一人の少女を守るヒーロー   作:疾風の警備員

8 / 14
どうも、疾風の警備員です。

またまた遅くなりました…スランプが中々抜け出せない…

コレが令和になって最初の投稿です。よければどうぞ。


初・陣

「さあ、初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)を初めようか?」

 

「龍見さん…それ、セントさんのセリフじゃ…」

 

「……ちょっと言ってみたかっただけだ…」

 

そんなネタ会話をしつつ、一誠は端末を操作してGRIDMANを待機形態である白に金の縁取りが特徴のブレスレットに変え、一夏に手渡す。

 

「これが待機形態の【プライマル・アクセプター】だ。失くすなよ?」

 

「はい!!」

 

一夏はそれを受け取り、左腕に当てるとバンドが伸びて固定される。

 

「それを装着してれば、自動で初期化と最適化が行われる。30分程で終わるから、その後に展開するとすぐに一次移行(ファースト・シフト)が起こるぞ」

 

「んじゃ、それまでどうすれば?」

 

そのままで作業が終わってしまうなら、完全に手持ちぶさたになると思い、一誠に尋ねると彼は少し考えてから…

 

「せっかくお前達の友達が来てるんだし……社内を案内しつつ、ついでにウチが開発した未発表のISでも見てもらおうかな?」

 

「「ええッ!?」」

 

その提案に姫和と聖良がまたもや驚く。まさか他にも未発表のISがあり、それを自分達に見せてもらえることになるなんて、普通に考えても破格の内容だからだ。

 

「い…いいんですか?」

 

「あくまでも見るだけだから、大丈夫だよ♪」

 

そんな事を簡単に言われても、企業に所属すらしてないのに簡単に公開してもいいものなのだろうか…

 

そんな不安にだんだんと胃が痛くなってくる2人。しかし、それは機体を見た瞬間、アッサリと治る。

 

施設内を幾つか案内され、最後に来た場所にあったのは、2機のISだった。片方は打鉄を改良したのか、腕部と脚部は面影を残しつつも腰回りのリアスカートや、肩のアンロックユニットである盾が外され、左右の肩部と腰部にはマルチアームに繋がったブースターが取り付けられ、背部は小型スラスターが幾つもあり、高機動タイプである事を思わせる緑の機体と…隣にあるのはラファール・リヴァイブを改良した機体らしく。肩にマルチアームに繋がった大型の盾が左右に装備され、背中にも折り畳まれたマルチアームが4つあり、先端は人間の手みたいなマニピュレーターとなっているので、武装を保持させる事も可能となっている、おそらく重火力型の水色の機体だった。

 

「これは…?」

 

「ウチがそれぞれの機体を元に、色々と改良した2・5世代機……緑の機体が【緑雷(りょくらい)】で、水色の機体が【蒼雪(そうせつ)】だ」

 

「緑雷と…」

 

「蒼雪…」

 

姫和は緑雷に、聖良は蒼雪に目を奪われジッと機体を見つめる。まるで、この機体に何かを感じ取ったみたいに…

 

「緑雷は打鉄を元に、高機動近接戦を主目的としていて、ウエイトになるリアスカートや肩のシールドを廃止。そこにフレキシブル可動のブースターを取り付け、背部のブースターも増設した機体だ。武装は日本刀型の近接ブレード【雷切丸】を予備含め3本と、両腕に内蔵された散弾砲【雷火】だ」

 

一誠は緑雷を見つつ説明し、次に蒼雪へと視線を向ける。

 

「蒼雪はラファール・リヴァイブを改修した重装甲重火力機で、緑雷とは逆に装甲を増設、通常のシールドに加えて両肩にもシールドを追加。更にマニピュレーター式のマルチアームを背部に4つ持ち、それぞれに武器を使わせる事も可能となっている。武装は実弾をメインにしていて、マシンガン【風花】やバズーカの【氷砕】、散弾銃【冬閃】にハンドガン【舞雪】にアサルトライフル【氷解】やキャノン砲【殴冬】にガトリング【豪雪】、ミサイルといったものを大量に装備させてる。予備の銃弾なんかもカートリッジで最大10個ずつ持たせられる。近接武装は高周波振動ダガー1つだけだから気をつけて欲しいけど…それと重量増加で低下した速度を補う為に、脚部にローラーを装備して地上での速度を上げてあるんだ」

 

