僕は本当に白金さんの事が好きだ。
でも、もう白金さんは恋焦がれている人ではなく、ただの仲の良い友人だ。
そうしよう。
そう思うしか無いんだ。
そう思わなきゃ、やってられない。
「おはよう、桐島君。」
「ああ、おはよう。白金さん。白金さんって、ゲーム好きなの?」
「うん。よく…やってるかな。例えば、NFO…とか。」
「そうなんだ。僕もNFO、やってるんだ。プレイヤーネームは?」
「RinRinって名前だけど。桐島君は?」
「ペルセウスって名前だけど。」
「もしかして、あのペルセウスさん?」
やっぱりか。
「てことは白金さんが、RinRinさん?」
こんなことってあるものなんだな。
これまで向こうからすればただのクラスメイトだったと思ったら、何年も一緒にプレイしてきた、仲間だったなんて。
繋がりなんて、ずっと前から有ったじゃないか。
とても強い、繋がりが。
こうして、僕達の話すネタがまた増えた。
そして帰り。僕が下駄箱を開けると一通の手紙が入っていた。
それは、ラブレターだった。
「桐島君。それ、何?」
「いや、何でもない。イタズラみたいだ。場所が指定されているから、こんなイタズラは止めるように、ガツンと言ってくるよ。」
僕は、こんな自分が嫌いだ。
白金さんには、好きな人がいるって言うのに。
何でなんだ。
僕はどうしようもない男だ。
散々自己嫌悪しながら、校舎裏へと向かう。
一人の女子生徒がいた。
「あの、桐島先輩の事が、好きです!私と付き合って下さい!」
「気持ちは嬉しいよ。でも、その気持ちに答えることは出来ない。何故なら僕には好きな人がいるからだ。すまない。」
僕はこんな自分から逃げるように帰路に着いた。
すると、僕の少し前を白金さんが歩いていた。
僕は、小走りで白金さんのところに追い付いた。
その時、僕は、胸が苦しくなった。
何故なら、白金さんが泣いていたからだ。
「どうしたの?白金さん。」
「ーーの?彼女さんの所に行かなくていいの!」
僕は、これまで一度も聞いたことがない、白金さんの大きな声を聞いた。
「え?なんのこと?」
「とぼけないで!さっき告白されてたんでしょ!」
「ああ、されたけど。断った。」
「え?」
「嘘を着いたのは謝る。でも何で白金さんが怒ってるんだ?」
「そんなの…桐島君の事が好きだからに決まってるじゃない!」
「かっこよくて、私のことを守ってくれるし、優しくていつも私のことを気遣ってくれて、笑顔のかわいい…そんな桐島君の事が、大好きだからに決まってるじゃない!」
え?
嘘…だろ?
夢じゃ無いよな?
僕は両手で自分の頬をおもいっきり叩いた。
めちゃくちゃ痛い。
夢じゃ無い!
なら、覚悟を決めろ!桐島優!
「僕からもいいか?」
「え?」
「僕は、白金さんの事が好きだ。友人としてではなく、一人の女性として。中等部の頃から、君に夢中だった。君のことしか見えてなかった。だから…僕と付き合ってくれないか?白金さん。」
「はい。こんな私で良ければ。」
白金さんは、泣いていた。
でも、さっきのような、
悲しい涙ではなくて。
幸せに満ちた、
とても美しい、
涙だった。
こうして、僕達は手を繋いで帰った。
決して長くはない道のりだったが、この時が、永遠に続けば良いのに。
そう思った。
幸せそうに笑う君に、
僕はこの日、もう一度君に一目惚れした。