一人の少女を守るヒーロー   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

やべ……今回は長すぎた……

まさか書いてる間に一万文字越えるとは思わなかった…

それでも話は、代表決定戦前っていう…

文も自信ありませんが、良ければどうぞ。


受・領

「織斑君を来週月曜日の1組のクラス代表決定戦に参戦させ、一敗でもしたら学園を退学、研究所送りにするって…」

 

「……………………………………………はい?」

 

木綿季から唐突に告げられた内容に、思わず聞き返す一夏。しかし、そうしたくなる程に今の内容は意味不明だったのだ。何故1組のクラス代表を決める戦いに自分が参加して、尚且つ命まで賭けなければならなくなっているのだと…

 

「ちょっと待ってください……意味が解らんのですが…?」

 

「それはボクだって同じだよ。しかも研究所送りになるのは織斑君だけで、篠ノ乃君の方は負けても何も無いそうだし…」

 

「え?何それ…命懸けなの俺だけ?」

 

んな理不尽な…なんて思いながら一夏は頭を抱え、いちごは頭の中で一夏と秋羅の戦闘シミュレーションを始めていた。なお、今のところ100通りのパターンでシミュレートした結果、一夏の勝率は100%だ。

 

「もちろん織斑先生も抗議したんだけど…………『【裏切り者】の言葉に耳を貸す気はない』って…」

 

「あんにゃろう……そういう事か…」

 

秋羅の呟いた言葉の意味を理解した一夏はイラつくも、逆に公衆の面前で倒せる機会が早まったと思えるので、それはそれでいいかと考えを改めた。何故なら彼にとって秋羅をブチのめせるのに変わりはないのだから…

 

「どうせ断る事も出来無さそうですし、こうなったらやってやりますよ」

 

「そう言いますけど、織斑君だけ命懸けなんて…!!」

 

エイミーの言葉にクラスメート全員が心配そうな顔で一夏を見る。

 

「大丈夫ですよエイミー先生、【俺達】に負けはありませんから。な、いちご?」

 

だけど当の一夏はそう余裕を持っていちごに聞くと、彼女も笑顔で答える。

 

「うん、今1856パターンの戦闘シミュレーションをしたけど、私達が負ける要素はなかったよ♪」

 

「「「「「「「「え"ッ!?」」」」」」」」」

 

そんな笑顔のいちごの答えに全員が驚く。1組の代表決定戦に参加の話は今さっき…つい3分程前の話なのに、既にそれだけのシミュレーションを行っていた事にだ。

 

「ちなみに……それってどんな状況で?」

 

「向こうの機体が近距離・中距離・遠距離のどれかから始めて、あらゆる武装ごとの練度にフィールドの広さ、強さが一夏の下・同程度・格上の全ての場合に天候や一夏の体調に機体のコンディション等含めてですけど?」

 

「…………………………うん、そっか!!」

 

そこまで聞いて、木綿季はなら大丈夫だね♪と無理矢理結論づけ、思考を放棄する事にした。

 

「とりあえず授業しませんか?始業のチャイムは鳴ってますし…」

 

「そうだね!!……アハハ…」

 

この後の授業、木綿季はどこか放心したまま行う事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後…

 

「では皆さん、学園内を見学するのは構いませんが、遅くならない内に寮に戻るようにしてくださいね」

 

「「「「「「「はーい!!」」」」」」」

 

「よろしい♪では、解散です」

 

エイミーの挨拶にクラスメート達の気が一気に弛み、教室内が一気に騒がしくなる。その殆どがどんな部活があるかとか、購買や食堂でお喋りしようといったものだ。

 

「さて、一度龍見さん達に連絡するか?」

 

「そうだね、専用機の概要も少し聞いておきたいし…」

 

一夏が一誠達から預かった盗聴防止機能と、万が一の時に武器にもなる携帯【ファイズフォンX】で連絡しようとした時だった。

 

「おい、一夏」

 

「……あ?」

 

教室内に秋羅が箒を引き連れて入って来たのだ。ちなみに箒は本来、罰則により数日の自室謹慎に300を越える反省文を謹慎中に毎日提出する事になるはずだったのだが、IS委員会が篠之乃束の報復を恐れて横槍を入れ、不門にしてしまった為であり、これを受けた千冬は苦虫を噛み潰していた。

 

「ハァ…………なんか用か?これからやらなくちゃいけない事があるんだけど…」

 

「何でこの天才である俺が、踏み台ごときの事情を察しないといけないのさ?」

 

(((((((((ム…!!)))))))))

