着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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ワタシ、歌ってもいいデスカ!!?

※興奮のあまり、言動がめちゃくちゃになっております。
どうぞ、生暖かい目で前書きを流し読みください。


22話 : 勇魚(いさな)

雄介たちがザビューに敗れ、各自帰投していた頃。

 

 

ザビューもまた、アジトへ戻り、中間報告を済ませていた。

 

 

 

「ガド・バギング・ズゴゴド・ズゴゴ・ビンザ!ハハ!」

 

自身の行為の順調さに、喜びはしゃぐザビュー。

 

 

「カンムスノヤツラトモ、ヤリアッタッテ?“キカン”マデニくりあスンジャネーノ?」

 

 

「ドグ・ゼンザ!」

 

 

フードの少女に答えるザビューを、傍で見ていた桜のタトゥの女は冷ややかに忠告した。

 

 

「ガラブ・リバギ・ボドザ……」

 

「サブショグザ!ハハッ…ガベザ!ガベザ・ガベザ!!」

 

 

グラスに酒を注ぎ、ザビューはぐっと飲み干すのだった。

 

 

 

 

石ノ森鎮守府 08:11 a.m.

 

 

「おはようございます、司令官!」

 

「ああ、おはよう」

 

 

昨日、遠征に赴いていたため出撃が出来なかった吹雪に、一条は大まかに事情を説明した。

 

 

「そんな……五代さんが……!?そ、それで五代さんは!?」

 

 

「念の為、長門に確認の電話をしてもらっている」

 

 

 

 

一方。

 

長門から電話を受けた北上は、島風と共に雄介の様子を見てきた。

 

 

 

「いんや、ダメだね。押しても引いても、揺すっても叩いても!おやっさんのやりそうな起こし方は一通り試したけど、まるで効果無し。ゆうちゃんのこんな状態、私初めて見たよ〜」

 

途中、島風に替わると。

 

 

「長門……まさかと思うけど、ゆーすけ…このまま目を覚まさない、なんてコト……ない、よね……?」

 

「キュ〜…」

 

 

島風と共に、連装砲ちゃんも目を潤ませながら長門に尋ねる。

 

 

 

 

 

 

それに対し、長門は。

 

 

「………大丈夫だ!」

 

『…!』

 

 

「お前たち二人や、一条 薫提督の信じる五代雄介なら……絶対に大丈夫!!」

 

 

声を張り上げないよう抑えつつ、しかし力強く伝えた。

 

 

 

 

「………うん…」

 

 

小さく頷いた島風から受話器を取り。

 

 

「……えっと、長門っち。ウチのおやっさんから伝言があるんだけどさ?」

 

 

「ああ……なんだ?_____ハ?あ…いや、冒険の話は、また次の機会にとお伝えしてくれ!それじゃ……」

 

 

 

このとき、長門は痛感した。

 

 

提督も、マスターの相手は大変だったんだろうなあ………と。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

朝のゴミ出しを済ませ、さあ出勤の準備と思っていたみのり。

 

 

そこに、大淀が訪ねてきた。 

 

 

「大淀ちゃん?」

 

 

みのりは構わないと言って、大淀を連れてわかば保育園に。

 

 

「どうぞ?」

 

 

事情は本人から聞いた、という事で鹿島も同席。

 

お茶を淹れて、3人は椅子に腰掛けた。

 

 

「そうですか……お兄ちゃん、ムチャするから」

 

大淀から話を聞いていたみのりは、苦笑いしながらそう呟く。

 

 

「みのりさんは、平気なんですか?五代さんが、あんな事になって……しかも、18年前にも同じようなことがあったのに……」

 

「争いなんかしないで、話し合えたらそれが一番良いけど……それが出来る相手なら、そうしてるだろうし。それに、お兄ちゃんを信じてダメだったこと、一度も無いから♪」

 

「……そう、なんですか」

 

 

 

俯いたままの大淀に、鹿島は尋ねた。

 

 

「あの……大淀さん?どうかしました?」

 

「もしかして、お兄ちゃんが何か迷惑をかけちゃったとか?」

 

 

みのりも質問するが、大淀は首を横に振る。

 

 

「いいえ……その逆です」

 

「逆…?」

 

 

 

「私…………逃げちゃったんです」

 

 

「逃げた?」

 

 

「長野で、五代さんの秘密を知って…これまでにも、たくさん傷付いて……。だから、そんな五代さんを支えるために、私もしっかりしなきゃって……分かってはいるんです!でも……色んなことが重なって……怖く、なって………ダメですよね?艦娘が、『戦いを怖がる』なんて………っ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いんですよ♪」

 

