着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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龍騎編、クウガ編よりも長編になってきてる!?


龍騎の復活まで、もうちょいお待ちを!!


32話 : 人間(ヒト)だって道具だ

「何なんだよ、これ……!?」

 

 

見慣れた筈の景色、その全てが鏡の中と同じように反転した不気味な世界に真司は引きずり込まれた。

 

 

「……って、姿変わってるし!!」

 

 

そして、ここでようやく自分の変化に気付いた。

 

 

「まさか……このベルトもカードデッキの力、なのか?」

 

 

 

色々調べていると、交差点の辺りで砲撃と何かの唸り声の様なものが聞こえてきた。

 

 

「!―――青葉ちゃん!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ハァ…ハァ……!」

 

 

鏡像反転した、この不気味な世界に自らを引きずり込んだ元凶である、巨大な蜘蛛のような怪物に追われながらも、青葉は砲撃で抗戦していた。

 

 

「もう!いったい何なんですか、此処は!!」

 

 

いつの間にか纏っていた艤装とか、他にも色々と気になることはあるが、今はとにかく状況の打開が最優先。

 

 

青葉は主砲の照準を調整し、蜘蛛の怪物に砲撃する。

 

 

 

(ちょっとぐらい、効いててよ……?)

 

 

『グルルル……!』

 

 

しかし、怪物は少し怯んだ程度でダメージを与えるに至っていなかった。

 

 

「……あれ?」

 

 

怪物は唸り声をあげ、青葉に迫る。

 

 

「蜘蛛なのに、硬すぎでしょおおおっ!!?」

 

 

 

猛ダッシュで逃げるが、蜘蛛の怪物は糸を吐いて青葉の体を縛りあげる。

 

 

「あ、あ…ちょっ!?離して下さいぃ〜〜!!」

 

 

必死にもがくが、糸は思った以上に粘着質で、もがけばもがくほど体の自由が効かなくなっていく。

 

 

(なんで……なんで、誰も居ないの……!?)

 

 

人気の無い、怪物しか居ない鏡の世界に、初めて青葉は恐怖を感じた。

 

 

(イヤ……こんな終わり方、あんまりだよ………)

 

 

怪物の牙がゆっくりと近付く中、青葉は涙を浮かべる。

 

 

(城戸さん………!!)

 

 

「ウオオオオオオォォォォッ!!!」

 

 

自身の最期を覚悟し、ぎゅっと目を瞑った、その時だった。

 

 

聞き覚えのある叫び声が耳に届いて、ハッと顔を上げる。

 

 

商店街の方から、剣道の面にも似た仮面と動きやすさを優先した鎧に身を包んだ戦士が走ってきて、蜘蛛の怪物に体当たりをかました。

 

 

「ッ!?」

 

 

「青葉ちゃん!大丈夫!?」

 

 

自分の名を呼ぶ、その声に青葉は確信した。

 

 

「城戸…さん……?」

 

 

目の前に現れた戦士に、恐る恐る呼びかける。

 

「え?…あぁ、そっか。こんなカッコじゃ、驚くよな……。でも大丈夫!俺は、君の先輩、城戸真司だから!!」

 

 

青葉の前に立ち、蜘蛛の怪物と対峙する。

 

 

「……で。えっと……武器とかねーのかな?コレ……」

 

 

 

「………ハイ?」

 

 

その妙な間が、隙となってしまい。

 

 

蜘蛛の怪物の反撃を許してしまう。

 

 

「うぉわったた!?」

 

「先輩、いきあたりばったりも大概にして下さぁぁいッ!!」

 

 

「ゴメンナサイ!!ホンットマジでゴメンナサイっ!!!」

 

 

逃げ切れないと判断し、二人は戦うことを決意。

 

 

「だああ、もうッ!!どう戦えばいいんだよ!?」

 

 

明らかにスケールの違う敵を前に、真司は愚痴りだした。

 

 

「……!先輩、その左手の奴は使えないんですか?」

 

 

真司が左手に装備している、篭手状のツールを指差す青葉。

 

 

「え?」

 

ツールのカバーをスライドすると、何かをセット出来るスロットが展開する。

 

 

「カードデッキ……。そういうことか!」

 

 

 

バックルにセットされたカードケースから、カードを1枚引き抜く。

 

 

そのカードには、細い刀身の剣のイラストが描かれていた。

 

 

そして、カードを左手のツールのスロットにセット。

 

カバーを閉じると、カードの効果が発動した。

 

 

 

《SWORD VENT》

 

 

カードに描かれた剣が虚空から出現、地面に突き刺さった。

 

 

「剣……?」

 

「どういうカラクリかは知らないけど……これで戦える!」

 

 

剣を引き抜き、真司は気合だけを頼りに怪物に接近。

 

 

剣を振り下ろした。

 

 

「ウオオオオオオォォォォッ!!!」

 

 

 

しかし、バキンッという音が辺りに響く。

 

 

「折れたァ!?どわあぁぁあっ!!」

 

 

二度目の隙を突かれ、脚で簡単に薙ぎ払われる。

 

 

「城戸さん!!」

 

 

助ける筈が、反対にピンチに陥ってしまった真司はお手上げ状態だった。

 

 

「くっそぉ……!」

 

そこに、替わって青葉が前に立った。

 

 

「城戸さん、逃げて下さい。私が、なるべく時間を稼ぎますので……その間に出口を見つけて、脱出して下さい」

 

「なっ……!青葉ちゃんは!?」

 

 

驚きの声をあげる真司に、青葉は振り向くことなく、穏やかに応えた。

 

 

「お願い。もう……青葉(どうぐ)なんかに優しくしないで」

 

 

 

 

「道具………だって………?」

 

 

 

「言ったでしょ?私たち艦娘は、国や人のために戦う兵器……使い捨ての道具と同じなんです。私にはもう……使ってもらうべき提督(ヒト)も場所も無い……」

 

 

「………」

 

「だから、せめて………少しの間でも、私を人間にしてくれた恩人(みなさん)の道具として、終わりたいんです」

 

 

そう言って、振り向いた青葉は、涙を流しながら微笑んでいた。

 

 

 

しかし

 

 

「ふざけるなッ!!!!」

 

 

そう怒鳴りながら、真司は青葉を抱え、怪物の攻撃を躱した。

 

 

「艦娘が道具だって?そんなコト誰が決めた!?お前たち艦娘を道具だっていうんなら、人間(俺たち)だって人間(ヒト)の道具だッ!!」

 

 

 

真司の叫びに、青葉は目を見開いていた。

 

 

「それでも納得出来ないってんなら、俺がそんなくそったれの考えをぶち壊してやるっ!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

 

カードデッキから再びカードをドロー。

 

それには何も描かれていなかった。しかし、真司はそのカードを掲げた。

 

 

「―――来い!ドラグレッダー!!!」




龍騎編で、書きたかったシーンをやっと書けた気がします……(^_^;)


次回、いよいよ龍騎編クライマックスです!

人気投票その3

  • 城戸真司
  • 青葉
  • ドラグレッダー
  • 単ちゃん
  • 造花ちゃん
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