 

他クラスでそんな事を大声で言う秋羅。その言葉にクラスメート達が秋羅を睨む。

 

「へーへー…いーからさっさと用件を言え。こちとら暇じゃないんだよ」

 

「まあいい……お前、負けたら研究所送りなんだってな?」

 

「それが?」

 

「今ここで俺に向かって土下座して、忠誠を誓えば助けてやらなくもないぜ?」

 

((((((((((はあッ!?))))))))))

 

更に一夏に対しての土下座発言までしだしたのだ。まだ試合すらしてないのに、何を言ってるんだコイツは?と全員が心で突っ込む。

 

「束姉さんに頼めば、それくらい楽勝だからね。それに俺は束姉さんのところでISをかなり動かしてたんだぜ?どーせ1回か2回しか乗ってないお前が、俺に勝てる可能性があるとは思えないしな?」

 

そう煽る様に言ってくる秋羅。しかし、当の一夏は…

 

「ふーん…」(ホジホジ)

 

まったく気にせず、耳をほじっていた。

 

(ピキッ)「なあ、3組の皆だって彼が俺にボコボコに負ける姿なんて見たくないだろ?」

 

その態度に青筋を額に浮かべながらも、そう言ってとびっきりの笑顔をクラス中に向ける。それは普通の女性達が見れば、簡単に堕ちてしまう程の笑顔だった…

 

「アナタ何を言ってるの?織斑君なら勝てるに決まってるじゃない!!」

 

「え?」

 

が、3組の女子達には通用しなかった。

 

「そーよそーよ!!織斑君の方が絶対強そうだし!!」

 

「戦いもせずに勝った気にならないでほしいわね」

 

「あんな事言うなんて…もしかして勝てる自信ないとか?」

 

「あり得る~!!弱い犬ほどよく吠える的な?」

 

「ようは、姉の七光りって事よ」

 

「「「「「「「「「それだ!!」」」」」」」」」

 

まさしく言いたい放題の3組メンバーに顔を赤くして怒りを堪えている箒は、再び何処からか出した竹刀を震える手で握りしめるが、智がスマホを構えていたのでその怒りを必死に抑え込んでいた。

 

「え?…なんで効果が…」

 

「用が終わったならさっさと帰れ。ほらhouse!!」

 

「く…!!分かったよ、なら試合で不様に負かしてやる」

 

捨て台詞を吐いて教室を出ていく2人。だけど一夏はあることに疑問を持った。

 

(秋羅の奴、何を動揺してたんだ?それに効果?……龍見さんに聞く事が増えたな…)

 

去っていく2人を視界の端に捉えつつ、秋羅の呟いた言葉を気にしていたら、彼の前に姫和が立つ。その目はまるで、これから戦場に出る兵士の様に鋭くなっている。

 

「一夏、今から少し……時間はあるか?」

 

「ん?まあ、急ぎの用事はねぇけど…」

 

「なら、付いてきてほしい」

 

そう言って歩き始める姫和に首を傾げながら、一夏は近くにいたいちごと聖良、智を引き連れで彼女の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうなっている……なんでニコポが通じないんだ!?今まで確実に女の子を虜にしてきたのに…!!)

