作家さんや当サイトの先輩方が戦い続けるしんどさを痛感すると共に、先輩たちすげぇ……と、ひたすら感心することしか出来ません(-_-;)
1話 : 着任
都内 国際空港 06:34 p.m.
空港敷地内の駐車場にて、一人の青年が愛車であるバイクに寄りかかっていた。
「―――いきなりだけど、俺さ?辛いときでも笑顔でいられる男って、カッコいいなって思ってる」
その、のほほんとした雰囲気や穏やかな顔つきが印象的な青年は、話を続ける。
「8歳の時に、ネパールって国のアンナプルナって山で遭難しかけたことがあるんだよ。死ぬかもしんなくて……怖くて泣きたくなった。でも、その時一緒に居た、現地の案内人の子供が、俺と同じくらいの歳なのに『大丈夫だよ!』って笑顔なんだよね!なんか、カッコいいなぁって……」
青年が話しかけていた相手。
「エーン、エーン……!」
それは、泣きじゃくっている小学生くらい男の子で、状況から推察するに迷子と思われた。
「んー……でも、まぁ…パパやママとはぐれたら、やっぱ心細いか……。よし!」
そう言って、何を思ったのか。青年はリュックから野球のボールを3つ取り出し。
「ジャーン!よっ…ほっ……ほっ、ほっ、ホイ…ホイ……」
そのままジャグリングを始めた。
「エーン、エーン……?」
「ホイ…ホイ…ホッ…ホッ…」
ポンポン、ポン……と、ジャグリングをする音に気付き、子供はふと顔をあげる。
「…………」
「ホイ…ホイ、ホイ……」
子供の視線に気付き、ジャグリングを切りの良いところで終了。
青年は笑顔で親指を立てる仕草―――サムズアップをする。
それに対し、先程まで泣きじゃくっていた男の子は泣き止み、同じく笑顔でサムズアップを返した。
その笑顔に満足した青年は、ジャグリングに使ったボールの内1個をプレゼントして、男の子の頭を優しく撫でた。
すると、そこに男の子の両親と警備員が駆け寄ってきた。
「あっ!お父さんお母さん、居ましたよ!!」
「ああ、
「渚っ!!」
「もう!一人で行っちゃダメだって言っただろう!?」
我が子の無事に安堵しながらも、父親は叱る。
「良かったな」
「うん!」
青年の言葉に男の子は頷き、両親も改めて頭を下げた。
「どうも、息子がお世話になりました!」
「はぐれた時はどうなるかと……」
「いやいや」
「ほら、お兄ちゃんにお礼は?」
「ありがとう!」
「はい、どういたしまして」
「どうも、ご協力ありがとうございました!」
「いやいや、お務めご苦労さまですっ!」
家族を見送り、警備員にも挨拶をして、青年は一息つく。
「―――さて。俺も行くか!」
シルバーの車体にメタリックブルーのラインが美しい愛車に跨ると、青年は空港を後にした。
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大本営連絡基地 西東京支部 執務室 09:03 p.m.
全国各地に設置された鎮守府や、そこに在籍する提督や艦娘の情報を管理し、艦隊の練度や状況に応じた作戦を発令・評価するだけでなく、有事の際には、その権限を以て厳正に対処する事もある『大本営』。
その大本営と各鎮守府のパイプ役を担っている《事務艦》の一人が、大淀という名の艦娘だった。
「はい、こちら西東京支部の大淀です‥‥はい、一条新提督は無事に石ノ森鎮守府へ到着したとのことです。こちらも、いただいた各資料に不備はありませんでした。履歴書を見た限りでは、とても問題を起こすような人物には見えませんが‥‥‥はい、万が一に備えて、本人にも伝えておきます。はい‥了解しました、元帥」
本部への連絡などの執務をテキパキとこなすその姿は、まるで大企業に勤める敏腕秘書のようだった。
「ふぅ‥‥。さて、と‥」
しかし‥‥そんな彼女に、不審な影がジリジリと迫っていた。
その影は、極力音を立てないよう窓から忍び込み、資料の整理をしようと棚の方へ向かった大淀の背後に、そろりそろりと近付いて行く。
そして‥‥‥
「ウオオオォォー……」
不気味な仮面を着けた怪人が、静かに唸り声をあげながら、両手を振り上げ、飛びかかる様な素振りをした、その直後。
「久しぶりで言いたくありませんけど、窓から来ないでくれませんか?五代さん」
「‥‥‥いや、でも此処の兵舎って、いかにも『登ってくれ!』って感じしない?」
このやり取りに馴れているのか。意外にも落ち着きのある大淀の一言に対し、窓から侵入して来た青年・五代雄介はよく分からない弁解をする。
「しません!まったく、毎度こんな変なことして……。怒られるのは私たち職員なんですからね?」
「ゴメンゴメン……。はいっ!コレ、ペルーの魔除けのお土産!」
先程まで被っていた赤鬼のようなお面を外し、大淀に見せる。
「……まぁた、ヘンなのが増えちゃいましたね……。お陰で『お土産屋』なんてあだ名されてるんですからね?
「そうなの?」
小さく溜息を吐く大淀の言う通り、執務室の一辺の壁には世界各国の魔除けやお護りとされるお面のレプリカや置物が飾られており、妖精さんたちが小まめに掃除をしてくれているのだった。
「コーヒー飲みます?」
「いやいや、もうすぐ行くから。例の《第2の九郎ヶ岳遺跡》!」
大淀の誘いをあっさりと断り、お土産のお面を飾ると妖精さんたちとサムズアップを交わす。
「落ち着かない人ですね、相変わらず……ん?」
その時、大淀の机の電話が鳴り出した。
記念すべき第1話が、まさかの2000文字近くに行くとは………。
文才って、お裾分けして貰えないんでしょうかね?
次回、とんでもない事件発生!
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