それは、出会う筈の無い者同士。
そして……
出会ってはならない者同士でもある………。
17話 : 接触
大本営連絡基地 西東京支部 08:13 a.m.
「…………」
大本営所属の艦娘であり、揚陸侵艦と命名された陸戦に特化した未知の深海棲艦に対処すべく設立された『警視庁鎮守府』とのパイプ役を任されることとなった大淀は、本庁からの報告書と、九郎ヶ岳遺跡から発掘された石版の画像を交互に眺めながら、深い溜め息を吐いた。
「どうして変身なんてしたのかしら……五代さん……」
そこに、一人の大人びた艦娘が入室してきた。
「おはようございます、大淀さん♪」
「あぁ……おはようございます、香取さん」
彼女の名は「香取」。
大本営直属艦隊の1人であると同時に、新任の艦娘や提督のスカウト並びに指導役を任されている練習巡洋艦である。
「今日はまた、早い出勤ですわね?」
「んぅ〜〜〜……。と、ゆーよりも……残業ついでに考え事をしてたら、いつの間にか朝になってたってカンジです」
うんと伸びをして、大淀は愚痴を零すように話す。
「まぁ……激務については、担当部署も艦種も、先輩後輩も関係ないわよ。気にしないで?」
そう言いながら、香取は
「それにしても……揚陸侵艦か……。未確認の件といい、大変なことになっちゃいましたね」
「____えっ?」
香取の一言に、大淀は身を乗り出した。
「え?ひょっとして……まだ知らなかったの?」
ちょっと意外そうに、香取は今朝の新聞を大淀に渡す。
「………『東京に揚陸侵艦、さらに未確認生命体第4号出現』……!?」
その新聞の第一面を飾っていたのは、ドルフィンチェイサーに乗って高速道路を走り抜けるクウガの姿だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
文京区内 ポレポレ 10:17 a.m.
雄介の下宿先であり、帰ってくる場所の一つに、一軒の喫茶店がある。
そこは「オリエンタルな味と香りの店」ポレポレ。
マスターの名は「おやっさん」こと飾 玉三郎氏。
カウンターには一人の客がコーヒーを飲みながら、ある人物を待っていた。
『昨日の夕方、陸上奇襲鬼に続いて出現した未確認生命体第4号は、港から沖の方へと逃走する陸上奇襲鬼を追跡。途中、出現した深海棲艦と交戦するも、石ノ森鎮守府より派遣された艦隊がこれに応戦。その混乱に乗じ……』
昨日のニュースに耳を傾けながら、玉三郎は苦々しい顔をする。
「ふんっっとに、嫌んなっちゃうねぇ……テレビも新聞も!どこもかしこも、揚陸侵艦とかゆー新手の未確認関連のニュースばっかり!」
露骨に嫌そうな顔をしながら、リモコンを手に取るとテレビを切る。
「ホント、政府も自衛隊もなーにやってんのかね?カンムスカンムスって……未確認みたいにヤバいのを女の子ばっかに押し付けちゃってまあ!悪いね?ここ最近、景気の悪いニュースばっかでさ」
「いえ……」
「しっかし、来ないね?
