着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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先日、28度目の誕生日を迎えました夏夜月です(ど〜でもいい報告w)


お待ちかねの《紫のクウガ》編、いよいよクライマックス!


117話 : 霊樹

有明海 戦闘海域付近 03 : 31 p.m.

 

 

「退避!退避ーっ!!」

 

《戦艦潜水鬼》ことメ・ベギマ・ギの捜索を行っていた、暁たち第六駆逐隊の援護をするべく、警視庁鎮守府の警官隊や大本営からの増援部隊が駆けつけたのだが

 

「フン」

 

案の定というべきか、ベギマの放つ生きた砲弾《駆逐獣弾》を始めとした高火力の前では、彼女の為に的を増やしているようなものでしか無かった。

 

「ジダダダゲズビ・ギギボ・ゼギブグギギレ」

 

母が幼子に対し、優しく叱るかのような声音で呼びかけながら、ベギマは無慈悲な砲撃を繰り返す。

 

 

「ひゃあんっ!!」

 

幸い、大きな損傷や死者は出ていないが、ベギマの放つ駆逐獣弾の対応に追われ、暁たちは逃げられない状態となってしまった。

 

「暁、電!大丈夫!?」

「だ…だ、大丈夫よっ!?いい、雷たちこそ大丈夫!?」

 

懸命に躱し、迎撃を続けてはいるが、弾薬もいつまでもは保たない。いずれ先刻のように弾切れを起こしてしまう。

そうなれば今度こそお終いだ。

 

「っ!……ちょっと待った。あれは……?」

「?」

 

響が指差す方―――海上から聞こえてくるエンジン音に、暁たちは視線を向けた。

 

「!」

 

同じく、ベギマも視線を移す。

 

「!!……五代さん、天龍さん!」

 

 

ドルフィンチェイサー2018・水上機モードを走らせ、雄介と天龍が駆けつけた。

 

 

「天龍様の攻撃だ、ィヨッシャア!!」

 

修理し終えた愛用の刀を携え、ドルフィンチェイサーから海面へと跳び移るとそのまま突撃した。

 

「フフ……バパギガ・シバガサ・ボソギデガゲス」

 

お気に入りの獲物が来たことを喜ぶかのように笑い、ベギマは砲口を天龍へと向けた。

 

 

しかし

 

 

「変身!!」

 

そうはさせまいと、雄介がアークルを呼び覚まし、変身の動作を取る。

 

「チッ!」

 

不愉快そうに、ベギマは雄介に向けて実弾を放った。

 

 

「なっ!?」

「五代さんッ!!」

 

砲弾は命中したが、雄介を仕留めることは出来なかった。

 

 

何故なら

 

 

「っ!」

「あれは………」

 

被弾するより一瞬早く、クウガに変身していたからだ。

 

しかも、その姿は紫のクウガ・タイタンフォームをベースに、重厚な船体を象った艤装を纏っており、左腕には《戦士クウガ》を表すリント文字を刻んだ、錨付きの盾を装備。

 

海上の戦士の盾となり、また矛となる重巡洋艦の戦力と大地の力を備えた戦士の頑強さが融合した、紫のクウガの新たな姿。

 

クウガ・ユグドラシルフォームの完成である。

 

「か……変わった……!?」

「てゆーか……あれ、艤装…!?」

 

クウガの姿に驚く暁と雷だが、クウガは気にすることなく海面に降り立ち。

ドルフィンアクセラーを抜いてモーフィングパワーを発動、《大地支える巨人の剣》タイタンソードを生成。

 

ゆっくり下ろすと、クウガの意思に呼応するように刃先が伸長した。

 

 

「行くぞ!!」

「応ッ!!周りの雑魚は任せとけってんだ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

豊島区内 わかば保育園 03 : 34 p.m.

