着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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『着任先の新提督が色々とマトモじゃない。』!
前回の3つのあらすじは?


1つ!鴻上の用意した鎮守府に、火野映司が提督として着任!

2つ!艦娘の一人、軽空母・隼鷹と遭遇!

そして3つ!隼鷹に絡んだゴロツキの男に、謎の異変が生じた!


37話 : ドジっ娘と右手と新たな怪物

鴻上鎮守府の創立者である鴻上からの熱烈な挨拶が終わり、気を失いかけていた香取もようやく立ち直った頃。

 

 

映司は里中から渡された、ある衣装に着替え終わった。

 

 

「ど…どうかな?」

 

 

「まぁ…!」

 

「ほっほぉ?」

 

 

それは、幾分ゆったりとしたデザインではあるが、サイズはピッタリ、動きやすさと機能性を見事両立させた提督衣装だった。

 

 

「大変お似合いですわ!火野提督♪」

 

 

香取が褒めるのに併せて、里中も頷く。

 

 

「流石会長ですね、寸分の狂いも無く完璧に仕上がっています」

 

「え?コレ、鴻上さんが?」

 

 

「はい。鎮守府創設にあたり、提督を任せられるのは火野さん以外に有り得ないと」

 

 

里中の淡々とした説明に、隼鷹たちは追いつけなくなりつつあった。

 

 

しかし、香取は咳払いをして気持ちを切り替える。

 

 

 

「えー……改めまして。火野映司提督、鴻上鎮守府へようこそ!各艦娘を代表して、ご挨拶申し上げます」

 

 

「あっ、どうもご丁寧に…」

 

 

香取と隼鷹の敬礼に、映司はペコペコと頭を下げる。

 

 

「それでは、秘書艦見習いとして初期艦をお選び下さい。通例としては、駆逐艦5名から1人選んでいただくんですが……」

 

 

「もしかして……艦娘さんも人手が足りてないとか?」

 

 

映司の問いに、香取は首を横に振る。

 

 

 

「艦娘の在籍数“だけ”はそれなりなんです。ただ……鴻上会長が提示した、艦娘を鎮守府に迎える条件が特殊過ぎたんです。《欲望を持つ艦娘よ!今こそ欲望を開放し、欲望の下に集え!!》……なんていう、新手の宗教団体みたいな触れ込みに、駆逐艦などのピュアな娘たちが怖がってしまって……」

 

 

「え?じゃあ……この鎮守府って……」

 

 

「鎮守府の設立当初から、初期艦候補として着任している《五月雨(さみだれ)》以外の駆逐艦が1人も居ないんです………」

 

 

香取の説明が終わった、その時。

 

 

「キャアァァーっ!!!」

 

 

 

廊下の方から、少女の悲鳴が聞こえた。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「今の声は……五月雨ちゃんです!」

 

 

何事かと、皆は一斉に執務室を飛び出した。

 

 

 

 

悲鳴が聞こえたのは鎮守府の中庭。

 

そこには、映司にとって馴染みのある自動販売機が置かれており、そのすぐ側に、清らかな水を思わせる長い水色の髪が印象的な美少女……白露型駆逐艦《五月雨》がへたり込んで震えていた。

 

 

 

「五月雨!どうしたんだよ?」

 

「あっ…じ、隼鷹さん…香取さん……」

 

 

香取や映司たちに気付き、安心したのかくしゃっと顔を崩して泣き出した。

 

 

「いったい何があったの?」

 

 

香取が尋ねると、五月雨は涙ながらに答えた。

 

 

「お、おばけが……自販機の下から、おばけの手が出たんです〜!!」

 

 

「おばけぇ?」

 

五月雨の怯えた様子に対し、隼鷹は顔を(しか)める。

 

 

香取も里中も首を傾げるが、五月雨は必死に訴える。

 

 

「ホントなんです!真っ赤で、真っ黒い爪を生やしたおばけの右手が、この自販機の真下から…にゅ〜って……!」

 

 

真っ赤な右手―――

 

 

その証言に、映司はハッとなる。

 

 

「ねえ!五月雨ちゃん!そのおばけ、他に何か喋ったりしなかった!?」

 

「ふぇ……?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

映司たちが五月雨の話を聞いている頃……。

 

 

隼鷹に打ちのめされたゴロツキたちが収容された留置所では、とんでもない騒ぎが起こっていた。

 

 

 

「ハア……ハア……ハア……ッ」

 

 

隼鷹にナイフを刺そうとした男が部屋を脱走し、警備員たちも何人かの負傷者が出ていた。

 

 

「いったい、どうなっているんだ……!?」

 

「分からん!しかし、いったい何なんだ……()()()()()()()()()……!!」

 

 

警備員たちを次々と薙ぎ払い、扉を簡単に破砕するほどの腕力。

 

しかも、こちらの取り押さえに抵抗し、反撃する度に力が増し、右腕が膨れ上がっているように見えるのだ。

 

 

 

「ハア…ハア……ハア……!おさ…まらねぇ……。怒りが……イライラがぁ……とまらねえ……!!」

 

 

 

 

 

その様子を伺う、複数の影が物陰にあった。

 

 

 

『さあ………欲望を満たせ』

 

『そして、満たされることのない欲望に身を委ねろ』

 

『そして、欲望に溺れ……』

 

 

『欲望の塊として全てを喰らい、全てを私たちに捧げるのです………』




オーズ編、思ったよりも難しい!_| ̄|○ il||li


欲望というテーマが、難しいだろうことはある程度覚悟してたんですけど、コイツはなかなかの癖者ですね……(;´Д`)

人気投票その4

  • 火野映司
  • アンク
  • 五月雨
  • 隼鷹
  • 香取
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