スランプから未だに抜け出せず、執筆が遅々としか進まなかった中で、ようやく完成しました。
面白いかどうか解りませんが、良ければどうぞ。
「であるからして、ISを運用する際は国家の承認が必要とされています」
休み時間が終わって授業が始まり、今は最初という事でISの基礎についてエイミーが教科書を見ながら説明していた。
「織斑君はここまで大丈夫ですか?」
「はい、一応基礎は叩き込んできましたから。応用までいかれると少し怪しいですけど…」
「分かりました。もし質問があったら遠慮なく言ってくださいね?」
「ありがとうございます」
時折、ISについては初心者である一夏に確認を取りつつ授業は進み、次の休み時間…
「ふぅ…やっぱ面倒な事が多いな、ISは…」
「それだけ世界に強く影響してるんだよ」
「そうだな、良くも悪くもだけど…」
「特に君達男から見れば、ISが巻き起こした風潮は最悪なものだろう」
一夏の机の周りには先程の3人が来て、色々と話をしていた。
「あ~…これでまだ基礎なんだろ?」
「専門知識はまだまだありますよ?整備となれば更に細かい部分まで覚えなくてはいけませんし…実技でも様々な技や技術、マニュアル操作による細かい動きに装備の活用法なんかもありますから…」
「…………俺、IS動かした事スッゲー後悔してきた…」
「こ~ら、これくらい我慢する!!」
聖良の言葉に机に突っ伏す一夏だが、いちごはそれを嗜める様に言う。事実、ISを動かせた事で彼の目的を遂行出来るので、これはその為に必要な対価ともいえた。
「そういえば二人は実技はどうなんだ?企業代表だから、実力はある筈だと思うが…」
「俺はたぶん……国家代表候補生のトップには食い込めると思うぜ?」
「私は元々一夏のサポートで、ISには授業以外乗らないから」
その一夏の自己評価の高さもそうだが、姫和達が気になったのはいちごの言葉だった。
「?…ISには乗らないのに企業代表なんですか?」
そう、企業代表とは強さもそうだが、その企業が作った物を使用する事が前提条件なのだ。彼女の言葉だとIS企業所属なのにその企業のISに乗らないのは矛盾しかない…
「そこはヒ・ミ・ツ♪」
「「「???」」」
智の質問をそう言ってウインクしながら誤魔化すいちご。
「ちょっとよろしくて?」
「「「「「…?」」」」」
そんな5人の中に1人の少女が割って入ってくるが、全員が首を傾げる。先程の自己紹介で紹介はできなくともクラスメイトの顔を覚える事はできる。だが、そこにいる金髪ロールの少女は見覚えがなかった。
「誰だアンタ?」
「まあッ!?この私の事をご存じない!?入試トップで、イギリスの貴族で代表候補生であるこの【セシリア・オルコット】を!?」
一夏の言葉に少女は心底…だが、わざとらしい大袈裟な仕草と大声で反応した。
「そりゃ、クラスメイトでもない初対面を知ってるかと言われてもな…」
((((((((((うんうん…))))))))))
その答えにクラス全員が頷く。
「やはり男なんてこの程度ですか…織斑先生の弟というから期待したのがバカみたいですわね…篠ノ乃さんの方がまだマシですわ」
「お前ごときの期待に、答えてやる必要が無いからな」
この時、一夏はこの女が女尊男卑主義者であると理解し、何の興味も関心も無くなった。
「でs「ところで姫和、さっきのお菓子どうだった?」ちょ!?」
「ん?…………ああ、美味しかったが元がチョコレートのお菓子だったからかだろうか…ミントの部分が少し弱かったな…」
「やっぱりか…やはり王道はアイスだな」
「うむ、アレこそがチョコミントの王だろう」
「でしたら、今度の休みに皆でアイスが美味しいお店に行きませんか?私、とっておきのお店を知ってますよ」
「「そこにチョコミントはあるかッ!?」」
「え、ええ……もちろん…!!」
「いちごさんはどの味が好きなんですか?」
「私は名前の通り、ストロベリー♪♥️」
なので一夏が彼女の言葉を遮るようにして全く別の話題を姫和に振り、それを察した彼女も智と一緒にチョコミント談義を始め、聖良もいちごと話し始める。先程から立っているオルコットを蚊帳の外に置いてけぼりにして……
