歪みを正すために小宇宙を持つ者   作:北方守護

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鈴の母親の名前の字を蓮から流に変えました。


第11話 解き放された妖怪(あやかし) 水虎(中編)

卓球を終えて武昭と鈴は自分達の部屋に帰ってきた。

 

「あっ、劉さん達も戻ってたんですか」

 

「私達は少し前にね、それよりも2人は温泉に入ってこなかったのかい?」

 

「私と武昭は先にお土産を買ってたのよ、その後に卓球をやっててね」

 

「3回やって俺が勝ちましたけどね」

 

「お陰でジュースを3本も買わされたわよ!」

 

「はいはい、話してる暇があるなら夕飯を食べに行きましょう」

そう言われ皆は食堂に向かった。

 

夕食を終えて……

 

「武昭、私温泉に行くんだけど、あんたはどうするの?」

 

「そうだな……俺も行くよ 今の劉さん達は危ないし」

武昭と鈴の視線の先では親達が酒を飲んでいた。

 

「じゃあ劉さん流さん、俺と鈴は温泉に行ってきます」

 

「えぇ、一応鍵を持って行って、もしかしたら寝てるかもしれないから」

 

「分かりました、行くぞ鈴」

 

「それじゃ行ってくるから」

武昭は鍵を受け取ると鈴と温泉に向かった。

 

 

男湯side

 

「ふぅ……いいお湯だな……それにしても……」

頭と体を洗った武昭は温泉に入りながら山の方を見ていた。

 

「ここに来てからずっと変な感じがするんだよな……あの山からだとしたら何で……?」

武昭は何かを感じながら温泉を上がった。

 

 

女湯side

 

「日本の温泉て始めて入ったけど、結構気持ちいいわね……はぁ〜」

一方女湯ではリボンを解いた鈴が温泉に入っていた。

 

「それにしても……武昭って、やっぱり胸が大きい方が良いのかしら……?」

鈴は自分の体の部分を見て落ち込んでいた。

 

「男子は胸が大きい方が嬉しいって聞くし……って私は何を考えてるのよっ!

 

「このままなら逆上せるから、そろそろ上がろう……」

 

〔こんな所に若い女がいるとは、ちょうど良かった……〕

 

「誰かいるの?……って私だけしかいないじゃない……」

鈴が上がろうとした時に背後から声がしたが姿が見えなかった。

 

「早く上がって寝た方が良いわね……あれ?何か温泉が粘ついてる様な……」

 

〔長い間封じられていて久し振りの若い女だ……逃しはせん!〕

 

「うそっ!?お湯が何でガボッ!」

湯船から出ようとするのと同時にお湯が勝手に動いて鈴を水の中に閉じ込めた。

 

〔このまま、この者の精気を吸い取ってくれるわ!〕

 

(ガハッ!息が出来ない……助けて……武昭……)ポロ……

鈴が呼吸困難になりつつある状況で武昭の名前を呼んで涙を一筋流した時だった……

 

「鈴に何してんだ!!」

 

〔ムッ!?なぜ人間のガキがワレに気付いたのだ!!〕

化け物は女湯に武昭が入って来たことに驚いていた。

 

「さぁな、何か嫌な気配はずっとしてたんだけどよ、その気配が変に強くなったから来てみたら、お前がいたんだよ!」

 

〔(どうやらこのガキはたまに居ると言われている力を持ちし者か……だが……)貴様の様なガキにやられるワレではないわっ!!〕

化け物は鈴を閉じ込めたまま温泉の中に入って姿を消した。

 

「待てっ!くそっ!……あいつは一体?……それよりも早く鈴を助けないと……けど……

あんな化け物の事を話しても信じてくれる訳が……どうしたら?……ウッ!?」

武昭がどうしようか考えてると頭に痛みが走った。

 

だが、その時、頭の中に短い金髪で何らかの形を模した黄金の鎧を身に纏いその手からは雷を放つ男性の映像が一瞬浮かんだ。

 

「ハァハァハァ……何とか痛みは治まったか……けど、今のは幻なのか……いやそれよりも鈴の所に向かわないと!」

武昭は急いで旅館を出ると何かを感じていた山の方に向かった。

 


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