着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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石ノ森鎮守府への訪問、そして揚陸侵艦たちの動きの変化。


静かに、しかし確実に物語は再び動きだす………。


19話 : 波紋

石ノ森鎮守府 01:37 p.m.

 

 

雄介と一条、そして北上と島風の4人が鎮守府内の妖精さんたちと共に執務室の掃除を始めて、室内の約5分の1が片付いてきた頃。

 

 

 

「!」

 

 

工廠において、開発の中心的存在である妖精・通称「造花(つくり)ちゃん」が何者かの訪問に気付いた。

 

 

「どした〜?」

 

力強く丁寧に、そして手早く作業を進める雄介が尋ねる。

 

すると、扉が開き。

 

 

「はぁ…はぁ……」

 

 

息を切らしながら、大淀が立っていた。

 

 

「あ…やあ、大淀さん」

 

「どうも……」

 

 

「あれから連絡はありましたか?」

 

「あれから連絡、あった?」

 

 

 

見事なまでに雄介と一条の声が重なる。

 

 

 

そして、今の状況と2人の様子から、大淀は全てを理解した。

 

 

その上で、言い放った。

 

 

 

「何もありません!もう、ずっと無いかも……」

 

 

それは、大本営連絡係として、石ノ森鎮守府に対する作戦の通達や任務の指示を伝えるなどの責務を放棄すると宣言したも同然だった。

 

 

 

「なんで?大淀さんしか居ないのに!」

 

真っ先に首を突っ込んだのは、やはり雄介だった。

 

 

 

その行動に、北上は「あちゃ〜…」と呟きながら頭を抱えた。

 

 

「……五代さん。門前で見ましたけど、なんですか?あのバイク」

 

「あ、見た?カッコ良いだろ〜アレ!警察と大本営が開発した、秘密の試作車なんだって!一条さんがくれたんだ♪」

 

 

「一条提督が……?」

 

 

嬉々として語る雄介の話に驚きながら、大淀は一条の方を見る。

 

 

 

 

「どうしてそういうことになるんですか!?彼は民間人なんですよっ!!」

 

一条を厳しく問い詰める大淀に、雄介は一言。

 

 

「だってやるしかないだろ?俺、クウガだもん!」

 

 

かつて、自身の身を案じた桜子に対して応えたときと同じ言葉をかける。

 

 

「クウガじゃなくて、あなたは五代さんでしょ!!どうして、そんな気持ちになれるのよっ!?」

 

 

感情が昂ぶったあまり、敬語口調でなくなっていた。

 

 

「だから、俺しかいないなら、やるしかないだろ?」

 

説得する雄介に、なおも食い下がる大淀。

 

 

「だからって……命まで懸けることないじゃないッ!!」

 

 

「やりたいからやる、それだけだって!」

 

 

当然、雄介も思いのままを伝える。

 

 

 

やがて、大淀は黙り込むと。

 

 

「……帰る!!」

 

険しい表情のまま、大淀は執務室をあとにしようとした。

 

 

「あ、待って!送るよ…」

 

「いい!!一人で帰る……!」

 

 

雄介の厚意を跳ね除け、大淀は帰っていった。

 

 

 

「………」

 

「これ……ゆーすけと大淀さん、どっちが悪い………とか、じゃないよね?やっぱり……」

 

 

気まずそうにする北上と島風。

 

 

そして、一条が申し訳なさそうに声をかける。

 

 

「……五代雄介。俺は一旦、本庁へ戻るが……また会えるか?」

 

「はい」

 

「…何かあったら、また連絡する………」

 

 

そう伝えると、一条は独り警視庁鎮守府へ戻るのであった。

 

 

「……北上、島風。そろそろ送ろうか……帰りが遅くなっては、マスターも心配するだろう?」

 

「…ん」

 

「ありがと……」

 

 

 

そんな雄介たちの会話を、そっと見ている一人の艦娘が居た。

 

 

駆逐艦・電である。

 

 

「やっぱり………」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

警視庁鎮守府 総司令部 02:09 p.m.

 

 

一条を呼び出した山県元帥は、厳しい表情で一条を睨みつけていた。

 

 

 

「単刀直入に訊く。……DPCS2018Aの試作機を、第4号に渡したのは、何故だ?」

 

 

元帥が突き出した一枚の写真には、クウガと一条がクウガに託したDPCS2018___ドルフィンチェイサーが写っていた。

 

 

「彼は我々の味方です。そして、ああするより他に方法が無いと判断したからです」

 

 

それに対し、一条は毅然とした態度を崩すことなく説明した。

 

 

「君の管轄である、石ノ森からの増援部隊やその旗艦である足柄くんの報告から、事の顛末(てんまつ)は聞いている。結果として、その判断は正しかったかもしれん」

 

 

「………しかし。君が、第4号に関する詳しい報告を拒む以上……我々は未確認生命体或いは揚陸侵艦として、射殺の対象にせざるを得ない!」

 

 

「何かあれば、私が射殺します。当然、提督として取るべき責任についても覚悟は出来ています!」

 

 

 

即ち、提督の任を解かれても抗わず、受け入れるということ。

 

 

「……君を、合同捜査本部のメンバーから外したくないんだ」

 

 

「今は、とにかく信じて下さい!!」

 

 

どうにか情報を引き出そうとする元帥の言葉に揺らぐことなく、一条は訴えかける。

 

 

 

やがて、一条の熱意に偽りは無いと判断した山県元帥は一言。

 

 

「……良いだろう」

 

 

それを最後に、一条は総司令部をあとにした。

 

 

 

 

「一条!!」

 

 

そこに、一人の強面な中年刑事が声をかけてきた。

 

 

「杉田さん!ご無沙汰してます」

 

 

 

杉田守道。

 

彼もまた、《未確認生命体関連事件》の捜査に携わり、一条やクウガ___雄介と共に事件解決に尽力、そして文字通り命懸けで戦った刑事の一人である。

 

 

 

「……?足柄くん、なぜ……?」

 

ふと、杉田と共に駆け寄ってきた足柄に一条は尋ねた。

 

 

「何故もガーゼも無いわよ!提督が第4号の件で、元帥に呼び出しを受けたって聞いたから……杉田刑事と一緒に飛んできたのよ!」

 

 

「そうだったんですか……すみません、お忙しいところを……」

 

頭を下げる一条に、杉田は肩を叩いて労う。

 

 

「しかし……深海棲艦の襲撃が今朝方の一度きり、揚陸侵艦の奴らもあれ以来姿を見せちゃいない……」

 

「ほんと……これじゃ、4号の借りを返せないわ……」

 

 

不安げな杉田と、どこか欲求不満染みた様子の足柄。

 

 

「……そう言えば。提督は知ってるかしら?揚陸侵艦が居なくなった代わりに、奇妙な墜落事故が多発してるらしいの」

 

「墜落事故?」

 

 

一条が聞き返すと、杉田も頷いた。

 

 

 

「ああ………。これまでに、もう9件だ……」




いよいよクウガ本編の丸写しになってきたかしら?


文章の配分の仕方が複雑化してきたせいか、オラハラハラすっぞ!(by悟空)

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