一人の少女を守るヒーロー   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

最近、仕事がかなり連続していて疲れていたところにウイルス性の胃腸炎にかかってしまいました。

食べた物全部吐いてしまってマジで辛かった…

もう完治しましたが、皆さんも健康に充分注意してくださいね。

それでは遅れました本編、良ければどうぞ。


乱・戦

またまた時は遡り、一夏VS秋羅が始まる少し前…姫和と聖良はいろはと共にアリーナの廊下を歩いていた。

 

「お二人共、私達のお誘いを受けていただき感謝します」

 

「いや、しかしどんな話なんだ?」

 

「着くまで秘密というのは気になりますし…」

 

その理由は、いろはから2人に対して一誠が話があるから来てほしいという理由で、内容については知らされていないのだ。

 

「私も内容は聞かされておりませんので、直接お聞きになってください」

 

そして着いたのは、一夏や秋羅が使っていないピットだった。その場に扉の前にいろはは立つとノックする。

 

「一誠様、姫和様と聖良様をお連れいたしました」

 

「おう、入ってくれ」

 

中の応答と同時に扉が開き、3人が中に入るとそこには一誠と2機のISが置かれていた。それは以前見た【緑雷】と【蒼雪】だった。

 

「よく来てくれたね、2人共」

 

「龍見さん、私達にお話というのは…?」

 

「それは君達にウチのテストパイロットになってもらい……この機体を預けたいんだ」

 

「「…………………………………………はい?」」

 

その内容は2人を一瞬、放心状態にするのに充分なものだった。何故いきなりテストパイロットへ招待され、専用機を持たされるのか全く理解できなかったからだ。

 

「えっと……理由を聞いてもいいですか?」

 

そこから先に復活した聖良が問う。

 

「ん~…話すと少し難しいけど、簡単に言えば()()()()()()()()()()()()からかな?」

 

「選ばれた?」

 

その奇怪な理由にますます疑問が増える2人に、一誠は苦笑する。

 

「そんなに難しく考えなくていいよ。要はこの2機が、君達に乗ってほしいってだけなんだからさ」

 

「はあ…?」

 

どうしようか悩む姫和。その横にいた聖良は1度蒼雪を見て、次に一誠に見ると…

 

「私はお引き受けします」

 

そう力強く答えた。

 

「聖良ッ!?」

 

その事に驚く姫和だったが、彼女は歩いて蒼雪に近づいて機体に触れる。

 

「……一応、理由を聞かせてくれるか?」

 

「私には必要なんです、大切なものを守れる力が…!!」

 

そう言う彼女の瞳には、怒りが宿っているのを姫和と一誠は見逃さなかった。

 

「……わかった、蒼雪は君に預けよう」

 

「ありがとうございます!!」

 

だが、それでも一誠は彼女に機体を託した。これが、彼女の未来を変えられる事を願いながら…

 

「それで、姫和ちゃんはどうするんだい?」

 

「私は…」

 

彼女はまだ悩んでいた。確かに母親に勝てない未熟な身に専用機など過ぎた代物ではある。それが何故自分を選んだのか理解できない…つまり、自信を持つ事が出来なかった。

 

(せっかくだが、今回は断ろう…)

 

なので、断りをいれようとした時だった…

 

「……ん?フィールドが騒がしいな…」

 

フィールドからの歓声が大きくなり、気になった一誠が覗いてみると……

 

「……そういう事か…」

 

そう呟いて、フィールドを睨み付けた。

 

「どうしたんですか?」

 

そんな彼を見て2人もフィールドを覗くと、そこには秋羅だけでなく他に6機のISと戦う一夏の姿があった。

 

「なッ!?」

 

「どうやら、秋羅の方の援護に出てきたみたいだな」

 

電光掲示板を見れば、GRIDMANのシールドエネルギーは3割を切っているにも拘らず戦う一夏。端から見れば勝機などあり得ない状況だ。

 

