覚醒めろ!その魂!!
57話 : 津上翔一という男について
一条 薫が石ノ森鎮守府に着任し、約1ヶ月が経った。
深海棲艦との戦いに加え、揚陸侵艦と名付けられた第2の未確認生命体の脅威がある中、《外道の巣窟》とまで呼ばれた石ノ森鎮守府は、それまでが嘘のように改善され、生まれ変わっていった。
「…………よし!出来たっ!」
工廠の一角、桃色の髪をなびかせながら、額の汗を拭う一人の艦娘が居た。
彼女の名は《明石》。
鎮守府にて、工具や工廠の設備を管理する役目を担っている艦娘である。
「造花ちゃん、単ちゃーん!そろそろ休憩しようかー!」
明石の掛け声に、妖精さんたちはキャワキャワと賑わう。
ちなみに、明石が行っていたのは、倉庫に仕舞っている装備一式の点検である。
「明石さん、整備班の皆さん。ご苦労さま」
そこに香取が労いに顔を出した。
「あ、香取さん!お疲れ様です!」
「新しく建造した艦娘のリストは出来ましたか?」
「ええ。えっと……あ、ハイ!どうぞ」
先週、一条が建造した艦娘の名簿を香取に渡す明石。
「一条提督は本っっっ当に真面目な人で助かりますよ。艦娘一人一人に気を配ってくれるし、遠征や演習も積極的ながら資材管理も抜かり無し!」
「他の鎮守府の提督からも一目置かれているのは、やはりその実績ゆえ、でしょうね。大淀さんも言ってましたけど、大本営では一条提督を《中将》に昇進しようという話が出ているとか」
ちなみに、一条の現階級は《准将》。着任歴を考えれば、異例のスピード出世である。
「そういえば、香取さんは《鴻上鎮守府》知ってます?あそこって……」
明石がそこまで言いかけたとき。
香取は脇腹を押さえながら俯いた。
「か……香取、さん?」
「お願い………その名前を出さないで。いえ、現地の提督や鎮守府が原因じゃないのよ?断じて……」
明らかに様子がおかしい香取を、明石は心配する。
「香取さん、ホントに大丈夫?なんなら、スポンサーの」
「ぅぐ!」
「こう――」
「ぁあっく!!?」
「がみ……って、ええ!?」
《鴻上》というワードに対し、香取はビクビクっと反応。
苦悶の表情で倒れてしまった。
「香取さん!?香取さあぁ―――んっ!!?」
香取が倒れた原因をまったく知らない明石は、ただ困惑し、救護班を呼ぶしかなかった………。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都内に佇む、小洒落たレストラン。
店の名は《AGITΩ》。
若き店主が、一人で種類豊富な料理を提供。幅広い客層から愛され、オープン17周年を過ぎても尚、新メニュー作りに余念が無い。
とは言え。ここ最近、客数が急増したため、店主一人では回りきれなくなってきたのも事実。
そこで、一つ試してみることにした。
《バイト募集中!艦娘さんも妖精さんも大歓迎!!》という広告を出したのである。
「ちょっと、文面が露骨過ぎるかな?バイト希望の人、来てくれるといいなぁ……」
広告を出した、その2日後。
「此処……で、良いのよね」
右のサイドテールにした銀髪に、少し気の強そうな眼をした小柄な少女は、チラシと店を交互に見ながら確認する。
「あ…あのっ!先日、面接の予約をした者なんですけど!」
「ん?――あっ!いらっしゃい!面接、今日でしたね。えっと……《
「はい、駆逐艦の霞です!」
「初めまして♪店長の津上翔一です!それじゃ、早速……と、その前に」
そう言って、翔一は湯呑2つと急須を持ってきて。
「どうぞ?熱いうちに、チャチャッと飲んで下さい♪」
お茶を淹れた。
「―――は?」
これが、艦娘《霞》と《津上翔一》と名乗る男の出逢いだった―――。
出そうかどうしようかと悩んだ、アギト編……
翔一くんと絡めるなら、この娘は外したくない!として、霞を登場させました。
ここから、どう物語が紡がれるのか………。
人気投票その6
-
津上翔一
-
氷川 誠
-
霞
-
霰