 

その頃、秋羅は箒と別れて廊下を歩きつつ、先程起きた事に苛立っていた。彼が持つ特典の1つ【ニコポ】を3組の女子に使ったのに、今までと違って効果が無かったからだ。

 

ここで彼について簡単に説明しよう。彼はとある世界で落雷が直撃して死亡、しかし暇をもて余していたとある神によって幾つかの特典を貰い、このインフィニット・ストラトスの世界に転生する事になった。

 

転生先の名を聞いた彼はその場で大喜び、どんな特典が欲しいかを告げた。その内容が…

 

①:原作一夏の立場

 

②:専用機に白式

 

③:最強の肉体と最高の頭脳

 

④:ニコポとナデポ

 

以上、上記の4つになる。しかし、彼はこの選択時で既にあるミスをしていた。だが、彼はそれに未だ気づいていない。

 

(まあいい…だったら()()を実行するだけさ)

 

そんな彼はとある教室の扉を開ける。顔では満面の、心では邪悪な笑みを浮かべながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏達が姫和に案内されて着いた場所は、学園から少し離れた所にある道場みたいな建物だった。

 

「ここは?」

 

「少し昔まで【剣術部】が使っていた道場だ。しかし、部員不足でIS学園開校時から2年で廃部となったらしい」

 

「じゃあ、部活を立ち上げるから入ってほしいって事?」

 

「いや…」

 

いちごの問いを否定しつつ中に入って行く姫和。それに従って4人も中に入ると、姫和があるものを一夏に投げ渡してきたので受けとると、それは木刀であり姫和も同じく木刀を持って構えていた。

 

「一夏、私と勝負してくれ」

 

「………………………………一応、理由を聞いていいか?」

 

「来週の試合、お前は命懸けの試合になる。なのにお前はやたらと自信があるような態度をしていた…だが、私はお前に万が一があったらと思うと恐くてな…折角できたチョコミント仲間を失ったらと思うと不安なんだ…だから勝負してほしい。お前にこの不安を吹き飛ばしてほしいんだ」

 

そう語る姫和の手は僅かに震えていた。まるで、大切なものを失う事を恐がるように…

 

「……わかった、受けて立とう」

 

だから一夏も、彼女の申し出を受けた。その不安を吹き飛ばす為に。

 

「すまない…」

 

「気にするな」

 

「では審判は私、浅間 智が引き受けます」

 

木刀を構える一夏に智が2人の間に立ち、いちごと聖良は端によって試合を見守る。

 

「勝敗は相手に一撃を入れるか降参する事。よろしいですね?」

 

「「ああ…!!」」

 

「それでは…………………………始めッ!!」

 

―バシ!!バシィン!!―

 

智が開始の合図をするとほぼ同時に、2人は互いの距離を一気に詰めて木刀をぶつけ合いながらすれ違い、そこから素早く反転し再度木刀をぶつけてつばぜり合う。

 

「なるほど…!!その自信は伊達ではなかったか!!」

 

「姫和こそ…やるじゃねえか!!」

 

互いを押し合うようにし、一夏は距離を取ろうとするが姫和はすぐさま接近、美しく素早い太刀筋で怒濤のように攻め立てる。

 

「速い…!!」

 

「でも、一夏なら問題ないよ」

 

その攻勢に驚く聖良だが、いちごの言うとおり強化された動体視力で一夏は姫和の動きを見切ってかわし、受け流し、弾いていく。

 

(どういう事だ…!!動き出しは私より後なのに、剣筋を読まれてるみたいに防がれる…!?)

 

「この動き…確か【鹿島新當流】だったか?」

 

「ッ!!流派まで言い当てられるとは…」

 

「剣にはある程度、詳しくてね」

 

「ならばッ!!」

 

姫和は攻撃を止め、一夏から距離を取ると少し腰を落とし剣先を正面に向けつつ腕を引いていく。所謂【突き】を繰り出す前の構えだが、それでも射程外でその構えを取るのを、一夏は理解できなかった。

 

(何をやる気だ…?)

 

そう疑問に思った瞬間だった…姫和が一夏のすぐ目の前に現れたのは。

 

「な…!?」

 

「ハアッ!!」

 

そこから繰り出される神速のごとき突きを、身をよじる事でギリギリ回避する。

 

「…!!あっぶね…」

 

(まさか初見で【一の太刀(ひとつのたち)】を避けるとは…!!)

 

攻撃が回避された事に表情は崩さずも、内心で驚く姫和。だが、それは一夏も同じだった。

 

(なんだ今の技…!?俺の動体視力でも捉えきれなかった…!!)