(これでは勝ち目なんてない…なのに何故お前は…)

 

『姫和、貴女が剣を振るう理由は何かしら?』

 

一夏の姿を見て、彼女は幼い頃に母に問われた事を思い出す。それになんて答えたのかも…

 

『私は【お母さんみたいに誰かを助けられる】ようになりたいから!!』

 

『そう……なら、その思いを忘れないようにね?それを胸に刻んでおけば、貴女は決して力に飲み込まれたりしないから…』

 

(そうだ…それが私が力を、剣を振るう本当の目標だったじゃないか!!)

 

そして今、目の前に多勢に無勢な友がいて助けに行ける力がそこにある。それが彼女の自信を復活させる。

 

「龍見さん…テストパイロットの件、私もお引き受けします!!」

 

それで迷いが振り切れた彼女は、テストパイロットになる決意をし、機体に触れる。

 

「わかった。それじゃ悪いけど、たぶん2人には試し乗りも出来ずに初陣を飾ってもらう事になる。いろは、2人の最適化の補佐を」

 

「畏まりました、最速で終わらせます」

 

一誠はいろはに指示を出すと、部屋の端末に向かい管制室と話し始め、いろははISスーツに着替え姫和達が乗り込んだ蒼雪と緑雷から1本のケーブルを伸ばすと自身の首の後ろにある端子に接続し、超速演算を始めていく。

 

「出撃の許可は取れた。後はお願いするよ」

 

「「はいッ!!」」

 

そして一夏が時間を稼いでる間に、2機の調整が終わり一次移行が完了する。

 

「ふぅ…調整完了、出撃可能です」

 

『発進シークエンス、開始します!!』

 

「聖良、先に行かせてもらうぞ?」

 

「分かりました」

 

そこにエイミーのアナウンスが入り、先に姫和がカタパルトに乗る。

 

『リニアカタパルトボルテージ上昇…全システムオールグリーン…進路クリア…緑雷、発進どうぞ!!』

 

(今こそ、母さんと誓った自分になるために…!!)

 

正面に並ぶ3つのランプが1つずつ赤く光り、3つとも光った後に全てが緑に変わって発進を促す。

 

「十条姫和!!緑雷、出る!!」

 

宣言と同時にカタパルトが起動し、正面から来るGに耐えながらフィールドに射出され、一夏を探すと今まさに篠ノ乃箒が剣を彼に振り下ろそうとしていた。

 

(この距離じゃ…いや、諦めるものか!!)

 

「緑雷ッ!!」

 

『Yes sir』

 

叫んだ瞬間、電子音声の応答後にカタパルト射出以上のGを味わうがとてつもない加速で接近し、自身の間合いに入ると速度が緩んだので箒を近接ブレード【雷切丸】を呼び出し斬り飛ばした。

 

「やらせん!!」

 

「うあッ!?」

 

その頃、ピットでは蒼雪の発進シークエンスが開始されていた。

 

『カタパルト準備完了!!続きまして蒼雪、発進どうぞ!!』

 

「了解…鹿角聖良!!蒼雪、出撃します!!」

 

飛び出した彼女はゆっくりと一夏の隣に降り立ち、彼と共に篠ノ乃秋羅と対峙する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫和side

 

「それじゃ、最高にイカれたパーティーの始まりだッ!!」

 

一夏の言葉に、私はスラスターを吹かし篠ノ乃箒が乗る打鉄へと迫り、剣を振るう。

 

「ぐうッ!?」

 

「お前の相手は私がしてやろう…」

 

彼女はギリギリ剣で受け止めるも、私はスラスターの出力を上げて一気に壁際へと押し込んでいく。

 

「舐めるなァッ!!」

 

彼女も力任せに退かそうとするが、私はそうはさせまいとつばぜり合う場所を細かくずらして、力が入りにくい場所を選んで反撃を防ぐ。

 

「この…!!」

 

「篠ノ乃さん!!」

 

「落ちなさい!!」

 

そこに、他の打鉄がマシンガンである【焔火】を持ち、私に撃ってくる。

 

(くッ!?この状況では下手に動けない…!!)

