……ハイ。クウガ4章、続きでございます。
クウガや叢雲たちと交戦し、一時撤退したゼミルは、揚陸侵艦たちのアジトへと戻り、中間報告をしていた。
「シュビハ、ドウダ?」
黒パーカーの少女が、人間の姿になったゼミルに問いかける。
「……フン」
それを鼻で笑い、ゼミルはボードに何かを書き込んでいく。
それは、さながら数を数えている様だった。
桜のタトゥの女にボードを見せるが、女はゼミルの左腕を掴んだ。
「グセパパ…ゾグ・ギダ?」
その声音は、微かに怒気が混じっているように見える。
「カイリグ・ジャラギデ……バブバ・ダダ」
一条―――格下と見ているリントにやられたとは、ゼミルのプライドが許せなかったのだろう。
カイリ……艦娘にやられたと誤魔化した。
艦娘とも戦ったのは事実なので、あながち嘘ではない。
それを聞いて、桜のタトゥの女はボードを取り上げると、書き込んだものを全て消した。
「ザン・ベンザ・グジャシバ・ゴギザ…」
新たに腕輪を渡されるが、ゼミルは折角の成果が白紙になることだけは納得いかなかった。
そこで
「ボンバズパ・リント……ボンバズパ・クウガ。ボセゼ・ゾグザ?」
2つ身につけた腕輪をそれぞれ、飾り玉1つ、飾り玉3つを動かし、取引を持ちかけた。
「……ギギザ・ソグ」
それに対し、桜のタトゥの女は了解するのであった。
関東医大病院 02:40 p.m.
雪風や大井の行方が分からなくなった、との報せを受けた一条たちであったが、先程の戦いのことやクウガの新たな力の発現なども気にかかる為、一旦椿の下で検査を受けようとなり、一行は関東医大病院に訪れていた。
「まったく……どこまで俺を驚かせりゃあ気が済むんだ?お前は」
「驚きですか?」
今回、新たに撮ったレントゲン写真を、椿と雄介の二人は食い入るように眺めていた。
「艤装を纏った緑になったら、急に視界の範囲が広がった…と言ったな?」
「はい。後ろを見なくても、ほぼ真後ろまで視えて……もう『みなさん、元気ですかーッ!!』……って感じ」
相変わらず、雄介の表現は独特である。
「……そのために、これまでの緑と同様にかなりの力を使うんだろう。その結果、アマダムも基質変化を起こして輝きを失ったようになっている。見てみろ」
そう言って、今回の状態と初めて緑の姿に変身し、力を消耗した状態のレントゲン写真を比較する。
「ちょっと、私にも見せてよ」
そう言って、足柄と叢雲が間に割って入る。
「うわぁ……ホント、くたびれてるって感じね……」
「うそ………ホントに、このベルトが丸々五代さんの体の中に?」
そう声を洩らしたのは叢雲。続いて足柄が驚きの声をあげる。
「椿先生、こんな得体の知れない異物が体の中にあって……コイツは大丈夫なの?」
雄介をコイツ呼ばわりしつつ、身体のことを少しばかり気にかける叢雲。
「概ねな。ベルトその物は、カルシウムやタンパク質といった有機物や人体に問題のない物質のみで構成されている。純粋な異物と認められるのは、この部分―――アマダムと呼ばれる、神経組織を伸ばして五代の身体と密接に繋がっている石だ。言わば、五代の第2の心臓だな」
「第2の…心臓……」
「緑の力について話を戻すが……この状態になると、全身の神経が極限にまで緊張して、感覚が何倍も鋭くなるんだ。精神を集中させれば、遠くのものをハッキリと捉えたり、遥かに離れた場所の音を聞くことが出来たりする素晴らしい力になる。だから今度の能力も、艦載機なんかを使うことが出来れば、海上での戦いにも応用出来る筈だ」
「だから50秒しか保たないわけね……勿体ぶって」
変に納得する叢雲。
「あ!叢雲ちゃんもそう思う?」
それに対し、何故か嬉しそうにする雄介。
「なんで嬉しそうなのよ!?良い?私はアンタが第4号だろうが、提督と親しかろうがどぉ〜〜〜でもいいんだから!!もし、私たちに変なことをしでかそうとしたら、その時は海に沈めてやるから覚悟してなさいッ!!」
「うん、しないよ。みんなが嫌だと思うことは、絶対」
叢雲の強気な発言に対し、雄介はにっこり微笑むだけだった。
「っ………そ、そう……なら、良いんだけど……」
雄介のその表情に、叢雲はなんだか自分が悪かったように感じてしまう。
次に、長門が椿に尋ねた。
「椿先生。先程の話を聞いて思ったのだが……五代の変身能力が失われた訳では、ないのだな?」
「ああ。アマダムの状態は徐々に回復し始めている。が……あと2時間、変身はお預けだ」
椿の横で、「そうなんですか?」と尋ねる羽黒に対し、雄介は「そうそう」と頷いていた。
「……まぁ。どのみち、今度の緑がどう戦えば良いのか分かんないし……かと言って、ねえ?」
「演習に顔を出しちゃったら、事情を知らない周りがパニックを起こしちゃうし……」
雄介と一緒になって、うーんと考え込む足柄。
「あんた達、いつの間にそんな打ち解けたの?」
そのやり取りに、叢雲は若干呆れるのだった。
と、そこに警視庁からの連絡を受け、電話を終えた一条が戻ってきた。
「提督、どうしたんだ?」
「何かあったんですか?」
長門と雄介の問いかけに、一条は答えた。
「雪風と大井が、行方不明だそうだ……」
「雪風と…大井が!?」
これには長門たちも驚いた。
「大井まで……なんでよ?」
「大井くんについてはわからない。……ただ、先程警視庁側に連絡があったそうだ」
「“守ることも出来ずに、死んでいく仲間を見続けるくらいなら、死んだ方がマシだ”……と」
その言葉に、長門たち艦娘は口をつぐんだ。
艦娘として生まれる以前の雪風の記憶を知っているのみならず、自分たちも仲間や姉妹の最期を見届けたり、介錯したりした記憶が少なからずあるからだ。
「そう…言われてもな………」
どうフォローしたものかと、頭を抱える椿。
一条も、雪風の解体処分申請を出した思いを充分に理解していなかったと己を恥じた。
しかし、その重々しい空気は唐突に払われた。
「―――大丈夫!俺が雪風ちゃんと、その大井ちゃんを捜してきますよ!今、ちょうど2時間変身出来ないし!」
「五代……」
雄介の申し出に、長門は困惑した。
何故、この男はこんなにも真っ直ぐな眼差しで、迷うことなく人のために行動を起こせるのだろう。
勿論、そんな彼と出会ったから、北上も島風も、足柄たち妙高姉妹も救われ、今があることには違いないが。
「大丈夫!」
サムズアップ。
一条たち一人一人に掲げ、雄介は診察室を後にする。
「……色々、騒がせてすまない」
後を追うように、一条たちも病院を後にするのだった。
そして、そんな彼らの背中を見届ける椿は、笑みを浮かべて一言呟いた。
「―――いい
えー、「大井っちはなんで鎮守府を飛び出したの?」と疑問を抱いた方々は大勢いらっしゃるでしょうが、安心(?)して下さい。
次回あたりで、ちゃんと出します!
ホントに出しますから!!石は投げないでっ!!
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