 

一夏の動体視力は体を改造された事でかなり強化されており、最高速度で走るリニアに書かれた一文字を読み取れる程だ。しかし、そんな彼の動体視力をもってしても、今の突きを捉えきる事はできなかった。しかし、姫和自身もかなりの力を消耗するのか、呼吸が乱れている。

 

「こんなかくし球があったのか…」

 

「長い時間を掛けて研鑽した……私の十八番だ!!」

 

再び構え、姫和は一夏へと攻勢に入る。先程みたく連撃を行うが、消耗した体ではスピードもパワーも格段に落ちていた。

 

「オラッ!!」

 

「しま…!!」

 

なので一夏も簡単に捉え、彼女の剣を上に打ち上げた。そしてがら空きになった懐に一撃を入れようとし……

 

「させんッ!!」

 

―バギィン!!―

 

「なッ!?」

 

たが、姫和の回し蹴りによって弾かれてしまった。

 

「ち…【タイ捨流】か!!」

 

タイ捨流とは剣だけでなく、肉体を使った打撃技等も織り混ぜて戦う流派であり、ISバトルが盛んな現代ではかなり実戦向きの流派でも知られている。

 

「ああ…ISバトルで剣一本の勝負をするのは無謀と言われ、故郷にいる仲間に教わったものだ。まだまだ未熟だが…!!」

 

彼女は木刀を右手に短く持つと、拳や蹴りを交えた連撃を行ってくる。動きはまだ拙いが、元々彼女の素早い動きと相まって反撃する隙を与えない。

 

(攻撃はまだ読める…このまま捌いて、体力が切れた隙を狙う!!)

 

対する一夏も防御に専念し、彼女の攻撃を防いでいく。

 

「この…!!」

 

一夏の狙いが分かった姫和は、一度体勢を立て直すために彼の顔目掛けて上段回し蹴りを放つ。無論、当てる目的ではなく一夏を下げさせる事が狙いだ。

 

(この程d……いいッ!?)

 

それを上体を反らす事で避けようとした一夏だったが、蹴りが当たる直前、視界に()()()()が見えて思わず動きを止めてしまった。

 

―ドゴォッ!!―

 

「ぶぼらッ!?」

 

「「「「え…?」」」」

 

その為、彼女の回し蹴りをまともに喰らってしまった。そのままその場に倒れる一夏に、4人は呆然とするしかなかった。

 

「えっと…………勝者、十条姫和!!」

 

そこからいち早く立ち直った智が決着を告げる。だが、姫和は勝てた事に納得できず、すぐさま彼に詰め寄り問い質した。

 

「いっ痛ぅ~…!!」

 

「一夏、何故避けなかった…?」

 

拍子抜けな終わり方に、姫和は声に怒気を含めて言うが…

 

「お、おおおおおお前なぁッ!?何やってんだよッ!?」

 

「え?」

 

逆に物凄く慌てた感じに喋る一夏に、彼女は不思議に思っていると…

 

「そんな格好で蹴りなんてするんじゃありません!!女の子なんだから、恥じらいを持ちなさい!!」

 

「いや…なんで私が怒られてるんだ?」

 

一夏の説教に困惑する姫和。そこにいちごがやって来て、一夏をジト目で見る。

 

「一夏、何色だったの?」

 

「へ?薄い黄緑………………はッ!?」

 

「?………………ッ!!!!」

 

彼女の問いに動揺してたのか、一夏は素直に答えるもすぐにしまったというような顔をする。その態度と先程の答えで、一夏が動揺した理由を理解した姫和は、顔を赤らめながら慌ててスカートを押さえた。

 

「あ~……そういう事だったんですか…」

 

「織斑君は初心なんですね?」

 

彼女の仕草で聖良達も理解する。そう、一夏は姫和の蹴りを避ける時、偶然にも彼女のスカートの中を見てしまったのだ。そういうのに免疫がない一夏はそれで完全にテンパってしまい、攻撃を避けられなかったのだ。

 

「そうかそうか…………つまり、お前は私の下着を見たんだな…!!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!?これは偶然だ!!わざとじゃない!!」

 