 

今の状況で下手に動こうとすれば、篠ノ乃の斬撃を喰らいかねない。だったら多少の被弾覚悟で篠ノ乃を吹き飛ばす!!

 

IS操縦が未熟な私がそう判断して行動しようとした時…

 

『Back Ignition』

 

「え?」

 

「な…ウアァァァァァァァァァァッ!?」

 

先程聞こえた電子音声がして、両肩と両腰のブースターの噴射口が前に向くと同時に凄まじい噴射を行い、私を後ろに下げつつそれに巻き込まれた篠ノ乃を押し出した。お陰で私は被弾する事なく篠ノ乃達から距離を取れた。

 

「今のは……お前がやったのか、緑雷?」

 

何とか静止してそんな事はあり得ないと思いつつ、そう口にしてみると…

 

『Yes』

 

そう返答が帰って来た……………って返答したッ!?

 

「一体どういう…!?」

 

『それは、緑雷と蒼雪にAIを積んでいるからだ』

 

困惑する私に通信してきた龍見さんが説明をしてくれる。

 

『その2機は、ISの操縦や高等技術の簡略化を目的として作られた機体なんだ。1人でやるのが難しいなら、サポートを付ければいいっていう感じだな。因みに緑雷は瞬時加速(イグニッション・ブースト)を、蒼雪は高速切替(ラピッド・スイッチ)の簡略化&効率化を目指して作られてる』

 

「それで…」

 

『ソイツらはこれから君達のパートナーだ。名前を付けて仲良くしてやってくれ』

 

「は、はあ…?」

 

よく解らないが、一夏といちごの関係みたいなものだろうか…?

 

「とりあえず、よろしく頼むぞ……(らい)?」

 

『Yes sir』

 

「そうと決まれば!!」

 

私は雷切丸を構えると、背中のブースターを噴射を吹かして左側から撃ってきた打鉄へと向かう。

 

「く、来るな!!」

 

彼女は焔火を撃ちまくるが、そこは緑雷が回避行動をしてくれるので気にせず突き進み、至近距離に入ったら剣を突き出す。

 

『Ignition boost』

 

直後、緑雷が爆発的な加速をし、距離的に回避不能だった打鉄に直撃する。その加速の勢いと剣先の一点集中の相乗効果で絶対防御を発動させ、エネルギーを大幅に削り取る事ができた。

 

「よしッ!!このまま押し通すぞ!!」

 

『Yes sir』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖良side

 

「では、私もいきましょうか!!」

 

私は両手のマシンガンを構え、足裏に付いているローラーで地面を滑る様に移動しながらラファール3機へと撃っていく。

 

ですけど、やっぱり初めての実戦だから狙いが甘くて当たらないですね…

 

『OK,Target lock on』

 

すると、電子音声の後に視界に相手をロックしたと表示され、引き金を引いたら今度はあっさり命中できた。

 

「ほえ~…さすがですね、(ゆき)?」

 

『You`re welcome』

 

「この…!!」

 

それに苛立った相手が銃を乱射してくるけど、私はスケートをするように滑って回避したり、ダブルアクセル等のフィギュアスケートの動きもしたりして少し煽ってみる。

 

あ、実は私は地元の北海道では有望なフィギュアスケートの選手だったんです。だから、空中よりも地面を滑る方が得意なんですよね。なので蒼雪は私にピッタリな機体ですよ。

 

そうやって撃ちまくっていたら、マシンガンが同時に弾切れした。

 

「やば…!?」

 

ここで無防備になったら、ただの的に…!!