「「おお~…」」

 

「更に、開発コンセプトに合わせて特別なシステムを各々に幾つか内蔵してあるんだ。これはさすがに教えられないけどな」

 

その後も、ISについて秘匿部分を除いて説明いると、アクセプターから初期化と最適化が終了した音がなる。

 

「お、終わったみたいだな。一夏、設定画面を開いてみろ」

 

「設定画面……ん?【パートナー設定】?」

 

一誠に言われ画面を開き項目を見ていくと、見なれないものがあった。そこを開くと【パートナーになる者の手を握ってください】と表示されていた。

 

「これは?」

 

「実は……GRIDMANは小型化と性能アップに成功したのはいいんだが…………そのせいで武装展開とセンサー類の一部が機能しなくなっちまってな?」

 

「「「「ハアァァァァァァァッ!?」」」」

 

武装展開とセンサー類が使えない……それは視界が効かない暗闇の中で、熊相手に素手で戦えと言われている事と同じなのだ。それは誰でも驚く…

 

「でも、機能するまで性能を落とすのは勿体なくてな…………だったら、戦闘側とサポート側の2つに分割しちゃおうとなったのさ」

 

「だからこそのパートナー設定…」

 

「このパートナー選びが、GRIDMANの性能を左右するといっても過言じゃn…………って、お前の場合は既に決まってるよな?」

 

そう説明の途中で、一夏は迷いなくいちごの方を向き左手を差し出す。

 

「頼むいちご、俺にお前の力を貸してくれないか?」

 

「もちろん♪」

 

そして、いちごもその手をしっかりと握り返すと、彼女の腕にもプライマル・アクセプターが装着された。

 

『パートナー設定を完了しました』

 

「んじゃ、これからもヨロシク頼むな」

 

「うん♪」

 

「これで史上初、2人で運用するISの誕生だな……そんじゃ、俺からのプレゼントだ」(ドサッ)

 

そんな2人に、一誠は広辞苑並みに分厚い本を投げ渡す。

 

「うおッ!?」

 

「お…重い…!!」

 

一夏は片手キャッチし、いちごは両手で受け止めるも、いちごだけはかなり前のめりになっていて、本の重さがよく分かる。

 

「龍見さん、これは?」

 

「GRIDMANの説明書だ」

 

「「説明書!?」」

 

それが専用機の説明書と聞けば驚きしかないだろう…唖然としてそれを見る一夏に一誠はニヤリと笑い…

 

「それ、キチンと覚えろよ?」

 

楽しそうにそう告げた。

 

「い、いや……説明書は見ないのが、俺のプレイスタイルだからさ…!!」

 

「え~?私は大好きだよ、マニュアル」

 

渡されたマニュアル(広辞苑サイズ)を見てから、2人は対極的な反応をする。まあ、これを覚えろと言われれば、よほどの人物じゃない限り無理と答えたくなる物だ…

 

「さすがに全部とは言わないさ。必要な部分を先に覚えて、後は必要になってから学べばいい…けど、知らないより知ってる方が有利な場合もあるからな?」

 

「う……解りましたよ…」

 

「私も教えてあげるから、ね?」

 

しかしそう言われてしまえば、読まない訳にはいかない。さすがの彼も観念して読むしかなくなってしまった。

 

「それじゃ、起動試験をするから2人は試験場に向かってくれ。それと十条さんと鹿角さんには悪いけど、ここから先は社外秘になるから見学はここまででいいかな?」

 

「はい、お世話になりました」

 

「貴重な体験、ありがとうございます」

 

「これからも2人と仲良くしてくれ。それじゃいろは、2人をお見送りを」

 

「畏まりました。それではお二方、こちらに…」

 

「ああ、2人ともまたな」

 

「月曜日に学校で会いましょう」

 

「おう、またな」

 

「じゃあね~」

 

いろはに連れられて去っていく姫和と聖良、それに合わせて一夏といちごも試験場へと向かっていく。続けてその場から出ようとした一誠は一度立ち止まり、鎮座しているISへと振り返る。

 

「どうやら、お前達も主を決めたみたいだな?」

 

そして、そう呟いてから部屋を出るのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから日は経って、月曜日…

 

「「おはよ―…」」

 

「おはよ……って2人ともどうしたの!?」

 

「「ちょっとね……」」

 