いつの間にか、涙を滲ませながら震えていた大淀に、みのりはその一言ですべてを肯定した。

 

 

「……へ…?」

 

「普通に考えて、普通にすればいいんです!」

 

 

ほんわかと笑顔になり、みのりは大淀を見つめる。

 

 

そんな大淀に、鹿島はかつての自分を重ねた。

 

 

以前、務めていた鎮守府は老朽化し、提督も自分の限界を感じたとして退役。

 

 

去り際、彼女はたった一言。

 

 

『あなたが普通に考えて、良いと感じたことをしなさい。それはきっと、貴女の幸せの糧になるわ』

 

 

 

提督のその言葉をお守りのように、大事にして生きてきた。

 

 

そして、五代兄妹(この人たち)と出会えた。

 

 

「大淀さん。___大丈夫です♪」

 

 

サムズアップ。

 

余談だが、鹿島の「はにかみサムズアップ」は園児たちから「かわいい」と大好評である。

 

 

 

そこに、一人の園児が声をかけてきた。

 

 

「みのりせんせ〜」

 

「ん?どうした?」

 

「ゆーすけ、いつくるの〜?」

 

 

「さあ……いつかなぁ?」

 

「はやくこないと、かくれんぼのあいてしてやんないぞってゆっといて!」

 

 

言いたいことだけ言って、パタパタと走っていく。

 

 

そんな園児を見て、大淀は改めて理解した。

 

 

そうか。

 

五代さんが、あんな風に頑張ることが出来るのは

 

 

いつも「誰かの笑顔」のため___。

 

 

 

「みのりさん!鹿島さん!私、行きますね?」

 

「はい!」

 

「私が必要な時は、一声かけてくださいね♪」

 

 

“艦娘”としての言葉を受け、大淀は笑顔でサムズアップする。

 

 

みのりと鹿島も、笑顔とサムズアップで応え、見送った。

 

 

 

 

 

杉並区内 現場跡地 10:26 a.m.

 

 

吹雪と電、そして長門と妙高を連れた一条は、犯行の法則性は無いかと調査していた。

 

 

「ここで、戦いがあったんですね……」

 

「はわわわ……」

 

 

初の出撃である電は、ビクビクしながら辺りを見回す。

 

 

「ああ……だが奴は、4号にトドメを刺そうとした直前、まるで気が変わったかのように姿を消した……」

 

 

「その答え、或いはヒントが現場に残されているかも……ということですね?」

 

 

少しだけ間をおいて、妙高が質問してきた。

 

 

「提督………第4号とは、長いお付き合いのようですね?」

 

 

「…ああ、18年前の事件の始め辺りから、ずっと関わっていたからな」

 

 

「………本当に、それだけですの?」

 

 

その一言に、吹雪と長門は思わずビクッと反応した。

 

 

(な…長門さん……!)

 

(流石、石ノ森鎮守府の3大参謀……洞察力は侮れんな……!)

 

 

しかし、一条の意向で第4号=雄介の事実は当分の間伏せておくことになっている。

 

下手すれば、「人艦平等主義」を掲げているらしい妙高がどんな行動を起こすか分からない。

 

 

(し…司令官〜〜〜……!)

 

 

しかし……

 

 

「……みんなの笑顔のために。アイツが命を懸ける理由は、ただそれだけだ。これまでも……今回も。そして………これからも」

 

 

「司令官さん……」

 

 

「アイツは言っていたよ。自分が守りたい『みんな』の中には、艦娘たちもいる……。艦娘のみんなに、暁の水平線だけじゃなく、その先に広がる青空を見せたいと………」

 

 

名前は出さず、しかしその言葉を知る者には判る、彼の言葉を一条は語った。

 

 

「……なんだか、旅人さんを乗せた小舟に寄り添う、クジラさんみたいですね………五代さん……」

 

 

「あ……い、電ちゃん……!」

 

「ふえ?……あ!?」

 

 

慌てる二人を見て、妙高はクスリと笑う。

 

 

「ご心配無く♪提督が情報を伏せると仰るのなら、私もそれに従います。提督から公開の指示があるまでは、情報の漏洩が無いよう尽力致しますわ!」

 

 

敬礼。

 

 

妙高の姿に、吹雪と電は感動していた。

 

 

そして、その光景に長門も満足げに微笑んだ。

 

 

(五代雄介………我々は、お前の仲間だ……!)




次回、いよいよザビューとの決戦です!


そして、その後は前々から考えていた新展開を検討しようかと。

あー、でもその前に登場人物紹介もいいなあ……。

本作の人気投票その1

  • 五代雄介
  • 一条 薫
  • 吹雪
  • 長門
  • 大淀
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