 

『Switch to bazooka』(バズーカに切り替えます)

 

しかし、雪がそう言うと両手のマシンガンが消え、すぐにバズーカである【氷砕】が両手に握られた。

 

「ナイスです、雪!!」

 

それをすぐさま相手に向けて撃ち放つと、途中で弾頭が炸裂して散弾をばらまく。

 

「嘘ッ!?きゃあッ!!」

 

それは予想外だったらしく、散弾をまともに受けた相手が吹き飛ぶ。

 

「おお…これは役立ちますね」

 

「でも、後ろががら空きよ!!」

 

そこに後ろからパイルバンカーを構えたラファールが近づいて来るが…

 

『Launch back arm, armed choose Gatling』(背部アーム起動、武装はガトリングを選択します)

 

背中にある日本のサブアームが動き、先端のマニピュレーターにガトリングの【豪雪】を保持すると、それをラファールへと向けて撃ちまくる。

 

「キャアアアアアアアッ!!」

 

近づいていたラファールはそれを回避出来ずに弾丸の雨に晒され、パイルバンカーは破壊されスラスターなども動かなくなったのか地面に落ちていった。

 

「助かりました、雪…」

 

『You`re welcome』

 

やっぱりまだ私は戦闘に慣れてないから、雪がいてくれてありがたいですね…

 

「さて、ここからはしっかりと足止めさせてもらいます…!!行きますよ、雪!!」

 

『OK,My master』

 

正面にガトリングとバズーカを構えた私は、残ったラファールへと集中砲火を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏side

 

「お~お~…2人共、結構やるじゃん」

 

俺は2人の戦闘を見てそう呟いた。

 

あの2機にはAIが積まれてるんだっけ?……つまり、俺といちごの関係を擬似的に再現してんのか。

 

「おいッ!!こっちを見やがれッ!!」

 

「よっと」

 

そんな俺の後ろから、秋羅が剣を振るってくるけどノールックで避ける。だって殺気で分かりやすいんだよな…

 

「これくらいなら、見てなくたって避けられるさ」

 

「このッ!!」

 

その上、少し煽れば簡単に乗ってきて動きが雑になっていく…本当つまらねぇ…

 

「秋羅によくもぉぉぉぉぉッ!!」

 

「ん?」

 

そこに黒髪ポニテの女の声がして、俺へと正面から向かってきたので…

 

「ほいっと」

 

「なッ!!…ガッ!?」

 

「ちょッ!?ほう……ぶはぁッ!!」

 

俺は横へと飛び退き、後ろから来ていた秋羅と正面衝突させてやった。2人はそのままくんずほぐれつな体勢で転がっていく。

 

「おいおい…バトル中にイチャイチャするとか、付き合いたてなのか?兄妹同士で禁断の愛か……ハハッ!!笑えるねぇ…!!」

 

「すまない一夏、篠ノ乃に逃げられた!!」

 

「おう、気にすんな。こっちで片しとくからよ~」

 

謝ってくる姫和に顔を向けずに俺はそう返す。

 

だって向こうが俺より上にいるから、今の角度ですと彼女のお尻やら太ももがハッキリ見えて、めっちゃエロいんやもん。鹿角だってかなり胸があって、動く度に揺れまくって…まともに見たら鼻血吹くかも…

 

『一夏、姫和ちゃん達見てまたスケベな事考えてるでしょ?』

 

「……スンマセン…」

 

しかし、その考えは相棒(いちご)にバレていた。

 

『まったく…!!今、()()()を呼んだからね!!』

 

「合点承知!!」

 

いちごの言葉に俺は篠ノ乃兄妹から離れる。

 

「また逃げるのか!?」

 

「違えよ…」

 

そう言うと同時に、俺達の間に弾丸が降り注ぐ。

 

「な、なんだ!?」

 

「上…!?」

 

2人が上を見上げると、そこには青い戦闘機が飛んでいて、俺に向かってきていた。

 

「来たか…【スカイヴィッター】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクセスコード、スカイヴィッター!!」

