着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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朝晩ともに、ますます冷え込んで参りましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?

体は寒くても、心は自分の好きなものへの想いでアツくしていきましょう!!


111話 : 突撃

クウガと天龍たちがベギマに追い詰められていた頃。

 

一条たち突撃班の下に、杉田や那智らガス弾使用部隊が到着した。

 

「すまない、待たせた!」

「いえ」

 

「深海棲艦のものと思われる、艦載機の襲撃を受けてな。幸い、赤城と加賀が護衛に付いてくれたお陰で、被害は最小限に抑えられたよ」

 

杉田の言葉に合わせて、一条たちが視線を移すと、加賀と別にもう一人、艷やかな茶色の長髪に赤い袴という大和撫子の艦娘―――空母艦娘《赤城》が同行していた。

 

 

「出過ぎた真似を致しました」

 

赤城が何かを言おうとするよりも先に、加賀は一条に頭を下げた。

 

「いや、寧ろ礼を言わせてくれ。二人共、よくやってくれた」

 

一条の言葉に、赤城と加賀は嬉しそうにはにかんだ。

 

 

「……しかし。こうも静かだと、未確認たちのアジトに突入した時のことを思い出すぜ。あの時は結局、取り逃がしちまったからなぁ……」

 

 

妙高、那智、足柄が隊員たちと共に装備の最終チェックをしている中、杉田が言葉を洩らす。

 

それに対し

 

「問題ありません。奴らは必ず居る……そして、我々は必ず捕らえることが出来る。今日までに人事を尽くしてきた、それを実行に移す時です」

 

警察犬訓練士の緑間が、眼鏡をくいっと上げながら反論した。

 

「あ…いや。これは失礼……」と杉田が謝罪すると、此処で吹雪が緑間に尋ねた。

 

「あの……ところで、その手に持ってるのは何ですか?」

 

緑間が手にしている、玩具のミニカーを指差す。

 

「ラッキーアイテムです」

 

吹雪の質問に対する答えも、簡素なものだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

荒川区内 01:51 p.m.

 

 

ベギマに大敗し、逃げられてしまった天龍たちの下に、長門が応援に駆けつけた。

 

 

「天龍、みんな!大丈夫か!?」

「長門……」

 

艦隊一同、大破の状態で体も衣服もボロボロ。

長門の呼びかけに対する、天龍の声はすっかり力を失くしていた。

 

「長門さん!」

「五代、君も来ていたのか!」

 

「長門さん、あの人とお友達なんですか?」

「電が聞いた話では、揚陸侵艦が出現した最初の事件からのお知り合いらしいのです」

「そういう電だって、あの人のこと知ってる風じゃない」

「電が知ってるのは五代雄介さんであって、クウガについて知ったのはつい最近なのです!」

 

雄介と長門の会話を眺めながら、暁と大潮は電と話しだす。

 

 

「ほれ、チミっ子ども!鎮守府へ帰投するぞ?」

「あ、長門さん!」

「五代、今度はなんだ?」

 

「ちょっと、別行動していいスか?」

「………うん、分かった。提督に伝えておこうか?」

「いや、向こうに着いたら直接話しますよ」

 

 

サムズアップ。

 

長門のみならず、電や天龍たちにも笑顔を向けた後、損傷具合を確かめるため、一旦抜いていたドルフィンアクセラーを、再び本体右サイドにセット。

スロットルを吹かし、一条たちの居る品川区へと向かっていった。

 

「………」

 

雄介の背中を見送った後、天龍は雄介からもらった名刺を眺める。

 

 

「“夢を追う男”………。はん、アホくせ……」

 

破り捨てようとしたが、瞬間、雄介の別れ際の笑顔とサムズアップが鮮明に甦り。

破くことが出来なかった。

 

「………暁、コレやるよ」

「えっ……でもコレ、天龍が貰ったやつじゃ…」

「いーんだよ。俺は要らねえから」

「………」

 

そのやり取りを、響は静かに見ていたのだった。

 

 

 

一方。

 

揚陸侵艦のアジトは、一条ら警察と艦娘の合同部隊に包囲されていることを知り、騒然としていた。

 

 

「カイリド・リントゾログ・ラパシゾ・バボンデ・デギス!」

 

事態を報告したのは、上半身裸の上から白いファー付きの黒ジャケットを羽織った、色白の肌にスキンヘッド、サングラスなど、スポーツインストラクターのような出で立ちの男だった。

 

「バゼザ!ゾグギデ・パバダ・ダ!?」

 

これには、流石のクマ男も苛立ちを隠せない様子で、声を荒げる。

 

そして、こんな状況にあっても、桜のタトゥの女は冷静……否、冷酷であった。

 

 

「ガバリ……ゴラゲベ?」

「バンザド…!?」

「ゴラゲンビ・ゴギグ・カイリド・リントゾログ・ガゴギボンザ・ボザ」

 

ガバリと呼んだ、カバ男を責めるような言い方に、当のガバリ本人は納得いかない様子。

 

それに対し、黒フードの少女はゲラゲラと笑っていた。

 

「アッハハハ!クセーノカ?クセーンダナ!アッハハハハハハ!!」

「ザラセッ!!」

 

青筋を立てながら怒鳴ると、ガバリはテーブルに置かれていたボードを手に取った。

 

「リント・ロカイリロ・リバボ・ソギビギ・デジャスッ!!」

 

鼻息荒く、ボードを何かしらに使おうとしていることは明白だった。

しかし、それを桜のタトゥの女とは異なる、妖艶な雰囲気の女が止めにかかり、二人はボードの取り合いを始めた。

 

 

そんな中、表ではガス弾投入部隊が指定された各ポイントに配置され、安全装置を解除したガス弾を中へ投げ込んだ。

 

「!!」

 

一同がその存在に気付いたとき、もう手遅れだった。

ガス弾が爆発し、室内を濃縮されたガスで満たしていく。

 

「ウッ!?ウオオオ…!!」

「バンザ・ボセパ!?」

「ウッゲ…ァッガ……!」

 

揚陸侵艦のみならず、謎の少女や女たちにも有効らしく、同様に苦しみだす。

 

「……ジャザシ・ビダバ」




かなりの難敵だったため、またも分割致します。

お楽しみの皆様、誠に申し訳ありません!m(_ _)m

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