着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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各パートが一段落したので、ちょっとだけ総合的な番外編パートを一つ。

息抜きと思っていただければ幸いですm(_ _)m


118話 : 《番外編》幕間

《龍騎サイド》

 

千代田区内 OREジャーナル 10:28 p.m.

 

 

「……っしゃあ!!片付け終わりー!」

「お疲れ様です、真司先輩」

 

揚陸侵艦《戦艦潜水鬼》と未確認生命体第4号の交戦が終わり、各メディアを通して速報が発信される中、真司と青葉が勤めるOREジャーナルもしっかりと報道していた。

 

しかし……情報という物は、多く得られるのなら多いに越した事は無いが、溢れ返るほどに膨れ上がると、反って間違った情報や嘘などが混ざってしまい、内容の正確さが失われてしまう危険を孕んでいる。

 

正しい情報を得て、発信するためには、情報の真偽を見極める眼と耳…そして嗅覚という名の直感力が求められるのである。

 

大久保や令子からの教えを忠実に守りながら、真司と青葉は今日も仕事に臨んでいた。勿論、それが記者としてのモットーではあるのだが……

 

 

「一条さんから少しでも情報を提供してもらえて、ホント大助かりだよ〜」

「鴻上鎮守府の火野さんたちと共闘した時に、先輩を信頼出来る人間だと認めてくれたからですよ。きっと」

 

「…かな?」

 

 

アバリシア・クルイとラミアモアーズの一件以来、真司と青葉は、映司や一条と情報の交換・共有をする関係となった。特に一条は、真司の「人を守るために戦う」姿勢に強い信頼を寄せ、可能な範囲での情報提供をするなどの協力をしてくれるようになった。

 

最初は勿論、警察官がいち報道記者に対して、独断でそんな事をしていいのかと心配したのだが。

 

 

「俺の友人にも居るんだ。誰かの笑顔を守る……その為に、どこまでも懸命に走り続ける。そんな男が…な」

 

 

そう発言した一条の表情が、何処か哀しげに見えたことが、真司と青葉は漠然と気になっていた。

 

「一条さんがああいう顔をしながら俺たちに話をするってことは……やっぱり、その友達っていうヒトも…」

「仮面ライダー……なんですかね?もしそうだとしたら、【アギト】みたいに不思議な力で戦うタイプとか?」

「かなぁ?――いや、でも俺が変身を解いたとき『そのベルトは脱着可能なのか!?』……って、驚いてたぐらいだし……」

 

「う〜〜〜〜ん……」

 

 

結局、この日は答えが出ぬまま、二人は帰宅したのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《アギト編》

 

レストランAGITΩ 08:46 a.m.

 

 

「〜♪」

 

店主・津上翔一は、鼻唄混じりに店内のテーブルを拭いていた。

今日は快晴、ちょっとオシャレなカフェテラスなどで優雅なひと時を過ごすには絶好の空模様である。

 

「おはようございまーす」

「やあ、霞ちゃん!オハヨ」

 

そこへバイトの霞が出勤。通常は、艦娘として任務や演習があるのでシフトにムラがあるが、今日は非番だったので朝からの勤務となっていた。

 

「艦隊のお仕事は大丈夫?」

「ええ。司令官といい翔一といい、気遣ってくれるのは嬉しいけど……ちょっと過保護じゃない?」

 

「それはそうだよ。艦娘さんってことは軍人さんで、刑事さんみたいに命懸けの仕事をしてるんだから!それに……霞ちゃんや霞ちゃんのお姉さんたちみたいに小さな女の子が一生懸命頑張ってるのに、心配しないなんて冷たいことは出来ないよ」

 

「……そう」

 

翔一の掛けてくれる言葉は、一条の凛とした力強さとは違うが、霞の心を優しく包み込んでくれる暖かさを持っていた。

 

「さぁ!そろそろ開店の準備にかからないと!お昼時になったら、またカガワさんが来るかもだし!」

「……カガワさん?氷川中尉じゃないの?」

「あっ!違った、氷川さんじゃなくて、艦娘さんの……そう!サガさん!」

「………」

「――金剛寺さんだっけ?」

「加賀さんでしょ!もう、しっかりしなさいよ翔一!店長でしょ!!」

 

叱られ、エヘへと照れ笑いする翔一と、呆れつつも翔一への感謝と思慕の念を抱き続けている霞は、今日もレストラン【AGITΩ】を開店するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《オーズ編》

 

鴻上鎮守府 演習場 10:11 a.m.

 

 

「艦載機発艦!目標、オーズ!やっちゃって!!」

 

 

最近着任した空母艦娘【瑞鶴】。

彼女の特性や戦闘スタイル、スペックを把握するため、そして五月雨や山風の姉妹艦である【江風】【海風】そして瑞鶴と同期の軽巡艦娘【阿賀野】の練度向上も兼ねて、映司自ら演習相手を買って出たのだ。そのため、指揮官である提督が自身の部下である艦娘の対戦相手をするという、極めて異例な展開を繰り広げていた。

 

無論、いくら演習でも指揮官ないし司令塔は必要。

そこで、瑞鶴たちの指揮官代理は鴻上鎮守府のご意見番こと龍驤が引き受け、オーズこと映司の指揮はアンクが務めることとなった。

 

 

「うわっとと!?」

 

