モチロン嬉しいんですが、ここまで輪が広がるとは夢にも思わなかったもので、歓喜のあまり気絶しそう…(ヽ´ω`)
文京区内 ポレポレ 11:57 a.m.
「ん〜〜〜〜〜………」
雄介は悩んでいた。
悩みの種は勿論、青いクウガの件だ。
以前、初めて青のクウガに変身した時も戦い方が分からず、苦戦した。
しかし、今回は戦い方が解るから上手くいくと思っていた。
「なんで、撃てなかったのかなぁ……」
ところが、だ。
今回『超変身』したとき、まったく覚えの無い武装が加わっていて、しかも艤装みたいな外見なのに、砲弾は出ず、まともに戦えなかった。
「やっぱり、いつもの青じゃないとダメなのかなあ……。でも、棒でリーチを補えても銃を乱射されたり飛び回られると反撃出来ないし………」
かと言って、赤いクウガでは追いつけない。
「ん〜〜〜………」
唸りながらテーブルに顔を伏せると
「ゆーすけ!」
島風が後ろから飛びついてきた。
「らしくないよ?ムズカシイ顔しちゃって」
「島風ちゃん」
遅れて、北上も顔を出す。
「聞いちゃった〜〜」
「北上ちゃんまで……どうした?」
「ゆうちゃんってさ?なぁんかズルいよね〜〜……全部独りで抱え込んだりしてさ」
北上の言葉に、雄介はちょっと戸惑ったような顔になる。
「もっと頼ってくれたっていーじゃん?あたしらだって、こんなだけど艦娘なんだし。ゆうちゃんが手を貸してくれってんなら、いつだって力になるよ?」
「私も!ゆーすけと一緒なら、どこまでだって走れるよ?」
「そ・れ・に……ゆうちゃん、クウガなんでしょ?」
「………」
「だいじょーぶ!♪」
サムズアップをする二人に、雄介は笑顔になる。
いつものんびりとしていて、マイペースながらも気配り上手な北上。
せっかちで「落ち着けない従業員」という、店のマスコット的な面が目立つ一方で、常に前を向いて頑張る努力家の島風。
そんな二人に、雄介や玉三郎は度々救われていた。
「__ありがと。北上ちゃん、島風ちゃん。なんとなく吹っ切れたよ♪」
「オー♪」
「えへへ…♪」
ガッツポーズをする北上と照れ笑いする島風に、雄介は微笑むのだった。
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「!」
捜査を続けていた一条のもとに、椿から電話がかかってきた。
「椿か。解剖の結果が出たのか?」
『ああ。被害者の遺体なんだが……ちょいと妙な点があったもんでな』
「妙な……?」
椿からの連絡を受けて、一条の表情が変わった。
「……なんだって!?」
「司令官さん?どうかしました……?」
一条の様子を心配し、尋ねる電だったが。
「__直ちに鎮守府へ帰投する!!」
「何か分かったんですか!?司令官!」
「詳しいことは後で話す!みんな、急げ!!」
一条率いる偵察部隊は、急遽警視庁鎮守府へと帰投した。
警視庁 合同捜査本部 12:08 p.m.
本部へ戻った一条は、本庁からの招集を受けて集まった刑事や長門たちと共に対策会議の場に居た。
「監察医からの報告では、昨日都内で発生した異常な墜落事故の死者に、不思議な共通点が見られるというんです。つまり…墜落外傷の特徴とでも言うべき、
「奴らが関与しているのは、間違い無いな」
杉田の言葉に、一条は頷く。
「そして……それらの事件の共通点はもう一つ。『煙』と『風向き』です」
一条の合図を受け、妙高はパソコンのデータをアップする。
それは、《滑空奇襲鬼》ことザビューの殺人行為が行われた範囲と付近の工場から流れる煙の風向きをマップ化したものだった。
「事件は、一定の範囲内で発生していて、しかも工場の煙が流れてくる場所は見事に除かれています」
「その条件でいくと……ある程度、出る場所が特定出来ることになるな?」
「そうです。__局地的なシミュレーションを行った結果……今日の出現地点は…ほぼ、この範囲内に限定されました」
そのシミュレーション結果は、風向きは『東』。
煙の範囲は『北西から南西にかけて』と出た。
