何者かの襲撃を受け、自分を閉じ込めていた扉が壊れたのだ。チャンスはここしかないと思った少年は迷わず部屋を飛び出し、出口まで駆け抜けようとした時、隣の部屋から泣き声が聞こえてきた。その部屋も扉は壊れていたので中を覗くと、一人の女の子が体育座りで膝に顔を埋めていた。時折「お父さん」や「お母さん」と聞こえ、彼女も大事な家族と離れ離れになったのかと思ったら……

 

「来い、一緒に逃げるぞ」

 

「……え?」

 

その子の手を掴んで無理矢理立たせ、施設から飛び出した。この時、他人を信用するのに絶望していた彼が、何故彼女を助けたのかはわからない。だが、追っ手がやって来て何とか逃げ切ろうとするも、追い付かれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くそッ!?ここまでかよ…!!)

 

そこで意識が現実に戻り、向けられた銃口に思わず目を瞑ったその時…

 

『ADVENT』

 

「ゴアアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!」

 

何かの機械音の後に、聞いたこともない生き物の雄叫びが周囲に轟いた。

 

「な、何だッ!?」

 

「やべぇ感じがする…!!さっさと殺してズラかるぞッ!!」

 

銃を持った男達はその声に驚き、一瞬気を取られるがすぐに銃口を向け直して引き金を引くが、何かが少年達の後ろに降り立ち、放たれた銃弾を光る翼で受け止めたのだ。

 

「な、なんだぁッ!?」

 

「ど、どどどどどどどどどドラゴンだとぉッ!?」

 

慌てふためく男達に少年達が背後に視線を向けると、金色の鎧を所々に着けた西洋風のドラゴンが二人を翼で守る様にして立っていた。

 

「マジかよ…」

 

「ほ、本物…?」

 

「よくやった、メイル」

 

驚く二人だったが、そこに違う影が現れる。金色のボディスーツに銀の鎧、鉄仮面のスリットからは水色の複眼が見え、腰には銀色のベルトに金色の龍の紋章がある四角い箱がある存在だった。

 

「何だテメェはッ!!」

 

「誰だっていい!!見られたからには殺すぞ!!」

 

男達は銃口をそちらに向けるとすぐさま引き金を引く。パァンと渇いた音が何発も少年達の鼓膜に響くが、その存在はそれをものともせず歩き、男達の前に着くとどこからか剣を取り出し、男達を切り裂いた。だが、男達から血は吹き出さない。

 

「ぎゃあああああああああ………あれ?斬れてねぇ…」

 

「でも確かに今『Remote!!』うおあッ!?」

 

それをおかしく思っていた男達だが、電子音声の後にその場にいきなり崩れ落ちた。

 

「な、なんだ…!!」

 

「身体が…動かねぇ!?」

 

「お前達の身体を動かす神経伝達を【解除】した。これでもう動く事は出来ない……永遠にな…」

 

そんな男達を一瞥し、仮面の存在はベルトの箱を抜き取り素顔を現す。

 

そこにいたのは年齢は20代後半から30代前半で、茶髪の男だった。

 

「君達、怪我はないか?」

 

その男は先程までの威圧を無くし、笑顔を向けながら問うてきた。だが少年は、これが油断を誘って自分達をまた誘拐しようとしている奴等だと思い、龍の翼を掻い潜って少女と二人で再び走り出した。

 

それを見送る1人と1体…それに振り返りもせず、少年は全力で逃げた。

 

「あの人達…!!いいの…!?」

 

「あんなの…!!信用…!!出来るか…!!」

 

「ねぇ…!!これから…!!どうするの…!?」

 

「とりあえず…!!お前だけでも…!!家に帰してやる…!!」

 

それを当面の目標として少年、【織斑 一夏】は少女と共に森の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「ごめんお兄ちゃん、逃げられちゃった…」

 

「まあ、簡単に信用しちゃくれないよな…」

 

俺は隣でしょんぼりする相棒の頭を撫で、背後で燃える建物を見る。

 

「皆、そっちはどうだ?」

 

『ダメね、めぼしい資料とかは廃棄されたか、持ち出されていて録な物が無いわ』

 

『…パソコンの方もデータは全部消されてる上に、物理的に壊されていて解析不能…』

 

『生存者もいないな。どこももぬけの殻だ』

 

「そうか、ならもうそこに用は無いな。一度俺の所に集まってくれ、生存者を見つけたけど逃げられちまったんだ」

 

『『了解』』

 

『な~にやってんだよ…』

 

「悪い、集まり次第捜索を始める」

 

そこで通信を切り、少年達が逃げた場所を見る。彼が俺に向けていた視線……あれは周囲全てを敵としか思ってない目だ。

 

「あの目……ほっとけないんだよなぁ…」

 

俺は後頭部を掻きながらぼやいた。




いかがでしたか?

次回は逃走中の二人のお話……かも?

では次回でお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。