朝、教室にやって来た一夏といちごは疲れきった姿……更に一夏においては顔に幾つも絆創膏を貼った状態でやって来て、驚くクラスメイトを横目に席に座るやいなや机に突っ伏した。

 

「どうした、お前達?」

 

「お疲れみたいですが…」

 

「それに織斑さんは傷だらけですし…」

 

その姿に姫和や聖良、土日は会えなかった智が2人の席までやって来る。

 

「ああ……専用機の慣熟訓練でな……」

 

「そのしごきが…………半端なかったんだよ…」

 

「しごきですか?」

 

「口にするのも恐ろしい程のな…」

 

それから2人は体を震わせながら黙ってしまう…まるでその時の恐怖を思い出したかのように……

 

「これは、聞かない方が良いのか?」

 

「それが良いと思います」

 

「下手すると、今日の勝負に影響しそうですしね」

 

智の言葉に2人は頷いて、3人はそこから離れる事にする。放課後までに、2人の精神が戻る事を願って……

 

 

 

 

 

 

その頃、篠ノ乃秋羅達はというと……

 

「おい秋羅、あれにはどういう意味が会ったんだ?」

 

「あれって?」

 

「お前が今日まで休み時間の度に、1年3組を除く全ての学年とクラスを回っていた事だ!!」

 

「ああそれ?……単なる仕込みだよ。ククク…!!」

 

そう言って、怪しげに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後……

 

「さてと、一丁やりますか!!」

 

「頑張ろうね!!」

 

何とか精神を持ち直した2人は、案内された第1アリーナのCピットにいた。

 

第1アリーナはチーム戦や集団戦等を行う広域のアリーナで、ピットもA~Dの4つもある。平日では複数人がそこの一部を借りて別々に訓練したりしている。

 

そこを借りきって行われる1組のクラス代表決定戦……それに巻き込まれた一夏達の初陣でもある。

 

最初は名目通り1組同士での試合な為、一夏といちごは案内されたCピットで準備運動したり、相手の情報収集をしていた。

 

そして最初にセシリアがISに乗って現れるが、篠ノ乃が何時まで経っても出てこなかった。

 

「どうしたんだ?試合時間までもうすぐだってのに…」

 

「搬入が遅れているそうだ」

 

疑問を口にする一夏に、いちご以外の声がそれを教えてくれる。それは昨日会ったばかりの一誠といろはだった。

 

「龍見さんッ!?」

 

「どうしてここに?」

 

「ウチでは対ISのデータが取れないからな。そのデータ取りに来たんだ。それとスカウトにな?」

 

そう言いながら、一誠は一夏達に近づく。

 

「そして一夏、たぶんお前が先に出ることになるだろうから……あのイギリスのISを完膚無きまでに大破させろ」

 

「大破?そんな事したら、イギリスから文句を言われるんじゃ…」

 

「それが篠ノ乃秋羅の野望の1つを砕く……としたら?」

 

その言葉に一夏がニヤリと笑う。まさかここで、憎き相手の野望を打ち砕けるとは思いもしなかった…だからこそ、やる気が更に漲る。

 

「了解、あれをボロッボロにしてやりますよ…!!」

 

「それとお前が頼んできた件……許可が下りたから、今日の放課後にやるぞ」

 

「マジですか!?ありがとうございます!!」

 

「???」

 

『織斑、篠ノ乃の機体がまだ来ない。だが、アリーナの貸し出し時間もあるから…………巻き込んでしまったのにすまないが、先に戦ってもらってもいいか?』

 

「構いませんよ、すぐに出ます」

 

途中、2人の会話の意味が分からなかったいちごが首を傾げていると、一誠の予想通りスピーカーから千冬が申し訳なさそうに一夏に出撃を打診し、一夏は嬉々としてそれを受け入れ、そしてピットの先端に向かう。

 

「いちご、オルコットのデータは?」

 

「さっきから彼処にいるからね……もうバッチリ♪」

 

そう言ういちごの目は青く、既にシーフ・アイでオルコットの機体からあらゆるデータを手に入れていた。

 

「サンキュ、んじゃ行きますか……GRIDMANと、織斑一夏の初陣だ!!」

 

そんな彼女に感謝しつつ、ピットの先端に立つと……

 

『『『『『Boooooooooooo!!』』』』』

 

「ん?」

 

何故か観客(1年3組以外)からブーイングが飛んできたのだ。それ以上に観客席が満員御礼なのにも驚いたが…

 

