様々な形で絡み合っている現在ですが、実は意外な所で意外な繋がりが既にあった様です‥‥‥
千葉県 木更津市内 01:06 p.m.
ファイズ・アクセルフォームの猛攻を受けた事により、状況を不利と見て退却した飛行場姫を追って、クウガは《馬の鎧》ゴウラムと共に上空から探していた。
(何処だ‥‥?)
初めのうちは、“緑のクウガ”の超感覚を駆使して追跡を行っていたのだが、流石は深海棲艦の上位に位置する個体と言うべきか。
飛行場姫の対空防御力や索敵能力は想像以上に高く、クウガの姿を発見するや、僅かに残っていた弾薬を駆使して迎撃を開始した。
回避を続けるクウガだが、“緑のクウガ”ことペガサスフォームには50秒という制限時間がある。しかも50秒を過ぎれば2時間の間変身不能となる為、そのリスクを避けるべく、限界ギリギリの手前でトリトンフォームへ超変身。機銃型の装備で足止めを試みるも、命中精度が急激に低下した影響もあって砲撃失敗。仕舞いには完全に見失ってしまった。
「!」
次から次へと積み重なっていく問題について、どれをどう対処したものかと思い悩んでいた最中。川沿いで俯せに倒れている人影を見つけた。
まだ助けられるかと思い、急いで駆け寄り、抱き起こすも、血溜まりの中で倒れていた男性は既に息絶えていた。
‥‥‥しかも、クウガが息を呑んだ理由はそれだけではなかった。
全身に酷い火傷を負っていたので一瞬判らなかったが、その男性は、先程クウガやファイズ、雪風らと相対し、さらに飛行場姫の爆撃を受けて火だるまになりながら川に落ちていった、ズ・ガバリ・ダの人間態だったのだ。
「‥‥‥」
火傷によるダメージの他にも、艦載機による物であろう咬み傷や、飛行場姫の持つ巨獣の様な艤装による砲撃と思われる貫通孔が腹部に残っていた為、かつてクウガが戦った未確認生命体と同様、傷の回復が出来ぬまま力尽きた様だった。
「!」
敵とは言え、死体を目の当たりにして黙り込んでいたクウガの頭上で、突如、プロペラ機のエンジン音が聞こえてきた。
(あれは‥‥彩雲?て事は‥‥)
上空の偵察機を発見した、その直後。南方――横須賀方面から来る、艦娘数名の姿を発見した。
「加賀さん!!」
「!」
自分たちを呼ぶ声に気付き、加賀と足柄、妙高、軽空母《飛鷹》はクウガの姿を見つけた。
「五代さん?」
「今、そっちに行きます!」
慣れた動きで水面に跳び移り、一行の元へ向かった。
「あらあら、島風ちゃんや足柄みたいな身のこなしね?」
「ちょっ、姉さん!?流石の私でも、あそこまで飛んだり跳ねたりしないわよ!?てゆーか、
しばらく振りの再会とは言え、クウガ――雄介の変わらぬ行動の速さと順応性の高さには、足柄程ではないものの加賀も密かに驚いていた‥‥が、それを表に出すことは決して無かった。
「ひょっとして、加賀さん達も習志野へ?」
「ええ、飛行場姫が陸上に上がってきたとの報告がありましたから。貴方こそ此処で何を?」
「利根さんから揚陸侵艦が習志野に出たって報せがあったんです。ホントは、雪風ちゃんと横須賀へ行く約束があったんですけど‥‥」
(横須賀へ‥‥?)
