着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

47 / 152
オーズ編クライマックスです!


この提督……マトモじゃないッ!!



42話 : 反撃と乾杯と今日のアイス

アンクから受け取った3枚のオーメダル―――『コアメダル』で変身した映司は、手を握り締めたり開いたりして、感覚を確かめる。

 

 

「よし!違和感も異常も無しっと!」

 

 

一方、五月雨と隼鷹は映司の身に起こった一連の出来事を把握しきれずに居た。

 

 

 

「提督が、なんか未確認みたいなのに変わったぞ!?」

 

 

「そ、それにタカ!トラ!バッタ!って……!!」

 

 

そんな五月雨たちに対し、アンクは一言。

 

 

『歌は気にすんな』

 

「そう言うこと!」

 

 

オーズもそう告げ、猛々しいファイティングポーズを取り、赤鬼の様な怪物に立ち向かう。

 

 

 

「ハアアァァァっ!!」

 

 

その身軽さはバースの時と異なり、映司“らしさ”が反映されているように五月雨は感じた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

江東区内 02:33 p.m.

 

 

映司がオーズに変身し、怪物にリベンジを開始した頃。

 

 

南西諸島沖の主力艦隊撃滅に成功した報告を受け、一条はパトカーを走らせていた。

 

 

その最中、一条の下に通信が入る。

 

 

 

「こちらP08、一条です!」

 

『祥鳳です!提督、今よろしいでしょうか?』

 

 

「祥鳳くん、何があった?」

 

 

一条の問いに、石ノ森鎮守府所属の軽空母《祥鳳》は報告する。

 

 

『はい!偵察機からの報告によると、荒川区に出現した巨大生物は鴻上鎮守府の艦隊が迎撃に当たっているとのことです!また、その戦闘区域に第4号に酷似した新たな未確認が出現。艦隊に加勢し、怪物と戦闘を開始したとのことです!!』

 

 

「第4号に似た、新たな未確認……!?」

 

 

 

第4号―――クウガに酷似した未確認といえば、『()()()』しか存在は確認されていない筈………。

 

 

 

 

 

いや、噂や都市伝説としてではあるが、ある観光都市には怪物から街や人々を守るため、颯爽と現れては事件を解決していく仮面の戦士がいるという話もある。

 

 

もしかしたら………

 

 

 

そう思考しながら、一条は祥鳳に指示を送った。

 

 

「怪物の対処は鴻上鎮守府に任せよう!今我々がすべきは、海戦の戦果報告と事後処理だ!」

 

『…了解!』

 

 

そう指示を出した一条には、その戦士に関して任せても大丈夫だろうと感じていた。

 

 

 

とは言え、一条自身“らしくない”と思うほど、根拠は無かったのだが。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ハッ!たぁっ!せいやっ!!」

 

 

胸部のマークにあるトラの絵柄が光り、両腕に備わった鉤爪を展開すると、オーズは力一杯振り抜き、怪物に引っ掻き攻撃を連続で繰り出す。

 

 

しかし、怪物も簡単にやられるつもりは無いようで、より激しく暴れる。

 

 

 

「きゃっ!!」

 

五月雨は攻撃の煽りを喰らってしまい、服も少しばかり破けてしまう。

 

 

「五月雨ちゃん!大丈夫?」

 

「はい!司令官の方こそお怪我は!?」

 

 

「俺は大丈夫!これでも、それなりに実戦経験は積んでるからね」

 

 

 

それらの戦いを眺めているアンクに、隼鷹は少し不満を抱いた。

 

 

「おい、アンコ!お前もちょっとは手伝えよ!!」

 

 

それに対し、アンクはムキになって言い返した。

 

 

『誰がアンコだッ!!』

 

 

そして、アンクは1枚の赤いコアメダルを取り出した。

 

 

 

『映司!真ん中のコアをコイツと替えろ!!』

 

 

「!」

 

アンクから投げ渡されたメダルを見て、オーズは驚いた。

 

それはまったく見たことの無いもので、トカゲの様な絵柄が描かれていた。

 

 

「アンク!これ、いつものと違うんだけど!?」

 

『説明は後だ!さっさとやれッ!!』

 

「そんな、強引すぎますよぉ!」

 

アンクのゴリ押しに、五月雨も思わず声をあげた。

 

 

「ああ〜もぅ、分かったよ!」

 

文句を垂れながら、しかしどこか嬉しそうにメダルを替えるオーズ。

 

 

そして、オースキャナーでメダルを読み込ませる。

 

 

【タカ!サラマンダー!!バッタ!!!】

 

 

 

トラのパーツが赤いトカゲの模様に変わり、肩にはトカゲの頭部を象った模様が現れ、赤い両腕にはトカゲの爪を模した短刀型の武装・サラマンダガーを備えた《サラマンダーアーム》となった。

 

 

新型の亜種形態、オーズ・タカサラバ。

 

 

「うわあぁ、なんだコレ!?身体が軽いっ!!」

 

 

バッタの跳躍力と相性が良いのか、バッタの能力開放をせずとも軽やかに跳び回り、赤鬼の怪物に攻撃を加えていく。

 

 

『グオオオ!!ゴオオオォォッ!!』

 

 

怪物はオーズを捕まえようと必死に動くが、その巨体が災いして、オーズの俊敏な動きに対応しきれず、やがてバランスを崩して倒れてしまう。

 

