だいぶペースダウンはしてしまいますが、どうにか凍結だけはしないよう進めて参ります。
警視庁鎮守府 09:19 a.m.
「長門さん……五代さん、どうかしたんでしょうか?」
「どうもこうも…いつも通りのアイツだと思うが?」
昨日、ポレポレにて。
雄介の恩師・神崎と再会するにあたり、待ち合わせ場所をどうするかを決めかねていた一同であったが、長門から一つの提案が出された。
「神奈川にある、仮設基地の執務室を使えないだろうか」……と。
「何しろ、現状がこんな有様だ。如何にこちらが用心しても、揚陸侵艦やアバリシアのような連中はこちらの都合など考えはしない。それなら、少しでも安全を確保出来る様に工夫せねば」
「長門さん」
これに対し、吹雪や島風は雄介の事だから「大丈夫!」と、いつもの様に言ってのけるだろうと思っていた。
……ところが。
「……分かりました。それじゃあ、お願いします」
「あららっ…」
意外にも、すんなりと受け入れたのだった。
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足立区生物園(?) 10:00 a.m.
「フン!でやっ!」
「真司さん、右に避けてください!!」
「おわったた!?」
全てが鏡像反転した異世界・ミラーワールド。
そこに潜む、人を襲うモンスターを相手に戦う一人の戦士と一人の少女。
《仮面ライダー》龍騎とその相棒《艦娘》青葉。
仮面ライダーヴァイスこと沼田 静の一件から、二人は人知れずモンスター達と戦いつつ、深海棲艦や揚陸侵艦について謎を解き明かせないかと独自に調査をしてみる事にした。
根拠の無い直感でしかないのだが、真司が記憶している限り、『あの男』が創り出した《カードデッキ》は龍騎とオーディンを含めて13種類だった。《擬似ライダー》なる存在も確かに在った気はするが……『破壊者』の影響から生じたパラレルワールドの存在を足しても14種類だけの筈。
(静……アイツが鈴谷って娘から受け継いだカードデッキ。アレも『ヤツ』が創った物なら、あのアリスって女の子は何者なんだ……?)
「真司さん!真司さん!!」
「んぇ?……あっ!?ヤッベ!!」
戦闘が終わってからも、ボーッと立ち尽くしていた為、粒子化が始まっていることに気付かずに居た。
青葉に追い立てられるように、元来たガラス面へと飛び込んだのであった。
一方。
こちらは神崎と『新しい家族』の少女。
「友達の艦娘さんが、施設の部屋を一つ貸してくれることになりました!約束の日、また『教室』で見ていて下さい!!」―――
『あの日の約束』と同じ宣誓を聞いた時、神崎は内心、複雑な気持ちになった。
18年前……アイツは見事に誓いを果たし、笑顔で現れた。
それは教師として誇らしくあったが、同時に心配の種にもなった。
それでも……アイツが今の自分に納得している、満足しているのなら、余計なことは言うまいと見守ってきた。
そして今……世界は再び大きな混乱に見舞われている。
こうした情勢の中で、“この子”と出会ったのも何かの巡り合わせなのか……自分には、その答えを知るべき義務がある。
そう思い、雄介と会う約束をしたのであった。
「センセ…?」
「うん?」
「オナカ…空イチャッタ……」
「そっか……それじゃあ、次の駅で電車を乗り換えるから、そこで駅弁を買おうか?」
「ヤッター!」
雪の様に白い頬を桜色に染めて、無邪気な笑顔を見せる少女。
その髪色、肌の色を一層浮き立たせる様に、身に着けた黒い衣服は陽に照らされ、禍々しくも美しく輝いていた。
所変わって、ポレポレ。
日めくりカレンダーをめくり、日付を眺めながら雄介はニヤける。
そんな雄介に釣られて、雪風もにぱっと笑顔になった。
「おぅっ?ゆーすけも雪風もゴキゲンだね?」
「そりゃーまあ、当然っちゃ当然だよねえ〜」
「えへへ…うん!」
「えへへ〜」
師弟揃って、満面の笑顔。
弟子と師匠は似るもの、という言葉があるが。
笑顔がそっくりな弟子と師匠というのも、簡単に見られるモノではないなと思う北上であった。
「ほんじゃ、あたしらも後から行くからー」
「くれぐれも!くれぐれも北上さんと大井がよろしくと!そう言っていたと神崎先生にお伝えして下さいっ!!」
「ししょー、長門さん。なんで大井さん、あんなに一生懸命なんですか?」
「……さあ?」と純真な雄介に対し。
「雪風、お前は優しい子だな。でも気にするな」と長門がフォローしたのだった。
次回。仮設基地へ呼び出された朝雲たち石ノ森の留守番組が、神崎先生らと対面。
そして、雄介と雪風はまさかの……!?