欲望を賛美する鴻上会長、自己の欲求に忠実な隼鷹。
そして、基本無欲な火野映司。
欲望が欲望を生む、欲深き物語が産声をあげる……。
映司を呼び出し、提督に任命したスポンサー―――鴻上会長の用意した鎮守府へ、映司と香取、里中の3人は歩きだす。
「未確認生命体……まさか、また現れるなんて……。でも、未確認は五だ……4号や警察のみなさんが全部やっつけた筈でしょ?」
尋ねる映司に、里中は答えた。
「九郎ヶ岳の奥地に、新たな遺跡が発掘されたそうなんです。そして、そこから新たな未確認が甦った……」
「現在、揚陸侵艦と名付けられたそれらは、これまでに計12体出現……石ノ森鎮守府と警視庁合同捜査本部の連合艦隊、そして第4号の奮戦によっていずれも撃破に成功しています」
里中に続いて、香取が現状を報告する。
「ホントに、人手が足りないんだ……」
艦娘の戦力は、ある程度耳にしているし、4号の実力は間近で見ているから不安は無い。
しかし、今よりも強い敵が現れたら?
深海棲艦と揚陸侵艦が、もしこちらの動きを読んで攻めることがあったら?
戦術や広い視野を持って作戦を立てることを苦手とする映司にとって、難しい問題だった。
「まあ、先のことは今すべきことを済ませてからにしましょう?ほら、もうすぐ着きますよ?」
香取が映司を促した、その時。
「ぐあっ!!」
「テメっ、このヤロー!!」
「!?」
右手の曲がり角にて、何やら騒ぎが起きているようだった。
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「ぐっ……ぅぐえ……」
「ご…ごの、アマ…ぁ……ッ」
体格の良い、大柄な男やいかにもヤンキー崩れの若者など、合わせて5人ほどのグループを相手に、一人の女性が暴れていた。
いや、飛びかかる男たちを女性がのらりくらりと躱しつつ、鋭い一撃を加えている…と言うべきか。
「おいおい、そんな程度かぁ?こっちは艦娘つったって、たった一人だぜ?ま……あたしが贔屓にしてる店の周りで威張り散らしてるグループの話は聞いてたから、捜し出す手間が省けて助かってるけど……なっ!」
女性―――隼鷹はぼやきつつも、背後から迫ってきた男の急所を踵で蹴り上げる。
「はぐぅおおっぅ!!?」
その一撃があまりに凄まじかったのか、グループの中で一番大柄な男は内股になりながら倒れ込み、蹴りぬかれた急所を押さえて悶絶しだす。
「うわあ……」
その光景を目の当たりにした映司は、やられた男に心から同情した。
「……はっ!?」
しかし。
真っ先にやられていたらしい、グループの一人が立ち上がり。
「死ねやああぁぁぁッ!!!」
ナイフを取り出して、隼鷹に突撃してきた。
「!」
「危ないッ!!!」
映司は飛び出すが、間に合わない!
隼鷹も、映司自身も。
この場に居る誰もが、そう思った。
ところが………
「ぐえっ!?」
男が急に、何かに躓いたかのように転んだのだ。
「……えっ?」
しかし、そこには足を引っかけるような物は無い。
何が起きたのかは分からないが、とにかく今は事態を解決せねば。
そうして、映司たちはゴロツキのグループを警察に引き渡し、事態は解決した。
「あれ?香取じゃん、どうしたのさ?」
香取に気付いた隼鷹が声をかける。
「隼鷹さん、さては貴女…また飲みに行ってましたね?口からお酒の匂いがしてますよ!」
香取に注意され、隼鷹はニヘヘと笑いながら謝る。
「里中さん、香取さん。ひょっとして、彼女も?」
「ええ。鴻上会長が設置した鎮守府に在籍している、艦娘の一人。軽空母・隼鷹さんです」
ここで、隼鷹はようやく映司の存在に気付く。
「んえ?香取、コイツ誰?」
「コイツって……ハァ。着任式の前とは言え、失礼ですよ?隼鷹さん。こちらは火野映司さん、本日付けで、鴻上鎮守府の提督に着任される方です」
「……ふーん」
映司の顔をじろじろ眺めながら、隼鷹は一言。
「……あんた、提督ってガラじゃないね」
「……………え?」
UAとか、お気に入り登録者数がスゴイ……。
次回、映司がいよいよ鎮守府へ入ります!
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