着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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人類は何処から来て、何処へ行くのか。
やがて、進化の時が訪れたとき、それに耐えられるのか。


審判の時は近い。

だがその時、問われるのはいったい何だろうか―――。(「仮面ライダーぴあ」より)


追記。
文章を一部入れ替えました。


70話 : BELIEVE YOURSELF〜抗う者、その名はAGITΩ(アギト)

「アギ…ト………?」

 

 

目の前で姿を変えた翔一を見て、霞はアンノウンが呼んだ名を呟く。

 

 

霞の無事を確認し、アギトは小さく頷く。

 

 

「アギト……あれが………」

 

 

それなりのダメージを負っていた後藤は、よろめきながらも立ち上がる。

 

 

「あ!?霞ちゃん!!」

 

 

「あ…吹雪……」

 

 

混戦の中、吹雪はどうにか霞の下へ駆けつける。

 

 

「良かった……ホントに良かったぁ〜!!」

 

半泣きになりながら、霞を抱きしめる吹雪を見て、後藤も安堵する。

 

 

「此処は危ない。急いで避難を!」

 

 

「はい!」

 

「ま…待って!」

 

 

安全な場所へ行こうとする吹雪と後藤を、霞は呼び止める。

 

 

「まだ……待って。逃げないで……見届けなきゃ……」

 

 

そう言って、霞はアギトとアンノウンの戦いを見守る。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その頃、廃工場の入り口付近。

 

 

豹型のアンノウン……ジャガーロード3体を相手に、G5部隊が次々と大破、撤退を強いられる中、青と白、そして銀色に輝く戦士が到着する。

 

 

「!!」

 

「G3-X……!G3-Xだッ!!」

 

 

左肩に輝く、《G3-X》の文字。

 

警視庁の開発した、対未確認生命体及び対アンノウン用戦闘強化装甲服……G3-Xを纏った氷川が指示を出す。

 

 

「大破、負傷した人は急いで退避を!後は自分が引き継ぎますッ!!」

 

 

右脚大腿部に携行していたGM-01を構え、発砲。

 

 

当然、対峙している黒豹のアンノウン……黒いジャガーロードは弾丸を止め、破壊するが

 

 

「明石さん!GX-05、装備運用(アクティブ)に移行します!!」

 

 

G3-Xの通信に、Gトレーラーのオペレーションルームで連絡を取っていた明石が対応する。

 

 

「了解!GX-05、アクティブ!!」

 

 

G3-Xの専用白バイ《ガードチェイサー》の車体後部に積まれたアタッシュケース型に折り畳まれた大型ガトリング砲・GX-05《ケルベロス》のロックが解除されると、G3-XはGM-01で牽制しつつ、アタッシュモードのGX-05の暗証コード「2・1・3・ENTER」を入力。

 

 

《カイジョシマス》

 

 

銃本体上部をスライドし、さらに銃口部を展開。

 

ガトリングモードにして、G3-XはGX-05のトリガーを引く!

 

 

「グッ!?グアッ!!ガアアアァァアアッ!!?」

 

 

シリンダーが回転、発射される銃弾の雨を前に、黒いジャガーロードは被弾した。

 

GX-05から一度に発射される弾丸の数と、GM-01を遥かに上回る勢いは、それまでアンノウンが行使していた、銃撃に対する念力を使う一瞬の隙を突く形で銃撃を受ける為、動きが取れなくなってしまったのだ。

 

 

やがて、その猛攻に耐えられなくなったのであろう。

 

黒いジャガーロードは爆発四散し、消滅した。

 

 

 

「グルルル……!!」

 

 

白いジャガーロードがG3-Xの前に立ち、黄色いジャガーロードはクロウロードの加勢に向かう。

 

 

「こちらは引き受けます……なので、そちらは頼みましたよ?津上さん……!」

 

 

弾丸を使い切ったので、G3-Xは背面にマウントしている予備のマガジンと交換しつつ、交戦を続行した。

 

 

 

一方。

 

クロウロードと対峙するアギトは、静と動のメリハリのある動きで、完璧なまでに攻撃を往なしていた。

 

 

「シャッ!!」

「ハッ!!」

 

クロウロードが距離を取ったところを見計らい、アギトは左側のサイドバックルのスイッチを叩く。

 

 

すると、オルタリングの中央と左側の石が青く輝き、アギトの胸部と左腕が青い装甲に覆われた。

 

 

「超越精神の青」ストームフォーム。

 

 

「フン!」

 

オルタリングの放つ光の渦から、アギトは薙刀状の専用武装・ストームハルバードを抜き取り、刃を展開して構えた。

 

 

「ハッ!たあっ!!せあっ!!」

 

 

風を纏った、その太刀捌きを前にクロウロードは不利と見て、空に舞い上がった。

 

 

「!」

 

すかさず、アギトは右側のサイドバックルのスイッチを叩き、ストームフォームの武装を解いて、右側の石が放つ赤い輝きと赤い装甲に右半身を包んだ。

 

光の渦から真紅の長剣・フレイムセイバーを抜き、アギトは「超越感覚の赤」ことフレイムフォームに変わる。

 