「よし!その一帯を固める!みんな、頼むぞ!!」
山県元帥の号令により、各刑事や大本営への連絡員として出席していた憲兵、そして吹雪たちが出動する。
「一条少佐」
「はい」
妙高と共に資料を片付けていた一条に、山県元帥が声をかける。
「高性能ライフルが配備されている。持っていけ」
「___はい!」
そんな一条の背中を、妙高は頼もしく感じるのであった。
(長門さんや足柄が信頼する訳ね……♪)
「妙高くん!行くぞ、出撃だ!!」
「了解!」
一方。
桜子のもとへ、大淀が妖精さんたちを連れてやってきた。
「大淀ちゃん?」
「あの……石版の碑文、見せていただいてもいいですか?」
「!」
「もしかしたら、妖精さんたちがヒントを見つけられるかもって。それに……私も、これ以上自分から逃げたくないんです!」
桜子は、大淀や妖精さんたちの気持ちを痛いほど理解していた。
「…うん!」
みんな、それぞれの場所で戦っている。
「重巡洋艦、妙高!抜錨します!!」
「ビッグ・セブンの力を甘く見るなよ?揚陸侵艦!」
「駆逐艦、吹雪!抜錨しますっ!!」
「電の本気を見るのです!」
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その頃、雄介は店前の掃除をしていた。
ちり取りに落ち葉や土埃を集めていると、ドルフィンチェイサーに無線が入る。
『こちら杉並1。現在異常は無い』
『杉並2、こちらも同じく異常ありません』
「!…一条さん?」
すると、一条の通信の次に長門の声が。
『こちら偵察隊長門。同じく、滑空奇襲鬼の姿は見当たらない』
「長門さんも?」
『了解、引き続き捜査にあたり……な、なんだ!?』
「!?」
『杉並3!?何が起きた?』
『こちら杉並3、滑空奇襲鬼が出現!これより、迎撃態勢に……う、うああぁぁあっ!!!』
『杉並3!応答せよ!繰り返す!応答せよっ!!』
無線越しに異常事態を確認。雄介は深刻さを察した。
「おやっさん、ゴメン!掃除はまた今度!!」
店の方で作業をしているであろう玉三郎に謝りつつ、雄介はドルフィンチェイサーに跨ると出発した。
「帰ってこいよ………雄介」
バイクのエンジン音を耳にした玉三郎は、小さくそう呟いた。
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「……あった!」
石版の古代文字を解読していた桜子と大淀たちは、遂に「青い戦士」に関する新たな碑文を見つけた。
そこに書かれていたのは
《水のように》《長いもので》《波が起こる》
《従えて》《邪悪を》《薙ぎ払う》《戦士クウガ》
「すぐに伝えにいきます!」
「待って!今、一条さんにも伝えなきゃ……!」
杉並区内 01:35 p.m.
「うああああッ!!!」
一条たちの読み通り、ザビューは現れた。
しかし、その力は凄まじく、先に遭遇し、交戦していた警官たちは次々と倒れていく。
「フン。チョソ・ギバ」
そこに、一発の砲撃が。
「見つけたぞ、揚陸侵艦!!」
妙高たち《揚陸侵艦殲滅艦隊》が到着した。
「命中させちゃいますっ!」
先に動いたのは、意外にも電だった。
(みんな頑張ってるのです!電も、負けずに戦わなきゃなのです!)
「照準、良し!全砲門、撃てぇぇぇッ!!」
次に妙高が連装砲や機銃を構え、一斉砲火。
「ッ!!グォ……!?」
ザビューの怯んだ様子に、一条は僅かながら手応えを感じる。
「いけるか……!?」
援護するべく、一条はライフルを構えた。
その時。
ピリリリリッ!
「!!」
一条のスマホから着信が入る。
「!」
着信音に一瞬気を取られた一条と艦隊一同。
それを好機と見たザビューは、機銃を2丁構え、コマの様に回りながら艦娘たちに発砲する。
「みんな!!」
ライフルを構え直そうとしたが、行動の速さはザビューの方に分があった。
「ぐあっ!?」
「ギブグ・ギギ…!」
蹴り倒した一条に、ザビューはパトカーをひっくり返して押し潰そうとした。
「司令官ッ!!!」
間に合わない___!!