「十条さん、落ち着いて落ち着いて!!」

 

下着を見られた恥辱に、体を震わせながら木刀を強く握りしめる姫和。その気迫に一夏は後ずさり、智が姫和を宥める。

 

「そもそも、姫和さんがちゃんと準備しておけば良かったんですよ?スパッツを履くとか…」

 

「うぐ…!!確かに…」

 

だが、聖良からの的確な指摘に姫和も反論できなくなる。

 

「なので今回は両成敗ということにしましょう。織斑君もいいですか?」

 

「まぁ、見ちまった俺も悪いからな…ゴメン」

 

「私も準備不足だった…すまない…だが、見たものは忘れろ!!いいなッ!?」

 

「サー!!イエッサー!?」

 

「はい、じゃあこの件はこれで終了です。そろそろ夕食の時間ですし、私達は先に席を確保しておくので織斑君は治療してから来てくださいね」

 

互いが謝ったのを確認してから、聖良と智が姫和を連れて道場を出ていき、一夏は一緒に残ったいちごに治療してもらっていた。

 

「まったく、女の子の下着を見て動けなくなっちゃうなんて…」

 

「仕方ないだろ?俺はそういうのに耐性無いんだから…」

 

「でも、ちょっとラッキーとか思ったでしょ?」

 

「う…!!それは…」

 

「一夏のムッツリスケベ」

 

「ぐふ…!?」

 

彼女の一言にノックアウトする一夏。その後の夕食では、聖良達によって機嫌を直した姫和とも会話しつつ食事を取っていると、エイミーが現れて一夏が今日から寮暮らしなのと、相部屋がいちごであると伝えて鍵を渡してきたのを受け取り、片付けのために姫和達に挨拶して先に寮の部屋に向かった。

 

「やっぱりいちごと相部屋だったか」

 

「同じ企業の者同士だからね」

 

そして部屋に着くと、鍵を開けて物音を立てずに部屋に入り、いちごがシーフ・アイを使って部屋中を見渡し、紙に何かを書いていく。

 

その指示通りに一夏が動き、そこを調べてあるものを発見していく…

 

そして10分程の時間で見つけた50個ある物全てをテーブルにゆっくりと並べていく。それは巧妙に隠されていた盗聴機だった。

 

(よくもまあ、これだけ仕掛けたね?)

 

(おまけに風呂やトイレまでとか、プライベートは無しかよ…)

 

盗聴相手に聞こえないように筆談しつつ、その量に辟易しながらそれらをテレビのスピーカー前に並べていく。

 

(後は音量を最大にしてタイマーを設定してっと…………これでよし!!)

 

(んじゃ、俺は散歩にでも行ってくるよ)

 

(私はお風呂行ってくるね♪)

 

最後にそう書いて2人は部屋を出ていく。一夏は途中飲み物を買って中庭に出ると、近くにあったベンチに座る。

 

「ふぅ…新しい友達にムカつくイギリス女、秋羅のヤローと腰巾着との接触からの命懸けバトル宣言に姫和のパ……おっと忘れないと…とにかく初日から色々あったな……」

 

「なんだ、お前もいたのか?」

 

「ん?」

 

物思いに耽っていたら声をかけられ、視線を向けると姫和がいた。

 

「ああ、色々とあったからな」

 

「確かにな…隣、いいか?」

 

「どうぞ」

 

聞いてきた彼女にそう答えて、隣に座ってくる。

 

「さっきはすまなかったな…痛くはなかったか?」

 

「これくらい大丈夫だよ」

 

「そうか……」

 

そこで会話が途切れる。このままでは気まずいと思い、一夏が話し掛けようとした時、先に彼女が話し出す。

 

「一夏、お前は何故剣を振るう?」

 

「え…?」

 

唐突に投げかけられた質問に、一瞬戸惑う。

 

「いや、何でもn「復讐だ」…え?」

 

彼女はそれをなかった事にしようと思ったのか、何でもないと言おうとした所に被せて一夏は理由を告げる。

 

「俺が今、剣を振るうのは復讐の為、それだけだ」

 

「…………何があったんだ?」

 