 

いちごがコード入力と音声認証を行い、GRIDMANの拡張領域から青い戦闘機を発進させ、機首の機関砲から弾幕を放って一夏と篠ノ乃兄妹を分断させる。

 

「来たな…スカイヴィッター」

 

『待たせた!!合体するぞ、一夏!!』

 

「おうよ!!」

 

スカイヴィッターに搭載されているAI人格(青年男性の声)に合わせて一夏も跳び上がると、垂直飛行してきたスカイヴィッターが彼の背後にやって来て、機首とメインブースターを本体部分から分離し、更にメインブースターは左右2つに別れる。そのメインブースターに一夏は片足ずつ入れて接続する。そして背中に本体パーツをドッキングさせ、最後に機首部分をヘッドギアとして被り目元をオレンジのバイザーが覆う姿となった。

 

これがGRIDMANが2・5世代と言われる理由。本来なら戦闘中でのパッケージ換装は不可能と言われていたのをAIによるコンピュータ制御と、接続箇所を少なくしつつも効率化させたフォルム、そしてパッケージ単体でも戦闘可能にさせた事でそれを実現させたのだ。

 

そしてこれがスカイヴィッターと合体したGRIDMANの高機動形態。その名も…

 

「大空合体……【スカイグリッドマン】ッ!!」

 

「「合体しただとッ!?」」

 

「さあ…こっからが本番だ!!」

 

一夏の言葉に答える様に足と背中のブースターが火を吹き、凄まじき速度で動く。

 

「速い…!!」

 

「皆、撃ちまくれ!!」

 

その速度は白式の瞬時加速に並ぶ程で、一夏でなければ骨が砕けてもおかしくないレベルだ。その速度の中で彼はアクロバットに飛行して弾幕を難なくすり抜けていく。

 

「ハハハハハッ!!遅いッ!!遅すぎるッ!!」

 

その速度のまま、一夏は突き進むと姫和が相手していた打鉄2機の腕をキャリバーで斬り落とす。

 

「なッ!?」

 

「何が起きたのッ!?」

 

「今のは…一夏なのか?」

 

それを確認した一夏は、続けてラファール3機の腕を斬り落とす。

 

「キャア!!」

 

「なにッ!?」

 

「いきなり腕がッ!?」

 

そして次に篠ノ乃箒に狙いを定めると…

 

「悪・行・即・瞬・殺!!」

 

すれ違い様に両手両足にヘッドギアと肩のシールドなど全てを両断して達磨にした後…

 

「これをゴールに向かってシュゥゥゥゥゥゥゥゥトッ!!!!」

 

「アアアアァァァァァァァァァァァァァァァ…」

 

思い切り蹴り、秋羅が使っていたピットまで吹き飛ばしていった。

 

「超エキサイティング!!……てか?」

 

「箒ッ!?この…!!途中で合体するなんて卑怯だぞッ!!」

 

「……いい加減、見苦しいな…」

 

パッケージを装備した一夏に文句を言う秋羅だが、そもそも自分に有利な乱入者達を仲間に付けて襲いかかってきた時点で、秋羅に文句を言う資格はない。

 

「うるさいッ!!正義は俺にあるんだッ!!死ねぇぇぇぇッ!!!!」

 

瞬時加速を使い一夏へと迫る秋羅に、一夏もブースターを全開にして突撃していく。

 

『スカイ…!!』

 

「グリッドォォォォォ…!!」

 

『キャリバー…!!』

 

『『「エェェェェェェェェェェェェンドッ!!!!」』』

 

そして同時に振り下ろされた剣。しかし片腕の秋羅と違い両腕揃っている一夏の一撃に秋羅が耐えられる筈もなく、雪片を弾き飛ばされ一夏の斬撃をモロに喰らった。

 

『白式のシールドエネルギー、エンプティ。よって勝者、織斑一夏』

 

「「「「「やったぁ~!!」」」」」

 