多種多様な姿と能力を持つアギトの立ち回りに慄きながらも、霞は「まだ…最後まで見届けなきゃ…!」と、自身に言い聞かせるように見守り続けた。

 

 

 

その頃、G3-Xと白いジャガーロードの戦いにも決着がつこうとしていた。

 

「オペレータールーム!GXランチャーの使用許可を願います!」

『了解!遠慮無く、ぶっ放しちゃって下さい!!』

 

 

GM-01とGX-05を合体、さらに小型ミサイル《GX弾》をセット。

G3-Xに搭載された、全武装の中で最大最強の装備・GXランチャーの完成である。

 

白いジャガーロードに照準を合わせ、さらに相手が弓を構えた一瞬の隙を突いて……

 

 

「GX弾…発射!!」

 

「ッ!?グ…、ヌゥオオオァッ!!!」

 

 

GX弾は命中。弓矢も破壊され、白いジャガーロードは撃破された。

 

 

 

「…………」

 

 

場面は戻って、アギトとクロウロードの対決。

 

 

俊敏さと冷静な心を強化するストームフォームに対し、フレイムフォームは五感を研ぎ澄ませ、相手の動きを読み取る力を高める。

 

 

フレイムセイバーの鍔が展開し、炎の力を開放する。

 

 

 

そして―――

 

 

「ハアアァァァァッ!!!」

 

 

 

自身に向かって突撃してきたクロウロードを、頭から真っ二つに切り裂き。

 

必殺の一太刀・セイバースラッシュを極めた!!

 

 

「…………!!」

 

 

その激しい展開に、霞は一瞬、何が起こったのか分からなかった。

 

 

「グルルル……!!」

 

クロウロードが討たれた瞬間を目の当たりにした黄色のジャガーロードは忌々しげに唸り声をあげる。

 

 

それに対し、アギトは再び「超越肉体の金」ことグランドフォームへと戻り。

 

 

頭部の角・クロスホーンを展開、2本の角が6本となる。

 

 

「角が増えた……!?」

 

 

これには霞も思わず声が洩れる。

 

 

と、同時に。

 

アギトの足下に、アギトの頭部に酷似した紋章が現れ、その輝きがアギトの脚に集束していく。

 

 

アギトは静かに呼吸を調え、キックの体勢に入る。

 

 

 

「グルルル……!グルオオオオッ!!」

 

 

先手必勝とばかりに、ジャガーロードは突っ込んできた。

 

 

「ハアアアァァァァ……ハッ!!」

 

 

力を込め、アギトは跳躍。

 

 

必殺のキック・ライダーキックを叩き込む!!

 

 

「ハアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 

キックはジャガーロードの胸部に直撃し、後方へと吹き飛ばす。

 

 

華麗に着地したアギトは、無言のまま呼吸を調える。

 

 

「ッ……グウ…ウゥ……ッ!?グゥ…ウオオ……!!」

 

 

どうにか立ち上がるジャガーロードだが、突然苦しみだし、頭部に《光の輪》が出現する。

 

 

「…………」

 

 

ゆっくりと、アギトはジャガーロードに背を向けた。

 

 

「ァガア……!!ウオオオオオァァアァァアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

断末魔をあげ、そのまま爆散。

 

 

「…………」

 

 

アギトの示した、その凄まじい強さに、霞は言葉を失っていた。

 

 

(すごい………なんて強さなの………。もし、これが……敵として、私たちに振るわれたら……)

 

 

そう考えた途端、勝ち目が無いと体が震えた。

 

 

しかし……

 

 

「霞ちゃん」

「……!」

 

「怪我は無い?怖かったよね……でも、もう大丈夫!」

 

 

少なくとも、この津上翔一という男が自分たちの敵になることは当分無いだろう。

 

 

「………っ……」

 

 

先程まで、雄々しく戦っていた者と同一人物とは思えないほどに優しい翔一の言葉に、霞は瞳を潤ませ、泣き顔を見られたくない一心で翔一にしがみついた。

 

 

「おっと?」

 

「ぐすん……ひっく……しょおいちぃ……っ…」

「………うん。何?霞ちゃん」

 

「バイトの……ひっく……とりけし……っ、とりけし…できりゅ……?」

 

 

バイトの取り消しの取り消し………

 

 

その言葉に対し、翔一は

 

 

「勿論♪ウチはいつでも歓迎だよ?そうだなあ……じゃあ、早速で悪いけど……仕事を一つ」

 

 

霞の頭を優しく撫でながら、こう告げた。

 

 

「ウチに来て、夕飯をお腹いっぱい食べること!お願い出来るかな?」

「……うん…!」

 

「よし!じゃあ、支度する前に……みんなと相談しなくちゃだね?」

 

 

 

霞と並んで、翔一は吹雪や後藤たちの下へ向かうのだった―――。




えー、アギト編一段落となりますが……


やっぱり難しいですね_| ̄|○ il||li


かなり無理矢理になりましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

次回、久方ぶりの登場人物紹介となる予定です。

人気投票その6

  • 津上翔一
  • 氷川 誠
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