ある日、君に一目惚れした。   作:深き森のペンギン

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第10話 役得

いつもは燐子が隣にいてとても幸せな授業中。

 

だが今日は違う。何故なら燐子が風邪をひいて今日学校を休んでいるからだ。

 

午前の授業中、ずっと授業の内容など一切考えず、燐子大丈夫かなぁ~と燐子の心配しかしていなかった。

 

「桐島!桐島!早く読め!」

 

「え?何のことですか?」

 

「お前はふざけてるのか!教科書56ページの4行目からだ。分かったか!」

 

「あ~、はい。すみません今読みます。」

 

まさか僕が当てられてたのか。気づかなかった。いつもはこんなこと無いのに。

 

午前の授業からこのようなことが3回ほど続いた。

 

今は休み時間。

 

「桐島君。大丈夫ですか?」

 

「うん、君誰?」

 

「失礼ですね。私は氷川紗夜です。覚えておいて下さい。」

 

「ハイハイ氷川さんね。覚えたけど、僕に何のようだ?」

 

「今日白金さんお休みですよね。それでプリントを持って行きたいのですが白金さんの家が分からないので桐島君も一緒に来てもらおうと思って。」

 

「ああ、その事か。僕も喜んで行かせてもらおう。」

 

「喜んでって貴方本当に白金さんの事好きなんですね。」

 

「当たり前だ。」

 

このあと、久しぶりに一人でお昼を食べた。

 

午後の授業を乗りきり、ようやく放課後になった。

 

「桐島君。いきましょうか。」

 

「そうだな。」

 

燐子の家に向かう途中、氷川さんにとある素朴な疑問を持ったため、確かめてみた。

 

「あの、氷川さんってギターやってる?」

 

「やってますけど、何故貴方がそれを?」

 

「僕ライブハウスでバイトしてて、ライブの時に見たから、かな。その時顔はよく見えなかったけど、髪の色的にそうかな、と思って。」

 

「そういえばライブの時受付に居ましたね。あれ桐島君だったんですか?」

 

「そうだよ。その時メガネ着けてたよね。僕。」

 

「メガネつけるだけで大分印象変わりますよね。貴方。」

 

「よく言われるよ。」

 

こうして雑談をしていると、氷川さんが前回のライブの後、バンドを辞めたこと。

 

ある人にスカウトされたことなどを聞いた。

 

燐子の家に着いた。

 

僕がインターホンをおすと、燐子に良く似た美人さんが出てきた。

 

「あら~燐子のお見舞いに来てくれたの?あの子も喜ぶと思うわ。だってあの子寝言で優君。ってよく言ってるのよ。そこのイケメン君がその優君ね?」

 

「あ、はい。」

 

「優君のお陰で毎日燐子が幸せそうな顔で学校に行くようになったのよ。ありがとうね。さ、上がって上がって!」

 

「ありがとうございます。」

 

こうして、燐子の家に上がった。

 

すると、燐子の母さんが、

 

「急に仕事が入ったから、行ってくるわね。うちの物何でも使っていいから。あと燐子の事、よろしくね?」

 

「あ、はい。」

 

行ってしまった。

 

「行ってしまいましたね。桐島君。」

 

「どうする?」

 

「まず白金さんの部屋に向かいましょうか。」

 

「そうだな。」

 

こうして僕達は燐子の部屋に向かった。

 

僕は部屋をノックした。

 

すると中から、誰?と声がした。

 

「僕だよ、燐子。優だよ。」

 

入っていいよ。と声がしたため、中に入った。

 

「大丈夫か?燐子。」

 

「今日のプリントを持ってきました。白金さん。」

 

燐子はマスクをしていた。

 

「ありがとう。優君。氷川さん。」

 

燐子がそう言い終えた時、グゥ~っと音がなった。

 

「ちょっと、お腹すいた…かな。」

 

「安心しろ燐子。何かリクエストはあるか?」

 

「食べやすい物が…食べたいかな。」

 

「オーケー。作ってあげるよ。」

 

「それでは私も作ります。」

 

「おお、それは助かる。」

 

こうして、僕と氷川さんはキッチンに移動した。

 

「桐島君って料理出来るんですか?」

 

当たり前だろう。僕だってお菓子づくりだけしてきた訳じゃないんだ。

 

「ああ、出来るよ。大体の料理は出来る。氷川さんは?」

 

「私は、人並みには。で、何を作ります?」

 

「そうだな、お粥はどうだ?」

 

「いいですね。そうしましょう。」

 

お粥を作ることになった僕達は、お粥作りに取りかかった。

 

取りかかった、といっても簡単なので直ぐに終わった。

 

正直、燐子のためならどんなことだって出来る。

 

その証拠に今回のお粥はこれまでで最高の出来となった。

 

「お待たせ、燐子。お粥出来たよ。」

 

「優君、氷川さん。ありがとう。」

 

「さあ、食べてみて。」

 

燐子はレンゲを持ったが、手が震えていて、落としてしまった。

 

「優君。…氷川さん…ごめんなさい……。」

 

燐子は泣き出してしまった。

 

「安心しろ、燐子。口を開けてくれ。」

 

僕は燐子を抱き寄せ、レンゲでお粥を取って、燐子の口に運んだ。

 

「美味しい。こんなに美味しいお粥、初めて食べた。」

 

「燐子。まだまだあるぞ。」

 

こうして、燐子の気が済むまで、お粥を食べさせた。

 

そう、僕達は誰かを忘れている。

 

「この人達、完全に自分達だけの世界に入ってますね。このまま見てるのも恥ずかしいし、もう帰りましょうか。」

 

忘れられている氷川さんが帰ったことも知らずに僕達は少し話した。

 

僕が帰ろうとしたとき、燐子が、

 

「優君…もう少し、ここにいて?」

 

可愛すぎる!そんなの断れるわけないだろう!

 

よって、僕は燐子の側に座った。

 

「優君。大好き。」

 

そういって、燐子は眠りに着いた。

 

改めて燐子の顔は、この世界のどんな景色よりも、どんな美術品よりも、どんな音楽よりも美しいと思った。

 

あれ、これって役得じゃね?

 

嬉しすぎて頬が緩む。

 

幸せそうな燐子の顔を見て、僕も幸せな気持ちになって、帰路に着いた。

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