温泉から帰ってきた武昭はいつもの修行場所で石の上に座りながら精神統一をしていた。
(ん……あの時に……俺はアイオリアさんが戦ってきた歴史……って言える物を僅かながら見る事が出来た……)
武昭は温泉で起きた事を思い出していた。
(けど、あの後に俺は傷を負ったからか数日の間眠りについていたと恵さんに聞かされたっけ……)
「ねぇ!武昭!!」
「ん?なんだ鈴、来てたのか?」
武昭が目を開くと鈴が横に座っていた。
「えぇ、子供達に、ちょっとした差し入れを持って来たら武昭がコッチにいるって言うから。ほら食べなさいよ」
「おぉ、今日は青椒肉絲と酢豚か……ん?いつもの味と違うけど……」
「えぇ、今回のは少し辛めにしたんだけど……どう?」
「うん、俺は好きな味付けだぞ……それと、もう少し酢豚の肉は大きめが良いな」
「そうなんだ……じゃあ今度作る時は、そうするわね……ねぇ?何を考えてたの?」
鈴は武昭に尋ねた。
「あぁ……温泉の時に感じた小宇宙の事を考えてたんだ……フゥー……」
「何かしら……武昭の雰囲気が強くなったみたいな……」
「あぁ、それが小宇宙だ……そして俺はまだ
「え?それって、どういう事?武昭は温泉に行った時に私を捕まえた化物を倒したんでしょ?」
「そうだ、確かに俺は小宇宙を使って水虎を倒した……けど、あれはただ小宇宙を使ったってだけなんだ」
武昭の説明に鈴は頭を捻っていた。
「分かりやすく言うと……鈴は料理をするよな?」
「えぇ、これだって私が作ってきたんだから」
「俺も料理はするけど、鈴みたく凝った物が作れない ただ軽く炒めたりするだけなんだ」
「うーん……何となく分かった様な感じがするわ……武昭は小宇宙は使えるけど、それを使って何かをしたりが出来ないって事なのね」
「その解釈で構わないよ……だから、こうやって鍛えてるんだ……
(武昭は自分が何をしたら良いかちゃんと分かってるんだ……じゃあ、私は?……何をすれば……武昭の為に……)
鈴はトレーニングを再開した武昭を見ながら何かを考えていた。
それから数日後……
「さてと……ひとまず、ここら辺で休憩するか」
武昭はトレーニングの一環で距離にして三駅ほど離れた街まで来ていた。
「それに時間も時間だからお昼でも食べるか……何にするかなぁ……おっと、ごめんね大丈夫?」
「は、はい……大丈夫です。私の方こそ……ごめんなさい……」
武昭が店を探してると肩までの水色の髪が内巻きでメガネをかけた赤い眼の少女にぶつかって転倒させたので手を差し出した。
「いや、俺が余所見をしてたからだからさ、気にしないで良いよ」
「あ、ありがとう……ございます……痛っ!」
少女が手を取って立とうとした時、痛みから顔をしかめた。
「もしかして……どこか痛めたみたいだね……君が良かったら家まで送って行くけど……」
「いえ……大丈夫です……ウッ!……」
少女が無理をして立とうとしたが倒れそうになったので武昭が慌てて支えた。
「ほら、今無理をしたら治るまで時間がかかるよ?……だから……」
「はい……じゃあお願いします……」
「そうか、なら背中に乗って……」
武昭が背中を向けると少女は、そのままおぶさった。
「あ、あの……重くないですか?……」
「ん?普通に人を背負ってる感覚はあるけど、重くないよ、俺は鍛えてるしね……そうだ、自己紹介がまだだったね俺は小宙武昭って言うんだ」
「私は更識簪って言います……家にはお姉ちゃんがいるから簪って呼んでください……」
「分かったよ、なら俺も武昭で良いよ 友達からはそう呼ばれてるから」
「うん……(なんだろう……武昭とこうしてると何か暖かい感じがするな……)」
武昭は簪の案内で簪の家に向かった。