歪みを正すために小宇宙を持つ者   作:北方守護

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第12話 解き放された妖怪(あやかし) 水虎(後編)

妖怪が封じられていると伝承がある山に着いた武昭は違和感に気づいた。

 

「なんだ……凄い静かだ……これだけ自然があるなら動物とかの気配が……ガサッ……なっ!」

武昭が草を分入って奥に進むと水の球に閉じ込められてる動物達の姿があった。

 

「どうやら、さっきの奴がやったみたいだけど……なるほど少しずつエネルギーを吸い取っているのか……ん?」

球をよく見ると植物の根の様の物が伸びていた。

 

「どれを見ても同じ方向に向かっている……という事は、これの先に鈴が……待ってろ!」

武昭は根が伸びている方に進んだ。

 

暫く進むと山中で拓けた場所に出た。

 

「水の根はこっちに……なんだ、これは……?」

武昭が到着した場所は周りに多数の水の球があり、その中には作業服を着た人達が入っていた。

 

「多分ここで工事をしてた人達だろうな……干からびてはいるけど、まだ息はあるな……鈴は?……っ!」

武昭が水の球を調べてると足元から棘状の水が飛び出してきたので木の上に飛び乗って攻撃をかわした。

 

〔ほう……ワレの攻撃を避けるとは、それなりの実力者という事か……〕

 

「あぁ、何か足元から気配を感じたからな、それよりも鈴は何処だ!」

 

〔鈴? あぁワレが拐ってきた少女なら、ここにおるわ〕

地面から妖怪が出て来ると同時に大きな水球が見えてきて、それの中心に目を瞑って蹲っている鈴がいた。

 

「鈴!テメェ鈴を離しやがれ!!くっ!」

 

〔ふっ、面白い だがワレに勝てると思っているのか!〕

妖怪は触手を伸ばして武昭に攻撃するが何とか避けていた。

 

「チッ!(何とか避けてはいるがこのままじゃ……)しまっ!ガハッ!!」

武昭は横から来た触手をかわせず、そのまま近くの木に叩きつけられた。

 

〔ワレが見てきた中でも、なかなかの者だったが所詮は人間の中でというだけだ〕

妖怪は触手で武昭の首を締めて、そのまま持ち上げた。

 

「ガッ!……テメェ……離し……やがれ……」

 

〔ふん、このまま貴様の命を奪ってやろう……さらばだ……人間よ!〕

 

(くそ……せめて……鈴だけでも………)

 

『俺は……諦めない!』

武昭の意識が落ちようとした時に山に来る前に見た黄金の鎧を纏った人物の映像が再び浮かび上がったが、それの場面は多数ありいずれの場面で彼は何かと戦っていた。

 

(これは?………それに……()()()()()()()()

 

〔何故だ!何故貴様は神である我の攻撃を何度も受けて立っているのだ!?〕

 

『それは……俺が女神アテナに仕えし……聖闘士だからだ!!

そう声をあげた人物の体から金色の何かが立ち上がるのが見えた。

 

(コレは?……いや、俺はコレを知っている……そうだ修行中に何度か感じた物と似ている……)

 

『そうだ……これは俺達、聖闘士が体内に宿す小宇宙(コスモ)と呼ばれてる物だ』

 

「え?……いつの間にか周りが変わっている?……」

武昭が何かに気づくと周りが暗くなり目の前に見ていた人物が立っていた。

 

「あなたは?……そして、ここは……」

 

『俺の名前はアイオリア、女神アテナに仕えし聖闘士……獅子座(レオ)黄金聖闘士(ゴールドセイント)だ』

 

「その聖闘士であるアイオリアさんが、なんでこんな所に、それにここは……」

 

『ここは世界のどこでもありながら、どこでもない場所だ……俺もよくは知らないんだがな』

 

「そうですか……そうだ、俺はこんな所にいる場合じゃないんだ!早く鈴を助けないと!!」

 

『待て、俺も多少は事情を知っている……だが今のお前が行った所で何が出来るんだ?』

 

「そうかもしれない……俺はアイオリアさんみたく強くないし、体を鍛えてると言っても、あんな化け物に勝てるとは思わない……」

 

『ならば何故……死ぬかもしれな「けど!それがなんだって言うんだ!俺は鈴を助けたい!ただ、それだけだ!!」そうか……(彼を見てると()()()()()()()()()())……』

アイオリアは武昭を見て共に戦いアテナを守った後輩たちの事を思い出していた。

 

『そうだな……守りたい者がいるならば、どんな相手だろうと立ち向かう、それが俺達聖闘士だ……そして、分かったよ、何故俺がここにいるのかを……お前に()()()()()()に俺はお前に会いに来たんだ……』

アイオリアは右手で拳を作ると前に突き出した。

 

『さぁ、俺と拳を合わせるんだ、そうすると俺は の力をお前に託すが出来る……「あぁ、分か……」ただし、俺の力を受け取るという事は、辛い道を歩む事になるかもしれない……それでもお前は俺の力を受け取るのか?』

 

「俺もアイオリアさんの戦いの歴史を見ました……だからこそ、俺が戦う事で自分の手が届く人達を守れるのなら……俺は辛い道を選びます!」

武昭は自分の想いを告げるとアイオリアの拳に自分の拳を合わせた。

 

その瞬間……

 

「うわっ!なんだ、この体内から沸き立つ物は!?」

 

『それはお前自身の中にあった小宇宙だ……俺の力を受け取った事により以前より感じる事が出来たのだろう……そして、俺の役目ももう終わりの様だ……』

武昭が自分から出た小宇宙を感じてるとアイオリアの姿が段々と薄くなっていった。

 

「なっ!アイオリアさん!なんで!?」

 

『お前に力を託す為に俺が現れたからだ……最後に言っておく……どんな状況になろうとも諦めるな……それが我ら聖闘士だ……さらばだ……()()……」

 

「アイオリアさん……分かりました、俺も諦めません……この世界で唯一の()()()として!!」

武昭が言うと周りが白くなっていき武昭も姿を消した。

 

 

 

 

 

 

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