「……………………!!」(プルプル)
その見事なまでのシカトっぷりに、怒りで拳を震わせるオルコット。
「この…!!極東の猿風情が!!私を無視するとは良い度胸ですわね!!」
そしてキレたオルコットは怒りのままに叫び出す。
「貴方達の様な猿が、高貴な私に声を掛けられただけでもありがたい事なのに、それを無視するなんて……やはり極東は低俗な島国ですわね!!特にそこの男子!!男の癖にISに乗るなんて…ふざけるのも大概になさい!!」
勢いのままに言葉を捲し立てるオルコット。だが、彼女の故郷でもあるイギリスも島国であり、ISを生み出したのは彼女が極東という日本である。そして一夏のいる3組は彼に合わせて日本人が多く配置されている。そんな所で他国の代表候補生のこの発言は、最悪のものと言っていい。
「フ…私達が極東の猿なら、貴方はその極東の発明で威張っているニワトリですね?」
「なッ!?」
そんな彼女に最初に反論したのは聖良だった。その瞳はさっきまでの楽しさがあるものではなく、キツく睨み付けるものとなっている。まるで、家族の仇でも見るかのような……
「この私が……ニワトリですって!?」
「煩いですよ…もう朝は過ぎたんですからコケコッコーと鳴く必要もないのに……ああ、そういえば3歩歩けば必要のない内容は忘れるんでしたね?でしたら貴方はここで学ぶ意味も無いようですし、国にお帰りになったらどうです?」
そして口から出るのは、先程のオルコットと同じような暴言の数々。だが、クラスの空気がまるで違う。先程は怒りで重くなっていたが、今では聖良を応援するかのように重さがなくなっている。それにオルコットは顔を真っ赤にした。
「あ、貴方ッ!!初対面なのに失礼じゃありませんの!?」
「あ、鶏冠にきました?ニワトリだけに」
「「「「「「「「「ブフッ!!」」」」」」」」」
そんなオルコットへの返しに、クラス中が吹き出す。確かにニワトリ扱いされた後にこの返しは、この場ではギャグとしてウケやすいだろう。
「それに初対面なのに失礼?それは先程の貴方の事じゃありませんか?」
「うッ!?」
「「「「「「「そーだそーだ!!」」」」」」」
更に先程の言葉がブーメランし、今度はクラス中が同調して声を上げ始めた。
「アレが代表候補生?……だとしたら、イギリスの代表候補生って偉ぶったバカなのね」
「そもそも初対面相手に大人げないよね」
「あの人、絶対友達いないでしょ?」
「いやいや、逆に友達いない自分スゲェ!!とか思ってるんじゃない?」
「ま…友達になってほしいと言われても、私達のクラスメイトをバカにするような人はお断りだけどね?」
「「「「「「「「ハゲ同!!」」」」」」」」
「な…なな…!!」
クラスから聞こえるヒソヒソ話がどんどんとオルコットの心に突き刺さっていく。
「お……覚えてらっしゃいッ!!!!」
そう言って教室を出ていくオルコット。だが、彼女が涙目だったのをクラスは見逃さない。
「うわ、涙目で捨て台詞って小悪党っぽい!!」
「というか、小悪党だって涙目になんないよ~♪」
「もう二度と来ないでほしいわ…!!」
(ガラッ)「皆さん、授業を始めますから席に着いてくださーい」
そこにエイミーが木綿季と共に教室に入ってきたので、全員が席に戻る。
「………………………………………………」
そんな中、一夏といちごは聖良の後ろ姿を心配そうに見つめていた。
「あ~!!まったく何なんですのッ!?」
ちなみにオルコットは3組を飛び出してから一度トイレに行き、メイクを直してから教室に向かっていた。その間も先程の事に文句を垂れながら。
だからこそ彼女は気づいてなかった。既に時は告げられていたことを……
(ガラッ)「だいたい、あのクラスは私を何だと…」
「そうだな……私から見れば、授業に遅刻してきた馬鹿者だな」
「へ?(ズバァン!!)みぎゃあッ!?」
時間を忘れて始業に遅れた彼女は、千冬の出席簿の餌食になるのだった。
「それじゃ授業を始めるよー…と、言いたいところだけど…まずはクラスの代表を決めようか!!」
「「「「「「「「はい?」」」」」」」」
