ゴブリンスレイヤー in このすば   作:ナマクラ
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 ゴブリンの巣となっている洞窟へと足を進めた俺たちを待っていたのは、早過ぎる別れだった。

 

 臭い消しでゴブリンに気付かれにくくなっているとはいえ、実際に遭遇してしまえば臭い消しにそこまでの意味はない。

 奇襲がされにくいというだけでも大きなアドバンテージではあるが、それで戦闘が避けられるなんてことはないのだ。

 

 ゴブリンを発見し、こちらから奇襲を仕掛け、戦闘が開始される。

 俺たちの中で戦力になるのは攻撃が当たらないクルセイダーと魔法が使えないアークウィザードを除いた三人……内一人は知能の足りてないお馬鹿であり、俺もそんなに戦闘に慣れているとは言えない。

 残る一人に負担が掛かる事は自明の事だった。

 

 しかしさすが専門家というべきか、負担が大きかろうが関係なくゴブリンたちを淡々と切り捨てていく。

 派手な動きはない。だがその剣に迷いなどはなく冷酷なまでに正確にゴブリンの命を刈り取っていった……まあ剣の腕前とかわかるほど詳しくないんだけど。

 それに比べれば微々たるものだが、俺たちもゴブリンを倒していく。盾役のダクネスに群がるゴブリンに攻撃するだけだからそれほど大変な事ではなかったが、それでも周囲への注意が足りていなかったのかもしれない。

 こちらのゴブリンたちを倒し終えて、向こうで一人ゴブリンたちを屠っていくその姿を視界に入れた時、俺のその視界の端に一匹のゴブリンの姿が見えた。

 

 そのゴブリンはアイツから少し離れた場所で弓矢を構えていたのだ。

 

 洞窟なんて狭い場所で弓矢なんて使ってくるなんて予想外だった。だからこそ俺たちはそれに誰も反応できなかったのだ。

 俺たちが何もする暇もないまま、鮮血が洞窟に飛び散った。

 その光景に、思わずめぐみんが声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ぺ、ぺんぺん丸ーーッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――哀れ、ぺんぺん丸は持ち主によってぶん投げられ、見事弓矢を射る前にゴブリンの喉笛を刺し貫きその役目を終えたのだった。

 

 

 

「…………って武器投げ捨ててどうすんだよ!?」

 思わずツッコミの声を上げてしまったが、案の定というべきか、ゴブリン共は武器を失くして丸腰になったアイツへと棍棒片手に襲い掛かった。必要だったとはいえさすがに安直すぎんだろと思いながら加勢しないと! って思ったんだけど、渦中のアイツは冷静にこう口にした。

「――――スティール」

「ゴビュっ!?」

 だが気付けばゴブリンが振りかぶる棍棒が消え、その棍棒が頭に振り落とされていた。

「ギャッ!?」

「――――合わせて十四、というところか」

 最後に隠れていたゴブリンに手にしていた棍棒を投擲した事でそこにいたゴブリンが全部死んだので、一息つけるようになった。

「最後の方は見ててちょっとヒヤッとしたぜ。お前、スティールも使えたのか」

「知り合いの盗賊から教えてもらった。代価に財布を盗られたが」

 何かどこかで聞いた話だな……。スティール……代価……パンツ……うっ、頭が……!

「だが的確に武器を奪えるものなのか?」

 ダクネスの口にした疑問に関しては俺も思った。俺も持っているからわかるが、スティールは運補正が大きいスキルで狙い通り発動するとは限らない。実際幸運値の高い俺でも狙い通りの物を盗めるとは限らない。いやまあ大当たりではあったけども……。

「ゴブリンから奪える所持品自体少ない。手に持つ武器か、身に纏う襤褸布か、あるいは粗末な装飾品くらいだろう」

「あ、確かに」

 言われてみれば確かにゴブリンが持ってるものなんて数えるくらししかない。持ってる物が少ない以上、目当ての物が盗める確率はそれだけ上がるわけだ。

「的確に武器を奪えずとも構わない。投げつければ目晦まし程度にはなる」

「あ、あの……ぺ、ぺんぺん丸は……」

 ゴブリンの持っていた槍を拾う姿を見てめぐみんが恐る恐る投擲されたぺんぺん丸について尋ねる。回収しないのか気になっているのだろう。ちなみにぺんぺん丸は今もゴブリンの喉に突き刺さったままだ。

