着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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シーン短めですが、ついに「五代雄介のかかりつけ医」が参上です!


21話 : 逃避

新たに出現した揚陸侵艦《ズ・ザビュー・ダ》。

 

陸も空も関係なく、縦横無尽に飛びまわり、クウガを翻弄。

 

 

かつてない程の窮地に立たされるクウガだったが、ザビューの速さに対抗すべく、赤い戦士から青い戦士へと変わる。

 

 

しかし、その姿は明らかに自分の知る「青い戦士」と異なり、艦娘と同様《艤装》を身にまとっていた……。

 

 

 

「……なんだ?コレ……!?」

 

 

自身の変化に驚き、クウガは戸惑う。

 

 

「ゴグザ!ゴグゼバギド・ゴロギソグ・バギ!!」

 

 

それに対し、ザビューは嬉しそうに笑う。

 

 

「ボギ!」

 

姿の変わったクウガの力を試すかのように誘い、彼方のビルへと飛び立つ。

 

 

クウガも「青」の力特有の身軽さとジャンプ力で追いかける。

 

 

「ギ・ギゾ……!」

 

 

2つ、3つとビルを飛び移っていき、4つ目に着地したビルの屋上でザビューはクウガに肉弾戦を仕掛ける。

 

 

「ふっ!!」

 

ギリギリで躱し、クウガは回し蹴りを繰り出して牽制。

 

 

ザビューが後退したところをすかさず、左腕の連装砲を構えた。

 

「当たれ…!!」

 

 

……しかし。

 

 

「フゥアッ!!」

 

クウガが撃とうとするよりも早く、ザビューはクウガにカウンターの一撃を喰らわせる。

 

 

「うあっ!?」

 

 

よろめきながらも、再度構え、発砲しようとするクウガだったが……

 

 

「っ!?」

 

 

「ゾグ・ギダ?クウガ!」

 

 

「うあっ!!……タマが…砲弾が出ない……!?」

 

 

艤装なのに、“砲弾が出ない”。

 

 

まったくの予想外。突然の変化に続く、原因不明のアクシデントだった。

 

 

 

「ビデギブグ・ミョグザバビ・カイリ……」

 

 

クウガを蹴落とし、アスファルトに叩きつけた。

 

 

そこに、一条と杉田、そして半ば強引に同行した足柄と、それを止めようと慌てて追いかけてきた妙高が駆けつけた。

 

 

「五だ……4号!?しかも青の4号だが……妙だな……」

 

拳銃を抜き、杉田はクウガの姿に違和感を覚える。

 

 

 

当然、その違和感は一条も同じだった。

 

 

 

「青い4号………何故、艤装が備わっているんだ……!?」

 

 

ザビューに羽交い締めにされたクウガを助けるべく、一条は拳銃を構える。

 

 

しかし、もみくちゃになっているせいもあって、狙いを絞り込めない。

 

 

「くっ……!足柄、妙高!俺が《滑空奇襲鬼》の注意を引く!その後君たちは、4号の救援にあたってくれ!!」

 

「4号の……?提督、いったい何を…」

 

 

一条の指示に疑念を抱き、真意を尋ねようとした妙高を足柄が遮る。

 

 

「了解!救援したら、そのままヤツを仕留めて良いくらいだわ!」

 

しかも、心なしかノリノリである。

 

 

 

「…頼むぞ!」

 

 

一条はザビューの背面に回り込み、空砲を撃って注意を引こうと試みる。

 

 

「ンン?」

 

 

そこを逃さず。

 

 

「主砲…撃てぇッ!!!」

 

「足柄、無駄弾を撃つんじゃないわよ?」

 

 

ハンドガン型の単装砲を構え、足柄が発砲。

 

 

「!?」

 

 

クウガをザビューから引き離すことに成功。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

妙高が駆け寄り、クウガに呼びかけるが。

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

足柄はザビューの反撃を受け、ボウガンの雨を浴びてしまう。

 

 

「ハァ……ハァ……っぐ…!!」

 

 

「フン……ダガギン・バギ……」

 

 

「きゃ!?」

 

 

妙高を裏拳で殴り倒し、クウガを踏みつける。

 

 

「ヅギゼ・ゴパシザ……」

 

 

ボロボロのクウガを脇に抱え込み、跳び上がろうとした。

 

 

「ギベッ!!」

 

 

 

その時……

 

 

背中から吹いた風で、マントのような皮膜がなびいた。

 

 

 

「………ギボヂヂソ・ギギダバ」

 

 

クウガを離し、飛び立つとそのまま逃げ去った。

 

 

 

「ぐっ……!待ちなさい……!!」

 

「足柄!貴女も負傷してるじゃない!!」

 

 

 

追いかけようとする足柄を、妙高が止めたことで戦闘は終了した。

 

 

 

「………」

 

「一条。本部には俺が報告しておく………行ってこい」

 

 

杉田の言葉を受け、一条は倒れたクウガの元へ駆け寄る。

 

 

 

 

戦果報告____。

 

 

 

《石ノ森鎮守府》

 

第1艦隊

 

旗艦 足柄……中破

随伴艦 妙高…小破

 

 

 

転落事故を調査中、揚陸侵艦《滑空奇襲鬼(かっくうきしゅうき)》による殺人行為と判明。追跡中、未確認生命体第4号が出現し、これと交戦。

 

「青い4号」へと形態変化し、敵艦の敏捷さに対応していたものの猛攻を受けて敗北。

 

 

現場に到着後、当艦隊もこれに立ち向かうも、敵は想像以上に俊敏かつ強敵であった為、奮戦虚しく取り逃がしてしまい、撃破失敗。

 

 

判定……《戦術的敗北》

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

城南大学 沢渡桜子考古学研究所 08:47 p.m.

