ある日、君に一目惚れした。   作:深き森のペンギン

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第12話 人は見た目じゃない

僕は今小腹が空いたため、コンビニに向かっている。

 

そこのコンビニには、長い付き合いでも全く読めない曲者幼馴染みがバイトしているコンビニである。

 

知り合いがいると色々と楽だ。

 

例えば、僕はコンビニのおにぎりは絶対に温める派の人間である。

 

でもそれをいちいち言うのがめんどくさいと感じる人間でもある。

 

そういう時に、知り合いがいると言わずに温めてもらえるから便利なのである。

 

こうしていると、コンビニに到着した。

 

ただし、一つ誤算があった。

 

モカがいなかったのである。

 

僕には苦手なものが沢山ある。

 

その一つが、ギャルである。

 

マジかよ…あのギャル店員しかいねーじゃねーか。

 

怖い。もう帰ろうかな。

 

マジで怖い。

 

いや、僕は怖がることを止めたじゃないか。

 

よし入店だぁ~!

 

とコンビニに入るのに謎の自分との戦いを繰り広げていたことはさておき、いざ入店すると、その店員がいらっしゃいませ~としっかりと挨拶してくれた。

 

やはり僕はビビりなので、足をガクガク震わせながら、軽く頭を下げた。

 

ヤバい。マジで怖い。

 

目的はおにぎりだ。

 

おにぎりを買って帰るだけ。

 

あの店員はモカだと思えばいいんだ。

 

…いや、無理だわ。

 

さすがにモカは無理だ。

 

一人でもヤバいってのに心の中とはいえ二人になったらあのギャル店員よりも怖い。

 

よし、あの店員を木だと思えば…って店員どこだよ!

 

何なの木が接客って、怖いわ!

 

あの店員より怖いわ!

 

…ってあれ?

 

あの店員そんなに怖く無いんじゃ……

 

そうだな、ただの客と店員の関係だ。恐れることはない。

 

意を決してレジに向かった。

 

「これ…お願いします。」

 

「はい、おにぎりは温めますよね?」

 

「ハ…ハイィ!」

 

声が裏返った。

 

まさか覚えられてたとは。

 

ギャル店員、恐るべし。

 

「でも…どうして僕のこと知ってるんですか?」

 

「知ってるも何もいつも来てますよね?」

 

マジかよ…もうここ来れねえわ。

 

どうしよ。ここが最寄りのコンビニなのに。

 

「あの、貴方がいつもモカのレジでよく話してる優兄って人ですよね?」

 

「あ、ハイ。そうですけど。」

 

名前まで知られてた…だと!

 

終わった。

 

もう改名しよ。

 

でもそれは名付けてくれた両親に悪いな。

 

よし、こうなったら条件をフェアにしてやる。

 

「あの、貴女は何て言うんですか?名前。」

 

「アタシはリサ、今井リサだけど、まあ、リサって呼んで?」

 

あれ?この人って普通にいい人じゃね?

 

「じゃあ改めて、僕は桐島優です。優でいいですよ。リサさん。」

 

「オッケー。じゃあ優で。後同い年だから、敬語は要らないよ?」

 

「え、そうなのか?てっきり大学生くらいかと思ってた。」

 

「いやいや、アタシ高2だよ!」

 

「そうだったのか。いや~色々ごめんな。さっきまでめちゃくちゃビビってた。正直言って。リサっていい人なんだな。」

 

「ええ~、そうなの?なんか薄々気付いてたけど。だって挨拶したら足ガクガクさせて死にそうな顔になってたし。」

 

「僕、そんな顔してたの?」

 

「うん、しかもおにぎりの棚の前で頭抱えてたし。多分だけどアタシの事を心の中でモカだと考えようとでも思ってたんでしょ?」

 

「その通りでございます。この度は誠に申し訳ございません。」

 

「いやいや、いいよ。全然気にしてないし。」

 

「そうなのか?ならありがとう。」

 

こうして、少し話しながら会計を終えて僕は帰路についた。

 

今日、僕は一つ、とあることを学んだ。

 

人は見た目じゃないってことだ。

 

その事を教えてくれたリサに感謝だな。

 

その後食べた温かいおにぎりはめちゃくちゃ旨かった。

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