「悪いが、そこまではまだ話せない」

 

「そうか…」

 

確かに彼女とは仲良くなれた。だが、心の中を吐露できるほど一夏は彼女を信頼しきれなかった。過去の経験が、他人を簡単に信用できなくさせるほど、未だ一夏の心に深く傷を残しているのだ。

 

「ならもし…もしもだ?それが絶対に叶わない事になったら…お前はどうする?」

 

そんな中、姫和が何か思い詰めたみたいに質問する。まるで一夏の回答に何かを見出だしたいみたいに…

 

「次の目的を見つける」

 

「は…?」

 

だから彼は真面目に答えたのだが、予想外だったのか姫和は頭に疑問符を浮かべている。

 

「お前はその目標を諦めるのか?」

 

「そうじゃない…そもそも目標なんて一過性のものだ。1つの目標を達成したら更に上の、失敗したらそれに近づく為のまた新しい目標が出来るだけ…」

 

「新しい目標……」

 

「というか、なんでそんな話を?」

 

世間話にしては少し重たい内容に、彼が少し疑問に思っていると…

 

「私の目標は……もう、叶わないかもしれないからだ…」

 

そう、寂しそうに呟いた。

 

「私の目標は【剣で師匠である母を越える事】だ。その為に色々鍛えてきたし、技も磨いてきた。お前に放ったあの突きはまさしく切り札だったんだが…まだまだ未熟だったみたいだ」

 

「いや、アレは結構ギリギリだったぞ?」

 

「そしてそれなりに自信がついて、一度母に勝負を挑もうと思った日に……病院から母が事故に合って運び込まれたと連絡があった…」

 

「………………」

 

「道路にボールを拾いに飛び出した子供に、車が迫っているのを見て咄嗟に庇ったそうだ。子供は無事だったんだが、母は頭を強く地面に打ちつけて、もう一年も目を覚ましていない…」

 

「そうか…」

 

悲しさと寂しさが混ざった彼女の声に、一夏も簡単に掛ける言葉が見つからない。そもそも、彼には親との記憶が殆ど無いので彼女の気持ちを完全に理解する事ができなかった。

 

「すまない…現代の医学では目を覚まさせる事は不可能と言われていて、少し心にきていたらしい……聞いてもらえて少し楽になった」

 

「気にしなくていい……お前の目標、叶うといいな?」

 

「ありがとう、私はそろそろ戻る」

 

「おう、また明日な」

 

「ああ」

 

ベンチから立ち上がり去っていく彼女の後ろ姿を眺める。その背中には、やはり悲しさと寂しさの雰囲気が見てとれた。

 

(事故による昏睡状態……もしかしたら…)

 

そんな彼女の何か力になれないかと思った一夏は、ある人に連絡を入れるのだった。

 

同時刻、保健室に2人の生徒が駆け込んできた。保健医によれば、駆け込んだ1人が音楽を聞こうとしてヘッドホンを着け、曲を流そうとしたらボリュームがMAXだったらしく、鼓膜にモロに響いて卒倒したらしく、もう1人がそれに気づいて運んだそうな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、最初の休日…

 

この日は土曜日で学校は休日となり、グリゴリ社で専用機受け取りと最終調整の為、一夏といちごは外泊届けを出しに行こうとしていた。

 

「書き終わったか?」

 

「うん、終わったよ~」

 

「んじゃ、エイミー先生か木綿季先生に渡しに行くか」

 

外泊届けを持ち、担任がいるであろう職員室へと歩いていると、姫和と聖良に出くわした。

 

「よっ」

 

「2人とも、おはよう」

 

「ああ、おはよう」

 

「おはようございます、お2人はこれからお出掛けですか?」

 

「所属している企業に、専用機を受け取る為にな」

 

「良かったら、2人も来る?」

 

「フム……一夏達の所属している企業か…少し気になるな…」

 

「今日は特に予定も無かったですし、ご一緒しても?」

 

「おう」

 

いちごの提案で職員室に行き、そこにいた木綿季に一夏といちごは外泊届けを、姫和と聖良はその場で外出届けを貰い書いて提出した。

 