その授業の始め、今回はISの武装に関する説明だったので木綿季が教壇に立っていたのだが、開始早々にそんな事を言い出し、隣でエイミーが頭を抑えた。
「木綿季先生……それは最後のHRでも良かったのでは?」
「いーや!!今日は入学初日なんだよ!?放課後は皆に有意義に過ごしてほしいじゃん!!」
「まぁ……それは確かに…」
「てな訳で、今の時間でクラス代表を決めようと思いまーす!!あ、クラス代表ってのは、中学校までにあった学級委員とそんなに変わりはないよ」
それを聞くと、全員が嫌そうな顔になる。誰もそんな面倒事を進んで引き受けたくはないようだ…
「ただ、年に数回各組のクラス代表が戦って、1位になると【食堂のデザート半年無料パス】とかの豪華な景品が貰えるから……その辺は考慮して選ばないとダメだからね?」
だけども後半の景品に目の色が変わる。やはり、いつの時代も女の子は甘いものに目がないらしい。
「さあ、我こそはと思う者は挙手!!」
「「「「「ハイッ!!織斑君を推薦します!!」」」」」
そして代表者選びが始まると同時に、ほぼ全員が一夏を推薦した。
「いきなり他力本願ッ!?」
「だって織斑君、企業代表だし」
「イギリスの代表候補生相手に、シカトできる度胸もあるしね?」
「私達、ISにはそんなに乗れてないから操縦に自信ないから…」
木綿季にツッコまれるも、クラスの殆どがIS初心者であり一夏のような企業代表や国家代表候補生がクラスにいるのは珍しい事なので、彼に集中するのも不思議ではない。
「う~ん…織斑君的にはどう?他推されたけど拒否権はあるからね?」
木綿季の言葉に一夏は少し考えて…
「別に構わないですよ。企業からも専用機のデータ取りを頼まれていますから。それといちごをサポートに着けても良いですか?」
「それくらいなら、全然OKだよ♪」
「だったら、やらせてもらいます」
いちごをサポートにつける事を条件に彼はそう答えた。だけど本心は…
(たぶん奴の事だ、アイツもクラス代表になるだろうから……そこでまず、公の場で一回潰す!!)
自身の胸に黒く渦巻く目的を果たす為だった。
「じゃあボク達のクラスは織斑君がクラス代表ってことで……皆、いいかな?」
「「「「「「「いいとも~♪」」」」」」」
こうして、3組の代表は一夏となった。
―昼休み―
「あ~…………勉強つっかれた…」
午前中の授業が終わり、学生食堂の前で食券(豚カツ定食 大盛り+チーズケーキ)を買って列に並ぶ一夏。その顔は疲れきった表情をしていた。
「そう?私は簡単だったよ」
その前にいるいちごは普段と変わらぬ表情で、出された料理(オムライス+いちごパフェ)を受け取っていた。
「お前は頭脳面だったんだろうけど、俺は肉体面なんだよ…」
「そう言えばそうだったね…アハハハ…」
苦笑いするいちごに、一夏も料理を受けとると空いていた席に座る。
「早く思いっきり体、動かしてぇなぁ…」
「だったら残念だね。しばらく実技はないって♥️」
「なん……だと…」(パタリ…)
「ほら、そんなに落ち込まないの」
「ん…」
実技がしばらく無いという事実にテーブルに突っ伏す一夏。その口にスプーンが突っ込まれ、クリームの甘さと苺の甘酸っぱさが口内を満たして疲れきった頭が癒されていった。それはいちごがパフェを分けてくれたものだとすぐに理解できた。
「どう?少し元気出た?」
「ああ、ありがとな。代わりに…ほら」
「わぁ♪あ~ん…」
一夏もお礼にチーズケーキを一口分フォークで取り、いちごの顔の前に持っていくと、彼女は頬を綻ばせてそれにパクついた。
「んん~!!美味しい~♪」
「う~む…これはプロの味だな。後でレシピ聞いてこよう」
「ねぇねぇ、そっちのカツも一切れ欲しいな~?」
「いいぞ~……ほれ」
「あ~ん♪」
「代わりにそっちも一口くれよ?」
「わかってます、はいど~ぞ♪」
「あーん…ん、そっちも旨いな」
そんな感じに二人仲良く食事を進めていく。なお、姫和達は昼休みにやりたい事があると言って教室を出た為、2人きりだ。なのでいちごは先程感じた事を一夏に相談することにした。
「そういえば、さっきの聖良ちゃんなんだけど…」
「………………あの時の目か?」
