第15話 W主演
僕は、いつものように朝学校に到着した。
すると燐子が高槻さんと話していた。
すると、高槻さんがチラリと僕の方を見た後、燐子に耳打ちして、それに燐子がうなずいたことで、高槻さんが去っていった。
「どうしたんだ?燐子。」
「ううん、何でもないよ。大したことじゃないから。」
そうなのか。ならよかった。てっきり高槻さんが燐子の事を脅しているんじゃないか。そう思ったから確かめたが、特に何もなくてよかった。
「そうか。ならよかった。」
こうして、放課後になった。
僕は今日演劇部の部室に行くので燐子と一緒に帰れない。
その事を燐子に言わなければならない。
「燐子。今日僕用事があるから一緒に帰れない。だから先に帰ってて。」
「うん。わかった。じゃあ先行くね?」
こうして、燐子が教室を出ていった。
僕は演劇部の部室に向かった。
ドアを開けると、高槻さんと他の部員がいた。
「こんにちは。演劇部の部室ってここであってるかな?」
「あってるよ!」
後ろの方でなにやら声が聞こえる。
どうやら、僕の相手役、つまりジュリエット役の人がメイクをされているっぽいようだ。
「あ…あの、桐島先輩。メイクするのでついてきて下さい。」
どうやら僕はメイクの子に怖がられているようだ。
さっきから目を合わせてくれないし、僕がそっちを向くと少し悲鳴を上げて別の方向向くし。
「優花。何イケメンに照れてるの。これから優花のメイクでもっとかっこよくするんでしょ?」
「高槻先輩…それはそうですけど、素材が良すぎてどうメイクするかで頭がいっぱいなんですよ。」
成る程、怖がられてはなかったみたいだ。
でもウチの演劇部、癖の強い人しかいないみたいだし。
さっきから向こうのメイク室でも女子生徒の変な声がするし。
でこの演劇部に男子居ないの?
と思ったので聞いてみた。
「高槻さん。この演劇部って男子居ないの?」
「男子はいるけど皆大道具の製作に取りかかってるよ?」
「そうなんだ。じゃあロミオの役はその男子の誰かにすればよかったんじゃないか?」
「いやいや、最近全学年の女子から人気があって話題性もある桐島君がやった方がいいでしょ。」
そうだったのか。僕ってそんなに人気あったのか。
別に要らないけど。
「そういう物なのかな。まあいいや。」
「桐島先輩。メイク行きましょう!」
さっきまでおどおどしてた優花さんが急に自信満々になったんだが。
アレか。一つの事においては最強みたいなアレか。
こうして僕達はメイク室に向かった。
なかなか綺麗なメイク室じゃないか。
うん。いいね。
「あの、これ読んで待ってて下さい。」
渡されたのは台本だった。
僕は台本に目を通していると、メイクが始まった。
優花さんはやっぱりメイクにおいては最強だった。
僕が台本を半分も読み終えない内にメイクを仕上げてしまった。
しかも超クオリティ高い。
もうプロのメイクさんとして生きていけるんじゃないか。そう思った。
鏡を見ると、これが本当に僕なのか?と言いたくなるくらいのイケメンがいた。
こうして、部室に戻ると、ここにはいないはずの人が居た。
「何で燐子がここにいるの!?後めちゃくちゃ美しい、美し過ぎる。もう僕ここで死んでもいい。」
「優君死なないで!?あとかっこいいよ。王子様みたい。」
「でもどうして燐子がここに?」
「私も今朝高槻さんに誘われたんだけど、いくら演技でも優君以外に恋はしたくないって言ったら、ロミオ役が優君だ、って言われて。快く。」
「そうなのか。なんか照れるな。」
「それは私が桐島君のことを配慮してあげてのことだよ?感謝は?」
こればかりは高槻さんに感謝だ。
僕も燐子と同じ気持ちだったから。
たとえ演技でも燐子以外に恋はしたくないからな。
こうして、僕達による、『ロミオとジュリエット』の稽古が始まった。