皆と一緒に戦えるようにと、映司も海上戦に馴れるための努力を重ねてはいた。

しかし、クウガのように専用マシンを持っている訳ではないため、なかなか思うようにいかない。

 

そんな映司の情報を何処から仕入れたのか、鴻上は自身の抱える製造工場が製造・運営している特殊バイク【ライドベンダー】を基に新型マシンを開発。

 

自販機型からバイク、さらに水上バイクへと3段変形するライドベンダーの新型。

その名も【ライドベンダー・S】、今回の演習が初お披露目であり、テストドライブでもあるという。

 

「相変わらず、鴻上のタヌキは何処までも腹の底が見えんな……」

「あはは……でもまあ、力になってくれるのはありがたいじゃん?」

 

ちなみに、現在オーズの使用しているメダルはイフリート×トラ×バッタの亜種形態、オーズ・イトラバ。

 

「映司!来るぞ!!」

「っ!」

 

瑞鶴の放った爆撃機、そして阿賀野たちの一斉砲火が繰り出される。

 

オーズはイフリートヘッドの能力を発動、シカのような角・インフェルノホーンから赤い雷撃・ヘルサンダーを放ち、応戦したが………

 

 

「映ちゃん……!?」

「パパ……?」

 

艦隊の一斉攻撃が思いの外効いたらしく、変身が解けてしまった。それだけなら特に問題は無かったのだが

 

「……っぶ…ぶふ…!」

「提督さん……ぷっ……くすくす……」

 

「ケホ!……みんな、気持ちは分かるけど……わらいすぎ…」

 

攻撃を受けたせいか、はたまた能力使用の反動か。

 

映司の頭が、マンガやバラエティの爆破オチにある様な黒コゲアフロヘアーになってしまっていたのである。

 

「パパ……大丈夫?」

「うん……アリガト?山風……」

 

映司の提督としての道程は、まだまだ遠い様だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《クウガ編》

 

石ノ森鎮守府 食堂 12:31 p.m.

 

 

「………」

 

休憩時間。一条、そして桜子の研究室から戻ってきた大淀の二人は、それぞれ新聞やネットニュースに掲載された《戦艦潜水鬼》戦の記事を見ていた。

 

新聞記事には、月日の経過という現実を突きつけるかのように、第4号(クウガ)に対する否定的な意見や特別視の危険を訴えかけるものが大半を占めており、ネットニュースやSNSの文面はそれを遥かに上回る酷い荒れ様で、『某大国やテロ組織の送り込んだ生物兵器だ』とか『政府が秘密裏に進めていた化学実験の産物だ』などという極端なデタラメ話や、しまいには『自分が4号だ』などという、どう見ても注目されたいだけとしか思えないガセネタまで出回っている有様だった。

 

 

「はぁ……」

 

どちらからともなく、溜息が溢れる。

 

「!」

「あ……」

 

一条は新聞を畳み、大淀はスマホをバッグに仕舞うとコーヒーを口にする。

 

 

「イヤな物ですね……テレビも新聞も。言うだけならタダと思って、好き勝手に報じるなんて」

「SNSなどの方も、ほぼリアルタイムで情報を得られるようになった影響からか、思い思いの発言が膨大な量で飛び交っている様ですね。五代(アイツ)や吹雪たちに対する文言も、これまで以上に容赦無い、より攻撃的なものになってきている……」

 

「……私たちとしては、提督でもある一条大佐に対する評価も心配です。勝手に過剰な期待をしておきながら、今回のように作戦が失敗したと本部が発表した途端、掌を返して理不尽な誹謗中傷を行う……そういった民衆や政府関係者などはごく一部とは思いますが、この手の人たちの身勝手さには心底腹が立ちます……!」

 

石ノ森艦隊の艦娘たちは、一条自身の献身的な交流や五代雄介という人間との関わりをきっかけに、過去のトラウマや人間に対する強い憎しみを少しずつ克服し、徐々にではあるが艦娘同士の結束や人間関係が改善されていた。

 

それ故に、今回の包囲作戦の失敗について海軍総司令部の過激派の一将校から責められた時には、妙高と足柄、そして穏健派として有名だった利根までもが激昂し、一条への侮辱を撤回し、謝罪しろと詰め寄ったのだ。

 

 

『戦場の痛みも苦しみも、何一つ味わったことの無い無能共が……提督たちの悔しさを語るなッ!!!』

 

 

その場に居た一条は勿論、話を聞いた大淀も、利根の発した言葉が今でも忘れられずにいた。

余談だが、この件を後から聞いた天龍も大本営に殴り込もうとしたらしく、長門たちがなんとか押さえ込んでくれたという。

 

 

「…今日は、幸い何事も起きてはいませんが……どうされてるんでしょう?五代さん……」

 

不安げに問う大淀に対し、一条は穏やかに微笑んだ。

 

「…あいつは―――」

 

 

 

都内のとある公園にて。

 

一人の青年が、リュックを枕にして、一人の少女と共に昼寝をしていた。

 

少女は艦娘・雪風。隣で眠る青年を師と呼び、日々を懸命に生きている。

 

青年の名は五代雄介。

 

またの名を―――『クウガ』。




番外編の短編集なつもりが、かなり長々と書いてしまいました(^_^;)

EDを添えるならと、最後をクウガで締めてしまいました(^_^;)

本編はまだまだ続きます!
今後も、応援よろしくお願い致します!!
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