魔女コウ物語   作:Kkekokawa

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中学生の時の遺産より。だから台詞が厨二なんです。言い訳です。
初投稿。頑張って続けます。


レレレ=ランス

1 レレレ=ランス

 

 天気のいい日にはこうして、外でお弁当を広げるのが一番。学校なんていう窮屈な建物の中じゃ味わえない。広いなだらかな草原の真ん中で、優しい風に吹かれながら、コウは一人すう、と息をいっぱいに吸い込んだ。夏にかけて力を蓄える命の香り、青葉の香り、コウが大好きな香りが、体中を巡る。午前の疲れが取れた気がした。

「きょうはぁ、サンドイッチぃ。」

 ふんふん、と鼻歌交じりに包みを解く。ころりと膝の上に転がり出てきたのは、小振りの瑞々しいリンゴが一つと、固めのパンにレタスとトマト、チーズを挟んだコウ特製のバケットサンドである。表面がこんがりするくらいに焼いて、中の自家製チーズがとろけたくらいが、コウの最も好む食べごろだ。

「フレイムブレス」

 つぶやき、サンドイッチに息を吹きかける。ゆっくりじわじわと全体的に。細かい調節が肝心。焼き加減は料理の基本。コウのこれが始まると、コウのペアであるキメラのハナコが、どこからともなく姿を現した。キメラといっても小さく、50センチくらいの蛇に鳩の羽がついたダブルである。本や教科書に載っているライオン、山羊、蛇のトリプルは、伝説も伝説、民間人の元に現れることなどあり得ないと言われる程に無い。

 コウは調理に限らず、器用に魔法を使う。自分の魔力の限界を知っており、また勉強しているからだ。反対に、例えばコウのクラスメイトであるランスはよく失敗していた。彼女、レレレ=ランスは学校で、落ちこぼれといかないまでも、かなり低い評価を受けていた。周りの生徒たちは、普段のランスの成績が低いことから、彼女の魔法力も低いと考えている。教師たちも、ランスは魔法が下手だと思っている。しかしコウは、ランスの魔力が人並み以上であることを知っていたし、魔法を使うことに関しても天性の才能があると思っている。何故ならコウは一度、この草原でランスがとても上手に魔法を使うのを見たからだった。

 ハナコが膝上でリンゴをかじり始めた。食事中はあまりお喋りをしたがらない点でもコウとハナコは似ている。コウは焼きたてのサンドイッチをかじりながら、ランスとの出会いを思い返すのだった。

 

 それは、コウとランスがレンデアの国立学校の中学部に入ったばかりの頃。それまで同じ小学部に通いながらお互い特別に意識もしていなかった二人が、その年、初めてクラスメイトになった。入学から数日が経ったある日。きれいに晴れた日の、夕方。コウは図書館に入り浸って下校時刻に気がつかず、見回りの先生に促され慌てて学校を後にしたところだった。本来ならば下校路に指定されているなだらかな丘の合間のうねった道を使うところだが、この日は普段より遅い時間の下校だったこともあり、ショートカットとして手入れされていない草だらけの丘を突っ切ることにした。膝まである草をかきわけかきわけ、なだらかに連なる丘のなかでも少し勾配のある丘を登りきると、急に膝元の草が消えた。コウは夕日に目を細めたが、猿を連れたシルエットは捉えていた。遠目でも分かった。それはランスだった。

 

 なだらかな丘の連なりの中、一際小高い丘の上に、ランスは自分のフィールドを形成していた。ランスの周り半径数メートルは、靴底が少し埋まる程度の長さにに草が刈り取られていた。踏むと草の柔らかさが感じられ、夕立があったのだろう、切り口から湿気を含む独特の青臭さが漂っていた。まだ切り口の新しい草のクッションの真ん中で、ランスは傍らに自分のペア猿のクリスを置いて、魔法の練習をしていたのだった。

 

 目が夕日の逆光に慣れてくると、コウはその場で、ランスの様子をまじまじとみつめた。ランスは、コウがランスの後ろからフィールド上に姿を現したのに気づいていない様子だった。両手を前にまっすぐ突き出している。大きなボールでも受け止めるみたい、とコウは思った。その後ろ姿から真剣な空気が伝わり、ランスが意識を集中しているのが分かった。邪魔したくないと思った。しばらくその場でじっとしていると、やがてランスの正面、肩の位置に何かが浮かび上がり、淡い光を放ち始めた。コウの位置からは、それが何なのかはっきりとは見えない。ただ、ペンダントだ、とコウは思った。クラスメイトの誰かが、普段からペンダントを身に付けていた気がする。法具は授業で使用する場合もあるので校則に禁止と書かれてはいないが、ペンダントを持ってくるクラスメイトがいると話すと、コウの両親は顔をしかめた。扱い切れない分不相応な法具をアクセサリーの様に身に付けるなんて真似は格好悪い、授業のない時はするなよ、ということを言われた。持っていきたい気持ちも分かるけどね、とも言われ苦笑された。その発言や苦笑に思春期盛りの自分が何を思ったかはあまり覚えていないが、5年経った今、当時自分は幼かったなといろいろな場面で感じている。

 結論を言うとランスの胸元のそれは間違いなくペンダントで、ランスの魔法に反応しているのだった。と、突然ランスが突き出していた腕を今度はまっすぐ空へ向けた。

「・・・いかずちっ!」

 ランスが叫ぶと、形作っていたその両手に、光の球体が一瞬で形成された。ポンチョ型で羽織るタイプの制服の上着と、肩まで伸びたランスの黒髪は吸い上げられる様にその球体に向かって逆立っていたけれどそれも一瞬。ランスはすぐに、ばちばちと音をたてるそれを地面に向かって勢いよくたたきつけた。ばちりと一度だけ音をたて、それは地面へと吸い込まれていった。




みなさん沢山書いてらっしゃるんですね。文字数にしてショック。これは、更新遅れるかもしれません・・・
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