そんな彼の誕生エピソード第3話……ちょっと色々動きだします……。
艦隊総司令部……通称《大本営》。
そこに在籍する幹部の大半は政府官僚や旧自衛隊上層部、そして警察庁幹部である。
深海棲艦という、未知の敵が侵攻してきているという状況を、一刻も早く解決するために一致団結を………といかないのは、どの時代でも変わらないようで。
「4日前の大規模作戦だが、また沼田艦隊が先手を決めたようだ」
「沼田……あの《海上の脚本家》か……」
同僚らしい准将の話を聞き、大本営所属の幹部・荒井少将は憎らしげに表情を歪める。
脚本家―――。
それが、統也の指揮する艦隊の連携の質の高さや、作戦の成功率の高さを組織内で示す表現であり、いつしか彼を支持する者たちはその表現から《海上の脚本家》《
「戦果だけを見れば、確かに深海棲艦の撃退には成功している……しかし……」
「ああ…我々に従うどころか、規範に背いた行動が余りにも多い!」
「しかも、民衆は政務や国防を担う我々にではなく、沼田個人を支持し始めている!」
「このままでは、規律と秩序を重んじる大本営を乗っ取られかねん……!!」
大本営の幹部たちは、統也が自らに集中している民衆の支持を利用して、組織を乗っ取るのではないかということをひどく怖れていた。
当の本人は、そんなつもりは毛頭無かったのだが。
「かくなる上は………」
「ああ……」
「世界の……引いては国家の、平和の礎となってもらうとしよう……」
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城南大学 10:12 a.m.
当時、大学院生になったばかりの沼田静。
兄に引けを取らぬ優秀さを持ち、特に戦史について強い関心を抱いていた。
「おーい、沼田ー!」
「んぁ?……なんだ、JKか」
同級生の神宮海蔵…通称《
勉強漬けな日々を過ごし、基本独りで居ることの多い静に積極的に声をかけてきた、数少ない友人の一人である。
「今朝のニュース見たか?お前のアニキさん、また大手柄立てたらしいぜ!」
「流石、元・天ノ川学園高校一の情報通。朝刊に出たばっかりのニュースも仕入れちまうとはね」
「ダチの身内は、俺にとっても身内だからな!―――って、これはある人の受け売りなんだけどさ♪」
そう言いながら笑うJKを、静はふぅん…と眺めていた。
「そういやさ。お前、就職とかはどうすんの?やっぱり、アニキん所で働くの?」
ふと、話を変えてきたJKに対し、静は苦笑いしながら手を振った。
「それは無いよ。俺はただ勉強が好きってだけで、兄さんみたいに頭が良い訳じゃない。艦娘との付き合い方だってさっぱりだし……だいたい、俺が女子苦手だってこと、お前だって知ってるだろ?」
「えぇー……でも、お前とアニキさんがタッグ組んだら、それこそ無敵艦隊ってならね?」
「艦隊の質を高めるのは、第一に艦娘との信頼関係だ。信頼関係を深めるのに、コミュニケーションは欠かせない。……でも、俺は口下手だし愛想が悪い。そんな奴が提督や艦娘のサポートを出来るわけ無いだろう?――さぁ、この話はもう終わり!ちゃっちゃとレポート出さねえと、また教授にどやされるぜ?」
「うげぇ、このタイミングでそれ言うとかひでえな……」
「にしし♪な?知っての通り、俺は優しかねえんだよ……だから艦娘絡みの仕事は似合わないのさ」
静の言葉に、JKは納得いかなかったが、時間も時間だったので渋々引き下がった。
………その時。
金属同士の擦り合う音が響いたが、静を含めたその場に居る者たち全員が、聴き取ることが出来なかった………。
次回、ヴァイス誕生のエピソード…いよいよです!!
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