 

 

パソコンの画面を凝視し、碑文の解読に悪戦苦闘していた桜子のもとに、電話がかかってきた。

 

 

 

「はい、沢渡です……」

 

『もしもし…一条です』

 

「一条さん……?」

 

『突然すみません……。解読出来ている範囲で構わないのですが……今回見つかった石版の碑文に《射抜くものを手にした青い戦士》というような記述はありますか?』

 

 

一条の質問に、桜子は驚きを隠せない。

 

 

「『青い戦士』が……射抜くものを手に?」

 

 

『実は……五代くんが戦いの途中、青いクウガに変身したようなんですが……そのクウガは、艦娘とよく似た武装を纏っていたんです』

 

 

 

 

 

クウガが艤装を___?

 

 

 

あまりに唐突な報告に、桜子は一瞬呆けてしまう。

 

 

しかし、すぐに気持ちを切り替えて尋ねた。

 

 

「あの……ひょっとして、その事で五代くんの身に何か……!?」

 

 

しかし、電話の向こうは黙り込んでしまう。

 

 

 

「一条さん!!」

 

 

程なくして、一条は重たい口を開いた。

 

 

『かなりのダメージを負ったようで……今、関東医大病院に居ます』

 

 

 

 

 

それを聞いた瞬間、桜子の手からスマホが滑り落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関東医大病院 09:21 p.m.

 

 

大急ぎで病院に到着した桜子。

 

そこに、桜子よりも前に連絡を受けていたのであろう大淀が同着した。

 

 

「大淀ちゃん……!」

 

「沢渡さん!来てくれたんですね……!」

 

 

とにかく、まずは雄介の安否を確認せねばと二人は病院の中へ。

 

 

 

 

すると

 

 

「あ。やあ♪桜子さん、大淀さんも」

 

 

「五代さん……!」

 

「五代くん………。身体、大丈夫なの……?」

 

 

いつかの時の様に、いつもと変わらぬ笑顔で2人を迎えた雄介に、桜子は嫌な予感を抱いた。

 

 

「うん…ゴメンね、心配かけちゃって?」

 

 

「い…いえ、五代さんが大丈夫なら……」

 

 

ほっと胸を撫で下ろす大淀と、一方の桜子は素直に喜べずにいた。

 

 

「あっ…そうそう!せっかく来てくれたのに悪いんだけどさ。俺、明日店の仕込みが早いんだよね!たぶん、一条さんか妙高さんが送ってくれると思うから!じゃあ、お先!」

 

 

 

サムズアップ。

 

 

雄介は駐輪場へ向かった。

 

 

そのわずか数秒後……。

 

 

一条と妙高、足柄の3人と共に、白衣の男性が走ってきた。

 

 

 

彼は「椿 秀一」。関東医大病院の医師であり、『未確認生命体関連事件』では司法解剖を担当。被害者の共通点を探り出し、事件の解決に貢献した一人だ。

 

そして、一条の高校時代からの親友であり、「世界でただ一人の、五代雄介のかかりつけ医」を自負している男気のある人物である。

 

 

「沢渡さん!大淀さん!!五代くんは!?」

 

「五代さんなら、さっき………」

 

 

バイクのエンジン音が響き渡り、雄介が行ってしまったことを証明していた。

 

 

「バカ野郎が……!まったくアイツという男は……ッ」

 

 

そう吐き捨てた椿の言葉に、大淀は尋ねた。

 

 

「…そんなに、酷いんですか………?」

 

 

「全身打撲に加えて、銃の乱射までまともに喰らって……普通なら、銃撃される前にとっくに死んでるところです!強化された肉体で、どうにかなっていますが………それでも、通常で言うところの……全治3ヶ月の重傷には違いないんです!!」

 

 

「!?」

 

「そんなに……!?」

 

 

椿の診断を聞き、妙高と足柄は驚愕する。

 

 

「……五代くん………」

 

 

 

 

 

 

外に出て、しばらく経った頃。

 

 

「はぁ……はぁ………。っぐ、うぅ………」

 

 

痛む体を無理矢理動かして、雄介はポレポレへと向かうのだった………。

 

 

 

 

 

「申し訳ない!結局……また、彼を危険な目に遇わせてしまいました………」

 

 

桜子と大淀に対し、一条は深々と頭を下げる。

 

 

 

「……いえ………」

 

それに対し、桜子は小さく首を横に振る。

 

 

 

「提督………一つお伺いしても?」

 

「……何だ?」

 

 

「確かに、彼は戦えるだけの力はあるでしょう……しかし、力を持つ()()です。戦う義務は無いし、ましてや我々の領域に踏み込む道理は無いんですよ?」

 

 

 

妙高の問に、一条は静かに答えた。

 

 

 

「___似ているんです。五代(かれ)は私に……。だから………止めても無駄だということも、分かってしまう………」

 

 

 

その言葉に、妙高と足柄は勿論、大淀もハッとした。

 

 

そして、妙高と足柄は自分たちの中にある糸が、確信に変わった。

 

 

「……送ります」

 

 

「いえ………一人で帰ります。ありがとうございます……」

 

 

 

軽く一礼し、桜子と大淀は病院をあとにした。




相変わらず無茶をする男と、不器用な男のコンビは色褪せません………。


次回、大淀や妙高さんたちの胸に宿る一つの想いとは?


そして、クウガの新たな力の使い道とは!?

本作の人気投票その1

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