アナウンスに喜びの声を上げる3組。それ以外はあり得ないといった顔で固まっていた。

 

「皆~、応援サンキュ~!!」

 

応援してくれてた3組に手を振りながら、一夏は姫和と聖良と共にいちごのいるピットに戻っていった。

 

「お帰り、3人とも。お疲れ様♪」

 

「おう、ただいま~」

 

「やはり、慣れない物を使うと疲れるな…」

 

「私は実戦事態が初ですから…もうクタクタですよ…」

 

いちごの労いに一夏は軽く答え、姫和と聖良は疲れでISを解除したらその場に座り込んでしまった。

 

「なんか悪かったな?俺のバトルに巻き込んじまってよ…」

 

「気にするな、友を助けたかっただけだからな…」

 

「ええ、私は私情がありますけど助けたかったのは本当ですし…」

 

「…………ありがとよ」

 

そんな2人に一夏は感謝しかなかった。

 

「皆、お疲れ様」

 

そこに一誠がいろはを引き連れてやって来る。

 

「姫和ちゃんと聖良ちゃんは初めての専用機で疲れたろ?事後処理は先生達がやってくれるそうだ」

 

「そうですか……では、私は皆に勝利を伝えて来ますね」

 

聖良はそう言って部屋を出ていく。

 

「では、私も…「あ、姫和ちゃんはちょっと待ってもらえないか?」はい?」

 

姫和も続けて退室しようとするが、それは一誠に止められた。

 

「実は一夏君に頼まれた事があってね。君のお母さんが入院している病院を教えてもらえないかな?」

 

「母のですか?○△病院ですが…」

 

「なら、今からそこに行くよ。外出届けは出してあるから」

 

「はい?」

 

「いいから、いいから……ほら、いちごも一緒に行こうぜ?」

 

「え?う、うん…」

 

置いてけぼりないろはを除く女性陣を尻目に一誠と一夏は2人を連れて、外に止めてあるグリゴリ社の車に乗ると、姫和のお母さんが入院している病院へと向かい出す。

 

「おい、一体どういう事か説明してくれないか?」

 

「私も!!」

 

問いただす姫和達に一夏が答えたのは、彼女が今…最も望んでいる事だった。

 

「龍見さんの所にいる医療が得意な人なら、姫和のお母さんを治せるかもしれないんだ」

 

「え…?」

 

「一応向こうで合流して診察するけど、聞いた限りの病状なら治す事は可能らしい」

 

「ほ、本当ですかッ!?」

 

「まだ確信を持って言えないけど……おそらくね?」

 

「そ、そうですか…!!」

 

「待って、私は話がわかんないんだけど!?」

 

母親が目覚めるかもしれない……それは彼女にとってみれば待ち望んでいた朗報だ。

 

置いてけぼりにされているいちごに、姫和の母親の事を説明し彼女がもらい泣きしている間に病院に到着し、フロントで少し待っているとグリゴリ社の医療担当であるアーシアがやって来た。

 

「お待たせしました、皆さん!!」

 

「悪かったなアーシア、ここまで来てもらって…」

 

「いえ、私でお役に立てる事があるなら全然です!!」

 

「一夏、彼女が?」

 

「ああ、昔俺が背中に大火傷負ったのを、綺麗さっぱり治してくれた人だ」

 

「それほどの腕を…!!」

 

「貴女が姫和さんですね。お母様の事、精一杯やらせてもらいますから!!」

 

「お、お願いします!!」

 

軽い顔合わせをして姫和の案内の元、母親の病室に入るとそこには彼女の面影を感じるが少し痩せこけている女性が、静かに眠っていた。

 

「この人がお前の?」

 

「そうだ…」

 

そう言うと姫和はベッドの傍の椅子に腰かけた。

 

「久しぶり…母さん、今日は友達が来てるんだ。紹介させてほしいから、起きてよ…」

 