「引っ込め~!!」

 

「篠ノ乃君を出せ~!!」

 

「お前なんかがISに乗るな~!!」

 

「さっさとくたばれ~!!」

 

などと言った暴言が一夏の鼓膜を揺らすが、彼はそれらを聞き流す。

 

(どうやら、3組以外は誰も信用しない方が良いな…)

 

そして、自クラス以外の全てを信じない事にした。そう決めたらうるさい雑音をシャットアウトし、3組の応援といちごの指示だけに耳を傾ける。

 

「あら、先に来るのは貴方ですか…しかも、ISを纏わずに来るなんて、負けをお認めになったのかしら?」

 

そんな一夏を見つけたオルコットが言葉を発するが、一夏はそれを聞き流す。

 

「まあ当然ですわね!!このイギリス代表候補生たる私相手に、ド素人の貴方が勝てる訳ありませんものね!!そこで土下座でもするなら、許して差し上げてもよろしくてよ?」

 

反論しない一夏が、自分にビビっていると勘違いしたオルコットは更に言葉を捲し立てる。それを聞いている1年3組は……

 

「オリムラァッ!!そんな奴、ボッコボコにしてやりなさい!!」

 

「アリサちゃん、落ち着いて!?中指立てちゃダメだよ!?」

 

「いいから!!すずかも応援しなさい!!」

 

「織斑君はそんな簡単に負けないと思うよね、ミケちゃん?」

 

「うん、私は逆に相手を倒しそうな気がするよ、モカちゃん」

 

「行け、一夏!!」

 

「頑張って下さい!!」

 

「ファイトです!!」

 

など、一夏に対して応援の言葉を送ってくる。

 

(やっぱ、信頼できる人達からの応援は気持ちいいもんだ…)

 

その応援に感激していた一夏は、ようやくオルコットを見る。ISスーツのお陰か彼女のメリハリのある体のラインがくっきり解るが、関心を無くした相手に姫和みたいな反応は起こさない。

 

「何も言い返さないとは…やはり貴方h「さっきからキャンキャン吠えんなよ…弱く見えるぞ?」なッ!?」

 

そして、彼女の言葉がいい加減鬱陶しくなり、自身も挑発を始める。

 

「知ってるか?日本には【弱い犬程、よく吠える】って言葉があってな…たくさん吠えて自分を強く見せようとするって意味なんだ。今のお前みたいにな?まぁ、お前は子犬程も可愛くねぇけど…」

 

「こ…この私を犬と同列扱いしますのッ!?」

 

すると、簡単に挑発に乗って顔を真っ赤にして怒り出す。

 

(うわ~…こいつ煽り耐性低…)「お前が犬と同等とか…ハハハッ!!うぬぼれんなよ?」

 

そんなオルコットを笑いつつ、ISを纏うために左腕のアクセプターを顔の左側に持っていき…

 

「アクセス…フラーッシュ!!」

 

安全の為に設定された起動ワードを叫びながら、右手で下部のボタンを叩く。するとGRIDMANが装着されるが、一次移行が終わっている為、水色のスーツ部分が赤に変わり、銀色の鎧も輝くほどの光沢を持ち、差し色に水色や金色が入った姿になっている。

 

「何ですの、それは?第一世代じゃありませんか。それで第三世代の【ブルー・ティアーズ】に勝てるとでも?」

 

「よく吠えるワンちゃんだ……もしかして散歩の時間だったか?いいぜ、来いよ!!ホラどうした!!Hey come-on!!Let's go!!」(パンパン!!)

 

GRIDMANを見て侮る発言をするオルコットに、一夏は某有名な悪魔狩りみたく手を叩いたり、手招きしながら更に挑発すると、プルプルと震えながら茹でた蛸のごとく顔を真っ赤にする。

 

『試合開始です』

 

「死になさい!!」

 

そこでスタートの合図がなり、オルコットが持っていたレーザーライフル【スターライトMkⅢ】を素早く撃つが…

 

『一夏、左に19度体を捻って』

 

「よっと」

 

いちごの指示に従った一夏に、アッサリと避けられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いちごside

 

「それじゃ、私も頑張るぞ!!」

 

一夏がGRIDMANを纏うのを見て、私はプライマル・アクセプターが付いている左腕を右から左に大きく振るう。すると、私の前に空間投影モニターと同じく空間投影型のキーボードが現れる。