「うん、特に記入ミスもないし…それじゃ4人とも、気をつけて行ってきてね?」

 

「「「「はい!!」」」」

 

木綿季から許可を貰い、揃って学園を出てモノレールに乗り込む。そこでグリゴリ社がどういう所か、一夏といちごが2人に質問されていた。

 

「グリゴリ社は俺達の共通の知人が経営してる会社なんだ」

 

「社内も女尊男卑が無くて雰囲気もアットホームな感じで、スッゴくいいところだよ♪」

 

「女尊男卑が無いとは…珍しいな?」

 

「そういう輩を徹底排除してんだよ。そういう奴等は仕事の邪魔にしかならないからな」

 

「ISの適性も重視しない能力主義だから、皆やりがいを持ってるの」

 

「それはいい環境ですね」

 

そうこうしている間に駅にたどり着き、そこからバスを使い30分程の所にある、大きな敷地面積を持つビルの前に来た。ここがグリゴリ社の本社ビルである。

 

「ここだよ~♪」

 

「「でか……」」

 

その圧倒的な広さの敷地に姫和達は驚きつつ、正門を潜りビルの中に入ると、そこにはたくさんの社員が忙しそうに行き交い、空間投影スクリーンにはグリゴリ社のPR映像が流れている。建物内も綺麗に清掃されておりガラスもくもり1つ無かった。

 

「スゴい…」

 

「ええ…それしか言えません…」

 

「でしょ?」

 

2人がグリゴリ社に完全に圧倒されていたら…

 

「ほらほら~!!こっちこっち~♪」

 

「待て~!!」

 

「お2人とも!!社内を走り回ってはいけません~…」

 

「「?」」

 

ロビーを小学校低学年くらいの子供2人が社員達の間を走り回り、その後をアタフタしながら追いかけている高校生くらいの女性がいた。

 

「アハハハハハ!!……?あ、いち姉ちゃんだ!!」

 

「え、ホントだ!!一兄ちゃんもいる!!」

 

「ハァ……ハァ……ほえ?」

 

その子達は一夏達に気づくとまっすぐに向かい、勢いよく抱きついた。

 

「おっと…元気そうだな、響一?」

 

「ルエちゃんも、いい子にしてた?」

 

「「うん!!」」

 

「もぉ~…社内を走り回ってる良い子なんて、聞いたことありませんよ~…」

 

「ハハ…いろはもお疲れ様?」

 

「ありがとうございます、一夏様」

 

「一夏、その子達は?」

 

「おっと、そうだったな…じゃあ2人とも、お姉さん達に元気に挨拶しような?」

 

「「はーい!!」」

 

一夏に言われ、子ども達が姫和達の方を向き、自己紹介を始める。

 

「【龍見 響一】!!小学校1年生です!!」

 

「【御堂 ルエ】です!!キョーイチと同じ小学校1年生です!!」

 

「はい、良くできました♪」

 

「「えへへ~♪」」

 

上手に自己紹介できた2人の頭をいちごが撫でると、嬉しそうに笑う。そして、2人を追いかけていたピンク色の髪をうなじで纏めた少女も自己紹介を始める。

 

「初めまして、私はグリゴリ社で作られた最新型の生体ロボットである【自動人形(オートスコアラー)】…型式番号(Gurigori) (Alchemic) (Technology)ーX168…個体名称【いろは】と申します」

 

「「ロボットぉッ!?」」

 

その自己紹介に2人が再び驚く。彼女の動きや表情は普通の人間がするものと遜色無いからだ。

 

「はい、その証拠に…」

 

いろはが服の袖を捲ると、手首や肘が人間とは違う球体関節になっていて、まさしくロボットである事を裏づけていた。

 

「本当にロボットなんですね…」

 

「私はもう驚き疲れたぞ…」

 

「悪いけどいろは、龍見さん達に連絡を取ってくれないか?」

 

「はい、少々お待ちを…」

 

一夏の頼みに、いろははスマホを取り出して操作し……ようとしたら、そこで動きが止まった。どうしたのかと姫和達が不思議がっていると……

 

