果たして、艦娘を嫌悪し、『本物』というものに拘る仮面ライダーはいかにして生まれたのか………。
今回は、そんな彼と密接な繋がりのある人のお話。
秘書艦である青葉に大声で起こされた統也は、休み明けのサラリーマンみたいにモソモソと身支度を調える。
「はぁ……やれやれ。まったく、世界ってのは厳しいもんだ。洋の東西を問わず、年齢性別問わず。24時間という限られた時間の使い方の自由は与えてくれても、私のように公務というものを持たされた人間には、こうして朝の起床時間を選ぶ自由だけは与えてくれない。私が総理大臣になるような野心家であれば、まず公務員の朝の起床時間に自由を提供するね」
「まーたそんな評論家っぽい愚痴をこぼして………。そんな自堕落な思想を公言するのは、提督ぐらいなもんですよ?」
そんなやり取りをする二人であったが、しかし。
沼田統也提督の戦績は、その若さと着任歴に見合わぬ非凡さを表していた。
出撃回数73回の中で、敗北らしい敗北を一度も経験していないのである。
戦果内容を見ても、艦隊に多少の損害が出ていることはあっても「戦術的」には勝利している。
明確な勝利は、まだほんの数回しか経験していないが、統也のその采配は「艦隊と艦娘を生かす戦術」と言われ、各地域の鎮守府などからも注目を集めていた。
彼を支持する者の中には、とある軍人の異名を借りた二つ名で呼ぶ者も居る。
「任務中以外の時ぐらい、本音の一つでも言わせておくれよ。―――君や初期艦である
「………が、しかし。何がどうしてこうなったのか、歴史学を専門的に学べる大学を選んだ筈が、私の方向音痴に当時の試験官の勘違いが加わって、悪い方向に科学反応を起こした……。結果、入るつもりの無かった士官学校に入学し、費用の浪費をしたくないがために仕方なく一軍人としての基礎を学び。大して嬉しくもない首席卒業をして程なく、此処、赤塚の鎮守府に新米の提督として着任し、現在に至る訳だ」
「私が着任したてで、皆さんに第1回目の突撃インタビューをして廻ったときも、提督はそう仰ってましたよね」
統也の語る、彼がどういった経緯で提督になったのかを改めて聞いたところで、青葉はずっと気になっていた疑問を投げかけてみることにした。
「……でも。提督は充分、青葉たち艦娘を指揮する司令官としての素質はあると思いますよ?そんなに歴史家になりたいのでしたら、ジョブチェンジすれば済む話じゃないですか」
その問いかけに対し、統也は苦笑いしながら頭を掻いた。
「転職かぁ……。私がそこらの若い提督みたいに自己中心的な性格で、それが実現可能であったなら、とっくに
「そうならないために、提督が青葉たちを支えてくれる…と?」
「軍艦の力を持つ装備で戦うと言っても、戦場に向かうのは君たち女性陣だ。中には君や駆逐艦のような若い娘たちや金剛みたいに年頃の女性も居るというのに、肝心の男手が裏方……なんて、これほど“罰当たり”な仕事は無いよ」
統也は、提督という仕事が心底嫌いだった。深海棲艦と艦娘の戦いその物も嫌いだったが、提督の仕事はそれ以上に嫌っていた。
「しかし……望んでなった仕事でなくても、働く以上は給料分しっかり務めを果たさないとね」
「……ねぇ、提督。最後にもう一つだけ……質問、良いですか?
「なんだい?」
「提督は、この仕事は望んでなったものではない……そう仰いました。では……誰が提督として相応しいとお考えですか?」
その質問に対し、統也はにっこり微笑んだ。
「弟の静だ。私と違って、あいつは何かと真面目だし。
龍騎編side.ヴァイス、第2話。
いかがだったでしょうか?
なんか、統也氏の過去編みたいな語り口になってしまいました……(^_^;)
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