雄介と雪風がポレポレを出発した、ほぼ同じ頃。
長門からの招集連絡を受けた石ノ森鎮守府の艦娘一同は、突然過ぎる呼び出しに戸惑っていた。
中でも、航空戦艦「山城」は人一倍不満を露わにし、警戒していた。
如何に一条があちらで戦績を立てていようと、共に出向している長門たちが彼を提督として評価していようと、それは世間的な評価や組織が公表している戦績に過ぎない。
実態など、権力者であればなんとでも変えられる………
長門と同期である山城は、権力という物が持つ醜さを、彼女や姉の扶桑と共に嫌というほど目の当たりにしてきた。
提督など必要無い。自分達の身は自分の力で守ってみせる―――そう、決めていたのに………
あの日、“奴ら”は現れた。
そして……それに呼応するかのように、あの男も化け物に変わって見せた。
そんな化け物を長門は庇い、遂には共闘関係まで結んだというではないか。
ざっくりとした内容しか聞いていないが、人間を嫌っていた足柄や大井までも、あの時の化け物に強い信頼を寄せているという。
(これは絶対、何かしら裏があるとしか思えない。朝雲はあの二人を信用しているみたいだけど……騙されているに違いないわ!!)
警視庁鎮守府 11:37 a.m.
「そうか……まぁ、それは全くの想定外という訳でもないさ。気にするな、お前が責任を感じる必要は無いよ。……うん。それじゃあ、また後でな」
長野に居る朝雲との連絡を取っていた長門は、朝雲から山城が一条だけでなく雄介をも警戒している事についての相談を持ちかけられた。
あの日、吹雪や長門と共に未確認生命体第4号=クウガへの変身を目の当たりにした艦娘の一人という事もあって、朝雲は一条と雄介の両名を信じていい人だと認識。
扶桑と共に石ノ森周辺の近況を報告したりなど、一条らとの中継役を務めていた。
「長門さん。朝雲ちゃんは、何て?」
「提督や我々が急ぎで戻らねばならぬような事態は、幸い起きてはいないらしい。とは言え……提督やアイツに対する不信が、完全に払拭された訳ではないようだがな」
「司令官と五代さん……ですか…」
基本的には職務に忠実。かと思えば、己が最善の一手であると判断すれば、その先にどんな危険が立ちはだかろうと、後でどんな責めを受けようと臆すこと無くやってのけてしまう、大胆過ぎる行動力を持つ一条。
一方、本来なら関わり合う筈の無い民間人でありながら、『戦士クウガへの変身』という力を持ち。
「みんなに笑顔でいて欲しい」―――ただそれだけの理由で、揚陸侵艦や深海棲艦を相手に命を懸けて戦う雄介。
基本、真逆な性格の二人であるが、自分を顧みずに誰かの為に何かを為そうとする生き方は似た者同士であることを、これまでの共闘を経て、長門や吹雪を始めとするクウガの関係者たちは理解していた。
「五代さんの小学生時代の先生……神崎先生、でしたっけ?ちゃんと会えます…よね?」
「だと、良いんだが………」
どうか、何も起きずに済んで欲しい……
そう願わずにいられなかったのだが、残念なことに、彼女らの嫌な予感は当たってしまう……。
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神奈川県 川崎市内 12:13 p.m.
雪風を後ろに乗せ、ドルフィンチェイサーを駆る雄介の元に突如、無線が入った。
『五代雄介殿、聞こえるか!こちら利根じゃ、応答してくれ!』
「っ!利根さん!?」
『オオ!雪風も一緒とは!お主らは今、何処に居るのじゃ!?』
「神奈川の川崎市に入ったところです!」
雄介が現在地を告げると、利根から伝えられたのは驚愕の報せだった。
『…揚陸侵艦が現れた!場所は習志野じゃッ!!』
「ッ!!」
嗚呼……またしても約束が……(;´Д`)
どぉしていつもこうなっちゃうの………(;´Д`)
※またしても次回の展開が先延ばしになっちゃいました。応援してくださっている皆さん、本当に申し訳ありません!!