玉三郎の問いに、女性客___長門は返答に困ってしまう。
つい先日、知り合ったばかりの上、今しがたニュースで呼ばれていた第4号本人がその雄介だとは言える筈もなかった。
「あ!それとも、冒険の仲間?いや、私もねえ!今でこそこんなだけど、昔はそりゃあ命知らずの冒険をしたもんですよぉ!名のある山はね、ほとんど制覇しましたからね?えっと…チョモ、ラン…マとかね!うん、よし…言えた…!」
何か勝手に語り出したが、その生真面目さ故に、話を中断するだけの度胸は長門には無かった。
「昔はさ…信じらんないだろうけど、居たんだよ。エベレストのことを、
長門の表情を見た玉三郎は、少しばかり気まずそうに話を切り上げ、お代わりのコーヒーをサービスした。
「しかし……来ないね、アイツ……。ん〜…じゃ、しょうがない!お耳汚しに、私の冒険の話を一つしましょっか!イカダでね……ん?」
話を始めようとした、まさにその時だった。
「おやっさん、ただいま〜!」
「
「たっだいま〜!」
買い出しの荷物を抱えて、雄介と二人の艦娘が帰ってきた。
一人は雄介より頭一つほど低い背丈で、黒髪をお下げにしたのんびりとした雰囲気の少女で、名前は「北上」。
もう一人は北上よりももう一回り小柄で、ウサギの耳を模したリボンを頭に付けた長い金髪と、きわめて露出度の高い格好。そして小脇に抱えた人形が特徴的な少女で名前を「島風」といった。
「おお!雄介、
「やっと来たか……って、北上!?島風も!」
「んぇ?お〜!長門っちじゃん」
「……?3人とも、知り合い?」
長門と北上たちの間に沈黙が流れるも。
「……あ。おねえさん、私の冒険の話は?」
「失礼……またの機会に、お願いします……」
とりあえず、一行は外へ出ることに。
「長門さんがわざわざこっちに来たってことは……、ひょっとして事件ですか?」
雄介の問いに、長門は首を横に振る。
「一条提督に頼まれたんだ。貴殿には石ノ森の現状を知っておいてもらいたいから、一度連れてきてほしい……とな」
「石ノ森……?ああ!一条さんが提督として着任したってゆー?」
雄介と長門のやり取りを見ていた北上と島風だったが、北上が口を挟む。
「なになに〜?ゆぅちゃんの知り合いが、あの石ノ森で提督やってんの〜?」
「石ノ森って、あそこだよね?ブラック鎮守府の代表格」
島風の言葉に、さすがの雄介も驚いた。
「ブラックの代表格って……そんなに酷かったの?」
「少なくとも、今の提督が来る一代前まではね〜……ありゃあ、ヒドいなんてもんじゃなかったよ?下手すりゃ、ヤクザの方がかわいく見えるくらい」
「……この際だ。北上、島風。これから一緒に来て、石ノ森への復帰を検討してくれないか?」
「遅くならないなら良いよー」
「ん〜、行ったところで変わんないと思うけどなあ……今の仕事の方が気楽でいいし」
「………そうだ。五代、マスターにそれとなく伝えておいてくれるか?」
「はい?」
「……正しくは、ヨーデルだ」
「えっ?どーゆーこと…?」
突然の伝言に、戸惑う雄介であった。
雄介や長門たちが話し込んでいる頃。
店に電話がかかってきた。
「はい〜、オリエンタルな味と香りのポレ……おお、
呼ぼうとした、その時。
長門の運転するパトカーが北上と島風を乗せ、バイクに跨った雄介と共に出発した。
「あ、惜しいなぁ〜!今さっきだよ!ほんの1秒前!なんか、友達と石ノ森の鎮守府に行く…とか言ってたね?演習の見学会でもあるのかね?……ったく、相変わらず働かねんだよアイツ〜……かみちんとしまぷーまで付いてっちゃうし、誰か良い働き手は居ないもんかね?ねえ、ヨドちゃん……」
しかし、通話は既に切れていた。
「……アレ?いつ、切れてたんだろ……」
一方、大淀は玉三郎の言葉に疑念を抱いていた。
「…友達……?」
スマホを取り出し、長門のスマホに電話をかけてみる。
しかし、ドライブモードになっているらしく、電話に出ない。
居ても立ってもいられなくなり、大淀は部屋を飛び出したのであった。
はてさて、石ノ森鎮守府との交流が本格化しますよ〜?
次回、揚陸侵艦たちも本格的に行動を開始します!
そして、UA6000超えてしまったこの事態、どう受け止めるべきでしょうか!?(;´Д`)
本作の人気投票その1
-
五代雄介
-
一条 薫
-
吹雪
-
長門
-
大淀