「あの剣は血と脂でもう使えん。ゴブリン退治は仕留める数も多くなる分武器の消耗も激しい。だから奴らから如何に武器を奪えるかも重要になってくる」

 そう淡々と言いながら倒したゴブリンの手にしていたナイフをぺんぺん丸の収まっていたホルスターに収める。

「ぺ、ぺんぺん丸ぅ……」

 哀れ、ぺんぺん丸は使い捨ての武器だった。名付け親のめぐみんにとってこれは辛かろう。

 何というか……世知辛い。そう思いながら俺たちはゴブリンの死体から武器を拝借するのであった。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「もっと私を前面に出して盾として利用してくれて構わないんだぞ」

 ゴブリンの巣に潜り込んで少しして、ダクネスがそんなことを口にした。

「そうか」

 それに対しアイツはそう答えながらゴブリンのノドにナイフを突き刺して殺す。特に戦術を変える気配はない。

「……もっと私を前面に出して盾として利用してくれて構わないんだぞ」

「そうか」

 ダクネスの言葉に、アイツはゴブリンを串刺しにしながら返事をする。特に戦術を変える気配はない。

「…………もっと私を前面に出して盾として利用してくれて構わないんだぞ」

「そうか」

 ダクネスの言葉に、アイツはゴブリンを松明で殴り殺しながら返事をする。特に戦術を変える気配はない。

「………………もっと私を前面に出して盾として利用してくれて構わないんだぞ」

「そうか」

 ダクネスの言葉に、アイツはゴブリンの死骸から装備を拾いながら返事をする。特に戦術を変える指示もない。

「………………もっと私を前面に出して盾として利用してくれて構わないんだぞ……!」

「そうか……何をする?」

 ダクネスの言葉に「そうか」としか返さない事への抗議か、ダクネスはアイツの肩へ手を置いていた。

「ちょ、待てダクネス。お前の馬鹿力で握って鎧が歪んだらどうすんだ。俺は弁償なんてしたくないからな」

「だ、誰が馬鹿力だっ!!」

 お前だ。真面目に安物の鎧くらいなら変形させられそうだし。

「アンタねー、ちょっとくらいダクネスの意見も聞いてあげたらどう?」

「意見として聞いている。だが今はその必要はないだろう」

「だが今の状態だと貴方の消耗も激しいだろう? なら私が盾になった方がいいんじゃないか? いやなるべきだろう!」

 これ普通なら相手を気遣っている清廉潔白な聖騎士みたいに見えるんだろうなぁ……中身知ってる俺としては自分の欲望に忠実な変態クルセイダーにしか見えないわけだが。

 でもこの頭のおかしいコイツだったら普通に採用してもおかしくないんだよな……。

 

「だがお前が危険だろう」

 

 ……おかしいな。この頭のおかしいヤツがすごく常識的に見える……。人の事を気遣えるだなんて……これじゃダクネスの方がおかしく……あ、ダクネスは元からおかしかったわ。

「望むところだ!! 任せてくれ!」

「少し落ち着け。気持ちが空回っているように見える」

「え、いやそういうわけでは……」

「消耗して肝心な時に役目を果たせない、というのは困る。ここはまだ温存するべきだ。違うか?」

「あ、はい……って、そうじゃなくてだな……」

 普通に気遣われて正論を返されてダクネスとしてもどう反応していいものかわからないみたいだ。俺だったら絶対に欲望に忠実すぎるダクネスに文句を言ってた。それでダクネスは悦んでた。