「やっぱり一夏も感じてたんだ?」
「ああ、俺はあの目を知っている…」
そう言って目を閉じ、その時の情景を思い浮かべる。瞼の裏に映るのは、昔通っていた剣道の道場で師範の娘に襲われて姉である千冬に助け出された時だった。その時に千冬が相手に向けていた目と先程の聖良の目が同じだった。
「あれは、大事な人を傷つけた相手を睨む時の目だ」
「ということは…聖良ちゃんは昔、誰か大切な人を?」
「だからあの金髪ドリルみたいな奴……たぶん女尊男卑主義者とかに良い感情は持ってないんだろう…」
それは、似た気持ちを知っている一夏だからこそわかった事だった。だけども彼女のそれは、一夏の一人に対する思いと違い、今の世界に対して敵対することを意味する。
今の世の中は、女尊男卑主義者達が全てを牛耳っていると言っても過言ではない。彼女達はISの優位性を理由に好き勝手をやっていて、その被害者は世の男達やISの適性を持たない女性、通称【ゼロ適性】の人達だ。
女尊男卑主義者達はそんな人達を、自分達よりも圧倒的下の奴隷と見ている。そして彼女達に逆らえばもれなく冤罪で刑務所行きが待っている為に、ゼロ適性の人達は逆らう事すらできない。このような蛮行が許されてしまう程、ISという存在は今の世界を…そして人を歪めてしまっていた。
そんな彼女を心配に思う2人だが、事情も知らないのに勝手に首を突っ込んでしまえば、聖良から反感を買ってしまう可能性もある。故に現段階で2人ができる事は何もなかった。
「ま、それについては彼女が話してくれてからにしよう。俺達だけが話し合っていても、それは憶測でしかないんだからな」
「うん、そうだね…」
2人はそこで話を切り、再び食事を進めようとした時だった…
「よお…元気にしてたか?」
「「ッ!!」」
一夏といちごの耳に、聞きなれない男の声がしたのだ。その声の方を向くと、彼によく似た容姿の男子【篠ノ乃 秋羅】とポニーテールの女子【篠ノ乃 箒】がいて、秋羅は一夏を蔑むように見、いちごには全身を舐め回すような視線を向け、箒は2人を睨み付けていた。
その視線にいちごは少し怯えて一夏の右腕に抱きつき、一夏も体を少し前に出して、いちごの視界に秋羅が入らない様にする。
「…………誰だ、オマエ?」
「オイオイ…元とはいえ、家族の顔も忘れちまったのか?薄情だなぁ…」
わざと言う一夏に秋羅は悲しそうな表情をするが、それは表情だけで、目の奥では彼を見下しているのがはっきりとわかった。だからこそ一夏も態度を崩さない。
「薄情も何も、ウチは姉と俺しかいなくてね…後は煩悩駄々漏れの幽霊くらいか?おっと、これは幽霊に失礼だったな」
幽霊……それは一度死んで甦った転生者に対する彼なりの皮肉であったが、自分を助けてくれた一誠の親友の力を思い浮かべ、あの人達と比較するなど烏滸がましいと思い、すぐに取り消した。
「フン、まあいい……お前は精々、俺の踏み台になるんだな?」
「ハッ!!どんなに良い踏み台でも、選手が下手くそだったら宝の持ち腐れだぜ?」
「貴様ッ!!秋羅に向かって何て口を!!」
一夏の煽りにキレた箒はどこからともなく竹刀を取り出し、それを振り下ろしてくる。一夏ではなく、いちご目掛けて…
「キャアッ!!」
「ちッ!!」
―バシィン!!―
その事に一夏は素早く反応し、彼女に捕まれてない左腕で庇い、その腕で竹刀の一撃を受け止めた。
「くッ!?」
「一夏ッ!?」
「大丈夫だ…!!」
心配するいちごにそう返し、一夏はすぐさま竹刀を左手で掴み取る。
「おい…竹刀を振るう相手が違うんじゃないか?」
「フン…手元が狂っただけだ」
「テメェ…!!」
箒の態度に怒りのあまり、竹刀を握り潰してやろうと一夏が力を籠めようとしたら…
「そこまでです」
「あ?」
凛とした声が耳に届き、全員が視線を向けるとそこには智が立っていた。
「浅間さん!?」
「何だ、貴様は!!」
「今、貴方が竹刀を振り下ろした人達の友達です」
「フン!!ただの他人が口を出すな!!」
「一応言っておきますけど、これ以上は止めた方がよろしいですよ?証拠もありますし」
「それで脅しているつもりかッ!!」
「警告だ、馬鹿者」(バシィ!!)
