歪みを正すために小宇宙を持つ者   作:北方守護

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第20話 悪しき熱 炎羅(前編)

週に1日ある休息日に武昭は簪の家に向かっていた。

 

「そういや、日にちが合えば鈴の事を簪達に紹介した方が……ん?」

武昭が近くに来た時に軽く慌てている気配がしたので様子を伺ってると玄関から誰かが出てきた。

 

「一体、どうしたんだ?……あ、本音、何かあったのか?」

 

「ふえっ!?あ、あきっち!あのねあのね!「本音ちゃん」あ、お嬢様」

武昭が行くと本音が慌てていたので事情を聞こうとした時に本音の背後に刀奈がいた。

 

「あら武昭君、今日はどうしたのかしら?」

 

「えぇ、ちょっと暇だったので簪と遊ぼうかなって思ってたんですけど……何かあったんですか?

 

「そうだったの、ごめんね今日は用事があって簪ちゃんはいないの、だからまた今度にしてくれる?」

耳打ちで武昭が聞いたので刀奈が答えるが右手で左袖を掴んでいたが軽く震えていた。

 

「そっか、急に来た俺も悪かったですね。それじゃ、また違う日に来ます」

 

「えぇ、そうしてもらえるかしら?それじゃ」

武昭はその場を離れたが本音の顔がどこか落ち着かない表情だった。

 

家から少し離れた所で……

 

「ふぅ……鈴や束さんと一緒にいる事が多いから分かった事だけど……小宇宙も人によって違うんだな……」

武昭が小宇宙を感じていた。

 

「やっぱり、この付近からは簪の小宇宙を感じないな……どうやら何らかの事件が起きたのか……もっと遠くまで広げてみるか……」

武昭は目を瞑ると精神集中を深くした。

 

その結果……

 

「ふぅ……微かにだけど簪の小宇宙を感じる事が出来たぞ……向こうの方からだな……」

武昭は簪の小宇宙がある方向に向かった。


武昭が簪の小宇宙を感じて着いたのは町外れの山の中だった。

 

「うん、簪の小宇宙を辿って来てみたらこんな所まで来たけど……ん?この小宇宙は……」

武昭が何処か覚えのある小宇宙を感じたので木陰に隠れるとコッチに来ている刀奈と本音がいた。

 

「どうやら2人も簪の居場所を突き止めたみたいだな……それよりもなんだ、この人間とは違う小宇宙は……」

武昭は隠れながら刀奈と本音の後をついていった。

刀奈と本音が先に進むと縄で縛られた簪と数人の黒服を着た人達、そして紺色のスーツを着た男性がいた。

 

「やっと来ましたか、刀奈様」

 

「えぇ、約束通り来たから簪ちゃんを解放してちょうだい!」

刀奈がそう言うと黒服の1人が縛られた簪の姿を見せた。

 

「カンちゃん!」

 

「おっと、そこから動くと、この顔に傷がつきますよ?」

紺色のスーツはポケットからナイフを出すと刃先を簪に近づけた。

 

「くっ!それで貴方の目的はやっぱり()()()()()ね?守屋(もりや)さん」

 

「えぇ、今現在、楯無の名を継ぐのに1番近いのは刀奈様ですからね」

 

「けど、貴方も分かってる筈よ、楯無の名前を継ぐには先代から任命されなければならないって事を」

 

「知ってますよ……ですが、先代からの任命以外に当主を継ぐ方法は他にもあるんですよ」

守屋と言われた人物は懐から巻物を取り出した。

 

「この巻物にこう書かれていたのですよ……」

守屋の話はこのような物だった。

 

今、居る山は以前に更識家の者が当主を継ぐ為に必要な試練を行う場所であった。

その試練とは、この山に封じられてる者を倒す事。

との事だった……

 

「それで、私が見つけたのですよ……この巻物に書かれている場所を!!」

守屋が指さした方には洞窟の入口に何らかの封印がされていた。

 

「それで、貴方はその封印を解くのかしら?」

 

「えぇ、そうですよ……折角ですから貴女達に私が当主に相応しい所を見せようと思いましてね。

さぁ!お前らやれ!!」

守屋の指示を受けた黒服達は洞窟の入口に爆弾を仕掛けると、そのまま爆発させた。

 

「そこで見てなさい、この私が新たな当主になる所を!」

守屋が洞窟に入ったのと同時だった……

 

「なっ!?か、体が!?グワァ!!」

体中が炎に包まれると、そのまま燃え尽きた。

 

「一体!何があったんだ!!」

 

「まさか!罠でも仕掛けられていたのか!?」

黒服達が慌てている中……

 

「簪ちゃん!本音ちゃん!今の内に逃げるわよ!!」

 

「お姉ちゃん、ごめんなさい、私のせいで……」

 

「ううん、カンちゃんは悪くないよ……」

刀奈と本音が簪を助けていた。

 

「なっ!待ちやがれ!!ウワァ!!」

黒服達の1人が刀奈達が逃げ出した事に気付いたが洞窟から出てきた炎に飲み込まれて、そのまま燃えた。

 

「一体、何が起きているって言うの!?」

 

〔ハハハ!この現世(うつしよ)の全てを燃やし尽くしてくれるわ!!〕

洞窟から炎が飛び出して刀奈達の前に留まると、その姿が亀の様な化物の形に変化した。

 

〔我が名は炎羅(えんら)!この全てを我が炎で埋め尽くしてくれる!!〕

炎が口から炎を吐き出すと逃げる刀奈達の後ろから迫って来た。

 

「くっ、このままじゃ私達も守屋達と同じく燃やされるわ……(こうするしか無いわね……)」

刀奈は簪と本音を守る為に2人を地面に伏せさせると上から覆い被さった。

 

「お姉ちゃん!?」「お嬢様!?」

 

「少しの間かも知れないけど、2人を守る事が出来るわ……ごめんね、こんな事に2人を巻き込んで……」

 

「お姉ちゃんは悪くないよ!!」 「そうだよ!悪いのはあの守屋って人だよ!!」

 

〔ハハハ!何をしようがそんな事で我が炎を防げると思ってるのか!!死ねぇ!!〕

 

「お姉ちゃん!私達に構わないで逃げて!!」

 

「そうだよ!お嬢様は生き残らないとダメだよ!!」

 

「そうね……けど、私にとっては2人が大切なの……だから、こうするの……」

刀奈が2人を守る為に強く抱きついた時だった……

 

「大丈夫ですよ……3人は俺が守る!」

誰かの声がしたので刀奈が見ると……

 

「ライトニングボルト!!」ドゴーン!!

 

〔グワァァ!?〕

炎羅が何者かに吹き飛ばされたので誰がやったのか確認すると……

 

「へっ、てめぇみてえな化け物の相手なら俺が相手だ」

 

「「「武昭(君)(あきっち)!?」」」

武昭が3人の前に立っていた。

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