着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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97話 : 怒る龍と砲撃戦と拒む腕

戦闘中、ラミアモアーズに向かって突っ込もうとする山風を止めようとした一条と五月雨の前に、アバリシアの1体・クルイが出現。

 

一条の提督としての能力を評価しつつ、その力を自分のために使えと引き込もうとしたクルイだったが、交渉の最中、バースに変身した後藤慎太郎がバースバスターをクルイに向けて発砲。牽制したのであった。

 

 

『ッ……、何のつもりだ……君?』

 

平静を装おうとしてはいるが、声は微かに震えており、怒りを抑えているのは明らかだった。

 

 

「後藤さん……!?」

 

バースの起こした行動に、オーズも驚きを隠せない。

 

そんな中、バースは平然と言い放った。

 

 

「悪いが……お前は俺の尊敬する上司たちの足下にも及ばない。俺は、俺たちの目的のためにお前を倒す!!」

 

 

この言葉に、龍驤たち艦娘は胸の内より込み上げてくるものを感じた。

 

 

「後藤の奴……変なもんでも食ったか?」

 

「アンク…それ、すっごい失礼だぞ!?」

 

一方、艦娘たちの士気を高めたであろうバースに対するアンクの発言をオーズが諌めるが。

 

「火野!山風を早く!!」

 

「は、はい!!」

 

バースに背中を押される形で、オーズはラミアモアーズの下へ向かおうとする山風を追いかけた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「フフフ……。欲を生む以外に能の無い下等生物が、頭に乗るなッ!!」

 

怒りを露わにして、クルイは炎の矢を放った。

 

「ッ!!」

 

その攻撃範囲は広く、バースやオーズだけでは防ぎきれない。

 

 

しかし……

 

《STRIKE VENT》

 

『ギャアアアアアァァン!!!』

 

「だあああぁぁぁっ!!」

 

 

深紅の龍・ドラグレッダーがミラーワールドより召喚され、ドラグクローを装備した龍騎と共にドラグクローファイヤーを放った。

 

「城戸!」

「城戸さん!」

 

「奴の言ってる事とか、後藤たちの話はさっぱり分かんねえけど……でも!これだけはハッキリ分かる!」

 

 

一呼吸置くと、龍騎はドラグクローをクルイに向けて突き出し、構えた。

 

 

「ヤツは、“俺たちが倒さなきゃならねえ敵”だってな!!」

 

 

そこに青葉も並び立ち、ドラグレッダーも唸り声をあげる。

 

「先輩!青葉も加勢します!!」

 

『グルルル……!!』

 

龍騎としては、得体の知れないクルイの相手をさせたくなかった。

しかし、ヴァイスとの戦いを機に、何があっても共に戦うと言ってくれた青葉の覚悟も無下にしたくない。

 

なので

 

「……分かった。けど、ヤバくなったらすぐに他のみんなと逃げなよ?」

 

「逃げる時は先輩も一緒ですよ?」

 

 

それでも万が一の時には、青葉や他の艦娘だけでも逃がせるよう名案を出したつもりだったが。

真司を慕う青葉の心に、逃げるという選択肢は無かった。

 

 

「……じゃあ、最後に一つだけ。―――死ぬなよ?青葉!!」

 

「ガッテンです!真司さん!!」

 

 

 

バース、龍騎。そして青葉と各鎮守府の連合艦隊による迎撃作戦が始まった。

 

 

 

 

『モット……モット、アイシテェ……!!』

 

巨大になり過ぎたため、抱きつく対象が無くなったものの、それでも欲望は膨らみ続けるラミアモアーズは、目についたビルを抱き込もうと移動を開始した。

 

 

それを追いかけ、無謀にも一人で相手取ろうと山風が追い続ける。

 

 

「やらなきゃ……私がやらなきゃ……」

「山風ちゃん!!」

 

そこに、オーズがライドベンダーで追いかけてきた。

 

「ひぅ……!てい……とく……」

 

「良かったぁ……間に合って。さぁ、みんなの所へ戻ろう?あんなデカい奴を一人で相手にするなんて……」

「やだ……」

 

「………え?」

 

 

山風の無事に安堵し、手を差し伸べるオーズだったが、山風はそれを拒んだ。

 

「私がやらなきゃ……また、役立たずになっちゃう………。ちゃんとやるから………おねがい……」

 

恐怖で震えるその小さな身体に、入渠して尚消えていない傷痕をオーズ―――映司は見つけた。

 

 

「…………」




次回……


火野映司、艦娘・山風に『提督命令』を出します。

人気投票その8

  • 後藤慎太郎
  • 龍驤
  • 愛宕
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