着任先の新提督が色々とマトモじゃない。   作:夏夜月怪像

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長く続いた、龍騎2章・仮面ライダーヴァイス編。


哀しい結末ですが、どうぞ最後までお付き合い下さい。


83話 : 仮面ライダーヴァイス誕生秘話・(シュウ)

時は少し遡り、沼田第2艦隊が赤塚鎮守府へ帰投した頃………。

 

 

昼休みを最後に、連絡が途絶えた鈴谷を捜すべく、静とJKは街中を駆け回った。

 

 

「ハァ…ハァ……。居たか?」

 

息を切らしながら、静はJKに確認を取る。

 

しかし、JKは首を横に振る。

 

 

「ダメだ……!あいつの行きつけのカフェとかも行ったけど、来てないって……」

 

「くそ……!」

 

 

手掛かり無しという事実に、静は悔しさに顔を歪める。

 

 

「JK、お前は待機しててくれないか?ひょっとしたら、行き違ってるせいで顔を合わせないのかも!」

 

「確かに、それも可能性としちゃあ有るかもしれねえけど……」

 

 

「頼む!見つけたら、すぐ連絡入れっから!!」

 

 

じゃ!と言って、静は走り去った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

一方……ミラーワールドでは、ヴァイスを謎の敵が襲い、一方的に攻撃を仕掛けていた。

 

 

「ハァ…ハァ……!ったく……何なのよ…アンタは……!?」

 

 

襲いかかってきた敵―――漆黒の鎧に身を包み、禍々しいオーラを放つ騎士と、それと同様に黒々とした身体を持つ龍を前に、ヴァイスは傷を押さえながら睨みつける。

 

 

「俺は……最強の仮面ライダー……。そして………お前を倒し、潰す者だ」

 

 

ヴァイスの問いかけに対し、漆黒の騎士は淡々と言い放った。

 

 

「はっ……中二病ってヤツ?今時流行んないっての……」

 

 

軽口を叩きつつも、ヴァイスは内心危機感を抱いていた。

 

 

コイツは危険だ。

 

隙を突いて、早く外に戻らないと、本当に帰れなくなってしまう―――。

 

 

そう思いながら、ふとビルのガラス面に視線を移す。

 

 

 

「―――えっ……」

 

 

視線の先に映り込んだ、その光景にヴァイス―――鈴谷は目を疑った。

 

 

大本営のものと思われる車を、謎の黒服のグループが襲撃。

 

運転士の憲兵が、何事かと拳銃を取り出して応戦しようとするも、グループの一人がそれよりも早く、ナイフと思しきもので攻撃。

 

憲兵はそのまま倒れ、血を流したまま起き上がることは無かった。

 

 

「っ!?…て、提督………!?」

 

 

さらに、グループによって車から引きずり出された人物……それは、大本営によって呼び出しを受けた沼田統也だった。

 

 

「な、何がどうなって……あぅ!?」

 

 

注意が逸れた、その一瞬を突かれ、ヴァイスは漆黒の騎士と漆黒の龍の攻撃をモロに喰らってしまう。

 

 

「ぐ……!!ちっ…く、しょおおおっ!!!」

 

 

このままやられてたまるかと、ヴァイスはアドベントカードを抜き、バイトバイザーに読み込ませる。

 

 

《FINAL VENT》

 

 

バイトダイラーを召喚し、ヴァイスはファイナルベント『マッドシェイカー』を発動。

 

 

「フン……。最初から殺す気で来れば良いものを……」

 

 

鼻で笑いながら、左腕の召喚機のカバーをスライドし、カードを読み込ませる。

 

 

《FINAL VENT》

 

 

漆黒の龍を従え、騎士は宙に舞い上がる。

 

 

「……フンッ!!」

 

 

青白い炎に身を包み、騎士はキックを放った。

 

 

衝突する直前。

 

ヴァイスはポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「提督………静ちん……ゴメンね……」

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ……」

 

すっかり陽が沈み、夕暮れ空が夜の色に染まってきた頃。

 

静は汗だくになりながらも、捜し続けていた。

 

 

「ハァ…ハァ……。鈴谷ーッ!!」

 

 

やけくそとばかりに、静は大声を張り上げた。

 

 

 

「…………くっそ……。何処行っちまったんだよ…鈴谷……」

 

 

疲労も限界に達していたため、静はガックリと膝を着いてしまった。

 

 

―――と、その時だった。

 

 

「うっさいなぁ………。近所迷惑…でしょうがよ……」

 

 

弱々しいながらも、しかし聞き慣れた、捜し続けた声が聞こえてきた。

 

 

「鈴谷……鈴谷!!」

 

 

街角の陰で、血を流しながら座り込んでいる鈴谷を見つけた。

 

「お前……その怪我は!?」

 

「あはは……やっちゃったゼ♪…なんてね………」

 

 

静が相手だからであろう、鈴谷は笑ってみせた。

 

 

「酷い……!すぐ病院に……」

 

「無理だよ……もう限界だし………それに、人間の医療じゃ……鈴谷の傷は……完全には…治せない……」

 

 

「な……どういう意味だよ、それ………」

 

 

言葉の意味が分からない静に、鈴谷は告白した。

 

 

「静………あたしね……艦娘なの……。マジな…話……」

 

 

突然の告白に、静は目を見開く。

 

「提督に……静のアニキにさ、勧められたの………。戦場に出たくないのなら、強制はしない。その代わり……自分よりも……提督に相応しい男を…紹介、するから……会って…しばらく、行動を共にしてくれないか………って……」

 

 

さらに、鈴谷は静の兄――統也に勧められて、静と共に行動していたと明らかにした。

 

 

「悪気は無かったんだよ……?でも……結局、静を騙してたことに…なっちゃった……。ゴメンね?」

 

 

「やっぱ……艦娘が恋なんて………NGだよね―――」

 

 

「んな事知るかよ……」

 

涙を流す鈴谷を、静は抱きしめた。

 

 

「その艦娘に、ベタ惚れしてる俺なんて……引きニートよりもドン引きされる大バカってことになるだろが……!」

 

 

言い方こそ回りくどいが、それが静なりの告白だということを鈴谷は理解していた。

 

 

「……あはは…やっぱ、静ちんって口下手だねえ♪そんなんじゃ……女の子…捕まえ、らんな…ぃ、よ……?―――」

 

 

 

それだけに、嬉しかった。

 

飾らない言葉が

 

思うままの言葉が、鈴谷の心に沁み渡り、気張らなくて良いんだと優しく包み込んでいく。

 

 

だから、改めて思う。

 

 

やっぱ、“死ぬ”って怖いなぁ―――。

 

 

 

 

「………鈴谷?」

 

 

眠ってしまったのかと思い、揺さぶって呼びかける。

 

 

しかし……

 

彼女の腕は、糸の切れた人形のように脱力しており

 

 

呼吸(いき)も……

 

していなかった………

 

 

「……ぁ……ああ……うあ…あぁあ………ッ!!」

 

 

 

 

―――耳元で、何か喧しい。

 

誰かが、大声で喚いて…いや、これは泣いている?叫んでいるようにも聞こえる……。

 

 

 

その泣き叫ぶ声の主が、自分自身であることは程なくして理解はしたが、困ったことに止め方をド忘れしちまったらしい……。




仮面ライダーヴァイス編……


あと1本で終わります。

沼田静がヴァイスのカードデッキを手に入れたこと、そして統也の死の真相については、次回明かします。


戦わなければ、生き残れない―――。

人気投票その7

  • 沼田 静
  • 沼田統也
  • 鈴谷
  • 熊野
  • バイトダイラー
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