哀しい結末ですが、どうぞ最後までお付き合い下さい。
時は少し遡り、沼田第2艦隊が赤塚鎮守府へ帰投した頃………。
昼休みを最後に、連絡が途絶えた鈴谷を捜すべく、静とJKは街中を駆け回った。
「ハァ…ハァ……。居たか?」
息を切らしながら、静はJKに確認を取る。
しかし、JKは首を横に振る。
「ダメだ……!あいつの行きつけのカフェとかも行ったけど、来てないって……」
「くそ……!」
手掛かり無しという事実に、静は悔しさに顔を歪める。
「JK、お前は待機しててくれないか?ひょっとしたら、行き違ってるせいで顔を合わせないのかも!」
「確かに、それも可能性としちゃあ有るかもしれねえけど……」
「頼む!見つけたら、すぐ連絡入れっから!!」
じゃ!と言って、静は走り去った。
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一方……ミラーワールドでは、ヴァイスを謎の敵が襲い、一方的に攻撃を仕掛けていた。
「ハァ…ハァ……!ったく……何なのよ…アンタは……!?」
襲いかかってきた敵―――漆黒の鎧に身を包み、禍々しいオーラを放つ騎士と、それと同様に黒々とした身体を持つ龍を前に、ヴァイスは傷を押さえながら睨みつける。
「俺は……最強の仮面ライダー……。そして………お前を倒し、潰す者だ」
ヴァイスの問いかけに対し、漆黒の騎士は淡々と言い放った。
「はっ……中二病ってヤツ?今時流行んないっての……」
軽口を叩きつつも、ヴァイスは内心危機感を抱いていた。
コイツは危険だ。
隙を突いて、早く外に戻らないと、本当に帰れなくなってしまう―――。
そう思いながら、ふとビルのガラス面に視線を移す。
「―――えっ……」
視線の先に映り込んだ、その光景にヴァイス―――鈴谷は目を疑った。
大本営のものと思われる車を、謎の黒服のグループが襲撃。
運転士の憲兵が、何事かと拳銃を取り出して応戦しようとするも、グループの一人がそれよりも早く、ナイフと思しきもので攻撃。
憲兵はそのまま倒れ、血を流したまま起き上がることは無かった。
「っ!?…て、提督………!?」
さらに、グループによって車から引きずり出された人物……それは、大本営によって呼び出しを受けた沼田統也だった。
「な、何がどうなって……あぅ!?」
注意が逸れた、その一瞬を突かれ、ヴァイスは漆黒の騎士と漆黒の龍の攻撃をモロに喰らってしまう。
「ぐ……!!ちっ…く、しょおおおっ!!!」
このままやられてたまるかと、ヴァイスはアドベントカードを抜き、バイトバイザーに読み込ませる。
《FINAL VENT》
バイトダイラーを召喚し、ヴァイスはファイナルベント『マッドシェイカー』を発動。
「フン……。最初から殺す気で来れば良いものを……」
鼻で笑いながら、左腕の召喚機のカバーをスライドし、カードを読み込ませる。
《FINAL VENT》
漆黒の龍を従え、騎士は宙に舞い上がる。
「……フンッ!!」
青白い炎に身を包み、騎士はキックを放った。
衝突する直前。
ヴァイスはポツリと呟いた。
「提督………静ちん……ゴメンね……」
「ハァ…ハァ……」
すっかり陽が沈み、夕暮れ空が夜の色に染まってきた頃。
静は汗だくになりながらも、捜し続けていた。
「ハァ…ハァ……。鈴谷ーッ!!」
やけくそとばかりに、静は大声を張り上げた。
「…………くっそ……。何処行っちまったんだよ…鈴谷……」
疲労も限界に達していたため、静はガックリと膝を着いてしまった。
―――と、その時だった。
「うっさいなぁ………。近所迷惑…でしょうがよ……」
弱々しいながらも、しかし聞き慣れた、捜し続けた声が聞こえてきた。
「鈴谷……鈴谷!!」
街角の陰で、血を流しながら座り込んでいる鈴谷を見つけた。
「お前……その怪我は!?」
「あはは……やっちゃったゼ♪…なんてね………」
静が相手だからであろう、鈴谷は笑ってみせた。
「酷い……!すぐ病院に……」
「無理だよ……もう限界だし………それに、人間の医療じゃ……鈴谷の傷は……完全には…治せない……」
「な……どういう意味だよ、それ………」
言葉の意味が分からない静に、鈴谷は告白した。
「静………あたしね……艦娘なの……。マジな…話……」
突然の告白に、静は目を見開く。
「提督に……静のアニキにさ、勧められたの………。戦場に出たくないのなら、強制はしない。その代わり……自分よりも……提督に相応しい男を…紹介、するから……会って…しばらく、行動を共にしてくれないか………って……」
さらに、鈴谷は静の兄――統也に勧められて、静と共に行動していたと明らかにした。
「悪気は無かったんだよ……?でも……結局、静を騙してたことに…なっちゃった……。ゴメンね?」
「やっぱ……艦娘が恋なんて………NGだよね―――」
「んな事知るかよ……」
涙を流す鈴谷を、静は抱きしめた。
「その艦娘に、ベタ惚れしてる俺なんて……引きニートよりもドン引きされる大バカってことになるだろが……!」
言い方こそ回りくどいが、それが静なりの告白だということを鈴谷は理解していた。
「……あはは…やっぱ、静ちんって口下手だねえ♪そんなんじゃ……女の子…捕まえ、らんな…ぃ、よ……?―――」
それだけに、嬉しかった。
飾らない言葉が
思うままの言葉が、鈴谷の心に沁み渡り、気張らなくて良いんだと優しく包み込んでいく。
だから、改めて思う。
やっぱ、“死ぬ”って怖いなぁ―――。
「………鈴谷?」
眠ってしまったのかと思い、揺さぶって呼びかける。
しかし……
彼女の腕は、糸の切れた人形のように脱力しており
していなかった………
「……ぁ……ああ……うあ…あぁあ………ッ!!」
―――耳元で、何か喧しい。
誰かが、大声で喚いて…いや、これは泣いている?叫んでいるようにも聞こえる……。
その泣き叫ぶ声の主が、自分自身であることは程なくして理解はしたが、困ったことに止め方をド忘れしちまったらしい……。
仮面ライダーヴァイス編……
あと1本で終わります。
沼田静がヴァイスのカードデッキを手に入れたこと、そして統也の死の真相については、次回明かします。
戦わなければ、生き残れない―――。
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