 というかここまで冷静に正論で返してくるヤツとか珍しい気がする。ここまでにダクネスの熱意に折れるかダクネスの性癖に気付くかのどちらかが多い気がする。

 それでもダクネスは諦めないようで自身の防御力の高さを売り込んでいた。どれだけ必死なんだよ。聖騎士とは一体なんだったのか。

「……仕方ない。次は囮スキルでゴブリン共を引き付けてくれ」

「任せてくれ!!」

 ……どうやらダクネスの熱意に負けたようで、次はダクネスを盾に攻めていく事になった。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「さあ、来るがいいゴブリン共!! 私は決してお前たちに屈しはしない!!」

 囮スキルによって現れたゴブリンたちはダクネスに群がっていく。ゴブリンたちは思い思いに武器を振るっていくが、ダクネスはそれに耐える。……いや、そもそもダクネスに攻撃が効いてるのか疑問だ。

「で、どうするの?」

「こうする」

 ダクネスがゴブリンに取り囲まれていくのを見物しながら、俺たちが気になっていたことをアクアが質問すると端的に答えながらその腰の雑嚢から一つアイテムを取り出した。……あの雑嚢何でも入っているよな。

 取り出されたそれは液体の入った一本の試験管みたいな瓶で、中身はポーションのように見えた。

 それをゴブリンどもが群がるダクネスに向かって放り投げた。

「目と耳を塞いで口を開けろ」

「はっ?」

 放物線を描きながらダクネスの足元へと落ちたその容器は衝撃に耐えきれず甲高い音を立てて割れたかと思えば、

 

 

 

 

 

 中の液体がいきなり爆発した。

 

 

 

 

「――――――――ッ!?」

 爆発はダクネスとそれに群がるゴブリンたちを飲み込むほどの規模でかつ洞窟には被害を与えない絶妙な威力で、爆音もなかなかのものだった。なお目を塞ぎ遅れたのかアクアが「目が!? 目がぁーーーーっ!?」と悶えていた。俺もギリギリで塞ぐのが間に合ってなかったら危なかった。

「爆発ポーションだ。衝撃を与えると爆発する」

 マジか……コイツ、マジか……!?

「おま、味方になんて危険物を使ってんだよ……!?」

「本人と相談した上であれくらいの威力ならば問題ないと判断した」

「洞窟内で爆発物使っても大丈夫なんですか?」

「影響を与えない程度の規模に抑えたから問題ない」

「というか今の爆発で他のゴブリンが来るのでは……?」

「そうだ。だから今と同じ要領で削っていく。ゴブリン共が来る前に回復魔法をかけてやってくれ」

 鬼かコイツ。いやダクネスの希望ってのもあるんだろうけど……鬼かコイツ。

 というかあの液体、どっかで見た事あると思ったけどあれだ。ウィズの所で売ってた爆発ポーションだ。一本20万くらいするやつ。

 ……うん、やっぱコイツ頭おかしいわ。

 

 なおゴブリンの爆死体の中心で立っているダクネスは恍惚とした表情を浮かべていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 その後も手を変え場所を変え、様々な手法をみせてくれた。

 

 剣で切り殺す。剣を投擲する。敵の武器を奪う。棍棒で叩き潰す。槍で突き刺す。飛礫で射抜く。盾で殴る。

 松明で殴る。油をぶちまけて火をかける。毒をぶちまける。etc……それらを躊躇なく行なっていく。

 事前に仕掛けていたロープにアクアが引っかかってゴブリンたちが罠に気付いた時にはどうしようかと思ったが、機転を利かせてゴブリンたちを一箇所に固めて爆発ポーションで掃討した時には唖然としたし、何故か洞窟内で遭遇した初心者殺しの目と鼻を毒の粉末で封じてゴブリンたちに誘導して対ゴブリン兵器として突っ込ませたのは乾いた笑いが止まらなかったが……というか手際よすぎだろ。

 今も麻痺毒をばらまいて動けなくなったゴブリンたちの急所に剣を刺していく作業をしている。

「何か、精神的にしんどい……」

 無抵抗な相手を次々と作業的に殺していくのは思った以上にキツイ。これ、冒険者の仕事じゃなくない?

