鏡やガラスとは違い、水面は気象や場所に影響を受け易く、映るものの姿は酷く曖昧だ。
しかし、そこに映るものの内面までもが曖昧かどうか……それはまた別の話と言えよう。
※一部修正しました。
文京区内 09:21 p.m.
下宿先のアパート……その一室。シャワーからあがった青葉は、頭を拭きながら真司の言動を思い返していた。
「ハァ………。先輩ってば、いったい何がどうしたんでしょう……」
パジャマに着替え、青葉はベッドに潜り込む。
「…………」
(私が艦娘であること………先輩…城戸さんは黙っていてくれる……確かにそう言ってくれた。でも……)
(私は、城戸さんが今日感じたことについて、何も気付けなかった………。それは私が鈍かっただけ?それとも……)
(私が
《OREジャーナル》に就職……否、大久保に拾われる前。
青葉は、今は無き鎮守府に在籍する艦娘であり、秘書艦をも任されていた。
青葉が着任して間もない頃の提督は、若いながらも多くの艦娘たちから信頼があり、一部の駆逐艦たちは彼を兄の様に慕うほど人望に恵まれていた。
だが………
いつの時代も、どんな場所にもそんな人望厚い人間を疎み、邪魔に思う者はいるらしい。
彼の先輩にあたる大本営の職員が、汚職の事案を捏造。
自身が上層部に顔が効く立場であることを利用して、提督を徹底的に追い詰め、遂には軍部から永久追放。
空いた提督の席に、提督を追いやった男の息子が腰を据えることとなったのだ。
(それからは、平和な国から独裁国家に成り下がったような崩壊ぶりでしたね……)
提督という地位を、王か何かと履き違えたような思考に言動。資材管理もロクに出来ず、艦隊の指揮など以ての外。
にも関わらず、己の無能さを棚に上げて、全ての失態を艦娘たちに押し付け、挙げ句の果てに「お前らがこの鎮守府に居られるのは誰のお陰だと思ってる!?お前らは所詮、使い捨てのオモチャだろぉが!!!」などと、人としても最低な言葉をぶつけたのだ。
これ以上、野放しにしてはいけないとして、青葉は憲兵に密告。
当然、その屑提督とその一派は逮捕。提督の任も解かれ、私物化されてしまった鎮守府も資材が殆ど残っていなかったため、運営の維持は困難と見なされ、解体となった。
艦娘たちが開放された事、そして前提督の復職願を申請し、前向きに検討してもらえる旨を青葉は報告に向かった。
…………しかし。その願いは、あまりに呆気なく砕け散った。
己の無力さを嘆き、青葉たちを守れなかったことに罪悪感を抱いていたのであろう提督は、自宅で首を吊って死んでおり、既に半月以上が経過していた………。
(それからの青葉は、ほぼ浮浪民同然でしたね……)
各地を転々とし、日雇いのアルバイトをしたり他所の鎮守府を取材・演習に参加するなどで食い繋いできた。
(そして、編集長さんに腕を見込まれて拾ってもらえた訳ですよね………)
大久保の人の良さや優しさに、青葉は深く感謝している。
しかし、同時に怖れてもいた。
“いつか、捨てられてしまうのでは?”……と。
(城戸さん………私は、皆さんを信じていいんですよね………?)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「………ん〜〜〜」
翌日。
昨夜出会った謎の少女―――アリスから渡されたカードデッキを手に、真司は頭を捻っていた。
「コイツが何なのか、肝心なことは答えてくれなかったもんなあ……結局」
カードデッキその物にも疑問はあるが、真司がそれ以上に気になっているのはアリスの言葉だ。
「記憶の鎖が開放されて、俺の目覚めがどう…って言ってたよな………」
しかも、その記憶とやらが目覚めると、自分は戦い続けなきゃならないという。
「ワケ分かんねえよな、まったく………」
今日は一日休みだったので、真司は気晴らしに散歩へと出向いた。
「!」
通りに出たところで、青葉の姿を見かけた。
「青葉ちゃん……?」
同じ頃、都内に程近い製油所。
資材運搬用のタンカーが、突然姿を消したという報せが大本営に届いた。
「馬鹿な!!深海棲艦の出現反応も無く、タンカーが消えるなど有り得ないッ!!!」
「ですが、現に消失しているんです!これは、明らかに超常的な力が働いているとしか……!!」
この異常事態に組織内が混乱したのも、ある意味当然だったと言える。
深海棲艦の出現時に発生するという、特殊な音波も何一つ反応が無かったのだから。
「………」
会議を終え、一条と長門は苦々しい想いでいた。
未確認でも、揚陸侵艦でもない……まったく未知の事態に対し、打つ手が無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「青葉ちゃん!」
「あっ……先輩……」
真司に呼びかけられ、青葉は振り向く。
「今日、お休みだったんですね」
「そういう青葉ちゃんも?」
「ええ……まぁ」
その時。
真司と青葉の耳に、金属同士を打ち合わせるような音が響いてきた。
ヤバイ……
ホントにネタの絞り込みが難しい……
龍騎ファンの皆さん、かなりムチャクチャな作りですがお許しください!!
人気投票その3
-
城戸真司
-
青葉
-
ドラグレッダー
-
単ちゃん
-
造花ちゃん