着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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明けましておめでとうございます!
『着任先の新提督が色々とマトモじゃない。』連載1周年を経て、心機一転!連載とリアルと提督業、いずれも頑張って参ります!!


113話 : 対策

揚陸侵艦一味を一網打尽にするべく、行われた包囲作戦が失敗し、さらに追跡の要となる筈だった警察犬ハヤテ号の殉職に加え、《戦艦潜水鬼》ことメ・ベギマ・ギも取り逃がすなど、石ノ森鎮守府所属の一条艦隊と警視庁揚陸侵艦対策班の合同作戦は失敗に終わってしまった。

 

 

「申し訳ありません!過去の反省が至らず、また被害を出してしまいました……!」

 

山県に報告し、一条は深々と頭を下げながら謝罪した。

 

それに対し、山県は小さく首を横に振ると

 

「いやいや……お前独りが責任を感じることではない。今回の作戦は、揚陸侵艦との戦いなどが勢い付いてきたことによる、我々上層部側の慢心に原因がある。お前たち現場の者に非は無い」

 

「…はい……」

 

 

 

退室し、鎮守府へ戻ろうと廊下を歩いていた途中。

一条は資料を整理していた吹雪と合流した。

 

 

「司令官!天龍さんたちの入渠が完了したと、妖精さんたちから連絡が」

「そうか。基地に戻ったら、改めて報告を聞くと伝えてくれ」

「了解!」

 

「……すまない。本当なら、俺も提督として、彼女らと共に前線に向かわねばならない筈なんだが」

「そんな風に気にかけて下さるのは、一条司令官や火野中佐たち少数派の方々だけですよ」

 

 

そう言って微笑む吹雪に、一条も穏やかに笑顔を返すのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

石ノ森鎮守府 第1ドック 02:15 p.m.

 

 

無事に治療が終わった電と響は、先に入渠を済ませていた暁と大潮の二人と共に、改めて戦艦潜水鬼ことベギマの対策を話し合うことにした。

 

 

「あれが揚陸侵艦……直接戦うのは今回が初だけど、あんなに厄介だなんて聞いてないわ!」

 

開口一番、暁が愚痴りだしたのに対し

 

「でも、司令官は前から言っていた筈だよ?奴らが深海棲艦とはまったくの別物だということは」と響。

 

「陸戦に対応出来て、戦艦クラスの火力と駆逐イ級に似た、生きた装備も扱う……。あんな怪物、4号さんが来てくれなきゃ、私たち絶体絶命どころか、最悪轟沈しちゃってたよね……」

 

大潮の怯えた様子に、電も頷いた。

 

「五代さん……4号さんを追い詰めた程の強敵ですから、一刻も早く弱点を見つけて、被害の拡大を止めなきゃなのです!」

 

その言葉に、暁たちも同意見であった。

 

「そうだね。今、科警研とやらで夕張さんと明石さんが色々と調べてくれているらしい。私たちがすべきは、司令官たちと共に次の襲撃に備えることだ」

 

 

 

一方、同じ頃。

 

天龍は独り、リベンジを果たすべく出撃の準備をしていた。

 

 

「どこへ行くんだ?死に急ぎ娘」

「!」

 

天龍が振り向くと、そこには長門が。

 

 

「……決まってんだろ。あの揚陸侵艦を今度こそブチのめすんだ」

「それを死に急ぎと言うんだ、阿呆め」

「んだと、コラ!?」

 

鼻で笑う長門に、天龍は声を荒げた。

 

 

「どうせ戦いに行くんなら、その前に話でもしてみたらどうなんだ?―――会ったんだろう、彼と」

 

「…………電が言ってた、五代って野郎のことか?」

 

入渠中、生返事で流していた名前を思い出し、天龍は確認をとる。

 

「なんだ、勧められていたのか?にも関わらず戦闘を選ぶとは……お前も、とんだ戦闘狂だな?」

「うるせえ」

 

帰り際に渡されていた名刺を取り出し、天龍は雄介の顔を思い返す。

 

会ったところで何の意味がある?

 

自分の意思は変わらない。

邪魔をするなら、たとえ4号の正体が人間だろうと力ずくで黙らせるだけだ―――。

 

 

「…………チッ」

 

さっさと言い負かして、リベンジに行こう―――

そう思いながら、天龍は鎮守府を後にするのだった。

 

 

 

品川区内 02:21 p.m.

 

 

「そうか……。すまなかったな、せっかく加勢してくれたのに」

 

揚陸侵艦のアジトに残された品の回収が終わり、後の作業を杉田たちに頼んだ那智は、雄介からベギマ戦の概要を聞き、天龍の行為について謝罪した。

 

「いやいや!彼女はイナちゃんたちを守ろうとしただけですし、俺は気にしてませんよ」

 

 

そう言いながら笑顔で返す雄介に、那智は納得した。

 

 

なるほど、一条提督が信頼する訳だ。

同時に、雪風がここ最近、師匠が師匠がとはしゃいでいたが、おそらく目の前にいる彼のことなのだろうな……とも、理解した。

 

しかし……今はそれどころではない。

気持ちを切り替え、改めて問い質した。

 

「して……どうだった?例の…戦艦潜水鬼は」

 

那智の問いに対し、雄介はコバンザメ型の兵装に咬み付かれた肩を押さえながら、ベギマの手強さを思い返した。

 

 

「―――強かったです。今までの連中と、比べ物にならないくらい」

「そうか………」

 

「うーん……青い艤装のクウガじゃ、火力が足らないだろうし……緑のクウガは50秒しか保たないし……。赤いクウガじゃ、ヤツの体が柔らか過ぎてパンチやキックを無効化されちゃうし………」

 

 

その時。

 

雄介はかつての戦いと、カイリの碑文にあった《紫の力》についての記述を思い出した。

 

「そうだ―――“剣”!!」

「剣?」

 

「はい!今、解読をしてもらってる石板の碑文の中に、剣と艤装を持った戦士について書かれた記述があるっぽいんです!それが何なのかさえ分かれば……」

 

「!……すまない、通信が……もしもし?」

 

その時、那智のスマホに長門から連絡が入る。

 

「了解した。では、そのまま落ち合うよう伝えておこう……うむ、承知した」

 

「どうしました?」

「天龍……えっと、貴殿を斬り捨てようとした軽巡洋艦のことだが…彼女が、貴殿と改めて話をしたいとの事だ」

 

「分かりました。それで、待ち合わせ場所は?」

「警視庁にある、鍛錬場で落ち合おうとの事らしい」

「分かりました」

 

 

時は少し(さかのぼ)り、ポレポレ。

保育園に居る鹿島からの電話を、玉三郎は受けていた。

 

「どした、鹿島っち?――え、雄介?なんか、警視庁に行くとか言ってたけど……また免許の書き換えとかかねえ?」

『そうですか……ありがとうございます』

 

「あ……そんだけ?――そう、うん……分かった」

 

 

 

「取り込み中……か。俺も、洗濯物取り込まないと……」

 

電話を切ると、入店した客に気付かぬまま、洗濯物を取り込みに向かうのであった。




次回、刃の心を持つ艦娘と盾の心を持つ艦娘が、青空の心を持つ戦士と改めて心を交わします。

果たして、彼らはどのような答えを見つけるのか?

今年もよろしくお願いします!m(_ _)m

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