 ニート時代にゲームのレベル上げとかで只管雑魚狩りしてた事はあったけど、実際にリアルでやるのとは明らかに違う。精神的にしんどい。

 アクアとか何かブツブツと「悪魔倒すべし、魔王しばくべし、ゴブリン……ゴブリンは……?」とか繰り返し呟き始めてるし、ダクネスも焦点の合ってない目で普段使われていない剣で「無抵抗の相手を殺傷するよう強制されるのは私の求めるモノじゃないような……」とか何とか言いながら只管ゴブリンを突き刺す作業に忙殺されている。

 コイツら大丈夫かと思っていると、唯一平気そうなめぐみんが血塗れで刃毀れしまくりのぺんぺん丸――いつの間に拾ってたんだコイツ――を片手に話しかけてきた。

「カズマ、何か目が死んでないですか?」

「何か、精神的にキツイ……キツくない?」

「そうですか?」

「……めぐみん何で、平気そうなんだよ」

「紅魔族の里でやった『養殖』と似たようなものですよ」

「……養殖が何かわからんがやっぱ頭おかしいんだろうな紅魔族って」

「なにおう!? そこまで言うなら紅魔族のどこがおかしいのか説明してもらおうか!?」

 普段と変わらず談笑しながら作業的に屠殺できてる時点でちょっとおかしい。そう思ってもそれを口にするのすら億劫であった。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ゴブリンの巣窟は俺たちが思っていた以上に広かった。肉体的な疲労はもちろん、想定以上の精神的な疲労が俺たちを襲っていた。

 でも、これで一通り巣の殲滅は終わったと思うんだが……

「おかしい……」

「ん? 何がおかしいんだよ?」

 いやまあ、実を言うと俺もなんとなくおかしいとは思ってたよ。けどゴブリンやダンジョンに対する経験のなさから感じるのかと思うようにしてたんだ。でもやっぱりおかしいよな……

「巣の規模の大きさを考えても、明らかにゴブリンの数が多すぎる」

「やっぱりそうだよな! 明らかに数多すぎだよな!」

 この巣に入ってから俺一人だけでもゴブリン何十匹と殺したはずだ。さらに率先して狩り続けてるコイツが俺の何倍と狩ってると考えたら100匹近くはいた事になる。

 

 どんだけいんだよ! いくら何でも多すぎるわ!!

 

 普通がどれくらいなのかはともかく、さすがに今進んできたこの巣が大きいからといってそれだけの数が暮らせるとは思えない。

 何より依頼の報酬から考えたらさすがに割に合わなさすぎる。

「数自体もそうだが、ここまで数が増える要因が見つからなかった」

「要因? 何ですか?」

「女だ。ヤツらは人間の女を攫い、遊び道具にして孕み袋にする。そういった捕虜が一人もいなかった」

 孕み袋……あ、つまりは『ウス=異本』案件がなかったって事か……いや創作上なら俺も嫌いじゃなかったけど、リアルガチでとなるとさすがにクズマだのカスマだの言われる俺も見たいとは思えない。

 ……というか女がいる前でそうはっきり言わなくてもいいんじゃないか……?

 アクアやめぐみんは目に見えて引いているし、ダクネスに至っては「孕み袋!? なんて卑劣な行為を! ゴブリンどもめ、許せん!」なんて憤慨している。……何か思ったより昂奮してないな。

「それに先程の獣……何と言ったか……」

「初心者殺しか」

「それだ、ソイツがゴブリンに使役されていたこともおかしい。奴ら本来は力関係が逆のはずだ」

 確かに。普通ゴブリンを囮に駆け出し冒険者を狙う初心者殺しが、逆にゴブリンに使役されているというのは明らかにおかしい。慣れたように対処してた初心者殺しの名前覚えてないコイツもおかしいけど。

「それにあれだけの数がいながら、ホブやシャーマンも含めた上位個体が一切いなかった。この規模の群れならば小鬼英雄(チャンピョン)小鬼王(ロード)がいてもおかしくないが……」

「何か嫌な単語が聞こえてきたなぁ……」

 何だよ上位個体って。何だよチャンピョンだのロードって。いやまあゴブリンが進化したとしてもそこまで強くはないのかもしれないけどさ。

 