優しく髪を撫で、話しかける姫和。いつもだったら、目覚めない事に落胆していたところだったが、今日は違う。今の彼女の声には希望があった。

 

「それじゃ、診察しますね」

 

「いろは、君は外に立って人が入れない様にしててくれ」

 

「承知しました」

 

いろはが外に出ると、アーシアは魔法陣を展開して姫和の母親の体を診察していく。

 

「は?……え?…これは?」

 

「姫和ちゃん、これはグリゴリ社の機密だから内緒にしといてくれ」

 

その光景に呆然とする姫和に一誠が告げ、そのすぐ後に診察が終わる。

 

「どうだ?」

 

「これなら大丈夫です!!」

 

そして自身の神器【聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)】を出し、そこから緑の光を当てて治療していく。

 

それが1分程続いて、光を納める。

 

「母さんは!?」

 

「大丈夫ですよ♪」

 

気になって聞いてくる姫和にアーシアは笑顔で返答し、母親の方を見るとゆっくりと目が開いていった。

 

「あら…?ここは……」

 

「ッ!!母さん…!!」

 

「姫和?ここは病院かしら…ねえ、何が「母さんッ!!」キャッ!?……もう、どうしたのよ?」

 

久方ぶりに聞く母親の声に感極まった彼女は、そのまま母親に抱きついた。

 

「母さん…!!良かった……目が覚めて…本当に良かった…!!」

 

「…………どうやら、貴女に寂しい思いをさせちゃったみたいね、ごめんなさい…」

 

「ううん!!謝らなくていい!!目が覚めて、こうやって話せるだけで…!!」

 

「そっか……大きくなったわね、姫和…」

 

泣いている姫和をあやす様に撫でる彼女の母親は、優しい目をしつつ目尻には涙を浮かべていた。

 

「それで、そちらの方々は?」

 

「紹介するよ…私の高校での友達と、お世話になる事にした会社の人達なんだ」

 

「初めまして、織斑一夏と言います」

 

「私は星宮いちごです」

 

「彼女が所属する会社の副社長、龍見一誠です。こっちはわが社の医療担当のアーシア・アルジェントです」

 

「初めまして」

 

「そう……この子は良い縁に恵まれたみたいですね。この度は、ありがとうございました」

 

「お礼なら一夏に言ってやってください。彼がウチに打診しなければ、この結果はありませんでしたから」

 

「いやッ!?俺は別に礼なんて…!!」

 

「いや、お前にはとてつもない恩ができてしまった…ありがとう…!!」

 

立ち上がった姫和は、一夏の方を向くと頭を下げた。それに一夏は慌てる。

 

「だから止めてくれって!?俺はただ、家族の事で苦しんでる姫和を助けたかっただけで…!!」

 

「一夏君、ここは素直に受け取っておけ」

 

「ええッ!?ど、どういたしまして…」

 

「ああ…!!」

 

照れ臭くてしょうがなかった一夏だが、この時彼女が見せた笑顔に、これも悪くないと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一応この病院の医師達にも診察してもらい、異常なしと言われ面会時間が過ぎて一夏達は帰ったが、姫和は一誠達と学園側の配慮で外泊が認められたので、この日は病室に泊まる事になったのだが…

 

「ところで姫和、あの織斑君は貴方の彼氏なの?」

 

「は、はあッ!?一夏はクラスメイトで同僚で同じチョコミント好きなだけで…!!」

 

「あら♪チョコミント好きだなんて、貴女と気が合うかもね♪」

 

「か、母さ~んッ!?」

 

「ウフフ♪彼、逃がしちゃダメよ?」

 

「だから違うって!?」

 

寝るまでの間、そうからかわれ続けたのだった。




いかがでしたか?

これでクラス代表決定(巻き込まれ)戦は終了になります。

次回から2話程、設定集をやってクラス代表戦を始めようと思います。

では、また次回でお会いしましょう。
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