着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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シナリオが……頭の中で構築されては、あーでもないこーでもないと崩れていく……おのれディケイド(八つ当たり)


115話 : 理由

雄介が天龍と稽古を始めた頃。警視庁鎮守府から石ノ森鎮守府へ帰還した一条は、先程夕張に頼んでいた、犯行現場に落ちていた謎の破片について分かったことが無いか、工廠へ立ち寄っていた。

 

「あ、提督!そろそろいらっしゃるだろうなと思ってました!」

「破片について、何か判明したのか?」

 

一条の問いに、夕張は頷く。

 

「パッと見た感じでは、ただの弾薬か戦艦潜水鬼の艤装の欠片かと思ったんですが……調べた結果、確かに戦艦潜水鬼の艤装の破片でした。恐らく、砲撃ではない方法で殺人を行った際に落ちたものと思われますが………」

「他に何かあるのか?」

 

「これは……戦艦潜水鬼が装備している艤装は、とんでもなく危険な代物であることが判明したんです」

「どう危険なんだ?」

 

「簡単に言いますと、潜水艦に戦艦の装備を無理矢理取り付けて運用している為、極めて不安定な状態にあるんです」

 

「…なんだって………!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

警視庁鎮守府 鍛錬場 03:17 p.m.

 

 

()ェ――ンッ!!」

 

防御の構えを取ることなく、一歩一歩踏みしめて迫る雄介に対し、天龍はこれでもかと竹刀を打ち込んでいく。

 

(…んだよ、コイツ……なんで倒れねえんだよ!?)

 

 

見た目こそ華奢ではあるが、天龍は剣術において有段者相手でも互角に渡り合えるだけの力量とセンスを持っている。

故に、少しばかり調子に乗る事もあるにはあるが、今回はそういった油断をせずに、最初から全力で攻め込んでいる。

 

しかし……雄介は、何度面を打ち込まれても歩みを止めない。引き下がることも、避ける素振りすら見せないのだ。

 

(っ?まさか……この俺が、またビビってんのか?こんなヤツに!?)

 

雄介の進撃を止められぬまま、天龍は壁際に追い詰められてしまった。

 

 

瞬間

 

「ふん!!」

 

雄介は天龍の竹刀を打ち払い。

 

「めえぇぇぇんッ!!!」

 

 

鋭い一撃を叩き込んだ。

 

 

 

「……あ!雄介さん、天龍さん!?」

 

直後、鹿島が鍛錬場に到着。

 

彼女が目にしたのは、雄介が壁際に追い詰められた天龍に面を打ち込み、それによって天龍が態勢を崩し、倒れようとしている瞬間だった。

 

「天龍さん!!」

「ッ!!」

 

鹿島の叫びに反応した雄介は、咄嗟に竹刀を振るいながら踏み込み、天龍の背中を打つようにして引き寄せ、左手を添えるようにして抱き寄せて、転倒を防ぐことに成功した。

 

 

「天龍ちゃん?天龍ちゃん、大丈夫!?」

 

受け止めた雄介の呼びかけに、天龍は応えず。

無言のまま離れた。

 

「天龍さん……」

 

その様子に、鹿島はハラハラしてしまう。

 

……が、しかし。

 

「………また、余計なマネしやがって…」

 

面を取った天龍の顔は、耳まで真っ赤になっていた。

 

「良かったぁ……怪我は無い?」

 

それを見て、雄介は安堵の笑みを浮かべる。

 

 

瞬間

 

「―――!」

 

雄介の中で、新たな戦い方の『答え』が見つかった。

 

 

「雄介さん?」

「今度はどうしたってんだよ……?」

 

「天龍ちゃん!鹿島!俺、分かったよ!」

 

「???」

 

あまりに突然な発言の為、二人は首を傾げるしかなかった。

 

 

同じ頃。

 

暁・響・雷・電の4人から成る第六駆逐隊は、一条からの指示を受けて、戦艦潜水鬼が次に現れると予想される海域の見廻りを行っていた。

 

「司令官ったら、執務室に居ないで何をしてるのかしら?」

「暁。司令官は私たちの提督だけど、警察官でもあるのよ?海域を私たちに任せるってことは、それだけ私たちを必要としてくれてるってことじゃない!」

 

若干不満げな暁に対し、頼られることに喜びを感じる雷は嬉々としていた。

 

「電、五代さんと天龍さんは和解出来ただろうか?」

「響ちゃん」

 

一方で、響と電は雄介と天龍の事を案じていた。

 

「不安が全く無い訳ではないですけど……でも、五代さんならきっと大丈夫なのです!」

 

 

この時、電たちは誰一人、海面下から迫る影に気付かなかった………。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

剣道対決による戦術の模索が一段落した雄介と天龍は、鹿島が持ってきた手作りサンドイッチを3人で分けて食べていた。

 

「いやあ、ゴメンね?わざわざ差し入れ持ってきて貰っちゃって」

「いえ……私がしたかっただけなので」

「まさか、鹿島がコイツと知り合いだったとはな……」

 

 

見晴らしの良い、公園のベンチに腰掛けてモグモグと頬張る中、鹿島はどこか寂しそうな、怯えているような顔をしていた。

 

「……どうした?」

 

雄介が尋ねると、鹿島は立ち上がり、雄介たちから数歩離れ、内に秘めていた不安を口にした。

 

「雄介さん……私は怖い。なんとなくですけど…怖いんです。雄介さんが……雄介さんでなくなってしまうような気がして……!」

「………」

 

鹿島が抱いている不安や恐怖……それはかつて、みのりが雄介に打ち明けた悩みと同じものだった。

 

 

(どうなんだよ?4号さんよ……)

 

 

この時、天龍は雄介は『怖くない』と答えると思っていた。

あれほどに力の差を見せつけてくれたのだ、怖いものなどある筈が……

 

 

「俺だって怖いよ?」

「!?」

 

しかし、天龍の予想に反し、雄介の答えは『普通の人間』と変わらないものだった。

 

 

「怖いのに……戦うのかよ?」

 

意外過ぎる言葉に、思わず天龍も問いかけた。

 

すると、今度は雄介が質問してきた。

 

 

「天龍はどうして戦ってるんだよ?」

「!(今……天龍さんを呼び捨てにした?)」

 

「それは、艦娘は深海棲艦と戦うのが……」

「それは艦娘が戦う理由だろ?俺が聞きたいのは、《天龍が戦う理由》だよ」

 

「……俺?」

「……!」

 

キョトンとする天龍に、雄介はにっこりと微笑んだ。

 

「誰かの笑顔のためだろ?」




やっとここまで進められたぁ……(;´∀`)


やっと《紫のクウガ編》クライマックスに向けて進みます!!

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