 

 

雄介らと別れた後、鹿島は再び保育園へと戻り、園児たちと共に過ごした。

 

(そうだ……私がこの仕事をしたいと思ったのは……)

(私がもらった幸せを、一人でも多くの人に分けて、一緒に笑顔になりたいと思ったからだ)

 

鹿島の前提督、()(しろ)()(なえ)少将も退役後、鎮守府を去る間際「幸せというのは、受け取ったものは返すべきものなの。そうして、また誰かを笑顔にするのよ」と言っていた。

 

今なら分かる……

 

私がもらった幸せは……笑顔は、この子どもたちに届けるものなのだ。

 

 

園児たちの笑顔を見つめながら、鹿島は愛しげに微笑むのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「オイオイ?深海棲艦の雑魚共、ビビってんのか?オラオラぁ!!」

 

一切防御の態勢を取らずに進撃してくるクウガを、格好の標的だと見た駆逐イ級などの敵駆逐艦が襲い来るが、それを邪魔させまいとして天龍が次々と斬り倒し、砲撃し、道を切り拓いていく。

 

「ハラショー……こいつは力を感じる」

「というか……天龍さん、ちょっとノリノリ過ぎじゃない?」

 

一応、暁らも援護していたのだが、天龍の勢いが凄まじいため戦闘に加わりづらい状態になっていた。

 

 

一方、ベギマはその勢いとクウガの威圧感に徐々に圧され始めていた。

 

 

「クッ……!ギベ…ギベ!ギベっ!!」

 

 

次々と砲弾を撃つが、クウガ・ユグドラシルフォームの生体鎧や艤装は桁外れな頑強さを誇っており。

それまで有効だった、駆逐獣弾さえも今や下手な豆鉄砲と成り下がっていた。

 

「バ…バゼ……!?」

 

高火力をものともせず、ジリジリと迫りくるクウガ。

 

 

至近距離からの砲撃すら、左腕の盾・ユグドラシルアンカーの前では無意味に等しかった。

 

 

「ク……クッ!!」

 

勝ち目無しと判断し、ベギマは海中へ潜った。

 

 

「フンッ!!」

 

 

しかし、ユグドラシルアンカーから放たれた錨は力強く、水の抵抗にも負けずベギマを捕らえ、海中から一気に引き揚げた。

 

 

「グッ……ウアア!?」

 

そして

 

 

「ヌウウゥアァっ!!オリャアアアアアっ!!!」

 

 

ドズッ!!!

 

 

ユグドラシルアンカーで引き寄せられたのと同時に、タイタンソードがベギマの腹を艤装ごと刺し貫き。

ユグドラシルカラミティタイタンが炸裂した。

 

「ウグゥ!?ウガ…アガァァアッ!!」

「フゥ…!ぬうぅぅぅん……っ!!」

 

 

『嫌な感触』が、いつも以上に伝わってくる。

しかし……これも全て、みんなの笑顔を守るため……

 

封印エネルギーを流し込まれ、苦悶するベギマの最期を見届けるクウガ。

 

やがて

 

「ウグアァァ…ァ―――」

 

エネルギーが全身に伝わり、力尽きたと同時にベギマは爆発四散。

 

「きゃっ!!」

「くっ……!」

 

爆風などの衝撃はそこそこ強かったが、深刻な被害は出ずに済んだ。

 

「…………」

「…………」

 

倒すべき敵を撃破した後にも関わらず、黙り込んだままのクウガを、天龍たちも一時ばかり声をかけられずに居た。

 

 

 

―――〈戦果報告〉

 

 

《石ノ森第一水雷戦隊》

 

旗艦 天龍…小破

 

随伴艦 暁…小破

    響…損傷、軽微

    雷…中破

    電…損傷、軽微

 

 

《戦艦潜水鬼》の行方を暁型艦娘4名が捜査中、戦艦潜水鬼が有明海より出現。途中、天龍と《重巡4号》に変化した未確認生命体4号が合流し、これを撃破。

 

判定―――《勝利》




長かった………

ようやく、ようやく「クウガ編」序盤《超変身》シリーズを一段落させられたァーっ!!

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