「………………あのぅ~、コレってどうやって使えばいいんでしたっけ?」

 

「「だあ~ッ!?」」

 

まさかの答えにずっこける。実は彼女、ロボットなのにスマホの操作が大の苦手で、通話1つまともに出来ないのだ。これでは最新型と言われても信じる事は出来ないだろう…

 

「あ~……じゃあ、響一を頼む。俺が連絡するからさ?」

 

「すみません~…」

 

抱きついていた響一をいろはに預け、一夏が連絡を入れてから数分後、彼等の前に1人の女性がやって来た。一目見て茶髪のショートヘアで活発そうな印象を持てる。

 

「お待たせ~!!2人とも久しぶりだね!!」

 

「お久し振りです、響鬼さん」

 

「うん!!でも一夏君、最後のは余計だからね?」

 

「何故わかった…」

 

「師匠を嘗めたらダメだよ?」

 

「アテッ!!」

 

そんな文章にしなければ分からないようなボケとツッコミをしつつ、響鬼?と呼ばれた女性は一夏にチョップを喰らわせた。

 

「ところでそっちの子達は、2人のお友達?」

 

「あ、はい。向こうで知り合った十条姫和と鹿角聖良です」

 

「「初めまして」」

 

「初めまして、私はここに勤めている【龍見 響】です。今日は楽しんでいってね♪」

 

笑顔で2人に話し掛ける響…だけど、それが終わった途端に響一とルエの後ろ襟を掴んだ。

 

「え?か、母ちゃん?」

 

「叔母さん?」

 

それに訳が分からない2人は響を見るが、その顔は笑顔なれども般若のような迫力を持っていた。

 

「2人はこれから私のお説教タイムだよ……勝手に社内を走り回っちゃダメっていつも言ってるでしょッ!!!!」

 

「「ひぃ!?ご…ゴメンなさ~い!!」」

 

「今回は謝ってもダメ!!さあ、向こうでみっちりお説教してあげるから!!あ、いろはちゃんは皆を一誠の所に連れていってあげて。たぶん格納庫で待ってるはずだから」

 

「「助けて!!兄ちゃん、姉ちゃん!!」」

 

「畏まりました、響様。では皆様、こちらへどうぞ」

 

そう告げて、響一とルエを脇に抱えて去っていく響。全員でそれに苦笑しつつ、いろはの案内で格納庫へと向かい、そこの扉を開けると、茶髪の男性が一夏達を出迎えた。

 

「いらっしゃい、皆。いろはもご苦労様」

 

「はい、一誠様」

 

「まずは自己紹介かな?俺は龍見 一誠。この会社の副社長だ」

 

「「副社長ッ!?」」

 

彼の自己紹介に姫和達はまたも驚く。見た目20代前半っぽい男性が、この大企業の副社長なんて言われれば、驚きしかないだろう。

 

「一誠さん、俺の機体は?」

 

「安心しろ、ちゃんと完成してるよ」

 

そう言って手元のレバーを下げると背後の扉が開き、中にライトが射してそこにあるものを露にする。

 

見た目は水色と紫色を基調とし、ボディスーツらしきものの所々に網目模様があり、銀色の西洋風の鎧や兜みたいなパーツで覆われている一夏の身長と同じくらいの大きさの人型が鎮座していた。

 

「これが?」

 

「そう、グリゴリ社の技術でISを一般成人サイズまで小型化しつつも、従来機を遥かに凌ぐ高出力を持つ超汎用型2・5世代機であり、お前の専用機……その名も【GRIDMAN】だ」

 

「これが俺の……【俺達】の機体…!!」

 

期待を込めてGRIDMANを見つめる一夏。それに答えるかの如く、GRIDMANもライトの光で輝くのだった。




いかがでしたか?

今回の仮面ライダージオウは最高だった!!

あそこでアギトの挿入歌とか燃えないわけないだろ!!

しかも次回は響鬼かよッ!!Blu-ray集めてる時に放送とは…やるな!!

次回は、セシリア戦の終わりまでやろうと考えています。

では、次回でお会いしましょう。


できれば感想もお願いします。執筆スピードが上がるかもしれませんので…
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