「ごふッ!?」
彼女の言葉に今度はそちらへと竹刀を向ける箒。しかし、すぐ近くまで来ていた千冬に気づかず背後から出席簿の一撃で倒された。
「なッ!!何でお前が…!!」
「3組の生徒から、お前達が織斑に暴力を振るったと聞いて駆けつけてみれば……これはどういう事だ?」
「これは一夏が先に殴りかかってきて!!「篠ノ乃君の言っている事は嘘です。証拠をお見せします」え?」
智の言っている事ははったりと思っていたのか、一夏に罪を擦り付けようとする秋羅だったが、彼女の取り出したスマホの画面に先程までの……箒が先に竹刀を振り下ろしたシーンもハッキリと映っていた。
「なるほど……篠ノ乃妹は今すぐ生徒指導室に来い。説教の後に罰則を言い渡す」
「は、離せ!!私は悪くない!!」
「お、おい!!……一夏、覚えてろよ。来週の月曜日にお前をブッ倒してやるからな…!!」
千冬に引きずられていく箒に、秋羅は追いかけつつも一夏にしか聞こえない声でそう告げると、食堂を出ていった。
(今のはどういう意味だ…?)
「それより、一夏も保健室に!!」
「ええ、竹刀を腕で直に受けてますから骨に異常があるかもしれません」
「え?うおッ!?」
秋羅の言葉に疑問を抱きつつも、いちごと智によって保健室へと連れていかれる一夏。そして事情を聞いた保険医が慌てて診察し……
「君、本当に人間?」
「診察早々ヒデェな、おい」
その結果、軽い内出血だけで腕には他に何の異常も見られなかった事で、保険医から人間であるかどうか疑われる始末だった。
「だっておかしいでしょ!?相手は中学剣道で全国優勝者よ!?その一撃を生身…しかも片腕で受けて何の異常も無しとか!?」
「自分、鍛えてますから」
「いや、その理屈はおかしい」
事実を口にしたのだが一蹴されてしまい、視線をいちごや智に向けるも2人にすら頷かれてしまった。
「まぁ、体が丈夫なのは良いけど無茶はしちゃダメよ?」
「分かりました」
「なら教室に戻りなさい。もう授業も始まってるしね」
時計を見れば既に授業開始から10分過ぎていた。最後に保険医に一礼してから3人は保健室を出て教室までの道を歩く。
「にしても助かったよ、浅間」
「いえ、食堂で織斑さん達を見かけた時に嫌な予感がしたので…咄嗟にカメラを向けていたのですが、正解でしたね」
「嫌な予感?」
「はい、私は実家で巫女をしていまして、昔からそういう勘はよく当たるんです」
「まさしく巫女のお告げだな」
そんな会話をしている間に教室に着き、中に入ると…
「あ、織斑君!!……………………君、人間?」
「何故エイミー先生にまで…」
心配してたのかエイミーが声を掛けるも、一夏の姿を見てそう口にしていた。
「そりゃ竹刀で叩かれて、見た目無傷だったら誰だってそう思うよ?」
「木綿季先生もかよ…」
ガックリ項垂れる一夏に、クラスメイトはクスクスと笑い出す。まあ、目の前で繰り広げられてるのはコントみたいなモノなのでしょうがないが…
「とりあえず、軽い内出血だけで他は異常ありませんので」
「良かったですよ~…!!」
その結果に心底安堵したようにエイミーは息を吐き出す。授業が始まってからも心配で堪らなかったらしい。そんなエイミーに嬉しく思う一夏だったが、木綿季の顔が険しい事に気づく。
「どうしたんですか?」
「それが……お昼休みの終わり間際に、IS委員会から連絡があってね?」
そこで彼は気づく、秋羅が最後に言った言葉の意味を…
「織斑君を来週月曜日の1組のクラス代表決定戦に参戦させ、一敗でもしたら学園を退学、研究所送りにするって…」
いかがでしたか?
次回はこの続きから放課後、そしてグリゴリ社での専用機受け取りまでやろうと思ってます。
また遅くなるかもしれませんが、次回でお会いしましょう。