「――――あーーーっ!? ちょっ、ちょっとカズマさーん! カズマさーん! 助けて! 助けてー!!」

 

「何だよどうしたんだよ……!?」

 アクアの声にまた何かやらかしたのかと嫌になりつつも振り向くと思わずギョッとしてしまった。

 

 そこにあったのは何の変哲もない地面に下半身が沈んでいくアクアの姿だった。

 

「ちょ、お前何してんの!? どうやったらそうなるんだよ!?」

「助けてー! 私悪くないもん! 別に何もしてないのにこうなったのー!」

「何もないのにそうなるかーー!」

 泣きわめくアクアを皆で急いで引き上げた。主にダクネスの力でだったが、それにしても思ったよりも抵抗なくアクアを引き上げる事に成功した。

 改めてアクアが埋まっていただろう場所を見るが、特に違和感はない。何かが埋まっていたようには見えない。というかどう見ても普通の洞窟らしい地面だ。

「何もないじゃねぇか……ホント何やったんだお前……」

「違うもん! 私何も悪くないもん!!」

「……解呪の魔法をかけてみてくれ」

 だが、ダンジョンアタックに慣れているヤツから見ると違ったのか、アイツはその場所を見てこう口にした。

「セイクリッド~……ブレイクスペル!」

 妙にやる気のアクアの魔法が発動するとともに、先程までアクアが埋まっていた何の変哲もない地面が消えたかと思えば、何とさらに下へと繋がる穴が現れたのだ。

「偽装用の魔法だ」

「マジか……」

 普段は暗闇の中で、今も明かりがあるとはいえ松明の火があるだけのこの空間で、さらに偽装用の魔法までかけられてたらそれは気付けない。アクアが運悪く引っかからなかったら絶対に気付けなかった。

「謝って!! 私のせいだってすぐに決め付けた事を謝って!! 誠意と謝意を持って謝って!!」

「ええ……助けてやったのに謝罪しろっておかしいだろ」

 いや確かに今回アクアは悪くなかったけど……ここで謝ると調子乗りそうだしなぁ……。

「でもゴブリンに魔法で偽装するという知恵があるのか?」

「そもそもゴブリンがそんな魔法使えるんですか?」

「いや、シャーマンならともかく普通のゴブリンに魔法を使えん。普通に偽装するにしてももっと拙いものになるだろう」

 つまりはこの偽装はゴブリンによるものじゃなく、かといってここまでの道のりからするとゴブリンと無関係なヤツによるものとも考えにくい。ということは……

「間違いなくゴブリンどもを使役する者がいる」

 そう結論付けるとアイツはさらに奥底へと進んでいった。

「つまり、まだ探索は続くのか……」

「まあ私もまだ爆裂魔法撃ってませんしね」

 できれば今回は撃たないでほしいと切に思う。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「なんだここ……!?」

 

 アクアがたまたま嵌まった隠し通路、その先に広がっていたのは、今までのような雑然と掘り進めて作られた洞窟などではなく、石……というよりレンガのようなもので人工的に整備された回廊であった。

 少なくとも自然のものじゃなく、かといってゴブリンとかが掘り進めたなんてものでもない。洞窟というよりも何かの遺跡と言われた方がしっくりくる。

 さらに進むと、金属や硝子でできた物体やケーブルのようなものなど、明らかな人工物、というよりも科学的な装置のようなものがずらりと並んでいた。

「何だ、これ……?」

 いや待て。世界観おかしいだろ……何でファンタジー世界にこんな科学的な装置がずらりとあるんだよ……。

 様々な管が繋がれた装置。それはその空間の両壁面に添うようにずらりと並んでいた。

 その装置の大部分を占めている液体に満たされた、フラスコを思わせる硝子容器の中に、ナニカが浮かんでいた。

 その浮かんでいるナニカの正体に最初に気付いたのは、やはりこの男だった。

 

 

「――――ゴブリンだ」

 

 

 事態は大きくなりながら、それでもゴブリン退治は続く……

 

 



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