着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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武勲―――
本来、それは己を誇るべきものである。

しかし……

それがもし、己の力で立てたものではなく、何かの犠牲の上に成り立っているものであったとしたら………


46話 : 自責

OREジャーナル 12:01 p.m.

 

 

「編集長!昨日のヤマの分、まとめ終わりました!」

 

「おう!ご苦労だったな青葉!」

 

 

先日の件以降、青葉は表情が明るくなり、仕事にも今まで以上に積極的に取り組むようになった。

 

 

「真司……ちょいと」

 

「はい?」

 

手招きされ、真司は大介の元へ。

 

 

「青葉の奴、すっかり明るくなって結構なことだと思うんだ、が、な?お前……何かしたか?」

 

 

「へっ?」

 

不意打ち過ぎる質問に、真司は驚きと動揺を隠せない。

 

 

「い、いや…別に、ナニモ?」

 

片言にしながら答えるという、謎の技能を見せる真司に対し、令子がジロリと睨みつける。

 

「城戸くん?分かっていると思うけど、青葉ちゃんが後輩だからって……」

 

 

「わ、分かってます!セクハラとか(やま)しいことはなんんっにも!してません!!だから、そんな恐い顔しないでっ!!」

 

 

実際、そういう事はしていないのだが、令子の眼と発言には逆らえず。

 

真司の立場は、見習い時代から変わらずなのであった。

 

 

「やれやれ……相変わらずのバカだなぁ」

 

苦笑いする大介の横で、青葉は真司を眺めながら呟いた。

 

 

「それが城戸先輩の良いところですよ……きっと」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

警視庁鎮守府 12:18 p.m.

 

 

訓練場から戻ってきた一条に、神通が声をかけた。

 

 

「提督、雪風ちゃんがご相談したいことがあるそうです。今、控室で待ってもらってます」

 

「…分かった。報告ありがとう」

 

 

いえ、と返す神通に一条は小さく頷いて、雪風の待つ控室へと向かった。

 

 

 

「すまない。雪風くん、遅くなった」

 

「あ…しれぇ」

 

 

大きな双眼鏡を首から提げた、ワンピースタイプのセーラー服を着た少女・駆逐艦《雪風》がソファーに座って待っていた。

 

 

立とうとする雪風に、そのままで構わないと一条は促すと、向かい側に腰掛けた。

 

 

「この忙しい時に申し訳ない。今日は、どういった要件で?」

 

 

雪風は現在、一条の部下になる訳だが、呼び出しを受けた状況が“かつての時”と非常に似ていたためであろう。

一条は雪風を客人のように迎えた。

 

 

「あの……実は、申請書にも書いたことなんですけど………」

 

 

申請書―――。

 

その一語に、一条は話の案件を理解した。

しかし、相談事として最後まで聞くべきだと己に言い聞かせ、静かに待った。

 

 

「雪風を、解体処分にしてください……」

 

 

「…………」

 

 

一条は、やはりといった様子で表情を曇らせた。

 

 

「え……えぇ!?ゆ、雪風ちゃん!?いったい何を!!」

 

 

脇で聞いていた吹雪が、周りの艦娘を代表するかの様に驚きの声をあげた。

 

 

「ダメですよ提督!?雪風ちゃんを解体なんてしちゃッ!!」

 

「落ち着きなさいっ」

 

 

勝手に騒ぎだした、吹雪の頭に軽くげんこつをぶつけたのは妙高。

 

 

「あぃたっ!……うう、痛いですよ妙高さん〜……」

 

「まだ提督が何も言ってないのに、勝手に騒ぐからでしょ」

 

 

妙高が吹雪を注意してくれたお陰で、話が逸れずに済んだので、一条は雪風に向き直った。

 

 

「その事だが、雪風くん………それは受理出来ない。練度も装備も不十分な現状で、さらに戦力を削るなどとんでもない!まして、そんな状態の中で無謀な出撃をするなど以ての外だ!」

 

極力穏やかに、しかし指揮官の務めとして厳しく注意をする。

 

 

「そんな!雪風は簡単には沈みませんっ!!」

 

「だとしてもだ。戦線復帰したり、新たに建造・改修をした艦娘(もの)も居るので戦力は整っているように思われているが、まだ艦隊の移動や連携などに僅かだが(むら)がある。一瞬の判断ミスや迷いが、戦局を大きく変えてしまうことは君たちが一番よく知っている筈だ!」

 

 

「当然、その連携や艦隊の編成を指揮するのは提督という立場にある俺の仕事だ。火力や各個の能力の高さだけで戦場を思うままに出来るなど、この世には存在しない!もっと演習を重ねて、練度や連携の質を向上させねば……。提督として未熟な俺が、実戦以外で経験を積む方法が他に無いからというのも勿論あるんだが」

 

「そんな…!しれぇはご自分でおっしゃるほど未熟なんかじゃないです!!」

 

 

雪風の言葉に、一条はふっと微笑んだ。

 

 

 

その時、一人の警官が声をかけてきた。

 

 

「一条さん!揚陸侵艦の仕業と思われる事件が発生したとの通報が!!」

 

 

「ッ!?…分かりました、直ちに現場へ向かいます!!」

 

この一言で、一条は再び《提督》から《警察官》へと戻る。

 

 

「あ……」

 

「あぁ……」

 

 

一条の切り替えの早さに、吹雪と妙高は思わずため息を吐いてしまう。

 

 

―――しかし、一条は振り向き、雪風に告げた。

 

 

「雪風くん。君は我々にとっても必要な戦力だ。今後のためにも、失うことは出来ない。しかし、今のまま前線に出すのは危険過ぎる……」

 

 

そこで、一条はメモに何かを書き付けると吹雪を呼んだ。

 

 

「吹雪、彼女と一緒に此処へ向かってくれ。今回、君は待機だ」

 

「へ?…あ、はい!」

 

 

「では、後は頼む!」

 

 

 

そう言って、一条は足柄や長門、そして他の艦娘を連れて出動してしまった。

 

 

一条に渡されたメモを、吹雪と雪風は見る。

 

 

 

「《城南大学……沢渡桜子…考古学研究所》?」




怪人が思いつかねええええッ!!!(がびびび〜〜〜ん)


ハチはもう出てるし、あんまり奇をてらうとアンノウンになるし……


ネムイヨ、パトラッ○ュ……

人気投票その5

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