68話目、行きます!!
警視庁鎮守府 02:11 p.m.
山県元帥より、独自の行動権を許された一条、後藤、氷川の3名。
鎮守府へ戻った一条を見送って、後藤と氷川は今後の課題についてどう対処すべきかを話し合っていた。
「そう言えば………元帥も仰っていましたが、今度一条さんの鎮守府と鴻上鎮守府で演習を行うそうですね」
「ええ。そこの提督については、自分もよく知る人物ですので一条さんたちの相手としても申し分無いかと」
と、そこへ一人の駆逐艦娘が駆け寄ってきた。
「後藤さん、氷川さん〜!」
「どうしました?綾波さん」
氷川に尋ねられた綾波は、息を切らしながら報告する。
「き…緊急事態です!鎮守府に帰投していた霞ちゃんが……霞ちゃんの通信が途絶えたって……!!」
「なに………!?」
「なんですって!?」
これは只事ではないと、氷川も後藤も走り出す。
同じ頃。
レストランAGITΩの厨房にて、午後の仕込みをしていた翔一であったが
「―――ッ!」
突然、頭の中で鋭い感覚が走る。
その感覚を、翔一は本能で理解した。
行かねばならない、と。
作業の手を止め、翔一は外へと飛び出した。
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廃工場の中、霞は手足を縄で縛られた状態で目を覚ました。
「………ッ……此処…は………?」
「よお……気分はどうだ、霞?」
低く響く、周りを見下したような声に、霞の中で思い出したくもない嫌悪感が甦る。
「
それは、霞を《建造》した張本人であり、提督としての権限を利用して仕入れた資金を持ち逃げしたばかりか、「影武者」と称して無関係な民間人を憲兵に逮捕させた犯罪者……塩川洋介であった。
「ハン……大して金にもならねえ資材を使って建造してやった恩人を、呼び捨てとは……。生意気なクチは相変わらず直らねえのな?」
タバコを吹かしながら、感情のこもってない嘆きを呟く塩川。
「提督としての責務も果たさないで、貴重な資材を売り払って資金に替えて、着服するだけじゃ飽き足らず!風俗だのギャンブルだのに使いまくったクズなんかに、感じる恩なんて無いわよ!!」
「ハッハ!ホント、変わらねえなあ?そうやってキツい言葉で相手を負かそうってんだから……なっ!」
愉快そうに笑いながら、塩川は霞の腹を蹴飛ばす。
「っぐ……!」
「―――いつまでも調子に乗れると思うなよ?クソガキ」
言うが早いか、霞の額にタバコの火を押し当てる。
「ゃぁ……っづ!!」
「あ〜あ……お前が変に突っぱねるから、俺の貴重〜〜〜なタバコが1本、ムダになっちまった」
「……っ……アンタ……後悔、するわよ………。アンタの悪事も……クソッタレな考えも、全部……うあっ!?」
霞の言葉を遮るように、塩川は霞の頭を鷲掴みにする。
「裁きが下る……ってか?―――ハッハッハ!!誰が裁くってんだ?俺を裁けるヤツなんか、誰も居ねえよ!!何故かって?この世に神なんか居ねえからさッ!!!人が人を裁くための法がある、なんて言うがなぁ?法なんてのは、破るためにあるんだよぉおおっ!!つまり、法を守りながら破り続け!そこから炙れた者を裁く奴こそが法であり!!神なんだよ!!アッハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
塩川が高らかに、下卑た笑い声をあげていたその時。
「ッ!?」
霞は、脳内に電流が走ったような感覚を抱いた。
(この感じ………この前、変な怪物に襲われた時と同じ………!?)
次の瞬間。
ゴッ!!という、硬質な何かが飛んできたような音と共に、塩川の姿が消えていた。
「…………え……?」
一方。
警視庁鎮守府は、加賀を始めとした航空船団が放った偵察機の調査により、霞の行方を暴き出していた。
万一に備えて、G5ユニットを編成し、現地へと急行していた。
ちなみに、G5ユニットの一員として後藤も参加。
氷川は、別働隊として《Gトレーラー》と合流。
専用装備《G3-X》を装着、いつでも出撃出来るようスタンバイしていた。
そして、パトカーやG5ユニットが到着してすぐ。
「ッ!?こ…これは………」
隊員の一人が目にしたのは、何かに撥ね飛ばされたように、身体がぐしゃぐしゃになった状態で息絶えた塩川の遺体だった。
そして………
霞は、先日の豹怪人とは別の怪物と対峙していた。
黒々とした身体と羽毛、そしてカラスを思わせる頭部。
そのカラス怪人は、霞に向かってこう呟いた。
『カイリ………貴女たちは、存在を許されない……』
「……え…?」
少女は求める。少しでもいい、己が許される居場所をと。
男は願う。生きている、それこそが素晴らしいことであると。
男は護る。
自分のために、少女のために。そして、みんなの未来のために………。
目醒めろ、その魂!!!
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