 

 

その一瞬の隙を、アンクは見逃さなかった。

 

 

『今だ!!一気にカタをつけろッ!!!』

 

 

アンクの叫びを合図に、オーズはオースキャナーで再びスキャニング。

 

 

【スキャニングチャージ!!!】

 

 

 

「ハアアアアア……!!」

 

全身にエネルギーを溜め、オーズはバッタの脚力で跳躍。

 

 

「セイヤァァァァっ!!!」

 

 

サラマンダガーを突き出しながら、回転アタックを決めた。

 

 

『ゴオオオォォアッ!!?アア……アガァァァア……!!!』

 

 

巨体に風穴が空き、怪物は爆発。

 

 

大量のセルメダルの他に、見たことの無い絵柄のものが混じっている中、怪物の核となっていた人型からドロドロとどす黒い液状のエネルギーが溶け出し、残ったのは怪物の媒体となった昼間のチンピラだった。

 

 

「あ!?コイツ、さっきの!!」

 

チンピラの顔を見て、即座に気付いた隼鷹は指差しながら詰め寄る。

 

 

「し…しにたくない……しにたくないよぉ……」

 

「なぁにが死にたくないだ!こっちはテメェにぶっ殺されかけたんだぞ!?」

 

 

「隼鷹さん、落ち着いて!……たぶん、さっきまでの事はこの人の意思じゃないよ」

 

 

隼鷹を制したオーズに、五月雨は首を傾げる。

 

 

「どういう事ですか?」

 

「色々説明しなくちゃいけないけど………とにかく、まずはこの人をどうにかしてあげなきゃ。……それにしても、なんで右腕だけがこんな酷く(ただ)れてるんだ?」

 

 

数々の疑問が残ったまま、オーズ率いる鴻上艦隊は初陣を勝利で飾ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

チンピラの男を病院へと送り、鴻上鎮守府に戻った映司は、五月雨と隼鷹、そして香取にアンクとオーズに関する事を話した。

 

 

グリード―――人間の欲望から生み出された《オーメダル》から生まれた欲望の塊と、それを封じるために作られたオーズの戦い。

 

さらに、そのメダルが元で起こった戦いによって、世界が二度も崩壊しかけたことなど、これまでの事全てを。

 

 

 

「そんな、ことが………」

 

「あたしらでなきゃ信じないようなレベルのぶっ飛び具合だぜ、この話」

 

「ですが……鴻上会長が所有されている書類にも確かに記録として残されていました。信じざるを得ませんね……」

 

 

香取たちに、映司は「ありがとう」と礼を述べる。

 

 

 

「……まぁ、それはそれとしてだ。アンコはいったい、どうやって復活したってんだ?」

 

 

『アンコ言うなッ!!……それは俺にも分からん。一つだけハッキリしてるのは、また不便な状態で復活したことだけだ』

 

 

 

『ならば!私からプレゼントを贈ろうではないかっ!!』

 

 

突然のアナウンスに、一同は周りを見回す。

 

 

アンクは一人「またか……」と呆れたように呟く。

 

 

 

そして、バンッ!!!とモニターに鴻上が映し出された。

 

 

『Happy Birthday!!!アンクくん、復活おめでとう!!』

 

 

アンクの名を書いたチョコプレートを飾ったバースデーケーキを披露、アンクを祝福する鴻上。

 

 

「あの、会長。アンクさんへのプレゼントって……?」

 

 

五月雨の質問に、鴻上はニッコリと答えた。

 

『君たちの鎮守府にある、工廠へ向かうと良い!そこで、私が指定する数字で《建造》を開始するんだ!』

 

 

 

 

工廠で……という一点が気にはなったが、工廠の管理も提督の務めだと思い、映司は五月雨たちを連れて工廠に赴き、指定された各資材の数字を設定。

 

帰ってきた際に届いていた、プレゼントラッピングされた状態の高速建造剤・通称『バーナー』でスピード建造開始。

 

すると、次の瞬間……

 

 

『……?な、なんだ!?』

 

 

アンクが輝きだし、強い光を放った。

 

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!!」

 

 

突然の光に目が眩んでしまったが、恐る恐る目を開けると………

 

 

 

「…………あ……」

 

 

そこに居たのは、アンクの右腕を持ち、金髪に翡翠の瞳という姿をした若い男だった。

 

 

「……ウソ…だろ……?」

 

「こ、こんなことって………」

 

 

呆然となる隼鷹、頭を押さえながら軽く立ちくらみをする香取。

 

 

五月雨は、映司と新たに姿を現した男を交互に見比べる。

 

 

「………アンクさん、ですか?」

 

「そうだよ。―――おかえり、アンク」

 

 

改めて、再会の喜びを噛みしめようと手を差し出す映司。

 

この時、映司は握手をするつもりだったのだが、手を伸ばしたアンクはたった一言。

 

 

 

 

「映司。今日のアイスを寄越せ」

 

 

映司は苦笑いし、五月雨たち艦娘がズッコケたのは言うまでもない。




嗚呼、結局これまでで最大の長文になってしまった……(;´Д`)

欲望を開放した結果がコレでは、この先どうなっちゃうの?ワタシ……

人気投票その4

  • 火野映司
  • アンク
  • 五月雨
  • 隼鷹
  • 香取
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。