着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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期待を裏切るというのは、必ずしも悪い意味ばかりではない。


………いや、この場合はやはりマイナスな意味で捉えるべきなのかもしれない。


58話 : 人気レストランの店主は完璧超人……そう思っていた瞬間が私にもありました。

「どうぞ?」

 

 

津上翔一の営む、レストラン《AGITΩ》に面接を受けに来た艦娘・駆逐艦《霞》は困惑していた。

 

 

「えっと……」

 

 

当然と言えば当然である。

 

 

面接時に、お茶を差し入れる面接官など聞いたことが無い。

それも店長直々にというのだから尚更だ。

 

 

(どうぞって……ハイどうもって簡単に貰えるワケないじゃない!?私、面接を受けに来たのよ?ご飯を食べに来た客でも、顔見知りの友達でもないのよ!?)

 

 

……しかし。

 

「…もしかして、緑茶は苦手でしたか?」

 

 

まるで捨てられた仔犬のような顔でションボリとするのを見ると、飲まないといけない気にさせられる訳で。

 

 

「……い、いただきます……」

 

 

気まずい気持ちで手に取り、口をつけた緑茶は程よく冷めており、とても美味しかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

石ノ森鎮守府 執務室 10:58 a.m.

 

 

 

「〜〜〜♪」

 

つい先日までの鬱屈とした雰囲気は何処へやら。

雪風は、自身の愛用バッグを幸せそうに眺めていた。

 

 

「おっ?雪風ー!どしたの?そのバッグ」

 

「あ!島風ちゃん!見てください、コレ!ししょーから雪風へのプレゼント!ししょーとお揃いなんですっ!♪」

 

「ししょー?」

 

 

バッグには刺繍が入っており、よく見るとそれは『戦士(クウガ)』のマークだった。

 

「おぉっ!?いつの間にっ?」

 

「ししょーとの“約束”の印ですっ!」

 

 

サムズアップ。

 

 

その様子を、演習から戻ってきた吹雪や夕立らが見守っていた。

 

 

「雪風、すっかり元気っぽい?」

 

「ちょっと、元気過ぎを通り越して能天気になった気がしないでもないけど…ね」

 

「もぉ、叢雲ちゃん。今の雪風ちゃんは、これで良いんだよ♪」

 

 

そう言って微笑む吹雪に、北上が声をかけてきた。

 

 

「やっほ〜。演習お疲れ〜」

 

「あ、北上さん。今からポレポレ(お店)に?」

 

 

「ん。復帰したは良いけど、非番の時がやっぱり落ち着かなくってさ〜?おやっさんに頼んで、もっかいバイトさせてもらうことになったよー」

 

「―――あ、そーそー。しまぷーは任務に専念するから、店には戻らないみたい。その代わり……」

 

 

島風の代わりに募集した艦娘の名前を聞いて、吹雪たちは一瞬ポカンとしてしまった。

 

 

「………………え?」

 

 

 

 

レストランAGITΩ 11:01 a.m.

 

 

「―――はい♪じゃあ、以上で面接を終わります!面接の結果は後日お報せしますんで、その時はまた改めてよろしくお願いします!」

 

「は、はい……ありがとうございます…」

 

 

翔一の雰囲気も相まって、緊張し過ぎることはなかったが、翔一が持つ独特の雰囲気に調子を狂わされ、霞は疲れてしまった。

 

 

(……なんか、採用されなくても別に良い気がしてきた……)

 

 

 

少しばかりフラつきながらも、鎮守府にある寮を目指す霞。

 

 

―――しかし。

 

 

「…………」

 

 

その様子を、物陰から静かに観察する影があった。

 

 

「…………」

 

 

その影は、霞以外の人影が無いことを確認すると、右手で左胸を撫でるように下ろし、左人差し指と中指を立て、Zの字を書くような動作を取るのだった………。




アギト編も難易度が高いィィィっ!!!


目醒めろ、俺の文才っ!!

人気投票その6

  • 津上翔一
  • 氷川 誠
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