揚陸侵艦事件の解決や深海棲艦撃破の協力者ではあっても、海軍組織に直接関係がある訳ではない雄介が、雪風と共に横須賀へ何の用があったというのか。
「五代さん‥」
「あっ、そうだ!」
加賀が尋ねるよりも先に、クウガが声をあげた。
「
「‥‥‥」
見失った飛行場姫の行方も気にしてはいるが、それ以上に被害の拡大を心配してくれている雄介に対し、加賀は近頃、複雑な感情を抱き始めていた。
市民や国の為、命を懸けて戦うのが艦娘の在り方であるというのが加賀の考えだが、今、目の前に居る異形の戦士は、「兵士」または「兵器」である艦娘をも「己が護るべきもの」とし。その身を、命を懸けて戦っている。
戦いとは無縁の‥‥暴力を振るう姿が似合わない、優しい人なのに。
「五代さん。長門さん達には私が報告します。貴方は一旦、雪風と天龍たちの元へ戻ってあげて下さい」
「‥はい!」
サムズアップ。
水上ルートの方がいくらか速く動ける事や深海棲艦が居ない状況を活用する事を考え、クウガはそのまま習志野へ向かい、加賀は妙高らと共に小櫃川に遺されたガバリの遺体の元へと向かった。
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神奈川県 横須賀市内 01:08 p.m.
「ありふれた話‥‥って、どういう事なのさ?」
「ソレハ‥‥」
質問を重ねる北上に対し、モモカは答えようとしたが、話した時の反応が気になるのか途中で口籠ってしまう。故に、神崎が代わりに答えてくれた。
「3年くらい前でしょうか。元教員であるという理由から、私は海兵士官学校で臨時講師を勤めていた事があるんですよ。その任期が終わる少し前のある日の帰りに、モモカと会ったんです」
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それは、春と呼ぶにはまだ少し肌寒く、朝から冷たい雨が降り注ぐ日であった。
1体の深海棲艦が傷だらけの姿で、雨に濡れながら街を歩いていた。
「モモカ」という名を持つ駆逐棲姫は、艦娘や人間との対立関係以前に、「戦い」その物に疑問を持っていた。
深海棲艦としての凶暴性や闘争本能よりも、理性的な人格が強く形成されていたのは、彼女が深海棲艦と“人の心を持った人ならざるモノ”との間に生まれた存在であった事は決して無関係ではないだろう。
家族とはぐれ、途方に暮れていた所に深海棲艦の一群と遭遇したモモカは、余程精神的に追い詰められていたのであろう。
そんな彼女に救いの手が差し伸べられたのは、家族と離れ離れになって7ヶ月ほど経った頃だ。
ある輸送船を襲撃し、資材を強奪しようという作戦に連れ出されたのだが、標的の船の乗員らしき男が“折りたたみ式の通信機”と“妙なベルト”を使って姿を変えると、戦艦娘に匹敵する戦闘力で一群を圧倒。モモカは驚きと恐怖のあまり、その場に座り込んでしまった。
僅かに生き残った深海棲艦たちはモモカを残して逃亡。早い話が、彼女を捨て駒にしたのである。
「‥‥お前は逃げねえのか?」
強化服を纏った男に尋ねられるも、モモカは泣き出してしまい、「ゴメンナサイ‥‥ゴメンナサイ‥‥ッ!」と、震えながら謝り続けるしか出来なかった。
「‥‥‥お前、“人間”か?」
「!」
他の深海棲艦と違う様子を見て、何を思ったのか。
強化服を解除しながら、男は質問を変えた。
最初は「違う」と答えそうになったが、その質問の意図はすぐに理解出来た。
お前の心は、人間と向き合えるか。また、誰かを理不尽に傷つけたりした事はあるのか、と。
返答した後に何をされるか‥‥恐怖に耐えながら、モモカは首を縦に振った。実際、モモカは艦隊の一員として連れ回されていただけの状況が殆どであり、直接戦闘に参加していた訳ではなかった。
そうか、と男は呟くと、モモカに干し肉を食べさせただけでなく、港に着くまで被っとけと言ってビニルシートを貸してくれたのだった。
こうして、港に着いたモモカは改めて家族を探すべく、街を彷徨う事になったのだが、手掛かりが一つも無い上に「深海棲艦=悪」というレッテルから追われの身となってしまい、人目につかぬよう動かざるを得なくなってしまった。
そして、空腹と疲労の限界から気を失い、行き倒れてしまったのだが、そこに通りかかったのが、彼女の家族を捜す手伝いだけでなく、その後、改めて養子として迎えてくれた神崎昭二だったのである。
久々にメチャ長くなっちゃいました(汗)
果たして、描きたい物を描き、描くべきシーンは描けているのか‥‥それが心配だ(←今更