 

これはGRIDMANのセンサーと直結していて、私はシーフ・アイで得た情報を、そこに素早く入力していき解析を行いつつ、あるプログラムを構築していく。

 

「よし、完了♪」

 

ものの数秒で出来上がったそれは、オルコットさんの機体から得た全てのデータを元に作り上げた、いわば【オルコットさん完全再現シミュレーター】とも呼べるものだ。これは彼女の戦闘データと武装データから、何処に攻撃するのかをオルコットさんの行動より先に教えてくれるものだ。

 

そしてすぐにそれが、一夏への攻撃を教えてくれる。

 

(狙いは左肩か…)

 

「一夏、体を19度左に捻って」

 

『よっと』

 

私の指示に一夏が動くと、私が作ったシミュレーター通りに攻撃が来て避ける。

 

「うん、シミュレーターの精度は完璧だね♪」

 

これなら一夏への回避指示は問題なし!!後は、勝利への道筋を見つけるだけ…

 

「一夏に教えてあげる…私達のwinning roadを!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、ほっ、あらよっと!!」

 

いちごから飛んでくる指示で、一夏は最小限の動きだけでレーザーをかわしていく。もっとも、彼女の攻撃がお手本通りのもので、狙いが読みやすいのでそれが無くても避けやすいが…

 

「ったく…散歩の途中でじゃれつくなよ。服が汚れちまう」

 

「この…!!でしたら!!」

 

攻撃が当たらず、一夏の煽りに冷静さを乱すオルコットは、機体名称の元であり、背部のウイングユニットに付いている、脳波コントロール型の4つの自律機動兵器【ブルー・ティアーズ】を展開する。

 

「なんだお前、子持ちだったのか!?ダンナは誰だ?てか、4人もいるとか……夜はずいぶんお盛んだな?」

 

しかし、それくらいで動揺する一夏ではない。むしろ、余計に煽りのネタを与えただけだった。ただ、少々卑猥な内容だが…

 

「な、ななななななな…!!なんてハレンチな!?」

 

「なに今さら清楚ぶってんだよ、このビッチ」

 

「く…!!だったら踊りなさい!!私とブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

その煽りに怒りではなく、恥ずかしさで顔を真っ赤にしたオルコットがビットを複雑な軌道で一夏へと飛ばしてくる。

 

『さすがに自律機動兵器4つの攻撃を口頭で指示するのは無理だから、モニターに行動予測映像と弾道予測線を見れる様にしたよ!!』

 

「あいよ!!」

 

そこにいちごのサポートが入り、彼の視界にビットの動きに残像が見えるようになる。だが、それはビクトリーなストライカーを装着した怪盗や、何処かのナイト・オブ・ワンみたく残像が先に動き、その後に本体が残像を追う様に動いており、更にビットの銃口からは時折赤い線が伸び、その数瞬後にレーザーが線に沿って通りすぎていく。これが【行動予測映像】と【弾道予測線】である。そのお陰でどの場所から攻撃が来るのか簡単に解るのだ。

 

「邪気の~♪遠吠えの~♪残音が~♪月下に呻き狂う~♪」

 

それに合わせて縦横無尽に攻めてくるビットを、一夏は師匠達の影響で歌いながら踊る様に回避する。ただし、円舞のような大人しいものではなく、もっと激しいブレイクダンスみたく片手で倒立しながらスピンしたり、筋トレみたいに腕立てやスクワットといった動きの組み合わせだ。

 

「全く、子供の躾がなってないな…そんなんじゃ、母親失格だぜ?」

 

「お黙りなさいッ!!男の分際で…男の分際で!!」

 

「やれやれ…子が子なら、親も親って事か…」

 

もはやヒステリック状態のオルコットにため息を吐き、攻撃の機を伺っていたら…

 

『一夏!!見えたよ、私達のwinning road!!』

 

「待ってました!!」

 

いちごからの勝利確定宣言が届く。

 

『彼女はビットを操作してる間、一切動けないの!!だからそこを狙うよ!!3秒後に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で、オルコットさんの真下から1m先に移動!!』

 

「了解!!」

 

言われた事に合わせ、一夏は回避の動きをしつつ準備を始める。

 

『3…』

 

いちごのカウントと共に、背中のスラスターからエネルギーを放出。

 

『2…』

 