そう、思われた。
しかし……。
「ふぅんッ!!」
一条にのしかかる寸前、妙高がパトカーを受け止めたのである。
「ビガラ……!」
「艦娘を……ナメんじゃないわよ、ネズミ面ァッ!!!」
押し返したことで、ザビューは後退。
狩場を変えるべく、移動した。
一方、桜子たちは一向に応答の無い一条にやきもきしていた。
「一条さん……!」
すると、ラジオのニュースに速報が入った。
『__はい。只今、揚陸侵艦に関する新しい情報が入りました。杉並区にて、警官隊と揚陸侵艦殲滅艦隊と交戦した滑空奇襲鬼は、複数の警官を攻撃した後に代々木2丁目へと移動。引き続き……』
「沢渡さん!私、行ってきます!!」
ニュースを聞いていた二人だったが、大淀が立ち上がった。
桜子は頷き、大淀は現場へ向かった。
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「うああああぁぁぁっ!!!」
ザビューの猛攻に、次々と倒れる警官たち。
「ザボ・ゾロガ……」
そこへ、ようやく駆けつけた雄介が、ドルフィンチェイサーで体当たりを仕掛ける。
「フン!」
「!!」
しかし、ザビューは片手でドルフィンチェイサーを押さえ込み、雄介の突撃を防いでしまう。
「ジャラ・ザ……フゥア!」
「うあっ!!」
バイクごと倒され、雄介はすぐさま起き上がるも、ザビューは姿を眩ませていた。
「……何処だ……!?」
まだ遠くへは行っていない筈と思い、雄介は噴水広場へと向かう。
「…………。はっ!?」
「フゥゥアッ!!」
上空から飛び蹴りを繰り出すザビューに気付き、寸でのところで雄介は躱す。
立ち上がると、腹部に両手をかざす。
雄介の意思に応え、ベルト・アークルが呼び覚まされる。
構え、雄介は己が意思を言葉にして、叫ぶ。
「変身!!」
「ギベッ!!」
ザビューが跳びかかるも、変身の所作を完了した雄介は横っ飛びに回避。
手すりを掴んだ先から、ザビューに反撃の一打を加えるまでに変身が完了する。
「!?…いきなり青か!」
しかも、それは昨日変身した時の「艤装をまとった青」の姿だった。
「フン……」
相対する、二つの異形。
一方は人に仇なす者。
一方は、人を護る者。
身軽さにおいては、どちらも譲らず。
「フゥア!」
「ふっ!」
しかし、単純な腕力などはザビューが勝っており、それに対抗すべく、クウガは左手の連装砲を使おうとするが、相変わらず砲弾を撃つことが出来ない。
「ぐあっ!……わ、わからない……!どうしたら良いんだ……!?」
クウガが悪戦苦闘している頃、大淀は自前のスクーターを飛ばしていた。
「!」
目指すべき道の先、そこは揚陸侵艦出現に伴って交通規制がかかっていた。
「ここから先は通行止めです!迂回して下さい!!」
「引き返してくださーい!!」
しかし、大淀は。
「私は軽巡洋艦、大淀です!緊急出動の為、強行突破させていただきますッ!!」
警視庁鎮守府より、無断で持ち出した連装砲を掲げた。
「うわあぁぁあっ!!?」
「かか、艦娘うぅっ!?」
大淀の気迫に圧されたのか、単に主砲に驚いただけなのかは定かではないが、とにかく大淀はその場を突破した。
「提督……提督!」
「……っ……妙高……長門…」
ザビューの攻撃と妙高の踏ん張りによる安堵からか、一条は少しばかり意識を失っていたようだ。
「司令官さん、大丈夫ですか?」
電も、心配そうに眼を潤ませている。
「みんな…すまない……。もう、大丈夫だ……」
正直、身体はまだ痛む。
しかし、それを言い訳にして後事を部下たちに任せられるほど、一条という男は器用ではない。
「行くぞ……!」
そして。
強行突破した大淀と単ちゃんは、今まさに追い詰められているクウガを発見したのだった。
「居た!!」
急ブレーキをかけるが、そのためにスクーターはバランスを崩し、大淀はスクーターから投げ出される。
「ったた……、五代さん!五代さんッ!!」
距離があるため、大淀は声を張り上げて伝える。
「ッ!大淀さん!?」
「《水の心の戦士 荒ぶる波を従えて 敵を薙ぎ払え》!!」
「なに……!?」
「分かった!?」
「水の心!?荒ぶる波を……薙ぎ払う?……薙ぎ払うって……」
一瞬、大淀に注意が逸れたことで若干弱まったザビューの拘束を振りほどき、クウガは態勢を立て直す。
薙ぎ払う___それは『青いクウガ』の戦い方だが、この姿でも通用するのか?
___否。
大淀の言葉で、クウガは直感した。
艦娘は、ただ砲撃したり魚雷を撃ったりする訳じゃない。
長門のように対人格闘で相手を打ち負かしたり、時にはアスリート顔負けの運動能力で戦局を逆転させることもある。
つまり、武器も艤装も、どちらも欠けてはならないのだと。
「そういうことかッ!!」
鉄製の手すりを蹴り上げ、棒に見立てて、振り回す。
すると、クウガの両手首にある腕輪の宝玉からエネルギーが注がれ、武器が生成される。
《眠れる水竜の棒》ドラゴンロッドを手にしたことで、クウガの連装砲に力が宿る。
青いクウガ・ドラゴンフォームの変異体、クウガ・トリトンフォームの完成である。
苦労に苦労を重ね、やっとここまで来ました……!!
次回、いよいよ決着!!
本作の人気投票その1
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吹雪
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長門
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大淀