………いや、この場合はやはりマイナスな意味で捉えるべきなのかもしれない。
「どうぞ?」
津上翔一の営む、レストラン《AGITΩ》に面接を受けに来た艦娘・駆逐艦《霞》は困惑していた。
「えっと……」
当然と言えば当然である。
面接時に、お茶を差し入れる面接官など聞いたことが無い。
それも店長直々にというのだから尚更だ。
(どうぞって……ハイどうもって簡単に貰えるワケないじゃない!?私、面接を受けに来たのよ?ご飯を食べに来た客でも、顔見知りの友達でもないのよ!?)
……しかし。
「…もしかして、緑茶は苦手でしたか?」
まるで捨てられた仔犬のような顔でションボリとするのを見ると、飲まないといけない気にさせられる訳で。
「……い、いただきます……」
気まずい気持ちで手に取り、口をつけた緑茶は程よく冷めており、とても美味しかった。
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石ノ森鎮守府 執務室 10:58 a.m.
「〜〜〜♪」
つい先日までの鬱屈とした雰囲気は何処へやら。
雪風は、自身の愛用バッグを幸せそうに眺めていた。
「おっ?雪風ー!どしたの?そのバッグ」
「あ!島風ちゃん!見てください、コレ!ししょーから雪風へのプレゼント!ししょーとお揃いなんですっ!♪」
「ししょー?」
バッグには刺繍が入っており、よく見るとそれは『
「おぉっ!?いつの間にっ?」
「ししょーとの“約束”の印ですっ!」
サムズアップ。
その様子を、演習から戻ってきた吹雪や夕立らが見守っていた。
「雪風、すっかり元気っぽい?」
「ちょっと、元気過ぎを通り越して能天気になった気がしないでもないけど…ね」
「もぉ、叢雲ちゃん。今の雪風ちゃんは、これで良いんだよ♪」
そう言って微笑む吹雪に、北上が声をかけてきた。
「やっほ〜。演習お疲れ〜」
「あ、北上さん。今から
「ん。復帰したは良いけど、非番の時がやっぱり落ち着かなくってさ〜?おやっさんに頼んで、もっかいバイトさせてもらうことになったよー」
「―――あ、そーそー。しまぷーは任務に専念するから、店には戻らないみたい。その代わり……」
島風の代わりに募集した艦娘の名前を聞いて、吹雪たちは一瞬ポカンとしてしまった。
「………………え?」
レストランAGITΩ 11:01 a.m.
「―――はい♪じゃあ、以上で面接を終わります!面接の結果は後日お報せしますんで、その時はまた改めてよろしくお願いします!」
「は、はい……ありがとうございます…」
翔一の雰囲気も相まって、緊張し過ぎることはなかったが、翔一が持つ独特の雰囲気に調子を狂わされ、霞は疲れてしまった。
(……なんか、採用されなくても別に良い気がしてきた……)
少しばかりフラつきながらも、鎮守府にある寮を目指す霞。
―――しかし。
「…………」
その様子を、物陰から静かに観察する影があった。
「…………」
その影は、霞以外の人影が無いことを確認すると、右手で左胸を撫でるように下ろし、左人差し指と中指を立て、Zの字を書くような動作を取るのだった………。
アギト編も難易度が高いィィィっ!!!
目醒めろ、俺の文才っ!!
人気投票その6
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津上翔一
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氷川 誠
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霞
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霰