レーザーを避けつつ、放出したエネルギーを再度取り込み…

 

『1…』

 

そして攻撃の合間から、クラウチングスタートの構えを取り…

 

『0!!』

 

「牙狼の光る牙は自らをも!!」

 

正面のレーザーが通りすぎると同時にスラスターを全快…瞬時加速を行い、地面スレスレを滑るように移動。指示通りにオルコットの真下から1m先に到達。

 

『そこから一気に上昇、オルコットさんの背後を取って!!』

 

「壊し、滅す、諸刃のよう!!」

 

その指示に一夏は再度瞬時加速を使用、オルコットの背後まで一気に近づく。

 

「なッ!?」

 

『そのままライトセイバーで、ウイングユニット上部を切り裂く!!』

 

「グリッドライトセイバー!!」

 

そして振り返りつつプライマル・アクセプターから伸びるレーザー刃【グリッドライトセイバー】を出し、指定された部位を切り裂くと、飛んでいたビットが大人しくなって地面へと落ちていく。

 

「私のティアーズがッ!?」

 

「剣は剣としか呼べぬのか!?」

 

一夏が破壊した場所…それは個々のティアーズへの指示を送る脳波コントロールの発信部分であり、そこが壊されたのでオルコットはビットのコントロールを失ったのだ。

 

「悪い子達も、親が怒られてる所を見れば大人しくなるだろ?」

 

『後は細切れにしちゃえ!!』

 

「ですが、ティアーズはま「知ってるよ…」」

 

オルコットが反転しつつ、腰に装備されている武装…ミサイル型のティアーズを放とうとするが、その前にグリッドライトセイバーによって切り裂かれ爆散する。

 

「まだ…!!」

 

「我が!!」

 

だがオルコットは諦めずにスターライトMkⅢを向けるが、それも3等分に切断される。

 

「インターセ…!!」

 

「名は!!」

 

何か武装を展開しようとするオルコットだったが、それよりも速く一夏は左腕をV字に動かし、彼女のISの手足を(生身スレスレの位置から)切り落とした。

 

「へ…?」

 

「夢を羽ばたく者なり!!」

 

それにより浮遊できなくなったオルコットは地面へと落下、舞い上がった砂煙が晴れると、倒れたままのオルコットが茫然とした表情でいた。

 

「何故こんな事に…私はいずれブリュンヒルデになる女のはず…」

 

「ブリュンヒルデ?お前が?辞めとけよ。射撃はお手本通りで避けやすいわ、相手の挑発には簡単に乗るわ、おまけに近接戦は下手くそときたもんだ…諦めろよ、向いてないって」

 

地面に降り立った一夏は、彼女の呟きにそう返すとキッと睨まれるが、既に攻撃手段のない達磨相手に臆する事は何もない。

 

「貴様ァ…!!」

 

「悪いが、そろそろ散歩は終わりだ」

 

一夏は両腕を大きく内側に回しながらプライマル・アクセプターにエネルギーを充填していく。

 

「グリッドォォォォォォォォ…」

 

「ま、待って!?私の機体は既にダメージレベルCで…!!」

 

その行動がなにを意味するのか分かったオルコットは慌てて止めるように言うが、オルコットのシールドエネルギーはまだ10%程残っているため、試合終了になることはないし、一夏も合図があるまで止める事はない。

 

そしてチャージが終わるとプライマル・アクセプターをオルコットに向け…

 

「ビィィィィィィィィィィムッ!!!!」

 

そこから金色の光線【グリッドビーム】を放ち、オルコットに直撃して大爆発を起こす。そして爆煙が晴れるとボロボロのISと絶対防御のお陰で無傷だが、その場に倒れているオルコットがいた。

 

『ブルー・ティアーズ、SEエンプティ。よって勝者、織斑一夏』

 

機械音声のアナウンスが彼の勝利を告げ、一夏は右腕を突き上げる。そして暫しの沈黙の後にアリーナ内に響いたのは…

 

『『『『『Boooooooooo!!』』』』』

「「「「「やった~!!」」」」」

 

小さな歓声と大音量のブーイングだった。




いかがでしたか?

今回出てきた3組のキャラはたまに出るだけで、レギュラーではありません。

それとこの作品の一夏は、師匠がシンフォギア装者達なので戦うときに処刑ソングを歌う癖があります。

次回は、やっと転生者相手との第一戦になります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。